書籍 モダンエルダー 40代以上が「職場の賢者」を目指すこれからの働き方/チップ・コンリー(著)

書籍 モダンエルダー 40代以上が「職場の賢者」を目指すこれからの働き方/チップ・コンリー(著)

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モダンエルダー 40代以上が「職場の賢者」を目指すこれからの働き方

チップ・コンリー(著)、外村 仁(解説)、関 美和(翻訳)、大熊 希美(翻訳)
出版社:日経BP (2022/1/20)
Amazon.co.jp:モダンエルダー

  • 働き続ける時代に知っておきたい
    知恵と経験で、20歳年下に頼りにされる方法

    変化を恐れない、新人の気持ちになる、仲間と知恵を交換する、アドバイスの能力を磨く

関連書籍
 2023年03月04日 リード・ホフマン『スタートアップ的人生(キャリア)戦略』NewsPicks (2023/1/6)
 2022年07月07日 アダム・グラント『THINK AGAIN』三笠書房 (2022/4/18)
 2022年03月19日 クリスチャン・ブッシュ『セレンディピティ 点をつなぐ力』東洋経済新報社 (2022/2/4)

本書は、著述家、ホスピタリティー起業家の著者が、エアビーアンドビーのシニアアドバイザーとして、創業者に尊敬され、会社を急成長させた4つの秘訣を明かした一冊です。

著者は、もともとはホテルチェーンの創業者でしたが、エアビーアンドビーに50歳代で入社し、CEOのメンターとしてだけではなく、ホスピタリティー部門の責任者として活躍してきました。

大きく年の離れた若者たちに囲まれ、頼りにされたのはなぜか、地位や肩書ではなく、知恵と経験によって尊敬される「新しい年長者」としての働き方を明らかにしていますので、ベテランの方々だけではなく、現役のリーダーの方々にとって、自身の「新しい人生設計」や「存在意義」を考えていくうえで大変参考になります。

本書は10章で構成されており、モダンエルダーとはどんな存在なのか、どうしたらモダンエルダーになれるのかを体系的に解説しています。

特に第4章から第7章では、「進化し、学び、協力し、助言する」というモダンエルダーの4つの能力について、章を独立して詳細に解説しています。

さらに付録には、著者のお気に入りの言葉や書籍、記事や映画、講演動画、ウェブサイトやブログ、学術論文や企業などを紹介しています。

  • ・第1章では、著者の業務経験を紹介しながら年長者の重要性を説き、賢者に対するさまざまな学術研究を紹介したうえで、「年寄り」から「年長者」への変革の必要性、モダンエルダーの人物像について解説しています。
  • ・第2章では、なぜ著者がエアビーアンドビーを破壊する役割を担うことになったか、モダンエルダーとして初期にどのような学びを得たかを語っています。
  • ・第3章では、時代遅れの高齢化の枠組みや、現代に合わない3段階の職業人生の型から自分を開放するための方法、自分をモダンエルダーとして再構築する方法を紹介しています。
  • ・第4章では、4つの能力の最初の「進化する力」について、年より臭い姿から抜け出し、新しい様式を身に着け、新鮮で時代に合った評価と個人ブランドを得るための方法を教えています。
  • ・第5章では2つ目の能力「学び」について、新人の気持ちになることの大切さ、新鮮な視点で学習能力を高める方法を紹介し、旺盛な好奇心が変化のきっかけになることを説明しています。
  • ・第6章では3つ目の能力「協力」、協力して事業や取り組みを拡大していく能力で、年長の社員が前向きに周囲と協力することがチームの成果を高める傾向があること、世代間の知恵の継承、若い人たちにとどんな知恵を交換すべきかを述べています。
  • ・第7章では4つ目の能力「助言」について、年長者として見られて得することは若い人たちの内緒の相談相手になれることや、キャリアを伸ばしてくれる奇跡の栄養剤のように見てくれることだとして、アドバイスを与える力を伸ばすことになぜ喜びを感じるかについて述べています。
  • ・第8章では、4つの能力をつなぎ合わせ、職場での第二の活躍の舞台を整えるための実践的な方法に加え、非営利セクター、芸術、教師やコーチ、起業家といった年長者の物語を紹介しています。
  • ・第9章では、モダンエルダーを企業に引き留めることが競争優位になり、年長者をうまく活用すれば企業の大きな上昇を創出できるとして、すべての世代が成功できる環境づくりの必要性を企業経営者や人事部に対して提言しています。
  • ・第10章では、これまでの章のまとめとして、職場の内外で自分の足跡を残すとはどういうことなのか、初心者の気持ちと達人としての情熱を同時に心に抱き、できるだけ長く活発な人生を送り続けるためにはどうしたらいいかを語っています。

今回あなたが挑戦するのが、仕事人生の第二幕であろうと、第三幕、あるいは第四幕であろうと、本書にある原則と実例を読めば、あなたのスキルと経験を活かすことで今の時代についていくだけでなく、職場に欠かせない人材になれることがわかるはずだ。

この世界はいつの時代より今、あなたの知恵を必要としている。

モダンエルダー

モダンエルダー 40代以上が「職場の賢者」を目指すこれからの働き方

『モダンエルダー 40代以上が「職場の賢者」を目指すこれからの働き方』を参考にしてATY-Japanで作成

モダンエルダーの人物像

モダンエルダーは、長く生きていることで多くのスキルを身に着けているだけでなく、「何かを会得するためのスキル」を身に着けていて、そのスキルは新しいことを学ぶときにも応用する。

モダンエルダーは、特定の年齢を超えている必要はないし、会社の中で高い地位にいなくてもいいが、周囲の人たちより年長で賢い。

生物的な年齢が何歳にしろ、モダンエルダーは重みと謙虚さをいい具合に混ぜ合わせている。

人生の前半で多くの失敗を経験した人は、環境の最適化能力も上がっているので、判断力も向上する。

モダンエルダーは、若い人たちの中に芽生えつつある知恵に気づく。

モダンエルダーは、

  • ・新しい様式を身に着け、新鮮で時代に合った評判と個人ブランドを得るために進化し続ける。
  • ・メンターであると同時にインターンでもあり、特定の物事に精通したいと心の底から欲している。
  • ・前向きに周囲と協力し、チームの成果を高める。
  • ・アドバイスを与える力を伸ばすことに喜びを感じる。

世代を超えた活動、優秀な人材不足への対策、顧客の高齢化への対応など、モダンエルダーを企業に引き留めておくことが企業の競争優位につながる。

年齢とともに知恵を集めるスキルが身につく。

大人の中でも年齢が若いと目の前の利益につながる判断を即座に下したがるが、年齢が上がると未来を視野に入れた戦略的な判断を下せるようになる。

究極の知恵とは、自信と懐疑心の程よい調和であり、そのどちらかをいつ強めたらいいのかを知っていることである。

賢者とは、自分のつまずきやすい点を自覚しており、深く考え他者に共感でき、健全な判断ができる人物である。

職場での「賢さ」とは、多岐にわたる情報を素早く取り込んで物事の「核心」を摘み、全体を俯瞰したり組織的に考えたりすることができる能力である。

経験を積んだ年長者は成熟した脳の中に解決策が蓄積されているため、より多くの情報を処理して多くの解決策を提案できる。

陳腐化のスピードがますます加速する時代では、専門知識のない年長の世代には価値がなくなるのではなく、特定分野の狭い考えを全体像として見る力によってむしろ価値が上がる。

「年寄り」は地上に長く存在しているということだけで、「年の功」は生きた年月のあいだに成し遂げた蓄積であり、自分が学んだことを深く考え、それを知恵に組み入れて若い世代に提供する。

モダンエルダーの知恵

1.優れた判断力

長年培ってきた知恵に基づいて、長期的に物事を見ることができる。

過去にさまざまなものを見たり経験したりすればするほど、次々とやってくる問題に上手く対処できるようになる。

年をとればとるほど、人は「環境の達人」となり、自分が活躍できる環境をつくり出したり選んだりする能力に長けてくる。

2.本物の洞察

採用面接にしろ戦略議論にしろ、雑多な情報の中から注意を向けるべき根源的な課題をとっさに見分けることができる。

経験によって得られる大切な資源のひとつが、物事をはっきりと見通す力、直感的な洞察である。

賢い年長者の観察力には、飾らずとも洗練された本物らしさがある。

雑多な情報の中から、最も注意すべき根源的な問題を見分ける能力が高い。

3.心の知能指数(EQ)

自分の気持ちに敏感で、忍耐強く相手の感情を読み取ることができる。

自分自身の感情を理解して抑制できるし、他者の気持ちにも共感できる。

知恵とは、自分の口から出てくるものではなく、自分の耳と心で聞いたことをもとに、自分が理解しているものである。

年長者がまずやらなければならないことは、純粋な興味を持って若い人たちの話に耳を傾けることであり、自分がどれだけ与えられるかは、どれだけ真剣に聞いているかにかかっている。

4.俯瞰的な思考力

中年になると脳が一段後退し、記憶とスピードが衰えるが、点と点をつなげ、物事を俯瞰してその核心を読む能力は、かなり年をとっても伸び続ける。

年長者の脳は、より臨機応変にひとつの側面から別の側面へと切り替えることができる。

年長者の脳は、より落ち着いて感情を抑えることができるので、冷静にパターンを認識できる。

5.奉仕の心

年を重ねれば重ねるほど、この世界の片隅で小さな自分の立ち位置がわかるようになる。

これまでの人生での経験や物の見方を役立てて、未来の世代に前向きな影響を与えたいと思うようになる。

年長者とは、受け取るものではなく与えるときを知っている存在で、森の中に驚異を追い求めてインスピレーションを得る。

モダンエルダーであることは、互恵的であるということだ。

与えることと受け入れること。

教えることと学ぶこと。

話すことと聞くこと。

誰もが年をとるが、誰もが年長者になれるわけではない。

前者は(幸運で健康であれば)自然と起きることだ。

後者は、自分で勝ち取らなければならない。

この本を読んだあなたはモダンエルダーとしての役割を勝ち取るだけでなく、受け入れ、祝福するための最初の一歩が踏み出せるだろう。

まとめ(私見)

本書は、大きく年の離れた若者たちに囲まれ、頼りにされ、地位や肩書ではなく、知恵と経験によって尊敬される「新しい年長者(モダンエルダー)」としての働き方を明らかにした一冊です。

特に第4章から第7章では、「進化し、学び、協力し、助言する」という4つの能力について詳細に解説し、それぞれを実践するためのコツや練習法を「モデル練習」として整理しています。

また、人生の後半に、ただ生きているだけでなく、活躍して成長している素敵な人たちの物語も紹介しています。

本編での詳細な解説に加え、付録に整理された情報は、モダンエルダーになるための実践的な内容となっていますので、すでにその年齢に到達しているビジネスリーダーの方々だけでなく、若い人たちが自分の将来を考えていくうえでのガイドとなります。

本書を参考にすることで、自分をどのように進化させ再構築すれば、ワクワクした、充実した人生の第二幕を生きることができるか、多くの気づきを得ることができます。

人生の前半で失敗を経験した人は、環境の最適化能力も上がっているので、判断力も向上します。

そうなると、若い時から恐れずに積極的に挑戦することは、人生の後半を豊かにするうえでは大事なこととなります。

そこで、モダンエルダーとして再構築するためには、「変化を恐れず、飽くなき知的好奇心を持ち続け、大きなことに関心を持ち、小さなことに幸福を見出す。」ことが必要となります。

そのためには、進化し変化していける能力を信じ、自己改善のためには失敗を恐れず、前向きにリスクをとる「しなやかマインドセット」を持たなければなりません。

とろで、年齢層の定義からすると「シニア(senior)」という言い方も一般にはありますが、本書は「エルダー(elder)」としています。

「シニア(senior)」は40歳や50歳といった年齢による絶対的な要素が反映されますが、「エルダー(elder)」は相対的な要素、相手からの評価によるものだと思います。

自分も活躍し、相手(若い人たち)から尊敬され、敬意を持って接してもらえる、これが「エルダー(elder)」だと思います。

なお、「誰かの役に立ちたい」「みんなに頼りにされたい」といった気持ちは、誰にもあると思います。

それは、賃金や対価、地位や名誉などよりも勝る場合もあります。

特にビジネスの第一線で活躍してきたリーダーの方々は、組織の中で相対的な年齢が上になってくると、若い人たちや後輩の言動が気になることも少なくないでしょう。

これまで蓄積してきたつもりのスキルや経験をもとに、よかれと思ってアドバイスしたつもりが、相手からは煙たがれることもあるかもしれません。

「エルダー(elder)」になるためには、「進化し、学び、協力し、助言する」という4つの能力を備えることが必要であり、本書ではそれぞれの能力の詳細に加え、実践するための方法を紹介しています。

「いい歳」の社員は、賞味期限切れの牛乳というよりも、成熟した高価なビンテージワインのような存在になれます。

若い人たちは、「いい歳」の大人に備わった謙虚さや心の知能指数が若い人たちの保険代わりになり、少しでも「知識の保険」をかけておけば、ざまざまなリスクを避けることができます。

本書では、賢者は、自分のつまずきやすい点を自覚しており、深く考え他者に共感でき、健全な判断ができる人物であると紹介しています。

そして、職場での「賢さ」とは、多岐にわたる情報を素早く取り込んで物事の「核心」をつかみ、全体を俯瞰したり組織的に考えたりすることのできる能力だとしています。

そう考えると、技術革新や環境変化が激しい現代においては、専門的な知識のない年長者世代は価値がなくなるのではなく、特定分野の狭い考えを全体像として見る力によってむしろ価値が上がるはずです。

職場にさまざまな年齢層の人たちが一緒にいるということは、価値観も働き方も違うので難しいのかもしれませんが、逆に効果的に機能すれば大きな力となる可能性があります。

  • ・自分の人脈とノウハウを前向きに共有する。
  • ・競争意識を持たず、守秘義務を守る。
  • ・親身であり、頼れる存在となる。
  • ・質問を通じて本質的な気づきを促す。
  • ・後輩が本当に求めているものを読み取る力を身に着ける。

本書では、知恵は年齢とは関係なく、取り組む姿勢がすべてだと教えてくれています。

自身の「新しい人生設計」や「存在意義」を考えていくうえで大変参考になります。

メンター、仲間や信頼できるアドバイザーからアドバイスをしてもらっているような疑似体験ができますし、迷ったときに読み返すバイブルとして手元に置いておきたい一冊です。

目次

はじめに ブライアン・チェスキー(エアビーアンドビーCEO)

第1章 ビンテージの価値は上がり続ける

第2章 私は「メンターン」?

第3章 新しい人生設計

第4章 レッスン1:進化する

第5章 レッスン2:学習する

第6章 レッスン3:コラボレーションする

第7章 レッスン4:相談に乗る

第8章 引退の代わりに、キャリアの立て直しを

第9章 経験がもたらす配当―職場の年長者を活かす

第10章 賢者の時代

付録
 1.適性検査(第6章の「モデル演習」で登場)
 2.おすすめコンテンツ10選
   名言、書籍、記事、映画、動画/スピーチ、ウェブメディア、学術研究・研究機関、年長者向けサービスを展開する会社や団体
 3.モダンエルダーになるための8つのステップ

参考

モダンエルダー|日経の本 日経BP

知恵と経験で頼りにされる「モダンエルダー」としての働き方:日経ビジネス電子版

Chip Conley

Wisdom at Work

Modern Elder Academy

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