NECの2025年度(2026年3月期)第1四半期決算は増収増益、Non-GAAP営業利益は約2.5倍と大幅増益

NECの2025年度(2026年3月期)第1四半期決算は増収増益、Non-GAAP営業利益は約2.5倍と大幅増益

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NECの2025年度(2026年3月期)第1四半期決算

NECが、2025年度(2026年3月期)第1四半期決算(2025年4月1日~6月30日)と通期業績予想を発表しましたので、概況を整理します。

NECは、国内ITでBluStellarを中心に収益向上施策の効果が発現して、前年同期に対して増収増益となりました。

特に、Non-GAAP営業利益は、前年同期に対して約2.5倍と大幅増益となり、国内ITの受注は引き続き高水準を維持しています。

調整後連結業績

  • ・売上収益は、前年同期に対して254億円(3.7%)増の7,157億円
  • ・調整後営業利益は、前年同期に対して290億円増の417億円
    (対売上比率は、前年同期比4.0%改善して5.8%)
  • ・Non-GAAP営業利益は、前年同期に対して237億円増の400億円
    (対売上比率は、前年同期比3.2%改善して5.6%)
  • ・親会社の所有者に帰属するNon-GAAP当期利益は、前年同期に対して118億円増の223億円

連結業績(調整前)

  • ・売上収益は、前年同期に対して254億円(3.7%)増の7,157億円
  • ・営業利益は、前年同期に対して308億円増の354億円
  • ・税引前利益は、前年同期に対して354億円増の321億円
  • ・親会社の所有者に帰属する当期利益は、前年同期に対して251億円増の193億円

2025年度(2026年3月期)の通期決算予想は、前回予想を据え置いています。
(前回予想時に、Non-GAAP営業利益は、2025年度を最終年度とする中期経営計画の目標から200億円上方修正して3,200億円)

NECの2025年度第1四半期(2024年4~6月)連結業績

NECの2025年度(2026年3月期)第1四半期決算

国内のパブリック増収とBluStellar売上増と収益性改善したITサービス、テレコムサービスのIT領域の堅調と費用効率化などで増益した社会インフラの両セグメントが増収増益となったのが貢献しています。

調整後連結業績

  • ・売上収益は、前年同期に対して254億円(3.7%)増の7,157億円
  • ・調整後営業利益は、前年同期に対して290億円増の417億円
    (対売上比率は、前年同期比4.0%改善して5.8%)
  • ・Non-GAAP営業利益は、前年同期に対して237億円増の400億円
    (対売上比率は、前年同期比3.2%改善して5.6%)
  • ・親会社の所有者に帰属するNon-GAAP当期利益は、前年同期に対して118億円増の223億円

連結業績(調整前)

  • ・売上収益は、前年同期に対して254億円(3.7%)増の7,157億円
  • ・営業利益は、前年同期に対して308億円増の354億円
  • ・税引前利益は、前年同期に対して354億円増の321億円
  • ・親会社の所有者に帰属する当期利益は、前年同期に対して251億円増の193億円

売上収益は、前年同期比254億円(3.7%)増の7,157億円

  • ・ITサービスと社会インフラの2セグメントが増収増益したことが貢献しています。
  • ・ITサービスは、海外はKMDで低収益事業の収束により減収したものの、国内のパブリック増収とBluStellar売上増により、全体では増収しています。
  • ・社会インフラは、テレコムサービスは減収したものの、ANS(Aerospace and National Security)は受注済み案件を着実に実行して増収し、全体では増収しています。

調整後営業利益は、前年同期比290億円増の417億円

  • ・ITサービスは、国内ではBluStellar売上増および収益性改善により増益、海外は前年度の構造改革費用の剥落により増益しています。
  • ・社会インフラは、テレコムサービスの開発費を中心とした費用効率化により増益、ANSは投資増あるも売上収益増に伴い増益しています。

Non-GAAP営業利益(400億円)の前年からの237億円増益要因は、オペレーション改善で+237億円(ITサービスで+205億円、社会インフラで+83億円、他で△50億円)です。

さらにNon-GAAP調整項目(資産売却益)の+17億円で、調整後営業利益417億円(対前年度比290億円の増益)となります。

なお、Non-GAAP営業利益は、買収によって認識した無形資産の償却費、M&A関連費用、一過性損益である構造改革関連費用、減損損失、株式報酬などを営業利益から排除したもので、「根源的な事業の業績を測る利益指標」としています。

セグメント別の業績

セグメント別の業績は以下の通りで、前年同期に対して、ITサービスと社会インフラが増収増益、その他が減収減益となりました。

■ITサービスは増収増益

売上収益は前年同期に対して129億円(2.6%)増の5,147億円、調整後営業利益は前年同期から250億円増の367億円

  • ・売上収益は、海外はKMDで低収益事業の収束により減収したものの、国内は前年度の大幅な受注増を背景にパブリックが増収を牽引したのに加え、BluStellarを中心とした売上増
  • ・調整後営業利益は、売上増に加え、国内・海外ともに収益性改善により増益(特に海外は前年度の構造改革費用の剥落により増益)
  • ・国内外の構成は以下の通りです。
    1. 国内の売上収益は前年同期比3.9%増の4,393億円、調整後営業利益は同226億円増の301億円
    2. 海外(DG/DF)の売上収益は前年同期比4.7%減の754億円、調整後営業利益は同24億円増の65億円

国内ITサービスのサブセグメント別の売上構成および受注動向は以下の通りで、モダナイゼーション案件を中心にDX需要は引き続き堅調に推移しています。

売上構成 国内:前年同期比3.9%増の4,393億円(連結売上収益7,157億円に対する構成比:61.4%)、受注はパブリックを中心に堅調な需要が継続したものの前年同期比3%減

  • ・パブリック:前年同期比17.5%増の1,287億円(構成比:18.0%)
    受注は前年同期比7%増で、自治体標準化の案件増に加え、消防防災の案件が堅調に推移
  • ・エンタープライズ:同1.6%減の1,414億円(同:19.8%)
    受注は同11%減(前年度大型案件の影響を除くと前年並み)
    1. 金融は同11%減
    2. 製造は同2%減
    3. 流通・サービスは同19%減
  • ・子会社他:同0.1%減の1,692億円(同:23.6%)
    受注は構造改革および法人向けPCの販売機能移管の影響で同7%減(内、アビームは同14%増)

売上構成 海外 Digital Government(DG) / Digital Finance(DF)の売上収益:前年同期比4.7%減の754億円(構成比:10.5%)

■社会インフラは増収増益

売上収益は前年同期に対して152億円(9.6%)増の1,728億円、調整後営業利益は前年同期から83億円増の98億円

  • ・売上収益は、テレコムサービスは減収したものの、ANSは受注済み案件を確実に事項して増収
  • ・調整後営業利益は、テレコムサービスは開発費を中心とした費用効率化により増益、ANSは売上増に伴い増益

サブセグメント別の売上構成は、以下の通りです。

  • ・テレコムサービス:売上収益は前年同期比0.4%減の842億円、調整後営業利益は同59億円増の68億円
  • ・Aerospace and National Security(ANS):売上収益は前年同期比21.3%増の886億円、調整後営業利益は同24億円増の30億円
    内、航空宇宙・防衛の売上収益は前年同期比32.2%増の735億円、調整後営業利益は同16億円増の45億円
■その他は減収減益

売上収益は前年同期に対して8.7%減の282億円、調整後営業利益は前年同期から17億円減の△5億円

トピックス
■2024年5月30日に発表した価値創造モデル「BluStellar(ブルーステラ)」

「BluStellarによって、以前から進めてきたDXの取り組みを強化し、新たな価値創造に向けて、お客さまのビジネス変革を加速させ、2025中期経営計画の達成に向けた成長エンジンに位置づけており、DX事業をさらに加速することになる」と位置づけています。

また、構想策定をはじめとしたコンサルティングから、サービスデリバリー、運用、保守に至るまで、すべてのビジネスプロセスにAIをフル活用し、「先端テクノロジーを集約し、AI技術とセキュリティをキーテクノロジーに位置づけて展開する。従来型のSIビジネスから進化し、顧客価値を最大化するValue Driverとなり、NECのDX事業を強化していくことになる」としています。

2024年度のBluStellarの売上収益は前年度比44.3%増の5,424億円、調整後営業利益は同438億円増の663億円

  • ・2023年度 実績
    売上収益 3,758億円、調整後営業利益 225億円、利益率 6.0%
  • ・2024年度 実績
    売上収益 5,424億円(対前年度+44.3%)、調整後営業利益 663億円(同+438億円)、
    利益率 12.2%(同+6.2%)
  • ・2025年度 計画
    売上収益 6,240億円(対前年度+15.0%)、調整後営業利益 825億円(同+162億円)、
    利益率 13.2%(同+1.0%)

2025年度第1四半期は、ITサービス(国内)において、BluStellarを中心とした売上増および収益性改善しました。

  • ・2023年度 1Q実績
    売上収益 583億円、調整後営業利益 5億円、利益率 0.8%
  • ・2024年度 1Q実績
    売上収益 1,092億円(対前年度+87.3%)、調整後営業利益 98億円(同+93億円)、
    利益率 8.9%(同+8.1%)
  • ・2025年度 1Q実績
    売上収益 1,249億円(対前年度+14.4%)、調整後営業利益 139億円(同+41億円)、
    利益率 11.1%(+2.2%)

NEC自身のDX実践事例「クライアントゼロ」の成果が、お客様やパートナーなどのステークホルダーに評価、事業拡大を牽引しているとしています。

  • ・外部評価・受賞
    DX銘柄2025、MM総研大賞2025 (DX支援分野最優秀賞)、日経クロストレンドBtoBマーケティング大賞2025 (ブランディング部門賞)
  • ・パートナリング拡大
    KDDI (サイバーセキュリティ) 、IFS (製造業、航空産業等)、Box (AIエージェント活用)
  • ・シナリオ商談獲得
    大型モダナイ(流通、金融等)、データドリブン経営、AIエージェント
■セグメントを変更(2025年度以降)
  • ・ITサービス内のNECファシリティーズをその他へ移行
  • ・社会インフラのテレコムサービス内のNECネッツエスアイをITサービスへ移行
  • ・社会インフラのテレコムサービス内の海洋を社会インフラのエアロスペース・ナショナルセキュリティへ移行
  • ・その他のグローバルイノベーション内のヘルスケア、コーポレート主管会社内のNECプラットフォームズをITサービスへ移行
その他

海外売上比率:21.2%の1,516億円(前年度:24.5%の1,694億円)

キャッシュフローの状況

  • ・営業活動によるキャッシュ・フロー:前年同期比1,493億円増の2,531億円
     投資活動によるキャッシュ・フロー:同218億円増の1億円
     フリーキャッシュ・フロー:同1,712億円増の2,532億円
  • ・財務活動によるキャッシュ・フロー:同2,520億円減の△3,102億円
  • ・現金及び現金同等物の期末残高:同169億円増の5,267億円

資産、負債、資本の状況(2025年6月末)

  • ・資産:2024年3月末に対して4,404億円減の3兆8,749億円
    (流動資産は同3,197億円減の1兆9,052億円、非流動資産は同1,206億円減の1兆9,697億円)
  • ・負債:同3,406億円減の1兆9,031億円
  • ・資本:同998億円減の1兆9,718億円
     親会社所有者帰属持分:同587億円減の1兆8,933億円
     親会社所有者帰属持分比率:同3.6ポイント増の48.9%
  • ・D/Eレシオ(倍):同0.07ポイント増の0.27
  • ・ネットD/Eレシオ(倍):同0.05ポイント増の△0.01

2025年度(2026年3月期)の通期決算予想

NECの2025年度(2026年3月期)通期決算予想

2025年度(2026年3月期)の通期決算予想は以下の通りで、前回予想を据え置いています。

なお前回予想において、Non-GAAP営業利益は、2025年度を最終年度とする中期経営計画の目標から200億円上方修正して3,200億円としています。

  • ・売上収益は、前年度比634億円(1.9%)減の3兆3,600億円
  • ・調整後営業利益は、同228億円増の3,100億円(対売上比率:同0.8%増の9.2%)
  • ・Non-GAAP営業利益は、同87億円増の3,200億円(対売上比率:同0.4%増の9.5%)
  • ・Non-GAAP当期利益は、同43億円増の2,300億円
  • ・EBITDAは、同34億円増の4,450億円
  • ・ROICは、同0.7%増の7.3%
  • ・フリー・キャッシュ・フローは、同768億円増の2,900億円
  • ・1株当り配当金は、同4円増の32円
セグメント別の業績予想
■ITサービスは減収増益

国内は法人向けPCの販売機能移管や子会社の一部事業収束に伴い減収も、継続的な収益性向上により増益を計画し、海外は収益性向上と前年度一過性費用の剥落により増益を計画しています。

  • ・売上収益は、前年度比1,198億円(4.9%)減の2兆3,400億円
  • ・調整後営業利益は、同492億円増の3,010億円(対売上比率:12.9%)
  • ・国内ITサービスの売上収益は前年比5.4%減の2兆200億円、調整後営業利益は同305億円増の2,630億円
    (減収は法人向けPC販売機能をNECパーソナルコンピュータへの移管や子会社の一部事業収束によるものであるが、継続的な収益性向上により増益の見込み)
  • ・海外(DG/DF:デジタル・ガバメント/デジタル・ファイナンス)の売上収益は前年比1.2%減の3,200億円、調整後営業利益は同187億円増の380億円
    (収益性向上と前年度の一過性費用の剥落により増益を計画)
■社会インフラは増収増益

売上収益はANSでの獲得済みの案件の確実な実行、海洋での前年度の一過性費用の剥落により増収増益を計画しています。

  • ・売上収益は、前年度比529億円(6.4%)増の8,850億円
  • ・調整後営業利益は、同85億円増の690億円(対売上比率:7.8%)
  • ・テレコムサービスの売上収益は前年比12.6%減の3,600億円、調整後営業利益は同156億円減の350億円
    調整後営業利益は、前年度の一過性要因の反動による減益を計画
  • ・ANSの売上収益は前年比24.9%増の5,250億円、調整後営業利益は同241億円増の340億円
    獲得済みの案件の確実な実行、海洋での前年度の一過性費用の剥落により増収増益を計画
  • ・ANS内航空宇宙・防衛の売上収益は前年比16.0%増の4,310億円、調整後営業利益は同8億円増の440億円
    事業機会獲得のための投資を実行
■その他は増収減益
  • ・売上収益は、前年度比35億円(2.7%)増の1,350億円
  • ・調整後営業利益は、同50億円減の△80億円(対売上比率:△5.9%)
■調整額
  • ・調整後営業利益は、同299億円減の△520億円

参考:電機各社の決算発表

富士通 株式会社(2025年7月30日発表予定)

日本電気 株式会社(2025年7月29日発表)

株式会社 日立製作所(2025年7月31日発表予定)

ソニー 株式会社(2025年8月7日発表予定)

パナソニック 株式会社(2025年7月30日発表予定)

三菱電機 株式会社(2025年7月31日発表予定)

シャープ 株式会社(2025年8月8日発表予定)

電機とITの決算

2025.7.29 2025年度第1四半期決算と通期予想:NEC

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