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東芝が、2021年度(2022年3月期:2021年4月1日~2022年3月31日)通期決算と2022年度(2023年3月期)通期業績予想を発表しましたので、概況を整理します。
2021年度の売上収益は、全セグメントが増収したことにより、全体では前年度比9%増の3兆3,370億円となりました。
営業利益は、半導体やエネルギー事業を中心に増益となり、前年度から545億円増の1,589億円となりました。
株主に帰属する当期純利益は、前年度から807億円増の1,947億円となりました。
2022年度予想は、売上収益はビルソリューションとデジタルソリューションが減収減益も他の4セグメントが増収増益で、前年度比1%減の3兆3,000億円となる見通しです。
営業利益は、半導体不足の影響(△60億円)や素材・輸送費高騰(△270億円)を想定するも、前年度から111億円増の1,700億円となる見通しです。
東芝の2021年度(2022年3月期)連結業績
売上収益は、全セグメントが増収したことにより、全体では前年度比9%(2,826億円)増の3兆3,370億円となりました。
営業利益は、半導体やエネルギー事業を中心に増益となり、前年度から545億円増の1,589億円となりました。
株主に帰属する当期純利益は、前年度から807億円増の1,947億円となりました。
セグメント別の業績
セグメント別では、インフラシステムソリューションが増収減益となった他、エネルギーシステムソリューション、ビルソリューション、リテール&プリンティングソリューション、デバイス&ストレージソリューション、デジタルソリューションの5セグメントは増収増益となりました。
エネルギーシステムソリューション
売上収益は前年度比13%増の5,590億円、営業利益は前年度から248億円増の356億円
- ・売上収益は、原子力・火力・水力事業で安全対策工事関連の高低進捗差で減収となったものの、為替影響+130億円などにより増収。
- ・営業利益は、増収による増益に加え、為替影響+10億円と構造改革効果+6億円により増益。
インフラシステムソリューション
売上収益は前度年並みの6,547億円、営業利益は前年度から61億円減の417億円
- ・売上収益は、鉄道・産業システム事業で規模減少があったものの、公共インフラ事業の社会システム事業規模増に加え、為替影響+46億円により前年並み。
- ・営業利益は、公共インフラ事業の増益はあったものの、産業システム事業での減収と素材高騰影響および構造改革費増、鉄道事業の海外案件コスト増が影響して減益。
ビルソリューション
売上収益は前年度比10%増の5,990億円、営業利益は前年度から26億円増の263億円
- ・売上収益は、照明事業は減収したものの、昇降機(国内外)と空調事業が増収したことにより増収。
- ・営業利益は、昇降機(国内外)と照明事業で減益したものの、空調事業の増益したことにより増益。
リテール&プリンティングソリューション
売上収益は前年度比10%増の4,532億円、営業利益は前年度から97億円増の117億円
- ・売上収益は、リテール事業およびプリンティング事業ともに増益したことに加え、為替影響+171億円により増収。
- ・営業利益は、増収による増益に加え、為替影響+10億円、構造改革効果+61億円により増益。
デバイス&ストレージソリューション
売上収益は前年度比21%増の8,598億円、営業利益は前年度から532億円増の657億円
- ・売上収益は、車載を中心に市場回復した半導体事業、工場稼働回復および大容量データセンター向け販売が増加したHHD事業が増収したことに加え、為替影響+324億円により増収。
- ・営業利益は、増収による増益に加え、為替影響+87億円、構造改革効果+125億円により増益。
デジタルソリューション
売上収益は前年度比4%増の2,306億円、営業利益は前年度から45億円増の244億円
- ・売上収益は、官公庁向けシステム案件の増加により増収。
- ・営業利益は、増収による増益。
2022年度(2023年3月期)の通期決算予想
売上収益は、前年度比1%(370億円)減の3兆3,000億円となる見通しです。
営業利益は、前年度から111億円増の1,700億円となる見通しです。
株主に帰属する当期純利益は、前年度から197億円減の1,750億円となる見通しです。
セグメント別の業績予想
セグメント別では、ビルソリューションとデジタルソリューションが減収減益、エネルギーシステムソリューション、インフラシステムソリューション、リテール&プリンティングソリューション、デバイス&ストレージソリューションの4セグメントが増収増益となる見通しです。
エネルギーシステムソリューション
売上収益は前年度比9%増の6,100億円、営業利益は前年度から84億円増の440億円
- ・売上収益は、発電システム事業が前年度比3%増の3,950億円、送変電・配電事業が同23%増の2,250億円を見込んで増収。
- ・営業利益は、原子力・火力・水力で前年度から76億円減を見込むも、発電システム事業全体では同2億円増の360億円、送変電・配電事業も同58億円増の80億円を見込んで増益。
インフラシステムソリューション
売上収益は前度年比7%増の7,000億円、営業利益は前年度から93億円増の510億円
- ・売上収益は、鉄道・産業システム事業が前年度比10%増の3,400億円、公共インフラ事業が前年度比5%増の4,250億円を見込んで増収。
- ・営業利益は、公共インフラ事業は前年度から40億円減の410億円を見込むものの、産業システム事業で同133億円増の100億円を見込んで増益。
ビルソリューション
売上収益は前年度比27%減の4,400億円、営業利益は前年度から73億円減の190億円
- ・売上収益は、照明事業は前年度比14%増を見込むものの、昇降機が同10%減と空調事業が同61%減が影響して減収。
- ・営業利益は、減収による減益。
リテール&プリンティングソリューション
売上収益は前年度比2%増の4,600億円、営業利益は前年度から63億円増の180億円
デバイス&ストレージソリューション
売上収益は前年度比7%増の9,200億円、営業利益は前年度から143億円増の800億円
- ・売上収益は、HDD事業が前年度比1%減の4,900億円を見込むものの、半導体事業で同18%増の4,300億円を見込んで増収。
- ・営業利益は、半導体事業で前年度から130億円増の620億円、HDD事業で同13億円増の180億円を見込んで増益。
デジタルソリューション
売上収益は前年度並みの2,300億円、営業利益は前年度から24億円減の220億円
その他、主なトピックス
主な営業外損益の状況
- ・2020年度:東芝ロジスティクス株式会社(現、SBS東芝ロジスティクス㈱)の売却益 166億円、東芝クライアントソリューション株式会社(現、Dynabook㈱)の株式譲渡に係る価格調整等 71億円
- ・2020年度から2021年度:キオクシア持分法損益差+475億円(2020年度 △54億円 → 2021年度 421億円)
2022年見通しの営業利益1,700億円達成に向けては、半導体不足影響で△60億円を想定するも増収と固定費削減で営業利益を330億円達成し、素材・輸送費高騰で△270億円を想定するも売価アップや構成差など+556億円でカバーして、営業利益 286億円達成を目指しています。
2021年度通期決算と2022年度予想
参考:電機各社の決算発表
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