書籍 Pitch ピッチ 世界を変える提案のメソッド/Open Network Lab(著)

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Pitch ピッチ 世界を変える提案のメソッド

Open Network Lab(著)
出版社:インプレス(2020/7/27)
Amazon.co.jp:Pitch ピッチ 世界を変える提案のメソッド

 

 

Pitch ピッチ 世界を変える提案のメソッド

誰でも人を動かし、世界を変えられる

5分で相手の決断を引き出す。
成功のための前提条件を証明し、価値観を置き換える
スタートアップ育成プログラムから生まれた提案のメソッド

 

 

本書は、株式会社デジタルガレージが運営する日本初のスタートアップ・アクセラレーター「Open Network Lab(通称:Onlab オンラボ)」が、最短で相手の決断を引き出す最強のメソッド「ピッチ」のノウハウとともに、その背景にあるビジネスの作り方や磨き方を詳しく解説した一冊です。

「グローバルで活躍する起業家の育成・支援」を目的に2010年4月に活動を開始し、これまでに日本・米国をはじめとする世界の様々な国や地域のスタートアップから累計1,000チーム以上の応募があり、その中から述べ150社以上ものスタートアップに投資し、事業支援を行っています。

「世界に羽ばたく企業のサポートを通じて、日本のスタートアップ業界の底上げする」という志でスタートした「Onlab オンラボ」の10周年アニバーサリーとして、スタートアップのバイブルというべきメソッドを惜しみなく公開しています。

この「Onlab オンラボ」が開催する、3か月間のプログラムの締めくくりに投資家を招待して行うピッチイベント「デモデイ」で、実際に発表されたスタートアップのピッチ資料を提示しながら、ピッチの作り方や見せ方のポイントを丁寧に解説していますので、スタートアップの方々だけではなく、企業内で既存事業の変革や新たな事業を展開しようとしているリーダーの方々とって、新たに物事を起こす際の「人を動かす」ノウハウを学ぶことができます。

 

本書は6章で構成されており、「ピッチ」のノウハウとともに、その背景にあるビジネスの作り方や磨き方を詳しく解説しています。

  • ・第1章では、ピッチの意義について解説し、本当の「価値」を見極める7項目のフレームワークを紹介しています。
  • ・第2章では、「Onlab オンラボ」のデモデイで実際にスタートアップが人の心を動かしたピッチを紹介しながら、「人を動かす」ポイントを紐解いています。
  • ・第3章では、「Onlab オンラボ」の3ヶ月で取り組む「ピッチで人を動かす」準備の中で、プロダクトを具体化するプロセスについて詳細に解説しています。
  • ・第4章では、デモデイに向けたピッチの準備として、ピッチを組み立てる手順(STEP1~6)について、「Onlab オンラボ」のプログラムを例示しながら解説しています。
  • ・第5章では、「Onlab オンラボ」の卒業生3名のインタビューを紹介しています。
    「Onlab オンラボ」で得たもの、起業を考えている人へのメッセージなど、経験者ならではの率直なメッセージを語っています。
  • ・第6章では、Open Network Lab創設者から読者への熱いメッセージを語っています。
    「Onlab オンラボ」を2010年に開始したときの想い、以降10年間の振り返り、そして今後のNew Normal時代への突入に向けた取り組みについて提言しています。

 

この本でご紹介する「ピッチ(Pitch)」のメソッドは、「ここ!」というあなたにとってもっとも大切なときに、あなたの言葉で「人を動かす」ためのメソッドです。

そのメソッドは、私たちが10年の歳月をかけて築き上げてきたものです。

エレベーター・ピッチほどではないにしても、一般にスタートアップに与えられる提案のための時間は長くありません。

それに加えて、起業にまつわるあらゆるタスクに少数精鋭で取り組むスタートアップにとって、時間はとても重要です。

限られた時間の中で、機会を捉えて人の心をつかみ、相手を決断に導かなくてはなりません。

「話を聞く用意のなかった人をも、口説き落とす」、それがスタートアップに求められるピッチなのです。

 

ピッチとは何か?

ピッチとプレゼンテーションとの比較

『Pitch ピッチ 世界を変える提案のメソッド』インプレスP(2020年)を参考にしてATY-Japanで作成

 

ピッチとは、相手の決断を引き出す提案方法である。

相手の予備知識や環境などの条件が整っていない中でも、その場で相手の決断を引き出すのをゴールにする。

「相手に何をしてほしいのか」を明確に述べる。

投資家に向けたピッチでは、彼らが必ず注目する「成長性」を明確に示す。

  • ・トラクション:直近の顧客需要の伸び(定量的指標で事業推進力を測る)
  • ・グロース:事業の成長率

スタートアップが成長するうえで重要となるのが、「不確実性」を可能な限り取り除き、仮説検証によって事実に置き換えていく作業である。

そのためには、創業者以外の視点から事業を捉え直し、プロダクトとピッチを磨いていかなければならない。

 

本当の「価値」を見極める7項目のフレームワーク
本当の「価値」を見極める7項目のフレームワーク

『Pitch ピッチ 世界を変える提案のメソッド』インプレスP(2020年)を参考にしてATY-Japanで作成

 

プロダクト(アイデア)に本当に価値があるかを見極めるためのチェックシートであると同時に、ピッチに「人を動かす」力を持たせるための重要なツールでもある。

スタートアップの場合、実現すべきことがあればあるほど、「不確実性」の要素が増え、成功にたどり着ける可能性が狭まるため、「これさえ実現できれば、人が対価を支払ってでも使ってくれる」ように、可能な限りシンプルに描けるように考える。

「誰かの課題を解決できるプロダクトが成功する」という考え方に基づいており、以下の視点が大きいほど成功の可能性は高まる。

  • ・「誰の」の人数やその経済力の大きさが大きければ大きいほど
  • ・「課題を」が切実であればあるほど
  • ・「解決する」効果が高ければ高いほど

「誰の」「課題を」「解決する」「なぜ今」の4項目は、プロダクトの基本的な価値の「仮説」となり、これらが検証できれば、その事業の意義が確認できる。

「既存代替品」「市場規模」「なぜあなた」の3項目は、社会的な価値と創業者自身にとっての価値を見極めるための項目となる。

プロダクトやアイデアの価値を7項目のフレームワークに結晶化していく過程で様々な問題点や不確実性が見えてくるが、そのたびに検証を繰り返すことでプロダクトやアイデアの重要でない要素や不確実性が取り除かれ、ピッチが「人を動かす」力を増していく。

 

ピッチの組み立て方

STEP1.必要な要素を洗い出す
相手の価値観を見極め、ピッチに必要な要素を洗い出す

STEP2.プロットを組み立てる
視点それぞれについて一言で価値を表現し、全体の流れを組み立てる

STEP3.ストーリーを設計する
プロットをもとに、相手を決断へ導く流れを設計する

STEP4.スクリプトを用意する
語り手のためのスクリプト(台本)を用意する

STEP5.スライド資料を作成する
語り手の言葉がもっとも効果的に響くように、ビジュアルを演出する

STEP6.実演し、効果を高める
実演して客観的に効果を検証し、必要な対策を施す

 

ピッチの成功は「どれだけ自分の取り組みの価値を磨けたか」「どれだけ相手の立場からその自分の取り組みを見直すことができたか」にかかっている。

ピッチのために準備するもの

  • ・語る言葉
  • ・言葉をより効果的に伝えるためのスライド資料
  • ・語り手の話し方や振る舞い

相手にどんな思考と感情の流れが生まれたら決断してもらえるかを見据えて話す。

ピッチの準備に大切なポイント

  • ・Context(コンテクスト)
    人が何かに価値を感じる物事の見方、ピッチを聞く側にとっての価値
  • ・Design(デザイン)
    スライド資料の見た目だけではなく、相手を決意に導くためにピッチ全体の流れの構成の設計(ストーリー、シナリオ、ビジュアルなど)
  • ・Delivery(デリバリー)
    利用できるものは何でも活用して、相手の決断の瞬間を能動的に演出する意識

届けるメッセージは「論理的」に構成し、相手にサプライズを与えるための「内容の独自性」をもたせる。

 

「ピッチ」は皆さんの「アイデアの結晶」であると同時に、Principle(プリンシプル)です。

刻々と変わりゆく時代、一度結晶化したアイデアはすぐに溶けていきます。

そして、ピッチはゴールではありません、自分の人生のセレンディピティ(予期せぬ運命的な出会い)の契機となる開運のベルです。

「THINK FOR TOURSELF AND QUESTION AUTHORITY ―― 自分で考えよ。そして常識を疑え」

 

まとめ(私見)

本書は、アイデアやビジネスの提案方法である「Pitch(ピッチ)」を「人を巻き込む技術」として捉え、そのメソッドを紹介した一冊です。

Open Network Labが2010年4月に活動を開始して以来10年間の歴史の中で、多くのスタートアップの事業創出の瞬間や成長の過程に立ち会ってきた著者らならではのノウハウを惜しみなく紹介してくれていますので、スタートアップの方々だけではなく、企業内で既存事業の変革や新たに事業を展開しようとしているリーダーの方々とって、新たに物事を起こす際の「人を動かす」ノウハウを学ぶことができます。

活動開始以来10年間で、タイミング、アイデアやプロダクトが適切であっても、投資家などの協力者や支援者の心を正しい言葉によってつかみ、相手に行動させることが出来なければ成功には繋がらない例をいくつも見てきたとしています。

本書には、「Onlab オンラボ」を卒業したスタートアップ11社を随所に紹介し、アイデアの具体化からピッチの組み立てをどのようにして実現してきたかを実際の資料を示しながら解説してくれていますので、内容の理解を深めることができます。

 

今や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響に伴い、New Normal時代に向けた変革が急務となっています。

そのためには、以前からの変革やDX(デジタルト・ランスフォーメーション)への取り組みに加え、新たな視点からのアプローチも必要となってきます。

新たに事業を起こそうとしているスタートアップの方々にとっては投資家、企業内で既存事業の変革や新規事業を立ち上げようとしている方々にとっては経営陣やステークフォルダーなどに、自分たちのビジネスの有効性を理解して、決断してもらわないといけません。

そのためには、相手が「何に注目するか」「どう受け止めるか」に想像力を働かせて、相手や目的に合わせて要点を絞り、短い時間でも、伝えて「決める」というピッチのノウハウは、「人を巻き込んでいく技術」として必要となってきます。

本書は、最短で相手の決断を引き出す「ピッチ」とともに、その背景にあるビジネスの作り方や磨き方を考えていくうえで参考になる一冊です。

 

目次

この本について

第1章 ピッチとは何か?

 ピッチは「相手に決断させる」もの
 社会にとっての価値、自分にとっての価値
 なぜあなたが? あなたがやるべき課題にたどり着いた瞬間
 7項目のフレームワークは、あらゆるシーンに活用できる
 オンラボ卒業生ストーリー1:WHILL

第2章 スタートアップがピッチで「人を動かした」事例

 「人を動かす」には、何をどう伝えればいいか
 「スマートHR」――人を動かす、ピッチの事例①
 「キャンセル」――人を動かす、ピッチの事例②
 「プレカル」――人を動かす、ピッチの事例③
 オンラボ卒業生ストーリー2:カラバト

第3章 ピッチで人を動かすために/アイデアの具体化

 ピッチで人を動かすには、必要な「準備」がある
 常識にとらわれずに、新しいことを成功させるための考え方
 成功するためのアイデアの検証
 「ユーザー/課題」フィット検証
 「課題/解決策」フィット検証
 「解決策/プロダクト」フィット検証
 「プロダクト/市場」フィット検証
 自分のアイデアを疑える人が、アイデアを成功させる
 オンラボ卒業生ストーリー3:ロジクラ

第4章 ピッチの組み立て方

 ピッチの「正しい準備」とは
 ピッチを組み立てる手順
 STEP1 必要な要素を洗い出す
 STEP2 プロットを組み立てる
 STEP3 ストーリーを設計する
 STEP4 スクリプトを用意する
 STEP5 スライド資料を作成する
 STEP6 実演し、効果を高める
 人の心を動かすために
 オンラボ卒業生ストーリー4:PIRIKA

第5章 オンラボ卒業生インタビュー

 Interview 1 太田睦さん(株式会社ギフティ代表取締役)
 Interview 2 宮田昇始さん(株式会社SmartHR代表取締役)
 Interview 3 橋本直也さん(株式会社Kids Public代表取締役)
 オンラボ卒業生ストーリー5:FRIL

第6章 未来を切り拓くピッチ

 未来の扉をひらくあなたへ
 おわりに

 

参考

Open Network Lab (オープンネットワークラボ)

書籍『Pitchピッチ 世界を変える提案のメソッド』7月27日発売 | by Open Network Lab | BLUE DOTS | Medium

 

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