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ブランドの構築を根底から頂上まで上昇する連続的なステップと捉えているのが、ブランド・レゾナンス・ピラミッドまたは顧客ベースのブランド・エクイティ・ピラミッド(CBBE)です。
ダートマス大学のケビン・レーン・ケラー教授によって説かれたものです。
そのピラミッドは、4つの階層(ステップ)と6つのブランド構築ブロックに分かれていて、ブランド・エクイティ創出にはピラミッドの頂点に達することが必要であるとしています。
そして頂点に達するには、理性的ルート(左側)と感情的ルート(右側)の2つのルートがあります。
4つの階層(ステップ)
根底の階層:アイデンティフィケーション → 構築ブロック:セイリエンス
- ・深くて広いブランド認知
- ・顧客のマインドの中におけるブランドから特定の製品クラスや顧客ニーズへの連想を確保する。
2番目の階層:ミーニング → 構築ブロック:パフォーマンス、イメージ
- ・強くて、好ましくて、ユニークなブランド連想
- ・有形無形のブランド連想を戦略的にリンクさせることにより、顧客のマインドの中にブランドに対する意味を確立する。
3番目の階層:レスポンス → 構築ブロック:ジャッジメント、フィーリング
- ・肯定的で親近感のある反応
- ・顧客から適切なレスポンスを引き出す。
頂点の階層:リレーションシップ → 構築ブロック:レゾナンス
- ・強くて積極的なロイヤルティ
- ・ブランドレスポンスを転換して、顧客とブランドの間に強くて積極的なロイヤルティの関係を作り出す。
6つのブランド構築ブロックの概要
さらにこの6ブロックは27の指標に細分化されており、その指標を測定することで合理的に検証することに役立ちます。
◇セイリエンス(Salience)
- ・様々な購買状況や消費状況の下で、ブランドがどれほど頻繁で容易に思い起こされるかをいう。
- ・ブランド認知
→ 指標:ブランド再認、ブランド再生
◇パフォーマンス(Performance)
- ・製品やサービスが、顧客の機能的ニーズをいかに満たすかをいう。
- ・物理的特徴に関する認識
→ 指標:基本性能、独自性、スタイル・デザイン性、開発力、顧客サービス力
◇イメージ(Imagery)
- ・ブランドが顧客の心理的ニーズまたは社会的ニーズを満たそうとする方法など、製品やサービスに付帯する特性をいう。
- ・抽象的特徴に関する認識
→ 指標:誠実性、躍進性、親近性、個性、洗練性
◇ジャッジメント(Judgments)
- ・顧客自身の帆人的意見や評価に焦点を当てている。
- ・顧客の理性的判断
→ 指標:品質性、顧客理解性、独自効果、信頼性、利便性
◇フィーリング(Feelings)
- ・ブランドに関する顧客の感情的対応や反応である。
- ・顧客の情緒的反応
→ 指標:明朗感、穏和感、社会的承認、満足感、ポジティブ感
◇レゾナンス(Resonance)
- ・顧客とブランドの関係の性質及び顧客がブランドと「同調している」と感じる程度をいう。
- ・ブランドとの関係の強さ
→ 指標:好意、適合、特別、ロイヤルティ、関心
なお、別途本ブログで、緑茶ブランド「お~いお茶」「ヘルシア緑茶」「伊右衛門」の顧客ベースのブランド・エクイティ(CBBE)ピラミッドについて私なりに考察してみましたので、合わせてご確認ください。
緑茶3ブランドの顧客ベースのブランド・エクイティ(CBBE)ピラミッド
2005.5.8
また、詳細に理解したい方は、以下の書籍をご確認ください。
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ケラーの戦略的ブランディング
ケビン・レーン・ケラー(著)、恩蔵直人研究室(翻訳)
出版社:東急エージェンシー出版部 増補版版 (2003/11)Amazon.co.jp:ケラーの戦略的ブランディング
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コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント
フィリップ・コトラー、ケビン・レーン・ケラー(著)
恩藏 直人(監修)、月谷 真紀(翻訳)Amazon.co.jp:コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント
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