書籍 ビジョナリー・カンパニーZERO ゼロから事業を生み出し、偉大で永続的な企業になる

書籍 ビジョナリー・カンパニーZERO ゼロから事業を生み出し、偉大で永続的な企業になる

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ビジョナリー・カンパニーZERO
ゼロから事業を生み出し、偉大で永続的な企業になる

ジム・コリンズ (著)、ビル・ラジアー (著)、土方 奈美 (翻訳)
出版社:日経BP (2021/8/19)
Amazon.co.jp:ビジョナリー・カンパニーZERO

  • 偉大な企業をつくる「地図」を手に入れよう

    あなたのチームも時代を超える偉大な存在になる!

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 2024年09月07日 ヘンリー・ミンツバーグ『ミンツバーグの組織論』ダイヤモンド社 (2024/6/12)
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本書は、『ビジョナリー・カンパニー』シリーズの著者が、1992年に著者らが執筆し、日本語訳されずにいた名著『Beyond Entrepreneurship』を改訂した一冊です。

『Beyond Entrepreneurship』以降、新たな研究成果を付け加えて、全体のほぼ半分を新たに書き下ろしています。

特にスタートアップや中小企業のリーダーの方々だけでなく、既存組織のリーダーの方々にとって、既存事業を偉大で永続的な企業に進化させるためのロードマップとなります。

本書は9章で構成されていますが、今回章単位で追加したのは第1章、第2章、第5章、第6章で、他の章はオリジナル版を残しながら「新たな視点」を追加しています。

  • ・第1章では、オリジナル版『Beyond Entrepreneurship』の共著者ビル・ラジアー(2004年死去)との出会い、その後活動をともにする中で、著者自らに加え、多くの人たちの人生を根本から変えた教えを紹介しています。
  • ・第2章では、時代を超える偉大な企業をつくる唯一の方法は、正しい文化の下で正しい人材が働く状態を生み出すこととして、人の育成から交代へシフトするタイミングを示し、その根底となる文化の醸成について語っています。
  • ・第3章はリーダーシップ・スタイルで、偉大な企業の構築はリーダーシップ・スタイルなくしては不可能であることとして、リーダーシップ・スタイルの7つの要素について、新たな事例や研究成果を加えて詳細に解説しています。
  • ・第4章はビジョンで、企業リーダーの役割はビジョンを示すことであり、ビジョンとは「何か」、「なぜ」重要なのか、「どのように」設定すればよいのかについて答え、ビジョンを設定するためのフレームワークを示しています。
  • ・第5章では、創業期に失敗や敗北、挫折を経験し、イノベーションを生み出す方法を学ぶことの重要性、個別のアイデアの成否に関わらず努力を続けることこそが、永続する偉大な企業への道であることを語っています。
  • ・第6章では、偉大な企業に共通して見られる他社との違いは、創業期に傑出した企業になるための基礎を整えているとして、「偉大な企業を動かす要因(ザ・マップ)」を新たに追加して詳細に解説しています。
  • ・第7章は戦略で、明確にしたビジョンを実現するためのロードマップを作成し、正しい意思決定を積み重ねていくことの必要性を説き、効果的戦略を策定するための4つの基本原則を示したうえで、健全な戦略思考に対する答えを新たに加えています。
  • ・第8章はイノベーションで、どうすればクリエイティビティを刺激し、企業が大きくなってもイノベーティブであり続けることができるかについて、さまざまな提言や事例を紹介しながら明らかにし、イノベーティブな企業になるために必要な6つの基本要素を詳細に解説しています。
  • ・第9章は卓越した戦術の遂行で、ビジョンや戦略をどのように戦術に落とし込むか、どうすれば一貫してハイレベルで戦術を遂行する環境を生み出すことができるか、その要諦として「細部にこだわり、着実で一貫性がある(SMaC)」を新たに示しています。

人生における成功の真の評価基準は、どれだけ有意義な人間関係を築くことができたか、そして自分のコアバリューにどれだけ忠実に生きることができたかによって決まる。

つまり目標、戦略、戦術、製品、市場の選択、資金調達、事業計画、意思決定よりも価値観のほうが重要ということだ。

つまり、たとえ100年生きようとも人生は短いのだ。

重要なのは、どうやってできるだけ長く生きるかではなく、どうやって最後まで充実した人生を送るか、いつ終わりが来ても最高だったと思えるような人生を生きるかだ。

偉大な企業

ビジョナリー・カンパニーZERO ゼロから事業を生み出し、偉大で永続的な企業になる

『ビジョナリー・カンパニーZERO』を参考にしてATY-Japanで作成

永続する偉大な企業を築くということは、100年にわたって偉大であり続けることを意味する。

必ずしも完璧である必要はないし、困難な状況から必ず復活するレジリエンスがある。

偉大な企業は、4つの基準を満たす組織として定義する。

1.業績

  • ・自立して事業を営むのに十分なキャッシュフローを生み出す。
  • ・リーダーやオーナーが設定した他の目標も、着実に実現してきた実績がある。
  • ・浮き沈みを経験し、厳しい局面に立たされたことがあっても、常に復活し、再び優れた業績をあげるようになる。

2.影響

  • ・主導的立場で、市場を形成する。
  • ・必ずしも、大手である必要はない。
  • ・規模だけでなくイノベーションによって、業界に影響を及ぼすこともできる。

3.評価

  • ・社外の人びとから称賛と尊敬を受ける。
  • ・ロールモデルとなることが多い。

4.持続性

  • ・持続性があり、何十年にもわたって健全であり続ける。
  • ・自己再生能力がある。
  • ・経営陣が交代しても偉大さが持続する。

ビジョン・戦略・戦術

ビジョン

リーダーシップの機能、一番の責任は、会社の明確なビジョンを生み出し、社員と共有し、そのビジョンへのコミットメントと精力的な取り組みを促すことである。

会社のビジョンは、あらゆる階層の社員が意思決定するためのコンテクストとなり、その重要性はどれほど強調しても足りないほどである。

ビジョンは「共同体として共有する」もので、会社を運営する特定の個人ではなく、組織に帰属すべきである。

ビジョンは明文化すべきで、自分が具体的に何をやり遂げようとしているのか徹底的に考え抜いて文字にし、明文化は個人ではなく「組織」のビジョンにするために欠かせない。

ビジョンのフレームワーク

1.コアバリューと理念:会社の指針となる原則、会社を導く哲学

  • ・組織の成長のあらゆる段階で、組織の意思決定、方針、行動の隅々まで充満していく。
  • ・会社の特徴を形づくる人々個人のコアバリューを反映する。
  • ・高い犠牲を払っても堅持され、慣行や戦略は変わってもコアバリューは不変である。
  • ・時代を超える。変化することは(ほぼ)ない。

2.パーパス(存在意義):組織が存在する根本的理由

  • ・コアバリューと理念から湧き出てくるもので、会社が存在する根本的理由、会社がそこにある究極の意義であり、メンバーが心の奥に秘めた個人的パーパスと調和し、仕事のやりがいをもたらす。
  • ・案内星のように、常に追い求める対象だが、決して手に入らない。
  • ・完璧に遂行すると、世界に二つとない会社になる。
  • ・100年間にわたって会社の指針となる。

3.ミッション、BHAG:社運を賭けた大胆で説得力のある野心的目標

  • ・全社員のエネルギーを集中させるべき、明快で説得力のある全体目標を指し、実現されることのないパーパスと違い、ミッションは実現するものである。
  • ・BHAG(Big Hairy Audacious Goal)は社運を賭けた大胆な目標で、BHAGの条件を満たす何かにコミットすることが重要である。
  • ・高い山に登るときのようにゴールが明確である。
  • ・成功確率は100%ではなく、能力を大幅に向上させる必要がある。
  • ・人びとの心を揺さぶり意欲をかき立て、容易に理解できる。
  • ・4つの基本的累計:目標、共通の敵、ロールモデル、内部変革
  • ・理想的な時間軸は10~25年である。
戦略

戦略とは「どのように」好ましい結果を実現するかで、目的を達成するための「手段」である。

戦略とはビジョンに到達するための「ルート」であり、ビジョンが戦略を主導し、戦略が戦術を主導する。

ミッションを達成するための明確で堅実でシンプルな方法論を示し、個人の主体性、機会、状況変化、創意工夫、イノベーションが入り込む余地を残す。

戦略的思考とは、「どこで大きな賭けに出るか」「どうやって側面を守るか」「どのように勝利から最大の成果を引き出すか」の3つの問いに、実証的裏づけのある回答を導き出すことである。

中小企業で最も有効な戦略のひとつが、特定の市場または製品ラインに集中し、その分野で競合より明らかに優れた存在になることである。

段階的多角化とは、まずひとつの事業ラインに集中し、そこで目標を達成して初めて二つ目の分野に進出するという戦略で、その方法を実践する企業は大きな成功を収める傾向がある。

効果的戦略を策定するための基本原則

  • 1.ビジョンに直結するものでなければならない。
  • 2.会社の強みや固有の能力を活かすものでなければならない。
  • 3.現実的でなければならない。
  • 4.戦略策定には実現のカギを握る人びとを参加させる。

プロセス

  • ・内部評価:強みと弱み、リソース、イノベーションと新アイデア
  • ・外部評価:業界・市場・顧客・技術のトレンド、競合、社会や規制の環境など
  • ・戦略的決定と目標:①製品、②顧客、③キャッシュフロー、④人材と組織、⑤インフラ
  • ・毎年見直し、新たなミッションが設定されるたびに1からつくり直す
卓越した戦術

戦術も重要であるが、それは明確なビジョンというコンテクストの下で設定すべきもので、まずビジョンがあり、それにもとづく戦略、そして戦術という順である。

ビジョンと戦略の遂行という側面に意識を向けること、「結び目を正しく結ぶ」「完璧にする」という姿勢は偉大な企業を目指すうえで欠かせないもので、卓越した戦術の遂行能力が最大の成功要因である。

偉大な企業の社員が一貫して卓越した戦術の遂行を成し遂げるのは、彼らにその力があると誰かが信じているからである。

「細部にこだわり、着実で一貫性がある」ことをSMaC(Specific, Methodical and Consistent)と表現し、SMaCは一貫してハイレベルで戦術を遂行する要諦である。

SMaCの基本的な構成要素

  • 1.揺るぎない一貫性を生み出す、具体的で再現可能なプロセスとメカニズム
  • 2.悲惨な失敗を防ぐ、確認と照合の仕組み
  • 3.ありとあらゆる不測の事態を想定して備える、綿密な思考
  • 4.SMaCプロセスの理由の理解にもとづく継続的進化

プロセス

  • ・その年の戦略的優先事項
  • ・具体的な行動のステップ:誰が、何を、いつまでに、どのようにするか
  • ・具体的マイルストーン、具体的期日、具体的担当者
  • ・終わりのないプロセス:採用、文化を植え付ける、研修、目標設定、測定、評価
  • ・状況変化に対応するため、常に変化する

あなたにも志のある企業、業績だけでなく価値観についても模範となるような企業は築ける。

困難を克服し、自らの成功を通じて偉大さは根本的な人間性や敬意と切り離せないものだと証明する企業を築くことができる。

人生の最期に「自分がつくった会社に誇りを、自らの生き方に敬意をもてる。有意義な人生だった」と思えるような企業を築くことができる。

まとめ(私見)

本書は、『ビジョナリー・カンパニー』シリーズが発行される前の1992年に著者らが執筆し、日本語訳されずにいた名著『Beyond Entrepreneurship』の改訂版で、ビジョナリー・カンパニーの原点となる一冊です。

この『Beyond Entrepreneurship』は、スタンフォード大学経営大学院の講義をもとにした書籍で、永続性のある偉大な企業を目指すスタートアップや中小企業のリーダーのために、ロードマップを示すことを目的としていました。

その後、著者が「アーリーステージ」企業の中から偉大で永続的な存在に進化する企業が出てくる要因や、他社との違いなどに強い関心を持ち、人材に関する意思決定、リーダーシップ、ビジョン、戦略、幸運などに関する新たな研究成果を収めたのが本書です。

特に、オリジナル版とは文章は色を変えてわかりやすくし、新たな研究成果は「本書の新しい視点」という見出しで、新しい章として追加したり、既存の章の随所に追加したりして、全体のほぼ半分が新たに書き下ろしています。

本書では、「業績」「影響」「評価」「持続性」の4つの基準を満たす組織を「偉大な企業」と定義して、「ビジョン」「戦略」「卓越した戦術」といった基本に加え、最高の人材の確保・育成と文化の醸成、効果的なリーダーシップ、イノベーティブな企業になるために必要な基本要素についても詳細に解説しています。

そして、偉大な企業に共通して見られる他社との違いは、創業期に傑出した企業になるための基礎を整えているとして、「偉大な企業を動かす要因(ザ・マップ)」を新たに追加して詳細に解説しています

永続する偉大な組織をつくるためには、規律ある思考をし、規律ある行動をとる規律ある人材が必要であるとして、「ザ・マップ」では4段階で構成する枠組みの支柱として、それぞれの段階を実現する方法を詳細に解説しています。

4段階の根底にある第5水準の原則は「良い」から「偉大」への飛躍を実現するリーダーシップで、第5水準のリーダーは第1水準から第4水準までのすべてのスキルを駆使し、個人を超越する大義のために尽くすとしています。

そして、謙虚さと不屈の意思といった矛盾するような性質を併せ持っていて、自分自身のためではなく大義のために組織を率いることの重要性を説いています。

企業が追跡すべき最も重要な指標は、売上高や利益、資本利益率やキャッシュフローではない。

バスの重要な座席のうち、そこにふさわしい人材で埋まっている割合であり、適切な人材を確保できるかにすべてがかかっている。

真のリーダーシップとは、従わない自由があるにもかかわらず、人が付いてくることである。

人生における成功の評価基準は、どれだけ有意義な人間関係を築くことができたか、そして自分のコアバリューにどれだけ忠実に生きることができたかによって決まる。

自分のしていることを心から楽しみ、愛すること、今後何十年も生きるかもしれないし、明日死ぬかもしれないという矛盾を抱えながら生きることの大切さを教えてくれています。

偉大な企業を築いていくためには「ビジョン」「戦略」「卓越した戦術」が基本となりますが、失敗してはならないのは「正しい人を選ぶ」ことであり、価値観を共有して活動する中で文化を醸成していくことの重要性が理解できます。

本書は幅広い分野を詳細に解説していますので分量は多いですが、偉大な企業を築いていくための真髄を学ぶための貴重な一冊です。

目次

序章 なぜ今、本書を出版するのか

第1章 ビルと私の物語

第2章 最高の人材がいなければ最高のビジョンに意味はない

第3章 リーダーシップ・スタイル

第4章 ビジョン

第5章 成功は諦めない者に訪れる

第6章 偉大な企業をつくるための「地図」

第7章 戦略

第8章 イノベーション

第9章 卓越した戦術の遂行

参考

ビジョナリー・カンパニーZERO|日経の本 日経BP

『ビジョナリー・カンパニーZERO』に学ぶリーダーシップ : 日経ビジネス電子版

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