書籍 なぜ、DXは失敗するのか? 「破壊的な変革」を成功に導く5段階モデル/トニー・サルダナ(著)

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なぜ、DXは失敗するのか? WHY DIGITAL TRANSFORMATIONS FAIL
「破壊的な変革」を成功に導く5段階モデル

トニー サルダナ(著)、小林 啓倫(翻訳)、EYストラテジー・アンド・コンサルティング(監修)
出版社:東洋経済新報社 (2021/4/2)
Amazon.co.jp:なぜ、DXは失敗するのか?

 

なぜ、DXは失敗するのか?

DX(デジタルトランスフォーメーション)の70%は失敗している!

P&G、ネットフリックス、スペースXなど豊富な事例に学ぶ
DXを「DNA化」させるまでの実践的アプローチ

規律あるイノベーター、進化し続ける究極のマーケットリーダーになる

 

 

本書は、DXの緊急性を理解し、デジタルが企業の「生きたDNA」となる目標を設定し、そこに到達するための「DX成熟度の5段階モデル」をまとめた一冊です。

DXの5段階についての詳しい説明に加え、実用的で実際に検証済みのツールやアイデア、5つのステージ別のチェックリストを提供していますので、ビジネスリーダーの方々が、DXを成功させる方法について学ぶうえで大変参考になります。

著者は、P&Gで27年間、グローバル・ビジネス・サービス部門(GBS)とIT組織に所属し、現在はコンサルティング会社のトランスフォーマント(Transformant)の代表取締役として、企業のDXの成功と継続を支援しています。

また、監修では、戦略的なトランザクション支援やビジネス変革コンサルティングを提供しているEYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社が、DXの活用対象組織としてのGBS、DX人材、テクノロジーの3つの観点から具体的な解説を加えています。

 

本書は3部14章に加え、監修者による日本語版への解説で構成されています。

第1部では、永続的なDXを推進するために、P&Gのグローバル・ビジネス・サービス部門(GBS)が直面したジレンマについて説明し、DXの5段階モデルを紹介しています。

  • ・第1章では、DXを「第3次産業革命から第4次産業革命への組織の移行」と定義したうえで、産業革命の時代にいかに成功し、それを維持するかについて、P&GのGBSでの経験を紹介しながら紐解いています。
  • ・第2章では、DXの5段階モデルの概要と、各段階の失敗をもたらす2つのリスク要因(成功を実現するためのチェックリスト)を紹介しています。

第2部では、5段階モデルの各段階について、成功のために必要な最重要分野を2つずつあげて、それぞれを章に分けて詳細に解説し、反復実行のためのチェックリストを紹介しています。

  • ・第3章と第4章は、ステージ1.基礎で、販売・製造・財務などの組織内プロセスをデジタル技術で自動化する段階で、経営トップが戦略に対して献身的なオーナーシップを示すこと(献身的なオーナーシップ)と、アイデアを繰り返し試して主な問題を取り除くこと(反復)について解説しています。
  • ・第5章と第6章は、ステージ2.個別対応で、個々の業務や事業部が破壊的テクノロジーを使用して新しいビジネスを生み出すようになる段階で、変革を担当するリーダーに十分な権限を与えること(権限強化)と、デジタルのレバレッジポイントを認識すること(梃子の選択)について解説しています。
  • ・第7章と第8章は、ステージ3.部分連携で、組織全体が同じ方向に舵を切り始めているものの、デジタル基盤の整備や新しいビジネスモデルへの移行も完了していない段階で、中核組織を効果的に変革するための変革モデルを採用すること(効果的な変革モデル)と、完全な変革を推進するために必要なイニシアチブのポートフォリオについて戦略の充足性を促すこと(戦略の充足性)について解説しています。
  • ・第9章と第10章は、ステージ4.全体連携で、企業全体のデジタルプラットフォームや新しいビジネスモデルが定着しているものの、変革は一度限りの段階で、企業のIT部門とその他の部門の技術的能力を再起動すること(デジタルの再起動)と、DXを完了して継続的な運用を成功するためにテクノロジーの状況を常に把握すること(知識のアップデート)について解説しています。
  • ・第11章と第12章は、ステージ5.DNA化で、絶えずイノベーションを行い、業界トレンドを主導して規律あるイノベーターになっている段階で、事業と組織の継続的な強化を支えるアジャイルな文化を根付かせること(アジャイル文化)と、リスクを検知して統制された形で対応すること(現状維持)について解説しています。

第3部では、第4次産業革命の脅威に体系的に対処するために、すべての原則をどのように組み合わせることができるかを示しています。

  • ・第13章では、離陸して飛行を続けるための規律がどのように融合されるのかを、P&Gのネクスト・ジェネレーション・サービス(NGS:GBSのステージ4へ進化した新らたなサービスを展開する組織)での取り組みを紹介しながら解説しています。
  • ・第14章では、トランスフォーメーションは歴史的な規模でチャンスを提供しようとしてるとして、デジタルによる破壊的変化の例を挙げ、既存企業にも勝率を上げる方法があることを提言しています。

 

おそらく皆さんは、すでにDXに時間とお金をつぎ込み、個人的な信頼性を寄せているリーダーだろう。

しかしあなたは、何かが間違っているのではないかという疑念を抱いている。

具体的な成功例を目にしても、それが自分のビジネスモデル全体に大きな影響を与えるものではないからだ。

一方で時間は刻々と流れており、ビジネス、産業、社会、個人の生活において、破壊的変革が絶え間なく生まれている。

シアーズ、メイシーズ、ニーマン・マーカス、ティファニー、ハーレーダビットソンなどの有名企業ですら苦戦を続けている。

一生に一度のチャンスに組織が屈するか、それとも勝利するかは、リーダーである皆さんに懸かっている。

 

あなたがビジネスリーダー、ビジネスオーナー、経営者、管理職、マネージャーであるならば、企業、政府、学術、または非営利セクターで働いているならば、DXが私たちの世代の究極な課題であり、問題は「取り組むかどうか」ではなく「どのように取り組むか」であると信じているならば、あるいは世代を超えて、他の組織や人々がこの問題にどう取り組んだかを聞くことに興味があるならば、本書に興味を持ってくれるだろう。

 

産業革命をどう生き残るか

DXが失敗してしまう根底にあるポイント

1.産業革命の中で、企業は自らも変革するか、撤退するかしなかない。

2.DXは、第4次産業革命を前にした私たち世代の変革の試みである。

3.DXの70パーセントが失敗する。

4.なぜDXが失敗するかという問いに対する答えは、DXを軌道に乗せ、継続させる正しいステップを定義し、実行するための規律が欠けているからである。

5.70パーセントという失敗率を改善するために、航空および医療の分野で効果が実証された、チェックリスト方式を適用することができる。

 

デジタル技術による破壊的変化(Digital disruption)

  • ・第4次産業革命がビジネスと公共部門に与える影響。
  • ・急速に普及しつつある安価なデジタル技術は、産業、経済、社会の変化を広い範囲で引き起こしている。この爆発的な変化が起きたのは、ここ10~20年くらいのことである。

DX(Digital transformation)

  • ・第3次産業革命から第4次産業革命への企業および社会の移行。
  • ・企業にとって、Digital技術を新しい製品、サービス、運用方法、ビジネスモデルの基盤にすることを意味する。

 

産業革命の時代にいかに成功し、それを維持するか

新たなビジネスモデルを構築するために新たなゲームプランを練ることは、競争の舞台に立つための参加費にすぎず、新しいゲームプランの規律ある実行も同様に重要となる。

絶え間ない進化を見据えて新しいビジネスモデルを構築できなければ、変革は不完全なまま終わってしまう。

たった一度の変革では、産業革命の時代に繰り返される混乱を乗り切ることはできなし、変革の成功と、その維持を区別することが重要である。

  • ・変革の成功
    ある産業革命において成功したビジネスが、次の産業革命において成功するビジネスへと転換すること。
  • ・成功の維持
    成功は短期的には良いものだが、急速に変化する時代においては、それは存在を継続することを保証するものではない。

DXが失敗する2つのパターンは、規律の欠如による離陸の失敗と、成功の勢いを維持できなかったことによる墜落である。

 

DXの5段階モデル

DXの5段階モデル

『なぜ、DXは失敗するのか? 「破壊的な変革」を成功に導く5段階モデル』を参考にしてATY-Japanで作成

 

DXの5段階モデルは、成功したDXへの取り組みを正確に表現し、測定するために使えると同時に、ステップを一歩一歩進んでいけるもので、どこが最終段階かを区別できる。

一連の手順が定義され、それをスキップすることはできないが、進む速度を上げることは可能であり、いくつかの手順を組み合わせて飛躍効果を得ることもできる。

DXの5つの段階を確実に上がっていくために、それぞれのステージにおいてチェックすべき2つの成功要因を挙げている。

 

ステージ1.基礎

プラットフォームを利用して、販売、製造、財務などの内部プロセスの自動化を進める段階で、トランスフォーメーション(変革)というよりオートメーション(自動化)あるいはデジタル化(デジタライゼーション)である。

成功要因1.献身的なオーナーシップ

CEOは、会社が「デジタルをする」だけではなく「デジタルの行動をとる」ようにさせることで、デジタル化を先導する必要がある。

CEOは自社が真のデジタル企業になるための適切な条件を整えなければならず、目標に向かう自分自身の姿勢を見せ、目標をDX戦略に変換する際には一緒に検討し、戦略を実行に移す際の障壁を壊す。

献身的なオーナーシップは、初期段階ら始まるが、特に組織を横断した変革が求められるステージ3以降は欠かせない。

オーナシップを実現するためには、経営幹部や取締役会をはじめとする全てのリーダーが、デジタルリテラシーを持たなければならない。

成功要因2.反復

反復実行のアプローチは、ウォーターフォール型のプロジェクトを小さな部分に分割して反復実行するという原則と、リスクとリターンのレベルが異なるさまざまなプロジェクトでポートフォリオを構築するという原則を融合している。

変革の速度(イノベーションの速度)は、反復実行を大きく補完する要素で、高速かつ低リスク/低コストで実施される変革プロジェクトは成功する確率が高い。

多くの組織は、変革にはスピードが必要であることは認識しているが、「クロック時間」と「2つの世界」という2つの問題により実現できない。

  • ・クロック時間とは、組織内で決定や業務の変更が行われる通常のペースのことであるが、変革プロジェクトの各段階を完了するまでの制限時間を割り振ることで対処できる。
  • ・2つの世界は、既存ビジネスの中核となっている組織業務と、変革チームが主導する業務との間に矛盾が生じることであるが、組織内の通常プロジェクトから隔離することで対処できる。

 

ステージ2.個別対応

個々の業務や事業部が破壊的テクノロジーを使用して、新しいビジネスモデルを生み出すようになる段階であるが、これらの取り組みは個々に行われており、変革を推進する全体的な戦略は存在していない。

成功要因3.権限強化

変革を担うリーダーには、トップダウン・ボトムアップ両面からのサポートとともに、幅広い権限が与えられなければならない。

サポートを提供する方法

  • ・MTP(Massive Transformation Purpose:野心的な変革目標)
    人々の意欲を高め、ゴールに向かって引っ張ってい来るような、野心的で高い志を掲げた目標を明らかにする。
  • ・上空援護(上からのサポート)
    リスクを冒し、失敗から学ぶことを可能にするもので、変革チームに試行錯誤しながら進む自由を与える。
  • ・リーダーによる個人的関与
    リーダーが目に見える個人的なコミットメントを示し、個人的な成功と変革の成功を並列させる。
  • ・変革を促すための勢い付け
    変革の歯車が回り続けるよう、パイロットプログラムを通じてクイック・ウィンを達成して勢いを付ける。

成功要因4.梃子の選択

破壊的変化を次々に成功させている企業は、破壊的なビジネスモデルを構築したり実現したりするために、デジタル技術を最も活用できる場所を把握するという能力を持っており、それを「デジタルのレバレッジ(梃子)ポイント」と呼ぶ。

デジタル・レバレッジポイントとは、第4次産業革命において、テクノロジーが最も変革効果をもたらす、企業内の領域を指す。

デジタル・レバレッジポイントを特定する際の課題は、デジタル技術で何ができるかについて、ある程度理解していることを前提としている。

DXのための革新的なアイデアへと変換するためのステップ

  • ・戦略的な機会やペインポイントからスタートする。
  • ・デジタルの可能性を理解する。
    指数関数型テクノロジー、指数関数型プロセス、指数関数型エコシステムが生み出す「パーフェクトストーム」は、あらゆる領域に破壊的変化を生み出すことができる。
  • ・戦略的な機会やペインポイントを、デジタルを活用した革新的なアイデアに変換する。
    DXは自動化だけでなく再構築が必要であり、デザイン思考は、複雑な状況であっても新しい画期的なアイデアを思いつくことのできるツールである。

 

ステージ3.部分連携

企業全体のデジタルフラットフォームや新しいビジネスモデルが完全に定着している段階であるが、変革は一度限りのものである。

成功要因5.効果的な変革モデル

チェンジマネジメントは、どれほど社員の意識が高い企業であっても、プロジェクトを失敗させる要因となっており、変革に向けた戦略が宣言されても変化はなかなか中核組織には定着しない。

プロジェクトを進める際には、組織に変化を受け入れさせる戦略を先に考え、そこから逆算して変化を設計すべきである。

最適な変革モデルの選択には、規律のある手順が必要となる。

  • ・組織の変化の状況を明確に理解する。
    変化の状況を正しく認識して、必要であれば、強いリーダーシップコミュニケーション、規律を通じて特定の変化の状況をつくり出す。
  • ・変化の状況に基づいて、適切なチェンジマネジメント戦略を選択する。
    自然発生的変化、破壊的イノベーションのための組織をつくるなどのエッジ組織、買収やパートナーシップ締結などの強制的変化
  • ・変革の影響を受ける人々の動機づけのための計画を作成する。
    企業の「フローズン・ミドル」に対する報酬制度を調整し、中間管理職の能力と文化の構築を促進する。

成功要因6.戦略の充足性

DXを実現するためには、「逸話的なサクセスストーリー」と「体系的に行われる変革」とを区別することが重要である。

持続可能なDXとは、多数のイノベーションアイデアを活用し、それらを効率的に検証して、有望でないものを消すことである。

戦略の充足性には、アイデアの数の充足性と、それらのアイデアの一部を大きな成功に変えるためのポートフォリオの充足性が含まれる。

「70-20-10」モデルのように効果的なポートフォリオを実行することは、DXの計画を持続可能なものにするのに役立ち、ムーンショット思考は、70-20-10の最後の「10」に相当するアイデアを生み出す強力なツールとなる。

イントラプレナーシップ(社内起業家精神)・プログラムは、十分な数のアイデアを生み出すためのメカニズムとなり、ターゲットを絞ったイントラプレナーシップは、変革プロジェクトを生み出すことができる。

 

ステージ4.全体連携

成功要因7.デジタル再編成

DXを進めている企業の大部分は、古い時代のIT組織構造や能力に依存して変革を推進しているため、全体連携を実現する際には致命的となる。

組織設計における人材は「変革のエンジン」、デジタル技術は収益を上げるための「成長のエンジン」と考えることができ、人材とデジタルケイパビリティを「変革のエンジン」として体系的に捉えることができる。

再教育には「デジタルリソース機能」と「企業全体のデジタル再教育」とがある。

  • ・デジタルリソース機能は、新しいIT機能の構築であり、デジタルイノベーションの実現、ガバナンス、継続的なファシリテーションの役割を担う。
    デジタルシステムとプロセスの敏捷性、新しいテクノロジーとプロセスに関するIT専門家の再教育、新しい経済のためのベンダーエコシステムの再教育に対応したものである。
  • ・企業の奥深くまでデジタル機能を埋め込むためには新たな人材能力が必要となり、そのためには従業員を再訓練することも選択肢のひとつとなる。
    取締役会のデジタルリテラシー、ヒューマン/マシン・インターフェースに関する方針、デジタルセキュリティ、流動的な組織構造といった課題に取り組む。

成功要因8.知識のアップデート

最高のDXのアイデアであっても、それを最大限に活用する能力を持たない組織に根付かないことがあるが、その原因はデジタル機能の理解不足にある。

デジタルケイパビリティを常に最新の状態に保つのに役立つ原則

  • ・破壊的変化の可能性を追うが、実用化されたイノベーションのみに投資する。
  • ・後から来る快速列車を待たず、今来ている鈍行に乗る。
  • ・すぐに効果が得られる「使い捨て」のソリューションを探す。

最新のテクノロジーに関する知識を、最新の状態に保てるようにするための主な方法

  • ・経営者向けの学習機会を創出する。
  • ・VCやスタートアップ企業と連携する。
  • ・パートナーを活用する。
  • ・APIを介してデータを開放する。
  • ・デジタルアンバサダーの力を借りる。

破壊的変化を引き起こす可能性が大きい技術(指数関数型テクノロジー)の動向を、常に把握しておく。

 

ステージ5.DNA化

変革が永続的なものとなっている段階で、絶えずイノベーションを行い、業界のトレンドを主導し、業界リーダーとしての位置を維持することができている。

成功要因9.アジャイル文化

アジャイル文化を構築するための規律は、絶え間ない再発明を促すアプローチで、実践の中でその有効性が証明されている。

アジャイル文化は、破壊的な技術や新しいビジネスモデルではなく、究極の破壊的文化である。

組織がDXを取り入れるためには、「顧客中心型イノベーションの推進」「適応を促す環境の構築」「共通目的の確立」の3つの行動をとらなければならない。

永続的なDXでは、十分なアジャイル文化(空気密度)を生み出し、絶え間ない破壊的変化のトレンド(上昇速度)を超えて飛行を続けることを可能にする。

最も大きな変化を社内で促進する企業は、常に進化できる可能性が高く、企業がその屋台骨とするデジタルケイパビリティを絶え間なく進化させることができれば「一発屋」的なDXで終わってしまうリスクを回避できる。

成功要因10.現状維持

デジタル技術による破壊的変化をめぐる騒ぎと、実際に起きることを切り分けるのは難しく、破壊的な脅威にいつ、どこで、どの程度対応するかはジレンマである。

デジタル・ディスラプション指数は、デジタル・ディスラプションを継続的に検知し、対処するための測定基準を提供する。

  • ・業界のトレンド
    通常の指標に加えて、VCの投資動向も調べる。
  • ・顧客情報
    自社の顧客や隣接する業界の顧客から、顧客満足度やカスタマーエフォート・スコアなどの指標を確認する。
  • ・ビジネスモデルのトレンド
    チャネルやパートナー、システムの進化など、現在のビジネスモデルを構成する部分を評価する。
  • ・自社のデジタルビジネスのパフォーマンスとデジタル組織のフィードバック
    デジタルビジネスとデジタルリテラシーへの投資状況について、新しいテクノロジーへの投資レベルを測定するだけでなく、主要なテクノロジー投資がどこに向けられているかを調査する。

不安、惰性、判断ミスなどの社会的問題は、デジタルリスクに対する行動がしばしな不十分になってしまう要因となるため、戦略を策定する際に、デジタル・ディスラプション指標を追加するという規律が役立つ。

 

私たちにとって、これまでの産業革命ではなく、第4次産業革命をリードする機会が得られたというのは幸運なことだろう。

テクノロジーと、変化に向けたモデルがあるからだ。

この時代を生き抜くための信念と心構えは、これまでの歴史と同様、個々の指導者が担うものになるだろう。

皆さんが未来を変えることに挑むとき、私のささやかな願いは、過去の物語から学んでほしいということだ。

デジタル技術による破壊的変化を乗り越えることはできる。

DXが失敗する理由は、予想以上の規律を必要とするからだ。

DXを成功させるためには、十分すぎるほどの規律と、変革は成功するという前向きな姿勢が求められるのである。

 

まとめ(私見)

本書は、DXの70パーセントが失敗に終わる根本的な原因は十分な規律の欠如にあるとして、DX成功に向けた5段階のロードマップを提示し、各段階におけるチェックリストを紹介しています。

この5段階モデルは、著者がP&Gのグローバル・ビジネス・サービス部門(GBS)でDXを成功させるために設計したステップで、その活動内容や抑えるべきポイントを具体的に解説していますので、正しい最終状態を明らかにし、そこに至るまでの自分の位置づけを評価するのに役立ちます。

さらに、各段階で失敗をもたらすリスク要因を2つずつ示し、それが成功に向けたチェックリストとして示されていますので、自己診断することができます。

特に、DXの5段階モデル(チャックリスト)は、正しい最終状態を定義し、そこに至るプロセスの中で、自分が今どこにいるのかを評価し、次への対策を立案することに役立ちます。

さらに、第14章の「デジタル光合成」の兆候、付録B「5つの指数関数型テクノロジーの使い方」は、テクノロジーの動向や今後の展開の可能性を紹介していますので、自身のビジネスの方向性を考えていくうえで参考になります。

 

急速に変化する時代においては、一度の変革の成功だけではなく、連続的な変革が必要となります。

デジタル技術や経営環境が目まぐるしく変化する中では、適時変革を成功させ、それを維持していかなければならず、それらを本書では航空業界に例えて「離陸」と「飛行の維持」と表現しています。

そして、航空業界では統制されたチェックリスト・モデルのようなアプローチを、DX成功に向けた取り組みに展開しています。

 

デジタル時代において競争に勝ち抜いていくための方法のひとつはDXのリーダーになることで、自社のDXへの取り組みを有意義なものにするためには、変化のコストとリスクを低減するとによってDXの勝率を上げることであるとしています。

産業革命の時代に組織を繁栄させるためには、DXが組織の離陸と飛行の両方に役立つ必要があり、DXの終着点は、イノベーションを通じて市場における永続的なリーダーシップを確保する段階に到達することになります。

第1に、変革にさまざまな可能性があり、混乱の時代にあっても、完全で持続可能な変革を目指して入念に取り組む必要がある。

第2に、DXの70パーセントが失敗するという驚くべき状況の原因は、規律の欠如にある。

そして、第3に、航空業界の統制されたチェックリスト・モデルのような、失敗を減らす効果が実証済みのアプローチを適用することで、DXの成功率を大幅に向上させることが可能である。

継続的な破壊の脅威を乗り切る唯一の方法は、デジタルケイパビリティとアジャイルでイノベーションを重視する文化を、企業の根幹に据えて、それを持続させることである。

 

本書は、DXを成功させる方法について、実用的で実際に検証済みのツールとアイデアを提供しています。

そして巻末には、「規律リスト」と「5つの指数関数型テクノロジーの使い方」が整理されていますので、自身のビジネスのDX成功に向けた戦略を考えていくうえで、非常に参考になる一冊です。

 

目次

はじめに

Part 1 なぜDXは失敗するのか、それにどう対処するのか

第1章 産業革命をどう生き残るか

第2章 DXの5段階を進むための規律

Part 2 DXの5つのステージ

ステージ1 基礎
第3章 献身的なオーナーシップ
第4章 反復

ステージ2 個別対応
第5章 権限強化
第6章 梃子の選択

ステージ3 部分連携
第7章 効果的な変革モデル
第8章 戦略の充足性

ステージ4 全体連携
第9章 デジタル再編成
第10章 知識のアップデート

ステージ5 DNA化
第11章 アジャイル文化
第12章 リスクを検知する

Part 3 DXで勝者となる

第13章 P&GのNGS変革

第14章 DXの成功に向けて

監修者による日本語版への解説

付録A 規律のチェックリスト

付録B 5つの指数関数型テクノロジーの使い方

 

参考

なぜ、DXは失敗するのか? | 東洋経済STORE

Transformant | Your Secret To Thriving On Digital Transformation

EY Japan - ホーム | より良い社会の構築を目指して

 

Technology killing off corporations: Average lifespan of company under 20 years | CNBC

Why 84% Of Companies Fail At Digital Transformation | Forbes

 

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