戦略とイノベーション戦略が融合する現代では、心理学ディシプリンを取り込むことが重要

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戦略領域の各分野の主要テーマ

入山 章栄『世界標準の経営理論』ダイヤモンド社(2019年)を参考にしてATY-Japanで作成

 

『世界標準の経営理論』(入山 章栄、ダイヤモンド社、2019年)では、複雑なビジネス・経営・組織のメカニズムを解き明かすために発展してきた「経営理論」を、可能なかぎり網羅・体系的に整理しています。

そして本書では、「戦略」「イノベーション」というビジネス現象と相性の良い経営理論について整理しています。

そこで、戦略領域の構造に加え、戦略とイノベーション戦略が融合する現代において、戦略に心理学ディシプリンを取り込むことの重要性について、本書を参考にして整理します。

 

戦略とイノベーション

経営戦略は、「企業の所有者に代わり、ゼネラルマネジャーが経営資源を使いながら、外部環境の中でその業績を高めるための、意図的あるいは非意図的な大きなイニシアティブ」を扱う領域である。

経営戦略は、「資源の活用を通じて業績向上という目的を実現するために不可欠な行動を取ることで、企業が環境に対応するダイナミクス」である。

 

戦略領域の構造

戦略領域の構造

入山 章栄『世界標準の経営理論』ダイヤモンド社(2019年)を参考にしてATY-Japanで作成

 

本書では、世界の経営学における戦略領域は複数の分野に枝分かれし、戦略研究されているとしています。

まず、戦略意思決定の中身そのもを検討する分野の「戦略コンテンツ」と、戦略の策定プロセスに注目する「戦略プランニング」に分かれます。

次に「戦略コンテンツ」は、企業が市場で行う戦略活動すべてをカバーする「市場戦略」と、企業が政府部門・NGO・市民社会などの非市場(非営利)セクターに働きかけて自社の競争を有利に進める戦略の「非市場戦略」に分かれます。

そして「市場戦略」は、特定の事業ドメインで企業がライバルに勝つための行動を分析する「競争戦略」と、より高次の視点から市場や事業ドメインの探求及び市場参入の手段を分析する「企業戦略(全社戦略)」に分かれます。

 

戦略領域の各分野の主要テーマ

戦略領域の各分野の主要テーマ

入山 章栄『世界標準の経営理論』ダイヤモンド社(2019年)を参考にしてATY-Japanで作成

 

戦略・イノベーションと経営理論のマトリックス

経済学とマクロ心理学ディシプリン

「競争戦略」から「戦略プランニング」までは、組織を一つの単位としてとらえる「マクロ心理学ディシプリン」が空白になっていますが、「イノベーション・組織学習領域」は「マクロ心理学ディシプリン」の理論で埋まっています。

これは、知の探索・知の深化の理論、組織の記憶(TMS:トランザクティブ・メモリー・システム)理論などの認知心理学ベースの理論をまとめて「イノベーション・組織学習の理論」という現象の側面で表しているからです。

それだけイノベーション・組織学習は、認知心理学と親和性が強いとしています。

 

ミクロ心理学と社会学ディシプリン

入山 章栄『世界標準の経営理論』ダイヤモンド社(2019年)を参考にしてATY-Japanで作成

 

戦略とイノベーション戦略の融合

これまでの経営学では、「戦略」と「イノベーション」は別物として扱われてきたようですが、近年は同義にとらえられ始めているようです。

その理由は、主に以下の通りとしています。

  • ・イノベーションを「企業が新しいことをして、前に進むこと」と広義にとらえるなら、それは世界中の大部分の企業が直面している課題である。
  • ・そのため、これからの時代の戦略は、「イノベーションが前提」でなくてはならないし、両者は融合し、一本化されなければならない。

そこで企業が目指すべきことは「安定した、持続的な競争優位」ではなく、「連続する変化への対応」である。

激しい変化に対応するには、企業はライバルに先んじて新しい手を打ち、俊敏に、大胆に自身を変化させる必要があり、イノベーションは戦略の一部ではなく、イノベーションそのものが戦略になってきている。

不確実性が高く、変化が非常に激しい時代に突入した現代では、利益などの過去の実績ベース以上に、「どのような将来・未来を世界に対して生み出せるか」という、グローバル競争では質的に変化している可能性がある。

そのため、普通の人が予見できないような未来像を提示し、その実現に向けて行動し、投資家、顧客、他のステークフォルダーに「未来」を期待させる企業・経営者が求められる。

そこで、「心理学ディシプリン」のイノベーション理論が重要になってくるが、「経済学ディシプリン」の理論の有用性は色あせるものではない。

経営理論とは、人間や組織の本質をそれぞれのディシプリンの側面から描き出すものであり古びない。

個人やチームなどの組織内のより細かい単位の行動メカニズムをとらえる「ミクロ心理学ディシプリン」では、トランスフォーメーショナル・リーダーシップ理論やセンスメイキング理論も重要になってくる。

但し、未来を見るうえでは、思考の軸になる理論が変わってくる可能性があり、時には組み合わされることもある。

 

参考

戦略・イノベーションと経営理論(当サイト)

 

関係する書籍(当サイト)

世界標準の経営理論

世界標準の経営理論

入山 章栄(著)
出版社:ダイヤモンド社(2019/12/12)
Amazon.co.jp:世界標準の経営理論

 

 

lead-and-disrupt

両利きの経営 「二兎を追う」戦略が未来を切り拓く

チャールズ・A・オライリー(著)、マイケル・L・タッシュマン(著)、入山章栄(監訳・解説)、冨山和彦(解説)
出版社:東洋経済新報社(2019/2/15)
Amazon.co.jp:両利きの経営

 

 

20151203

ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学

入山 章栄(著)
出版社:日経BP社 (2015/11/20)
Amazon:ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学

 

 

20151203_2

世界の経営学者はいま何を考えているのか
知られざるビジネスの知のフロンティア

入山 章栄(著)
出版社:英治出版(2012/11/13)
Amazon:世界の経営学者はいま何を考えているのか

 

 

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