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マッキンゼーが解き明かす 生き残るためのDX
黒川 通彦 (編集)、平山 智晴 (編集)、松本 拓也 (編集)、片山 博順 (編集)
出版社:日経BP (2021/8/21)
Amazon.co.jp:マッキンゼーが解き明かす 生き残るためのDX
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ITシステムの導入を最終目的にしたDXは、もうやめましょう。
DX成功の要諦をWhy、What、How、そして、あなた自身が何をすべきなのか、マッキンゼーのノウハウを凝縮
D X の本質は企業文化変革。10年後の自社を救うのは、あなた
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2022年12月24日 ポール・レインワンド 『ビヨンド・デジタル』ダイヤモンド社 (2022/11/30)
本書は、DX成功の要諦をWhy、What、How、そして、あなた自身が何をすべきなのか、という構成でまとめ、これまで年間1200社のDXに携わってきた経験から培ったノウハウを惜しみなく詰め込んだ一冊です。
実際の経験に基づいて体系的かつ具体的に解説していますので、ビジネスリーダー、特に次世代を担う方々にとって、DX推進を通して企業変革を成功させるための解説書となります。
本書は5章で構成されており、DXを成功させるための要諦を、「産業構造の大きな変化(Why?)」「DXで何を目指すのか(What?)」「日本企業の足枷と挑戦、DXを成功させるために必要なこと(How?)」の順で整理したうえで、「あなた自身が何をすべきなのか」を提言しています。
- ・第1章の「産業構造の大きな変化(Why?)」では、製造業、小売業、広告・メディアを例示しながら、DXがもたらす産業構造の変化を紹介しています。
- ・第2章の「DXで何を目指すのか(What?)」では、DXは企業戦略を再定義することを目指すべきとして、顧客ニーズと自社提供価値、ビジネスモデル、経営層の役割などの再定義に関する重要な要素について解説しています。
- ・第3章の「日本企業の足枷と挑戦(How?)」では、どのようにDXを実現するかの視点で、まずは日本企業がDXで成功するために乗り越える必要がある、非常に手ごわい4つの課題について、その実態を明らかにしています。
- ・第4章の「DXを成功させるために必要なこと(How?)」では、4つの課題を乗り越えるためのノウハウとして、3つの成功要因に加え、DX成功のレシピ(6つの要素)について詳細に解説しています。
- ・第5章の「あなた自身が何をすべきなのか」では、特に次世代リーダーが変革のために立ち上がることがDX成功の要諦だとして、身に着けるべき能力を明らかにし、どのように進めていくべきかを提言しています。
私たちは、DXの本質とは、「生き残るための自社の企業文化の破壊と創造による企業価値の向上」だと考えます。
もう少し説明を加えるならば、DXの本質とは「DXをきっかけに、世間の常識からみて、古くなった"自社の常識"を自ら破壊すること」。
そして「従業員の意識、共通認識、行動様式を、時代に合わせて創造し直すこと」。
その結果、「従業員が、消費者・顧客に選ばれ続けることを目的として、自律的に課題解決を行うこと」「最終的に、脅威が来たときに生き延びられるように、自社の企業価値を圧倒的に高めること」であると考えています。
DX(Digital Transformation)の本質
DXの本質とは、「生き残るための自社の企業文化の破壊と創造による企業価値の向上」である。
「勝ち組」は、消費者・顧客に選ばれるために、DXをきっかけとした企業文化の大変革を実施している。
古い企業文化を破壊し、創造し直すことで、自社の提供価値を上げる努力を惜しまず、そのためにビジネスモデルを変化させるような大きな変革にチャレンジし、従業員が本気で、一丸となって課題解決を実施することで、企業の価値を高めることができる。
そのうえで大切なのは、現場の従業員の意識改革と自走化である。
従業員自らが課題設定を行い、デジタルをツールとして徹底活用し、トライアル&エラーを継続するといった「自走化」状態をつくり出せるかが、成功と失敗の分かれ目となる。
日本企業の変化を阻む厚い壁
企業文化変革を成功させるためには、日本特有の構造的ハンディキャップを理解したうえで解決策を見つける必要がある。
1.経営陣の同床異夢
- ・経営上の意思決定が幹部の合議制で決められるため、トップダウンで進めるべきDXによる全社変革を、社長が一気に推進することができない。
- ・デジタルなどの経験がない分野については、経営幹部個々に理解度や優先度及びリスク許容度が異なる。
- ・経営幹部のデジタル認識の違い、現場の抵抗があれば、合意に至るまでさらに時間がかかる。
2.部門を分かつ厚い壁
- ・ビジネス部門間の対立、ビジネス部門とIT部門の対立などが、DXを阻害する要因となる。
- ・DXに必要な顧客目線ではなく、部門目線が重要視される。
- ・レガシー脱却で忙しいIT部門と、DXで早く成果を出したいビジネス部門との間の闘争で、DXが停滞する場合もある。
3.世代間の闘争
- ・経営幹部、管理職、現場、それぞれの階層において、デジタルに対する経験の違い、意識の違い、リスク・効果への解釈の違いが見られる。
- ・現場からボトムアップでDX施策を提案しても、上の意向を忖度した管理職に止められたり、経営陣に伝わったとしてもアクションしないなどの状況がある。
- ・「DXに力を入れる」と経営幹部が言うものの、現場が抵抗勢力化してしまう場合もある。
4.変化を阻む企業文化
- ・変革スピードを遅くしているのが、時代に即さない企業文化が根強く残っていることである。
- ・失敗が許されない文化、過去の失敗からつくられたルールや不文律、出る杭は打たれるといった文化は、改革の推進を難しくしている。
- ・これらの文化は過去の歴史の中で培われたもので、急に変更すれば現場からの抵抗、顧客や消費者に対する価値の喪失につながるリスクがある。
変革の成功要因、DX成功のレシピ
『マッキンゼーが解き明かす 生き残るためのDX』を参考にしてATY-Japanで作成
DXによる全社変革に共通する成功要因
1.圧倒的に高い目標値の設定
- ・「低すぎる目標」に対して小さすぎる成功は改善にしかならないため、「高すぎる目標」をおいて失敗するよりも問題である。
- ・これまでのやり方では達成しないような目標を設定することで、はじめて「変革」が成り立つ。
2.トップによる変革の主導
- ・リーダーが組織内の意識を統一し、ビジョンを示し、自らがロールモデルとなって主導する。
- ・「圧倒的に高い目標」は、リーダーが支えなければ諦めてしまうため、リーダーが変革を主導することが重要となる。
3.現場主導での変革の実行
- ・完璧な計画でも実行できなければ価値はないし、人は「変わりたくない」気持ちが強い傾向がある。
- ・全ての従業員が自分自身のことと認識して当事者意識を醸成し、現場主導で変革を徹底する。
4.徹底的な実行に向けた体制強化
- ・施策は、変革の初年度には計画がなく、2年目以降に追加される場合が多い。
- ・変革を成功させるためには、実行に向けたアイデアを継続的に追加し、実行を徹底するための体制と仕組みを組織内につくりあげる。
5.組織健康度も統合して改善
- ・変革活動は長期間にわたる取り組みであり、継続的に進化させていく取り組みである。
- ・業績として見える数字だけでなく、業績の持続的向上の基盤となる組織運営・体制・仕組み・風土・スキルを構築する。
DX成功のレシピ(6つの要素)
1.戦略ロードマップ
- ・環境変化や競合環境を捉えて自社の長期的な競争優位を築くために、どのような姿を目指すかを定性的・定量的に示す。
- ・新規事業創出、顧客体験の再定義・付加価値創出、圧倒的な優位性を築くためのオペレーションのデジタル化について、どの領域を優先的に取り組むか、どの程度のインパクトを見込むのかを明確にする。
- ・戦略を実行するために必要な組織能力を明らかにする。
2.タレント
- ・DX実現に向けて、どのような人材がどの程度必要になるかを考える。
- ・どのようようにして、その人材を確保するのかを考える。
- ・優秀な人材が活躍するためには、どのような人事制度や仕組みが必要かを考える。
3.アジャイル・デリバリー
- ・市場の変化に対応したデジタルソリューションを開発する。
- ・事業に組み込むために、再現性ある手法を組織に埋め込むことを考える。
- ・アジャイルアプローチの5つの要素を、どのように展開するかを考える。
4.テクノロジー
- ・企業の中で、どこまでを共通基盤とするか、どこからを個別に構築するか、切り分ける。
- ・クラウドベースのデータプラットフォームをどう構築するか、ソフトウェアツールをどう自動化するか、どのようなアナリティクスツールを導入するか、どのようなセキュリティを構築するかを考える。
- ・ビジネスとIT部門の連携問題の3つの課題に対して、どのように対応していくかを考える。
課題:①レガシーシステム脱却とDXの両立、②クラウド化の加速とセキュリティの両立、③モダナイゼーションによるDXの加速化
5.データ
- ・将来的にどのようなデータを蓄積していくことが競争優位につながるかを考える。
- ・組織横断的に活用できる、信頼性の高い共通のデータベースを構築していくかを検討する。
- ・インパクトを踏まえたデーター戦略に基づいて、必要データを明確にし、どのように取得していくかを考える。
6.チェンジマネジメント
- ・組織変革を確実に実行して管理するために、どのようにビジネスプロセスを変革するかを考える。
- ・組織形態や組織制度、カルチャーをどのように変革していくかを考える。
- ・どのようにモニタリングしていくかを考える。
繰り返しになりますが、このまま手をこまねいていたのでは日本は沈んでいく、いま変わらなければ変わるためのチャンスを失ってしまう。
という事実を理解して、危機感を抱き、行動することが、次世代リーダーに求められることです。
素晴らしいチームワークをもとに、日本の底力を発揮すれば、必ずや明るい未来を創造していけると信じています。
まとめ(私見)
本書は、DX推進を通して企業変革を成功させるための解説書であり、企業を変革するうえで明らかになった課題に対して、著者らのチームが日々どのようにして支援してきたかを紹介した一冊です。
DXを成功させるための要諦を、「産業構造の大きな変化(Why?)」「DXで何を目指すのか(What?)」「日本企業の足枷と挑戦、DXを成功させるために必要なこと(How?)」を詳細に解説したうえで、「あなた自身が何をすべきなのか」を具体的に提言しています。
著者らが所属する企業が、これまで1,200社のグルーバル企業や日本企業のDXに携わってきた経験から培ってきたノウハウを惜しみなく紹介していますので、ビジネスリーダー、特に次世代を担う方々にとっては、DX推進を通して企業変革を成功させるうえで参考になります。
本書の主張は、DXあるいはデジタル変革を成功させるためのカギは、企業文化の変革を「同時に」行うことにあります。
そこで、過去からの経験で蓄積したノウハウを「DX成功のレシピ(6つの要素)」として詳細に解説していますので、自社のDXプロジェクトを進めていくうえでの羅針盤となります。
このレシピは、「日本企業の変化を阻む厚い壁」を解決していくための解決策を具体的に示していますので、DXプロジェクトの成功率を高めることができます。
なお本書は、対象読者を次世代リーダー、特に会社の中での本部長や部長といった役職を任されている世代においています。
DXや企業文化の変革への取り組みを、3年や5年の生き残りだけでなく、10年後や20年後を見据えたものであり、そのためには次世代リーダーが会社の変革のために立ち上がることが、成功の要諦となります。
そして、次世代リーダーが身につけるべき能力、何から始めるべきかなども詳細に解説していますので、具体的に実践していくうえで参考になります。
本書は、戦略領域として「Why」を整理して「What」をつくり、実行に向けた「How」を定義し、体系的にまとめています。
- ・「Why」を整理する。
自社が変わるべき理由、未来のありたい姿、それを達成するためのDXビジョンとDXロードマップを定義し、全体戦略を立案する。
- ・「What」をつくる。
提供価値転換や競争優位確保のために、必要となる変革を定義し、売上増やコスト削減、投資とリターンを試算し、ビジネスケースをつくる。
- ・「How」を定義する。
自社のDX進展度や組織能力の成熟度を把握し、新たな組織能力を構築するためのアクションプランを立案し、DX推進体制などの実行計画を決定する。
多くのDXプロジェクトを経験した著者らの解説だからこそ、体系的かつ具体的な内容となっており、DX推進を通した企業文化の変革を担っている方々には一読をお勧めします。
目次
はじめに
第1章 Why? 産業構造の変化
- ・ビジネスモデルを変えていく製造業
- ・技術革新がもたらす製造業のビジネス変革
- ・日本の製造業が遅れている3つの原因
- ・小売業界も関係性構築が求められている
- ・エコシステム間の戦いへとシフトする金融サービス業界 ほか
第2章 What? DXで何を目指すのか
- ・DXを阻む3つの症状
- ・企業戦略の再定義こそがDXの〝What"
- ・顧客ニーズ&自社提供価値の再定義
- ・ビジネスモデルの再定義
- ・経営層の役割の再定義 ほか
第3章 How? 日本企業の足枷と挑戦
- ・後れをとっている日本
- ・日本企業の課題1:経営陣の同床異夢
- ・日本企業の課題2:デジタル人材不足
- ・日本企業の課題3:負の遺産(レガシーシステム)
- ・日本企業の課題4:失敗が許容されない文化(アンチ・アジャイル) ほか
第4章 How? DXを成功させるために必要なこと
- ・要素① 戦略ロードマップ
- ・要素② 人材
- ・要素③ アジャイル・デリバリー
- ・要素④ テクノロジー
- ・要素⑤ データ
- ・要素⑥ チェンジマネジメント ほか
第5章 You あなたは、何をすべきなのか
- ・次世代リーダーが立ち上がるべき理由
- ・最初の一歩
- ・人生100年時代を幸せに生きるために ほか
おわりに
参考
マッキンゼーが解き明かす 生き残るためのDX | 日経の本 日本経済新聞出版
マッキンゼー・デジタル 日本 | McKinsey & Company
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黒川 通彦 (編集)、平山 智晴 (編集)、松本 拓也 (編集)、片山 博順 (編集)
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