Case1|事例概要|食品卸売業A社のDX推進

Case1|DX推進事例

MGIMを用いたワークショップを、食品・飲料卸売業A社がDX推進をテーマに実施した事例で、フェーズ別の議論内容や成果物を具体的にご紹介し、ATY Japanの考察や示唆などを解説しています。

MGIMワークショップの実施事例として、食品卸売業のA社のDX推進に向けた事例をご紹介します。

本ページは、MGIM研修モデルを実際の組織に適用した事例を紹介しています。

MGIMの理論構造や4つの意味ズレ分類、プロセスの詳細はMGIM本体ページおよび理論基盤編を、4つのコアプロセスをワークショップ形式で実践現場に適用する手順は「MGIM研修の基本手順」をご参照ください。

A社ワークショップの背景

食品卸売業のA社は、今年度の開始に当たり、全社でDXを推進することを宣言しました。

DX推進責任者である副社長がDXの方針を明らかにしましたが、変革内容や活動計画などの具体的な内容はこれから決める段階です。

副社長が全社に宣言したDX方針は、以下の通りです。

得意先への提供価値向上に向けてサプライチェーンをマネジメントし、地域密着の卸売企業としての存在意義を示す。

副社長は、DX推進は全社的な活動であるため、全社員が同じ意識で取り組む必要があると考えていますが、今回は部門の代表者によるワークショップを実施することになりました。

そこで、副社長がワークショップ冒頭で、今回の趣旨やルールを明確に宣言しました。

【記録】
今回のワークショップでは、参加者から積極的に意見が出ました。

【ATY解釈】
A社には、日頃から意見を言い合える風土があったと、実施中の観察から判断しています。
この風土は、副社長が同席する場での発言のしやすさに影響した可能性があり、他の組織に適用する際には、風土の違いに注意が必要です。

ワークショップ事例:食品卸売業A社のDX推進

企業概要

  • 業種:食品の卸売業
  • 年間売上高:約50億円
  • 従業員数:約80名
  • 主な得意先:地域の食品スーパー(SM)、約60社
  • 主な仕入先:国内の大手食品メーカー、約65社
  • 自社配送センターを2個所に設置

ワークショップ

  • テーマ:全社のDX推進
  • ワークショップの目的
    全社一丸となってDXを実践するため、DX推進に向けた「協働可能な意味」を部門代表者が形成する。
  • 参加者:11名
    副社長、取締役 2名、営業 4名、スタッフ 2名、配送センター 2名
  • チーム編成:6名と5名の2チームで並行実施
  • ファシリテーター:総務部の課長

MGIMワークショップは、検出・対話・翻訳・統合までのフェーズを基本としていますが、今回の事例では2チームで並行してワークショップを実施しましたので、まずはチーム単位で4つのフェーズを実施し、終了後に参加者全員で共有・議論する時間を設けました。

  • Aチーム(6名):副社長、取締役、営業 2名、スタッフ 1名、配送センター 1名
  • Bチーム(5名):取締役、営業 2名、スタッフ 1名、配送センター 1名

参加者全員の共有・議論の場では、両チームの最終成果やフェーズ途中での特徴的な議論などを紹介しながら、参加者全員の新しい意味が発言として確認されました(新しい意味カードへの記入はなく、各主体による保持の確認は行っていません)。

本事例の記述区分、データの取扱いと改変の範囲

本事例の記述は、次の3つに区分しています。

  • 【記録】ワークショップで実際に作成・発言された内容(参加者の記述、分類、成果物)
  • 【ATY解釈】実施後にATY Japanが行った分析・考察・仮説
  • 【ATY関与】ATY Japanがワークショップ中に行った介入・助言(本事例では、該当する介入・助言はありませんでした)

検出・対話・翻訳・統合・発展・考察の各ページでは、見出しまたは文頭に【記録】【ATY解釈】の区分を付しています。

見出しに区分を付した節では、配下の記述はその区分に従い、記録と解釈が混在する節では、段落ごとに区分を付しています。

データの取扱いと改変の範囲は、以下の通りです。

  • 掲載する付箋・シートの記述は、実施時の原文(原本の写真)と照合したものです。
    匿名化のための修正は、固有名詞の置換と、機密性の高い数値の丸めに限ります。意味内容と分類は変更していません。
    掲載するカードは、全37枚(Aチーム23枚、Bチーム14枚)です。
  • 分析は、ワークショップ実施後に行いました。
    ATY Japanによる分析内容は、実施中は参加者に共有していません。
  • ファシリテーションは企業の総務部課長が担当しました。
    ATY Japanは、当初、相談があれば対応する方針としていましたが、今回のワークショップでは相談はなく、助言・介入は行っていません。
    ワークショップの開始から終了まで同席し、手書きメモ/写真により、議論の内容と成果物を記録しました。
  • 【記録】は、参加者が記入した付箋・シート(原本)と、ATY Japanの同席記録に基づきます。
    参加者の発言は、同席記録に基づく要旨であり、逐語ではありません。
  • 参加者は全従業員約80名のうち11名(役員3名を含む)で、得意先・仕入先は参加していません。
本事例の位置づけ

本事例は、MGIM研修の基本手順を、半日(240分)のワークショップ形式で適用した際の観察記録で、手順の運用と各フェーズでの意味の現れ方を示すことを目的としています。

MGIMの効果検証や理論の実証を目的とするものではありません。

事前・事後の測定(MGIM成熟度尺度、相互理解度テストなど)、複数評定者による分類、先行研究との対置は、本事例では行っていません。これらは、測定を伴うMGIMの本格的な適用で扱う課題です。

したがって、本事例の記述は、観察された事実(【記録】)とATY Japanの解釈(【ATY解釈】)として、示唆は仮説的なものとして読んでください。

更新履歴

第1.0版(公開日:2026年10月1日)
・MGIMワークショップの実施事例(食品卸売業A社のDX推進)を公開しました。
・2チームで並行してワークショップ(チーム単位で4つのフェーズ)を実施し、終了後に参加者全員で共有・議論する時間を設けました。

第1.1版(公開日:2026年10月6日)
・記述区分(記録・ATY解釈)、データの取扱い、本事例の位置づけを整理しました。
・掲載時の転記誤りを訂正しました。
 Bチームのカードに原本にない1枚(旧B-54)が含まれていたため削除、意味接続カードB-4の文面の「リアルタイムの」は誤記だったため原本の文面に訂正

第1.2版(公開日:2026年10月7日)
・考察ページを、発展ページから分割し(分析・示唆・限界を考察ページに移動)、考察ページに「MGIMプロセスにおける意味ズレの変化・統合分析」を追加しました。
・タグの付け忘れ、表記の誤りを訂正しました。

Case1|検出

検出フェーズでは、DX推進に関する意味の差異を言語化し、誰と誰の間に、どのような意味の違いが存在するのかを、参加者の本音として意味ズレカード(意味ズレの検出)に記述しました。

詳細 Case1|検出

Case1|対話

対話フェーズでは、検出フェーズで記述した意味ズレカードを、意味の差異を捉える4つの分析観点に分類しながら、お互いの背景や立場、考え方の違いを対話を通して理解し合いました。

詳細 Case1|対話

Case1|翻訳

翻訳フェーズでは、異なる主体が形成している意味やその背景を保持しながら、それぞれの意味を相互に接続可能な表現へ変換し、意味接続カード(意味の接続)を作成しました。

詳細 Case1|翻訳

Case1|統合

統合フェーズでは、複数の意味の重要要素を保持しながら協働可能な新しい意味を形成し、参加者がそれを自分の立場から理解し、協働に活用できる方向性を共有しました。

詳細 Case1|統合

Case1|発展

発展フェーズでは、2つのチームが個別に実施した成果を共有し、参加者全員で協働可能な意味を整理しました。両チームの意味ズレ統合シート(Meaning Gap Card)を参加者全員で統合した成果を解説します。

詳細 Case1|発展

Case1|考察

考察では、今回の食品卸売業の「DX推進」をテーマにしたMGIMワークショップ(検出から発展までの記録)を踏まえ、ATY Japanの分析・示唆・限界をまとめています。

詳細 Case1|考察

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