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THE DIGITAL TRANSFORMATION ROADMAP (DXロードマップ)
絶え間なく変化する世界で成功するための新しいアプローチ
デビッド・ロジャース(著)、NTTデータ・コンサルティング・イニシアティブ(翻訳)
出版社:東洋経済新報社 (2024/6/19)
Amazon.co.jp:THE DIGITAL TRANSFORMATION ROADMAP
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従来企業をデジタルイノベーティブな組織に変える 実践的方法
20年にわたり世界著名企業の経営者にアドバイスしてきた 世界的権威が導き出した処方箋
関連書籍
2024年11月01日 マーティ・ケーガン『TRANSFORMED』日本能率協会 (2024/9/30)
本書は、コロンビア・ビジネススクール教授で、DXの世界的権威の著者が、組織変革の処方箋を豊富な図と共に解説した一冊です。
20年にわたって世界的著名企業の経営者にアドバイスしてきた著者が、従来企業をデジタルイノベーティブな組織に変える実践的な方法を解説していますので、企業経営者やビジネスリーダーの方々が、変革推進において直面する課題に対する実践的な解決策を得られるだけでなく、変化の激しい環境下で成長するために何をすべきかを見出すことができます。
本書は7章と結論で構成しており、デジタル時代でどのように戦略やビジネスを再構築していくべきかを示しています。
そして巻末には、日本におけるDXの取組み事例2社の紹介に加え、日本企業のDXロードマップ実現に向けた、著者との特別対談を掲載しています。
さらに付録には、組織の強みと弱みを特定できる自己評価ツール、DX戦略立案書とDXロードマップの視覚的概要を掲載しています。
- ・第1章では、DXとは何かを再確認し、DXが失敗に終わる原因を紐解いたうえで、DXを成功へと導くためのDXロードマップを紹介しています。
- ・第2章では、DXとイノベーションの関係を分析し、既存企業がデジタル時代に求められるスピードでイノベーションを起こせない原因に加え、高い不確実性が存在する中や中核事業以外の領域におけるイノベーションの2つの課題を解決する方法を検討したうえで、デジタル時代のイノベーションを成功へと導く方法について探っています。
第3章から7章では、DXを成功へと導くための5つのステップ(DXロードマップ)について章を独立して、企業の実際のケーススタディと照らし合わせながら詳細に解説しています。
- ・第3章はステップ1の「ビジョン」で、企業、事業部、機能、チームにおけるDXの取組みついて、リーダーが共有ビジョンを実践する方法を紹介し、影響力のある共有ビジョンに不可欠な4つの要素を考察しています。
- ・第4章はステップ2の「優先順位」で、どのような組織やリーダーでもDXの取組みに寄与する、焦点を絞った戦略的優先順位を決めることができる方法に加え、問題と機会という2つのレンズを通して戦略的優位順位の決定にどのように役立つかについて検討しています。
- ・第5章はステップ3の「実験」で、組織内チームが新規事業を検証し、新たなデジタル成長を推進する方法に加え、検証の4つの段階という新規事業の継続的な学習プロセスを整理する新しいモデルを紹介しています。
- ・第6章はステップ4の「ガバナンス」で、企業全体でデジタルイノベーションを推進するためのガバナンスモデルの設定方法に加え、規模拡大を管理するために不可欠な6つの要素と、すべてのチームとリーダーの役割を再定義するボトムアップ型アプローチが必要な理由を探っています。
- ・第7章はステップ5の「能力」で、組織独自のデジタルな未来に必要な基盤の構築方法に加え、その中でのデジタル時代に不可欠な3つの能力を検証しています。
結論では、ボトムアップ型組織というテーマに立ち返り、絶え間なく変化し続ける時代のリーダーに求められる3つの仕事について考察しています。
この洞察から、本書は組織変革の課題に焦点を当てることにしました。
デジタル時代に向けて変革するためには、戦略に対する新しいアプローチだけでは十分ではありません。
継続的な変化のために組織を再構築しなければならないのです。
DXは、従来型の中核事業のマネジメントのように、慎重に計画を練ることに注力すべきではありません。
ゆえに本書では、「イノベーション」と「実験」をDXの取組みの中心に据えています。
本書では「迅速な実験を可能にするために、どのように組織を再構築すればよいのか?」と問いかけています。
既存事業の枠を超えて成長し、不確実性の高いデジタル時代に成功を収めたいなら、この問いにどのように答えるかは、きわめて本質的なことです。
本書は、組織の運営をいま一度考えるようリーダーに呼びかけるものであり、これに答えを出すことで、たえず変化する環境下でも結果を出せるリーダーになれるでしょう。
DX(Digital Transformation)とは
『THE DIGITAL TRANSFORMATION ROADMAP』を参考にしてATY-Japanで作成
DXは、絶え間なく変化するデジタルの世界で成功するために、既存事業を変革することである。
既存の組織を変えることであり、スタートアップ企業をつくることではない。
企業が革新的変化を受け入れるなら、DXは必ず実現可能である。
DXを実施する目的は、不確実性の高い新規領域で、中核事業とのシナジーが期待できる新規事業を立ち上げ、成長させ、さらに既存事業の成長に貢献させることである。
DXは継続的なプロセスであり、開始日と終了日のあるプロジェクトではない。
DXは、顧客の行動、ビジネスモデル、経済システムを未来永劫にわたって変えていくものである。
DXとは技術のことではなく、戦略やこれまでのビジネス観を見直すことである。
デジタル時代に新たな成長を見出すためには、旧来の戦略的思考に潜む「死角」を克服することを学ばなければならない。
新型コロナウィルスは、消費者行動のオンライン体験をへのシフトを加速させ、企業は自社の従業員にデジタル化されたオペレーションを採用することを余儀なくさせた。
AIや機械学習といった新しい技術は、企業の業務のありとあらゆる側面に影響を及ぼしており、今後さらに新たな変化を引き起こしていく。
DXが直面している最大の課題は、コストや技術ではなく、組織のレガシーな文化、考え方、仕事のやり方である。
真のDXは、戦略を適応させることだけでなく、デジタル戦略と組織変革を組み合わせることが必要である。
DXとは、組織を再構築することで、デジタルな未来における継続的な変革に備えることである。
DX = Digital Strategy(デジタル戦略)+ Organizational Change(組織変革)
DXを成功させられない企業に共通する特徴
DXには一種のバランス感覚が必要で、単に旧来事業を「デジタル化」するための取組みであってはならない。
DXの導入は、複雑な組織では特に難しく、今日の組織の複雑さは、従業員数、事業ラインの数、事業展開地域の数によって決まる。
1.共有ビジョンの欠如
- ・「デジタル化する」という表面的なスローガンは掲げているが、どのターゲット市場でデジタル化によって何を達成するのかについて共通の認識ができていない。
- ・DXの進捗を判断する明確なビジネス指標がないため、リーダーたちは汎庸な「デジタル成熟度」指標に頼ってしまいがちである。
2.成長に向けた優先順位の欠如
- ・既存事業を「デジタル化」することだけに注目し、成長に向けた優先順位が明確にされていない。
- ・顧客の問題解決が先かそれともビジネスチャンスの獲得が先かなど、重視すべき戦略的優先順位の決定に必要な資質を、リーダーが持ち合わせていない。
3.実験より計画を重視
- ・新しいアイデアを顧客と一緒に直接検討することに注力せず、ソリューションの綿密な構築計画を策定することに注力している。
- ・デジタルネイティブ企業の指針となる迅速な実験モデルと対極をなすアプローチのステージゲート法に従いながら、あらかじめ決められたソリューションの構築に向けてプロジェクトが進んでいる。
4.融通の利かないガバナンス
- ・デジタル技術を活用した新規事業においても、旧来の組織、投資意思決定権限、報告ライン、予算策定方法が適用されている。
- ・旧来的な組織の壁、報告ライン、予算が支配的であるため、成長への取組みを阻害し、成長を管理し拡大するための反復可能なプロセスが欠如している。
5.旧態依然とした能力
- ・旧式のITアーキテクチャー、データ資産、管理ルールも見直さず、一時しのぎの修正で対応している。
- ・人材においてもデジタルスキル習得の投資もなく、マネジメントも旧態依然としたカスケードダウン型で行われている。
DXロードマップ
『THE DIGITAL TRANSFORMATION ROADMAP』を参考にしてATY-Japanで作成
デジタル時代において、変革を避けることはできない。
DXは険しい道だが、どのような組織でも実現可能だ。
DXロードマップの5つのステップ(共有ビジョンの定義、最も重要な問題の選択、新規事業の検証、新たなガバナンスによる変革の規模拡大、技術・人材・企業文化の育成)に従うことで、どのような組織も成長し、デジタル時代に適応していくことができる。
新たな道を切り開く努力におけるあなたの幸運を祈っている。
新たなデジタル事業の推進においては、技術そのもののためではなく、常にその影響と価値創造に焦点を合わせてほしい。
そして未来に向けて人材、プロセス、企業文化を変革していくなかで、その旅に終わりはないことも忘れてはならない。
変化は常に起き、あなたを待ちかまえている。
まとめ(私見)
本書は、組織変革のための実践的なロードマップを提示し、改革を推し進めるうえで役立つツールやフレームワークを盛り込んだ一冊です。
著者は、グーグル、マイクロソフト、シティグループ、VISA、ユニリーバ、P&G、GE、トヨタなどの多くの世界的企業において、デジタル時代に向けたビジネス変革を支援し、これまでに25,000人以上を指導してきたDXの世界的権威です。
従来企業をデジタルイノベーティブな組織に変える実践的な方法を解説していますので、企業経営者やビジネスリーダーの方々が抱える以下の悩みを解決してくれます。
- ・変革推進において直面する課題に対して、どのように対応すべきか。
- ・変化の激しい環境下で成長するために、何をすべきか。
- ・新たなサービスや事業を、どのように立ち上げるべきか。
- ・現在の企業文化や組織を、どのように変えるべきか。
(組織改革がもたらす課題)
- ・サイロ化した部署間で、デジタルの取組みをどのように連携させるか。
- ・将来の成長と現在の中核事業のバランスをどう取るか。
- ・複雑で大規模な組織が頭を悩ます惰性的な体質をいかに克服するか。
前著の『DX戦略立案書 CC-DIVフレームワークでつかむデジタル経営変革の考え方』(白桃書房、2021年1月8日)では、デジタル戦略の策定について実用的な示唆として、DXは戦略、リーダーシップ、新しい思考のことであるという視点から切り込んでいます。
これに対して本書は、具体的にどのように進めればDXを成功させることができるのかを解説しています。
そして、本書で紹介しているDXロードマップは、デジタル時代の戦略領域となる「顧客」「競争相手」「データ」「イノベーションプロセス」「価値提案」を網羅し、業種や規模、複雑さを問わず、組織のあらゆる階層でDXを実現する処方箋を示しています。
DXは企業のあらゆる階層で推進される必要があるため、DXロードマップは、組織全体を俯瞰したマクロ視点から、各階層のミクロ視点までをカバーするように構成されていますので実用的なのものなっています。
さらに、翻訳を担当したNTTデータ・コンサルティング・イニシアティブ が、日本におけるDXの取り組み事例として、ANAホールディングス株式会社と株式会社TBSホールディングスのケースを紹介しています。
そして特別対談では、本書で取り上げたフレームワークと、数十年にわたる日本企業へのアドバイス経験から導き出された洞察とのつながりを探っています。
2社の事例では、どのような取組みを実施してきたかをDXロードマップに当てはめて具体的に紹介し、対談では、DXを成功させるにはどのようにすればよいかをDXロードマップ(5つのステップ)に分けて掘り下げていますので、日本の特性を踏まえて本書の内容を再確認するうえで役立ちます。
なお本書では、日本の活気ある産業界と世界経済における重要な役割は誇れるのものであり、DXは日本においては重要であると訴えていますが、日本の産業界はアメリカとは違うとしています。
アメリカでは新しい企業が旧来型企業をあっという間に追い抜いて大企業になっていますが、日本企業は伝統的大企業によって牽引され続けていると指摘しています。
そこで、日本は伝統的大企業が新しいデジタル製品やサービス、ビジネスモデルをリードすることが重要であり、これは伝統的大企業がDXを適切に推進することによってのみ実現すると強調しています。
本書で紹介しているDXロードマップの各ステップは、ボトムアップ型組織の考え方に基づいていますので、日本企業の強みでもある現場力、ボトムアップ型を発揮していけば、日本企業のDX成功の可能性は高いと信じています。
そのためには、リーダーのあり方を再度考え直す必要があります。
ビジョンを明確に定義し、強力に伝え、従業員がそのビジョンを実現できるように支えることで、リーダーは変革を推進する重要な役割を果たすことができます。
「定義する」「伝える」「支える」、成功を収めているボトムアップ型リーダーに必要なタスクとして、本書でも導き出しています。
DXは、組織を再構築することで、デジタルな未来における継続的な変革に備えることです。
本書では、「イノベーション」と「実験」をDXの取組みの中心に据え、「迅速な実験を可能にするために、どのように組織を再構築すればよいのか」と問いかけています。
ビジネスリーダーの方々が絶え間ない変化の中で成功するために、組織を再構築するための実践的なツールを提供してくれる一冊です。
目次
訳者まえがき
日本語版に寄せて
序文
第1章 DXロードマップとは
第2章 DX――イノベーション推進に伴う課題
第3章 ステップ1――共有ビジョンを定義する(ビジョン)
第4章 ステップ2――最も重要な問題を選択する(優先順位)
第5章 ステップ3――新規事業を検証する(実験)
第6章 ステップ4――規模拡大を管理する(ガバナンス)
第7章 ステップ5――技術、人材、企業文化を育てる能力
結論
日本におけるDXの取組み事例① ANAホールディングス株式会社
日本におけるDXの取組み事例② 株式会社TBSホールディングス
特別対談
日本企業のDXロードマップ実現に向けて
訳者あとがき
『THE DIGITAL TRANSFORMATION ROADMAP』の日本語化を終えて
自己評価:あなたの組織はDXに対応できるか?
参考
THE DIGITAL TRANSFORMATION ROADMAP | 東洋経済STORE
『デジタル・トランスフォーメーション・ロードマップ 絶え間なく変化する世界で成功するための新しいアプローチ』日本語版発売について | NTTデータ経営研究所
The Digital Transformation Roadmap | DPW
THE DIGITAL TRANSFORMATION ROADMAP | Columbia Business School
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THE DIGITAL TRANSFORMATION ROADMAP
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