書籍 ビヨンド・デジタル 企業変革の7つの必須要件 | ポール・レインワンド(著)

書籍 ビヨンド・デジタル 企業変革の7つの必須要件 | ポール・レインワンド(著)

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ビヨンド・デジタル 企業変革の7つの必須要件

ポール・レインワンド (著)、マハデバ・マット・マニ (著)、PwC Strategy& (翻訳)
出版社:ダイヤモンド社 (2022/11/30)
Amazon.co.jp:ビヨンド・デジタル

  • 「DX」のその先へ !
    自社の未来は、自社で切り拓く。

    企業変革を成し遂げた12社の成功要因とは !?

本書は、PwCの戦略コンサルティングビジネスを担うStrategy&で、ケイパビリティに基づく戦略と成長を主導するグローバル・マネージング・ディレクターの著者らが、優れたリーダーがいかに自分の組織を変え、未来を形作るのかを説いた一冊です。

数年にわたる詳細な研究に基づいて、企業リーダーたちがいかに自社のビジネスモデルを再構想し、漸進的なデジタル・イニシアチブにとどまらない企業変革(トランスフォーメーション)を成し遂げたかを明らかにしていますので、ビジネスリーダーの方々が企業変革を実行していくうえで大変参考になります。

本書は9章で構成しており、特に第2章ら8章では、企業変革に必要な7つのリーダーシップの必須要素について、それぞれ章を独立して具体的な企業事例を踏まえながら詳細に解説しています。

  • ・第1章では、競争優位の本質が変わったこと、そしてデジタルなだけでは不十分であることを説いています。
    そして、研究した企業12社の概要を紹介した後、3つの新たな競争力学を整理し、その対応策と7つのリーダーシップの必須要素を整理しています。
  • ・第2章は7つのリーダーシップの必須要素の1つ目で、「世界における自社の立ち位置を再構築する」方法について解説しています。
    なぜ自社の立ち位置の再構築が重要なのかを明らかにし、研究から得られた4つの知見に加え、強力なポジションを切り拓くための3つのステップを紹介しています。
  • ・第3章は2つ目の「エコシステムをつくり上げて価値を創出する」方法について解説しています。
    なぜエコシステムが重要なのかを明らかにし、研究結果から得られたエコシステム戦略を機能させることに役立った4つの要素を紹介しています。
  • ・第4章は3つ目の「顧客に関する専有的知見を大家的に構築する」方法について解説しています。
    組織固有の顧客理解を「専有的知見」と表現して、その重要性を解説した後、それを体系的に構築するための4ステップを紹介しています。
  • ・第5章は4つ目の「成果指向の組織にする」方法について解説しています。
    組織とチームの新たなモデルとして、ケイパビリティベースの組織を詳細に解説し、組織再構築の成否を分ける4つの要因とその対応策を紹介しています。
  • ・第6章は5つ目の「リーダーシップチームの焦点を反転させる」方法について解説しています。
    研究から明らかになったリーダーシップチームの力になる3つの重要なアクションを詳細に解説しています。
  • ・第7章は6つ目の「従業員との社会的契約を再定義する」方法について解説しています。
    社会的契約を、企業と従業員がともに繁栄に必要なものを手に入れられるように両者が結ぶ暗黙の契約として、従業員との契約を強力な巻き込みの仕組みに変えるための6つの要素を再検討しています。
  • ・第8章は7つ目の「自身のリーダーシップのアプローチを創造的に破壊する」方法について解説しています。
    デジタル時代に成功するリーダーの6つの特徴を解説した後、リーダーシップにまつわる6つのパラドックスに対処するために必要な知識やマインドセットを身に着ける方法を整理しています。
  • ・第9章は、企業の進む道をいかに形成するかを解説しています。
    変革への道のりは何年にもわたるとして、目的地までの道を外れずに進むことに役立つ仕組みを紹介しています。

デジタルを超えた世界では、企業は物事を違う方法で実行できるし、そうしなければならない。

企業は顧客に提供できる独自の価値について再考できるようになり、そうしなければならなくなる。

デジタルテクノロジーによって、業務のやり方を改善できるだけではなく、より良い業務を行えるようになる。

未来を新たに構想することで、まったく新しいビジネスモデルが生まれることさえあるのだ。

そういうわけで、本書に「デジタル化の方法」が書かれていると思った読者は失望するだろう。

そのような本ではないからだ。

本書で論じるのは、根本的に変化した世界の中で、企業がいかに自社の立ち位置の再考を迫られているかであり、持続的な優位性を確立するためにいかにトランスフォーメーションするかということである。

ビヨンド・デジタル

ビヨンド・デジタル

『ビヨンド・デジタル』を参考にしてATY-Japanで作成

競争優位を変化させている根本的な動きは、「需要の変革」「供給の変革」「企業を取り巻く経営環境の変化」である。

ほとんどの既存企業にとって、ビヨンド・デジタルの世界で持続的な価値を生み出すためにはトランスフォーメーションが必要である。

どれだけ多くのデジタルイニシアチブを実行しても、競合他社が似たようなことをしているため、他社と同じでは勝てない。

企業変革に向けた7つのリーダーシップの必須要素

7つのリーダーシップの必須要素を網羅することで、求められるトランスフォーメーションを構造化して実行するためのプレイブックとなる。

必須要素のどれか一つに対処することは、他の要素に関する取り組みにも役立つ。

社会とどのように向き合うか

1.世界における自社の立ち位置を再構築する。

  • ・自社が解決すべき重要な課題は何か、それを果たすために構築すべき差別化ケイパビリティは何かを再定義する。
  • ・自社(および業界)の将来像を自らつくり出す。

2.エコシステムをつくり上げて価値を創出する。

  • ・自社が得意とすることに注力するとともに、エコシステムを通じて活用できるケイパビリティ、スピード、スケールと組み合わせる。
  • ・そうすることで、すべての参加企業により大きな価値を生み出す。

3.顧客に関する専有的知見を体系的に構築する。

  • ・顧客との信頼関係を構築し、顧客の真の要求やニーズに関して、自社しか持ちえない知見を得る。
  • ・データの入手・共有により、自社を差別化する。
  • ・こうした知見を活用して変化に先手を打ち、創造する価値を継続的に向上させる。
どのように自社を運営するか

4.成果指向の組織にする。

  • ・多様なスキルを成果指向型のチームに結集し、自社を差別化するケイパビリティを創出する。
  • ・これらのチームを組織モデルの中心に据え、新しい働き方を実現する組織DNAを再構築する。

5.リーダーシップチームの焦点を反転させる。

  • ・リーダーシップチームの役割、スキル、力の構造を再考し、チームが連携して最大の成果を創出することを目指す。
  • ・トップに権限を集中させるのではなく、現場を巻き込むことで、チームがともに変革を推進することに注力できるガバナンスのメカニズムを導入する。

6.従業員との社会的契約を再定義する。

  • ・変革の中心に従業員を置き、オートメーションの世界においてもヒトが本質的な価値創造力を持つことを認め、変革に必要な自由度と手段を与える。
  • ・目的、貢献、コミュニティ、非金銭的報酬に焦点を当てた巻き込みの仕組みを構築する。
どのように自身がリードするか

7.自身のリーダーシップのアプローチを創造的に破壊する。

  • ・新しいタイプのリーダーシップの必要性を認識する。
  • ・さまざまなパラドックスの中でバランスよく強みを発揮する。

あなた自身、そして明らかに周りの人々も「できるわけがない」「私たちの仕事ではない」「もう成功している」「もう計画は立てた」と考えていて、漸進主義をけしかける無数の声が聞こえてくるような状況が多々あるかもしれない。

そんなとき、あなたはトランスフォーメーションのすばらしい物語とその差し迫った必要性を思い出して、人々がビヨンド・デジタルの世界の潜在力を理解できるように後押しできるだろう。

それこそが、あなたが自分自身に、そして組織や他の人々に残す遺産を決めるのである。

まとめ(私見)

本書は、トランスフォーメーションを構造化して実行するために、リーダーはどのような手順を踏めばいいのかを明らかにした一冊です。

7つのリーダーシップの必須要素と12社の事例がロードマップとして、ビジネスリーダーの方々がビヨンド・デジタルの世界で自社の立ち位置を確保していくうえで大変参考になります。

また、付章には、価値創出の一般的な戦略的類型として「ピュアトーン」を紹介しています。

この「ピュアトーン」は、著者らが研究で明らかにした実践方法と企業例を示していますので、提供価値が自社ビジネスにとって適切かどうかを理解するのに役立ち、自社に適切な立ち位置を特定する際の出発点となります。

著者らは、2018年から2021年の3年間に及ぶ詳細な研究を経て、変革を成し遂げている12社に共通する要素を見出し、「7つのリーダーシップの必須要素」として整理しています。

最初の4要素は企業の外側に目を向け、いかに市場やエコシステム、顧客との関係をトランスフォーメーションする必要があるかを紐解いています。

残りの4要素は企業の内側に目を向け、組織、リーダーシップチーム、従業員との社会的契約、リーダー自身に求められる自己改革に踏み込んでいます。

そして、時代を超えて一貫した成果を出すことができている企業は、自社独自の価値提供を実現するケイパビリティに基づいて、自社の未来を形成するという手法を選択しているとしています。

  • ・社外に目を向け、自社の価値提供や、顧客やパートナーとの関係を見直すことから始まっている。
  • ・次に、業務や組織の運営方法が思い描く未来と整合するように、社内のトランスフォーメーションを実行している。
  • ・最後に、企業リーダーらは、自分自身(信念、強み、弱み)に目を向け、自社の未来を形作るのにふさわしいリーダーになっている。

詳細に研究した「ビヨンド・デジタルの12社」は以下の企業ですが、どの企業も業界やビジネスモデルについて再構想することを迫られましたが、ビヨンド・デジタルの環境で新たな方法で競争し、変化を先取りして自社の未来を形成するための決断をしてきたようです。

ビヨンド・デジタルの12社
フィリップス、日立、タイタン、イーライリリー、シティグループ、アドビ、コマツ、ハネウェル、マイクロソフト、クリーブランド・クリニック、インディテックス、STCベイ

本書の主張は、「今日の世界で成功するために重要なことは、自社独自の差別化された方法で、顧客ひいては世界に価値を提供するための少数のケイパビリティを、デジタルが実現する新たなエコシステムやプラットフォームを活用して、拡大することである。」と思います。

ビヨンド・デジタルの世界の価値提供は、自社を差別化するケイパビリティを必要とします。

しかし、ケイパビリティは複雑で費用がかかるうえに、それを構築して実現する従業員の力に依存します。

そして、価値提供の変革は何年にもわたる道のりになるし、本書で示した7つの必須要素は一貫した取り組みの中で実践していかなければなりません。

ケイパビリティとは、一般的には企業全体として持っている、あるいは得意とする組織的な能力を指します。

本書でも、ケイパビリティを、ナレッジ、プロセス、テクノロジー、データ、スキル、文化、組織モデルが複雑に絡み合っているものを高度に統合したものであると定義しています。

  • ・自社を差別化するケイパビリティは、機能的部門のリーダーの投資ではできない。
  • ・ケイパビリティは、自社のあり方を定義するものであり、パーパスの中心に置かなければならないし、顧客に約束した価値提供を実現しなければならない。
  • ・そのためには、多くの資金を割り当て、才能ある人材が配置される対象でなければならない。

しかし、ケイパビリティを構築していくためには長い時間をかけて取り組むことが必要となりますし、古いモデルでオペレーションを続けながら、ケイパビリティ主導の新たな方法で価値を創出することは期待できません。

新たな方法で企業を変革していくためには、パーパス、ビジネスモデル、組織モデル、人材など、自社のあらゆる側面からチェレンジしていくリーダーが必要です。

本書は、企業のリーダーの方々が、デジタルを越えたその先の世界で成功するために、いかに自社を変革し得るかを示すロードマップとなる一冊です。

目次

日本語版まえがき

第1章 自社の未来を形作る
    ビヨンド・デジタルの12社
    新たな競争力学
    リーダーと企業はいかに対応すべきか
    ビヨンド・デジタルのリーダーシップの7つの必須要素
    7つの必須要素はいかに組み合わさるか
    ロードマップ
    → スピードの罠

第2章 世界における自社の立ち位置を再構想する
    なぜ、自社の立ち位置の再構想が重要なのか
    自社の立ち位置をいかに再構想するか
    → 大胆な決断を阻害する要因を克服する

第3章 エコシステムを作り上げて価値を創出する
    なぜ、エコシステムが重要なのか
    エコシステム戦略を機能させる
    → 現代のビジネス・エコシステムの本質

第4章 顧客に関する専有的知見を体系的に構築する
    専有的知見の獲得 ── 重要なケイパビリティ
    専有的知見を体系的に構築するための4ステップ
    → 必要不可欠なデータとテクノロジー
    → 従来型の市場調査の成長と限界

第5章 成果指向の組織にする
    ケイパビリティベースの組織 ── 従来の構造を設計し直す
    ケイパビリティベースの組織を目指すマイクロソフトの旅
    組織のDNAを再構築して成果に焦点を当てる
    → 伝統的な機能部門モデルから脱却する

第6章 リーダーシップチームの焦点を反転させる
    スキル構成の適切さに基づいて、最上級チームを構築する
    リーダーシップチームの焦点を、日常対応から、トランスフォーメーション推進へと移す
    リーダーシップチームのコラボレーションや行動に責任意識を持つ
    → リーダーシップチームはリードしているか

第7章 従業員との社会的契約を再定義する
    従業員との社会的契約を再定義する
    → ビヨンド・デジタルの世界における、従業員巻き込みの新たなモデルの重要性

第8章 自身のリーダーシップのアプローチを創造的に破壊する
    デジタル時代に成功するリーダーの6つの特徴
    自分自身と次世代のリーダーを改革する
    → リーダーシップにまつわる6つのパラドックス
    → リーダーシップにまつわる6つのパラドックスの重要性と、リーダーにとっての最大のギャップ

第9章 成功に向けて加速する
    確実に前進するための仕組み

付章 ピュアトーンの実践方法

参考

ビヨンド・デジタル | ダイヤモンド社

ビヨンド・デジタル―企業変革の7つの必須要件 | Strategy& Japan

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