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富士通とNECの両社は、国内市場を中心にDXおよびモダナイゼーション商談が力強く伸長し、2024年度(2025年3月期)も好スタートを切りました。
両社ともに、2025年度(2026年3月期)を最終年度とした中期経営計画を展開中ですが、計画達成に向けた成長エンジン(事業ブランド)として、富士通はFujitsu Uvance(2021年10月7日発表)、NECはBluStellar(2024年5月30日発表)を位置付けています。
そこで、富士通のFujitsu UvanceとNECのBluStellarの概要、両社の中期経営計画の進捗状況を整理します。
富士通のFujitsu Uvanceと中期経営計画の進捗
富士通の中期経営計画と決算資料を参考にしてATY-Japanで作成
Fujitsu Uvance
持続可能な世界に向けたサステナビリティ・トランスフォーメーション
「Fujitsu Uvance」は、お客様のビジネス成長と社会課題の解決に挑むソリューションです。
富士通が長年培ってきたテクノロジーと、さまざまな業種の知見を融合させ、業種間で分断されたプロセスやデータをつなぎます。
企業や組織のクロスインダストリーの協力を活性化させて、これまでにない解決策やインサイトを導き出します。
このつなげる仕組み、業種横断のソリューションやサービスを通じて、お客様とともにサステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)の実現に取り組みます。
Fujitsu Uvanceは、2021年から同社が推進しているSX(サステナビリティトランスフォーメーション)のための事業ブランドで、社会課題を起点とした市場創造と高付加価値化を進めるためのビジネスモデルと位置づけています。
2023年5月24日に発表した、2025年度を最終年度とする中期経営計画では、Fujitsu Uvanceを成長のドライバーとして、サービスソリューションを中心に全社の収益性拡大を目指すとして、2025年度の売上収益 7,000億円を目標にしています。
社会課題を起点として、クロスインダストリーでお客様の成長に貢献するデジタルサービスを提供するとして、社会課題を解決するクロスインダストリー4分野(Vertical)と支える3つのテクノロジー基盤(Horizontal)を定めています。
- ・Vertical
Sustainable Manufacturing、Consumer Experience、Healthy Living 、Trusted Society
- ・Horizontal
Digital Shifts、Business Applications、Hybrid IT
2024年度第1四半期の売上収益は、前年同期に対して37.1%増の965億円(構成比19%)で、Verticalのグロスマージン率は40%近く、Horizontalは20%前後になっているようです。
- ・2022年度1Q:459億円(Vertical:32億円、Horizontal:427億円
→2023年度1Q:704億円(Vertical:103億円、Horizontal:601億円
→2024年度1Q:965億円(Vertical:294億円、Horizontal:671億円)
- ・売上構成比は、2022年度1Q:10% →2023年度1Q:15% →2024年度1Q:19%
なお、売上収益の年度予測は、以下の通りとしています。
- ・2022年度(実績):2,000億円(V 150億円、H 1,850億円)、構成比 10%
- ・2023年度(実績):3,679億円(V 1,163億円、H 2,515億円)、構成比 17%
- ・2024年度(予測):4,500億円(V 1,800億円、H 2,700億円)、構成比 20%
- ・2025年度(予測):7,000億円(V 4,000億円、H 3,000億円)、構成比 30%
なお、2030年度に向けては、半分近いものを、(Fujitsu Uvanceのような)オファリングのポートフォリオで占め、グロスマージン率を拡大していきたいとの考えを明らかにしています。
富士通の中期経営計画の進捗
富士通の中期経営計画と決算資料を参考にしてATY-Japanで作成
2025中期経営計画の目標
連結業績の2025年度目標
- ・売上収益:4兆2,000億円
- ・調整後営業利益:5,000億円、売上収益比 12.0%
- ・キャッシュ創出力強化(コアFCF):3,000億円
セグメント別の2025年度目標
- ・サービスソリューション
売上収益:2兆4,000億円、調整後営業利益:3,600億円
- ・ハードウェアソリューション
売上収益:1兆1,500億円、調整後営業利益:1,100億円
- ・ユビキタスソリューション
売上収益:3,100億円、調整後営業利益:100億円
- ・デバイスソリューション
売上収益:4,100億円、調整後営業利益:800億円
連結業績の内、サービスソリューションの2025年度目標
- ・売上収益:2兆4,000億円
- ・調整後営業利益:3,600億円、売上収益比 15.0%
- ・Fujitsu Uvance売上収益:7,000億円、サービス内構成比 30.0%、2030年度目標:1兆円以上(営業利益率:17%以上)
非財務の2025年度目標
- ・お客様NPS:2022年度比 +20
- ・生産性:2022年度比 +40%
- ・従業員エンゲージメント:75、2030年度目標:75以上
- ・女性幹部社員比率:20%、2030年度目標:30%以上
サービスソリューションの進捗:2024年度の予想
Fujitsu Uvanceを成長のドライバーとして、サービスソリューションを中心に全社の収益性拡大を目指しています。
売上収益は前年比924億円増の2兆2,300億円、調整後営業利益は同 428億円増の2,800億円
- ・グローバルリューション
Fujitsu Uvance を中心に増収増益を見込んで、売上収益は前年比496億円増の5,300億円、調整後営業利益は同 62億円増の200億円
- ・リージョンズ(Japan)
売上収益はFujitsu Uvance、コンサルティング、モダナイゼーション中心に増収を見込んで、前年比1,078億円増の1兆3,700億円、調整後営業利益はコンサルティングケイパビリティ拡大に積極投資するも、継続して生産性向上して、同 268億円増の2,400億円
- ・リージョンズ(海外)
売上収益は前年比641億円減の5,400億円、調整後営業利益はトランスフォーメーションによる採算性改善効果を確実に実現して、同 96億円増の200億円
NECのBluStellarと中期経営計画の進捗
NECの中期経営計画と決算資料を参考にしてATY-Japanで作成
BluStellar
ブランドストーリーに込めた想い
BluStellarの名称に込めた想いから始まり、社会背景やユーザーの課題、それに対するBluStellarの提供価値と手段を象徴的に伝え、顧客の感情に訴えかけます。
最後に、社会・顧客の持続発展をお約束することで、お客様からの共感と信頼を醸成させます。
BluStellar(ブルーステラ):「お客様を未来に導く価値創造モデル」のブランド
BluStellarは、2019年から実践してきたビジネス変革・社会変革の知見・体験を体系化し、新たなValueを導くために集大成した仕組みです。
単なる概念やソリューションではなく、実践に基づくプラクティスであり、目的達成の道筋であるとしています。
- ・以前から進めてきたDXの取り組みを強化し、新たな価値創造に向けて、お客さまのビジネス変革を加速させ、2025中期経営計画の達成に向けた成長エンジンに位置づけ、DX事業をさらに加速する。
- ・また、構想策定をはじめとしたコンサルティングから、サービスデリバリー、運用、保守に至るまで、すべてのビジネスプロセスにAIをフル活用し、先端テクノロジーを集約し、AI技術とセキュリティをキーテクノロジーに位置づけて展開する。
- ・従来型のSIビジネスから進化し、顧客価値を最大化するValue Driverとなり、NECのDX事業を強化していく。
変革のフレームワーク
- ・ビジネスモデル:BluStellar Agenda
お客様の経営アジェンダを解決する、End to Endのアプローチ、価値創造の成功ストーリー
- ・テクノロジー:BluStellar Technologies
創業からの知恵を集結したテクノロジーとスピーディー研究所のノウハウを取り入れたサービス提供
- ・組織/人材:BluStellar Programs
1万名以上のDX人材とナレッジによる課題解決、お客様との共創プログラム
「BluStellar」の強み
- ・AI for all Process
コンサルから運用・保守まで全てのビジネスプロセスにAIをフル活用
- ・AI & Security
先端テクノロジーを集約AI/生成AIとセキュリティをキーに
- ・Collaboration & Co-Creation
DX人材1万人を突破、さらに1.2万人に向け拡充
人材育成プログラムを420社、3万人以上に提供
約400社のパートナーとの共創により新たな市場価値を創出
NECの中期経営計画の進捗
NECの中期経営計画と決算資料を参考にしてATY-Japanで作成
2025中期経営計画の目標
「デジタルガバメント(DG)およびデジタルファイナンス(DF)市場において、グローバルトップクラスのバーチカルSaaSベンダーを目指す」と宣言し、以下の目標値をあげています。
- ・売上収益:3兆5,000億円
- ・調整後営業利益:3,000億円、売上収益比:8.6%
- ・調整後当期利益:1,850億円、売上収益比:5.3%
- ・EBITDA:4,500億円、売上収益比:12.1%
- ・ROIC:6.5%
- ・非財務指標
エンゲージメントスコア:50%(同25%)
女性および外国人役員の構成比:20%
女性管理職:20%
成長事業の進捗:2024年度の予想、2023年度の成果と課題
成長事業には、「DG/DF」「グローバル5G」「コアDX」をあげ、「成長事業は、競争優位獲得強化のために優先的に資源配分を進め、増収増益をけん引。成長事業以外で構成するベース事業では、慎重な事業環境を前提にした上で収益性の改善に軸足を置く」としています。
コアDX
売上収益は前年度比730億円増の4,590億円、調整後営業利益は同 214億円増の460億円
- ・成果:初期基盤投資の一巡により収益性が改善
- ・成果:コンサル起点ビジネスの計画的な成長
- ・課題:オファリング売上比率の拡大による収益性向上
DG/DF(Digital Government / Digital Finance)
売上収益は前年度比15億円減の3,000億円、調整後営業利益は同 52億円増の240億円
- ・成果:事業基盤を再構築(ボルトオンM&A、ノンコア事業売却)
- ・課題:収益性の高いソフトウェアおよびSaaS比率の向上
- ・課題:更なるオフショア拡大やコスト削減による収益性改善
グローバル5G
売上収益は前年度比134億円増の960億円、調整後営業利益は同 128億円増の20億円
- ・成果:海外市場での構造改革の実施による損益改善
- ・課題:ソフトウェアを中心とした高付加価値事業へシフト
- ・課題:海外市場における販売・開発体制のもう一段の最適化
参考
中期経営計画について(PDF) | 富士通 株式会社(2023年5月24日発表)
Fujitsu Uvance | 富士通
「Fujitsu Uvance」ビジネスについてのメディア向け説明会 | 富士通(YouTube)
2025中期経営計画(PDF) | 日本電気 株式会社(2021年5月12日発表)
BluStellar(ブルーステラ) | NEC
新ブランド「BluStellar」発表!NEC DX事業戦略説明会2024 ダイジェスト | NEC(YouTube)
関連情報(当サイト)
2024.08.14 富士通とNECの中期経営計画の成長エンジンと進捗状況
2024.08.12 2024年度第1四半期決算と通期予想:富士通とNEC
2024.08.11 2024年度第1四半期決算と通期予想:ソニーとパナソニックとシャープ
2024.08.10 2024年度第1四半期決算と通期予想:日立製作所と三菱電機
2024.07.30 2024年度第1四半期決算と通期予想:NEC
2024.07.25 2024年度第1四半期決算と通期予想:富士通
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