このページ内の目次
三菱電機が、2021年度(2022年3月期:2021年4月1日~2022年3月31日)通期決算と2022年度(2023年3月期)通期業績予想を発表しましたので、概況を整理します。
2021年度の売上収益は、部材調達難の影響はあるものの量産系事業を中心に受注が伸長し、FAシステムはデジタル・脱炭素関連、家庭電器は欧米向けの空調機器が好調に推移して両事業ともに過去最高を更新し、全体では前年度比7%増の4兆4,767億円となりました。
営業利益は、FAシステムが過去最高を更新し、全体では前年度から218億円増の2,520億円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、前年度から103億円増の2,034億円となりました。
2022年度予想は、売上収益は部材調達難に加え、ウクライナ情勢深刻化や上海ロックダウン等の不透明感はあるものの、堅調な受注状況やマルチソース化推進による調達安定化などにより、前年度比7%増の4兆7,700億円となる見通しです。
営業利益は、コスト増に対する価格反映などにより、前年度から179億円増の2,700億円となる見通しです。
三菱電機の2021年度(2022年3月期)連結業績
売上収益は、部材調達難の影響はあるものの量産系事業を中心に受注が伸長し、FAシステムはデジタル・脱炭素関連、家庭電器は欧米向けの空調機器が好調に推移して両事業ともに過去最高を更新し、全体では前年度比7%増の4兆4,767億円となりました。
営業利益は、FAシステムが過去最高を更新し、全体では前年度から218億円増の2,520億円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、前年度から103億円増の2,034億円となりました。
セグメント別の業績
セグメント別では、重電システムと情報通信システムが減収減益、家庭電器が増収減益、産業メカトロニクスと電子デバイスが増収増益となりました。
重電システム
売上収益は前年度比2.5%減の1兆2,381億円、営業利益は前年度から467億円減の621億円
- ・売上収益は、ビルシステム事業は中国を中心とした回復で前年度から251億円増の5,273億円となったものの、社会インフラが国内発電関連需要の減少と国内電力・交通事業の減少で同573減の7,107億円となり減収。
- ・営業利益は、売上減少や売上案件の変動などにより、社会インフラ事業が前年度から432億円減の402億円、ビルシステム事業が同35億円減の218億円となり減益。
産業メカトロニクス
売上収益は前年度比17.0%増の1兆4,603億円、営業利益は前年度から562億円増の968億円
- ・売上収益は、FAシステム事業でデジタルや脱炭素関連分野の設備投資が国内外で拡大して前年度から1,680億円増の7,559億円、自動車機器事業は電動化関連製品の需要増加により同437億円増の7,043億円となり増収。
- ・営業利益は、自動車機器事業は素材価格・物流費の上昇により前年度から107億円減の△315億円の営業赤字となったものの、FAシステム事業が売上増や円安の影響で同669億円増の1,284億円となったことにより増益。
情報通信システム
売上収益は前年度比6.8%減の3,541億円、営業利益は前年度から17億円減の147億円
- ・売上収益は、情報システム・サービス事業は製造業向け開発案件の再開があったものの大口案件の減少により減収、電子システム事業は防衛システム事業の大口案件の減少により減収。
- ・営業利益は、減収の影響により減益。
電子デバイス
売上収益は前年度比17.6%増の2,414億円、営業利益は前年度から105億円増の168億円
- ・売上収益は、民生・産業・自動車向けのパワー半導体の増加などにより増収。
- ・営業利益は、増収による増益。
家庭機器
売上収益は前年度比10.2%増の1兆1,447億円、営業利益は前年度から48億円減の709億円
- ・売上収益は、半導体の需給逼迫などにより国内向け空調機器は減少したものの、欧州を中心とした空調機器の増加や円安の影響により増収。
- ・営業利益は、増収や円安の影響はあったものの、素材価格・物流費の上昇などにより減益。
2022年度(2023年3月期)の通期決算予想
部材調達難に加え、ウクライナ情勢深刻化や上海ロックダウン等の不透明感はあるものの、堅調な受注状況やマルチソース化推進などによる調達安定化、コスト増に対する価格反映などにより増収増益となる見通しです。
売上収益は、前年度比7%(2,932億円)増の4兆7,700億円となる見通しです。
営業利益は、前年度から179億円増の2,700億円となる見通しです。
親会社株主に帰属する当期純利益は、前年度から115億円増の2,150億円となる見通しです。
セグメント別の業績予想
セグメント別では、全てのセグメントが増収増益となる見通しです。
重電システム
売上収益は前年度比1.8%(218億円)増の1兆2,600億円、営業利益は前年度から38億円増の660億円
- ・売上収益は、ビルシステム事業は前年度から126億円増の5,400億円、社会インフラ事業は同92億円増の7,200億円を見込んで増収。
- ・営業利益は、社会インフラ事業が前年度から17億円増の420億円、ビルシステム事業が同21億円増の240億円を見込んで増益。
産業メカトロニクス
売上収益は前年度比6.8%(996億円)増の1兆5,600億円、営業利益は前年度から111億円増の1,080億円
- ・売上収益は、FAシステム事業は前年度から440億円増の8,000億円、自動車機器事業は同556億円増の7,600億円を見込んで増収。
- ・営業利益は、自動車機器事業は前年度から95億円改善の220億円の営業赤字も、FAシステム事業が同15億円増の1,300億円を見込んで増益。
情報通信システム
売上収益は前年度比15.8%増の4,100億円、営業利益は前年度から22億円増の170億円
電子デバイス
売上収益は前年度比16.0%増の2,800億円、営業利益は前年度から1億円増の170億円
家庭機器
売上収益は前年度比6.6%増の1兆2,200億円、営業利益は前年度から40億円増の750億円
その他、主なトピックス
今回の発表の中では、信頼回復に向けた3つの改革の進捗も明らかにしました。
- ・品質風土改革
社外からCQO・品質改革推進本部長を迎え、同本部は2022年度から本務者約100名体制へ拡大し、牽制機能の再構築として同本部品質保証監理部を全製作所に新設して出荷権限などを付与して運用を開始。
- ・組織風土改革
全社変革プロジェクト「チーム創生」が変革提言「骨太の方針」を策定し、チームメンバーが執行役とともに全国の拠点で説明会を実施中で、各事業本部に変革の専門組織を設置し推進・実行体制を強化したことに加え、2022年度はコミュニケーション改革として「さん付け」によるフラットな関係づくりや1on1ミーティングを導入。
- ・ガバナンス改革
取締役候補者に製造業経営経験者を2名選任して定時株主総会にて独立社外取締役過半化を実現予定の他、取締役会の議論充実化に向けて取締役会の開催回数を増加(2020年度:8回 → 2021年度:20回)
また、新経営体制も明らかにし、「4つのビジネスエリア(BA)を設定し、BAオーナーが幅広い事業領域を俯瞰し、中長期視点で事業の方針を定めることにより、経営戦略を加速する」としています。
- ・インフラ
レジリエントで安全・安心な社会インフラシステムの構築に貢献(事業本部:社会システム、電力・産業システム、電子システム)
- ・インダストリーモビリティ
スマートな産業社会・モビリティ社会の実現に貢献(事業本部:FAシステム、自動車機器)
- ・ライフ
豊かでサステナブルなくらしの創造に貢献(事業本部:ビルシステム、リビング・デジタルメディア)
- ・ビジネスプラットフォーム
半導体デバイス、情報システムを提供し、多様化する社会課題の解決に貢献(事業本部:インフォーメーションシステム、半導体・デバイス)
2021年度通期決算と2022年度予想
参考:電機各社の決算発表
関連する情報
2022.06.01 2021年度通期決算と2022年度通期予想:三菱電機
2022.05.31 2021年度通期決算と2022年度通期予想:東芝
2022.05.30 2021年度通期決算と2022年度通期予想:日立製作所
2022.05.27 2021年度通期決算と2022年度通期予想:シャープ
2022.05.26 2021年度通期決算と2022年度通期予想:パナソニック
2022.05.25 2021年度通期決算と2022年度通期予想:ソニー
2022.05.18 2021年度通期決算と2022年度通期予想:日立製作所、東芝、三菱電機
2022.05.17 2021年度通期決算と2022年度通期予想:ソニー、パナソニック、シャープ
2022.04.30 2021年度通期決算と2022年度通期予想:NEC
2022.04.29 富士通の経営方針進捗レビュー:2021年度実績と2022年度の取り組み
2022.04.28 2021年度通期決算と2022年度通期予想:富士通
関連記事
前へ
東芝の2021年度(2022年3月期)の通期決算は増収増益、インフラは増収減益も他セグメントが増収増益
次へ
書籍 イノベーションの不確定性原理 不確定な世界を生き延びるための進化論 | 太田 裕朗、山本 哲也(著)