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NECが、2024年度(2025年3月期)第1四半期決算(2024年4月1日~6月30日)と通期業績予想を発表しましたので、概況を整理します。
NECは、前年同期に対して減収増益となり、税引前利益および当期利益は赤字となりましたが、Non-GAAP営業利益およびNon-GAAP当期利益では黒字を維持しました。
ITサービスと社会インフラの2セグメントともに増収増益したことが貢献しています。
売上収益の減収は日本航空電子工業の非連結化によるもので、オペレーション改善効果172億円が利益増に貢献しています。
調整後連結業績
- ・売上収益は、前年同期に対して162億円(2.3%)減の6,903億円
- ・調整後営業利益は、前年同期に対して122億円増の127億円
(対売上比率は、前年同期比1.8%改善して1.8%)
- ・Non-GAAP営業利益は、前年同期に対して157億円増の163億円
(対売上比率は、前年同期比2.3%改善して2.4%)
- ・親会社の所有者に帰属するNon-GAAP当期利益は、前年同期に対して119億円増の105億円(前年同期赤字から黒字に転換)
連結業績(調整前)
- ・売上収益は、前年同期に対して162億円(2.3%)減の6,903億円
- ・営業利益は、前年同期に対して127億円増の45億円(前年同期赤字から黒字に転換)
- ・税引前利益は、前年同期に対して9億円減の△33億円
- ・親会社の所有者に帰属する当期利益は、前年同期に対して16億円増の△58億円
2024年度(2025年3月期)の通期決算予想は、前回予想を据え置いています。
NECの2024年度第1四半期(2024年4~6月)連結業績
国内および海外ともに好調なITサービス、テレコムサービスの費用効率化で利益改善した社会インフラの両セグメントが増収増益となったのが貢献しています。
調整後連結業績
- ・売上収益は、前年同期に対して162億円(2.3%)減の6,903億円
- ・調整後営業利益は、前年同期に対して122億円増の127億円
(対売上比率は、前年同期比1.8%改善して1.8%)
- ・Non-GAAP営業利益は、前年同期に対して157億円増の163億円
(対売上比率は、前年同期比2.3%改善して2.4%)
- ・親会社の所有者に帰属するNon-GAAP当期利益は、前年同期に対して119億円増の105億円(前年同期赤字から黒字に転換)
- ・Non-GAAP EPSは、前年同期に対して45億円増の40億円
- ・EBITDAは、前年同期に対して83億円増の463億円
連結業績(調整前)
- ・売上収益は、前年同期に対して162億円(2.3%)減の6,903億円
- ・営業利益は、前年同期に対して127億円増の45億円(前年同期赤字から黒字に転換)
- ・税引前利益は、前年同期に対して9億円減の△33億円
- ・親会社の所有者に帰属する当期利益は、前年同期に対して16億円増の△58億円
売上収益は、前年同期比162億円(2.3%)減の6,903億円
- ・ITサービスと社会インフラの2セグメントが増収増益したことが貢献しています。
- ・ITサービスは、国内および海外ともに好調を維持しています。
- ・社会インフラは、テレコムサービスは減収したものの、ANSは案件を着実に遂行して増収し、全体では増収しています。
調整後営業利益は、前年同期比122億円増の127億円
- ・ITサービスは、国内での構造改革費用や一時的な費用増あるも、海外でのAvaloqを中心とした利益改善により増益しています。
- ・社会インフラは、テレコムサービスの開発費を中心とした費用効率化により調整後営業利益が改善しています。
なお、Non-GAAP営業利益は、買収によって認識した無形資産の償却費、M&A関連費用、一過性損益である構造改革関連費用、減損損失、株式報酬などを営業利益から排除したもので、「根源的な事業の業績を測る利益指標」としています。
セグメント別の業績
セグメント別の業績は以下の通りで、前年同期に対して、ITサービスと社会インフラが増収増益、その他が減収減益となりました。
■ITサービスは増収増益
売上収益は前年同期に対して326億円(8.4%)増の4,183億円、調整後営業利益は前年同期から26億円増の145億円
- ・売上収益は、国内および海外ともに好調に推移
- ・調整後営業利益は、国内での構造改革費用や一時的な費用増あるも、海外でのAvaloqを中心とした利益改善により増益
- ・国内外の構成は、以下の通りです。
国内の売上収益は前年同期比6.2%増の3,401億円、調整後営業利益は同7億円減の102億円
海外(DG/DF)の売上収益は前年同期比19.3%増の782億円、調整後営業利益は同33億円増の43億円
サブセグメント別の売上構成は以下の通りで、エンタープライズ、パブリックは旺盛な需要を取り込み好調を維持しています。
全体的に旺盛な需要が継続して足元での受注環境は好調で、年間目標の達成に向けて着実に案件を積み上げており、今後に向けてもリスクはないとしています。
売上構成 国内:前年同期比6.2%増の3,401億円(構成比:81.3%)、受注は同13%増(NECファシリティーズを除くと同15%増)
- ・パブリック:前年同期比3.1%増の756億円(構成比:18.1%)
受注は同32%増で、大型案件および自治体標準化案件により大幅増(大型案件を除いても+10%強の増加)
- ・エンタープライズ:同4.4%増の1,641億円(同:39.2%)
受注は同2%増で、内訳は、金融は前年度の大型案件を除くと二桁伸長と好調維持して同7%減、製造はDX関連の案件増と選別受注した効果で同13%増、流通・サービスは大型案件もあり好調を維持して同10%増
- ・クロスインダストリー:同25.1%増の259億円(同:6.2%)
- ・Digital Platform(DPF)他:同7.8%増の745億円(同:17.8%)
その他の受注で、アビーム19%増
売上構成 海外 Digital Government(DG) / Digital Finance(DF)の売上収益:前年同期比19.3%増の782億円(構成比:18.7%)
■社会インフラは増収増益
売上収益は前年同期に対して61億円(2.8%)増の2,192億円、調整後営業利益は前年同期から104億円増の32億円
- ・売上収益は、テレコムサービスは減収したものの、ANSは案件を着実に遂行して増収
- ・調整後営業利益は、テレコムサービスは、開発費を中心とした費用効率化により調整後営業利益が改善
サブセグメント別の売上構成は、以下の通りです。
- ・テレコムサービス:売上収益は前年同期比3.4%減の1,639億円、調整後営業利益は同70億円増の3億円
ワイヤレス事業の非連結化とグローバル5Gでの減収が影響したものの、開発費やリソースシフトを含んだ費用の効率化により、調整後営業利益は大幅に改善
- ・Aerospace and National Security(ANS):売上収益は前年同期比27.1%増の553億円、調整後営業利益は同35億円増の29億円
■その他は減収減益
売上収益は前年同期に対して817億円(50.9%)減の529億円、調整後営業利益は前年同期から17億円減の△37億円
トピックス
価値創造モデル「BluStellar(ブルーステラ)」を5月30日に発表
「BluStellarによって、以前から進めてきたDXの取り組みを強化し、新たな価値創造に向けて、お客さまのビジネス変革を加速させ、2025中期経営計画の達成に向けた成長エンジンに位置づけており、DX事業をさらに加速することになる」と位置づけています。
また、構想策定をはじめとしたコンサルティングから、サービスデリバリー、運用、保守に至るまで、すべてのビジネスプロセスにAIをフル活用し、「先端テクノロジーを集約し、AI技術とセキュリティをキーテクノロジーに位置づけて展開する。従来型のSIビジネスから進化し、顧客価値を最大化するValue Driverとなり、NECのDX事業を強化していくことになる」としています。
お客様を未来へ導く価値創造モデル「BluStellar」を立ち上げ、DX事業を強化
- ・AI for all Process
コンサルから運用・保守まで全てのビジネスプロセスにAIをフル活用
- ・AI & Security
先端テクノロジーを集約AI/生成AIとセキュリティをキーに
- ・Collaboration & Co-Creation
DX人材1万人を突破、さらに1.2万人に向け拡充
人材育成プログラムを420社、3万人以上に提供
約400社のパートナーとの共創により新たな市場価値を創出
DX事業の加速に向け、従来のSIerから顧客価値を最大化するValue Driverへ進化
- ・東レエンジニアリングと「PLMソフトウェア+生成AI」による設計高度化の実証を開始
- ・ソフトバンクと生体認証領域を中心とした戦略的提携に合意
- ・デジタルIDや顔認証技術を組み合わせたデジタル社員証をNEC社員2万人を対象に導入
- ・生成AIに関する事業戦略・製品開発の機能を集約した新組織を8月に設置(AIテクノロジーサービス事業部門)
その他
海外売上比率:24.5%の1,694億円(前年度:28.0%の1,975億円)
キャッシュフローの状況
- ・営業活動によるキャッシュ・フロー:前年同期比174億円増の1,037億円
投資活動によるキャッシュ・フロー:同86億円減の△217億円
- ・財務活動によるキャッシュ・フロー:同317億円減の△582億円
- ・現金及び現金同等物の期末残高:同333億円増の5,098億円
資産、負債、資本の状況(2024年6月末)
- ・資産:2024年3月末に対して1,032億円減の4兆1,243億円
(流動資産は同2,008億円減の1兆9,410億円、非流動資産は同975億円増の2兆1,833億円)
- ・負債:同1,293億円減の2兆87億円
- ・資本:同261億円増の2兆1,156億円
親会社所有者帰属持分:同248億円増の1兆9,404億円
親会社所有者帰属持分比率:同1.7ポイント増の47.0%
- ・D/Eレシオ(倍):同0.01ポイント増の0.30
- ・ネットD/Eレシオ(倍):同0ポイント増の0.04
2024年度(2025年3月期)の通期決算予想
2024年度(2025年3月期)の通期決算予想は、前回予想を維持しています。
なお、今回から、セグメント別業績の算定方法の一部を変更して、コーポレート費用を各セグメントへ配賦、事業開発部門と知的財産部門は、その他に計上しています。
- ・ITサービスは、国内は高水準であった23年度から更なる成長を計画、海外はAvaloqでの利益成長を織り込み(Avaloqの利益貢献は40億円)
- ・社会インフラは、売上収益はANSでのプロジェクトを確実に実行することで増収を計画、調整後営業利益はテレコムサービスでのグローバル5Gの改善と23年度の一過性費用の剥落により増益を計画
- ・減収要因は、日本航空電子工業の非連結化が影響
2024年度(2025年3月期)の通期決算予想
- ・売上収益は、前年度比1,073億円(3.1%)減の3兆3,700億円
- ・調整後営業利益は、同314億円増の2,550億円
(対売上比率:同1.2%増の7.6%)
- ・Non-GAAP営業利益は、同274億円増の2,550億円
(対売上比率:同1.1%増の7.6%)
- ・Non-GAAP当期利益は、同128億円減の1,650億円
- ・EBITDAは、同5億円増の3,800億円
セグメント別の業績予想
■ITサービスは増収増益
国内は高水準であった23年度から更なる成長を計画し、海外はAvaloqでの利益成長を織り込んでいます。
- ・売上収益は、前年度比360億円(1.9%)増の1兆9,500億円
- ・調整後営業利益は、同79億円増の1,920億円(対売上比率:9.8%)
- ・国内ITサービスの売上収益は前年比2.3%増の1兆6,500億円、調整後営業利益は同29億円増の1,680億円
- ・海外(DG/DF:デジタル・ガバメント/デジタル・ファイナンス)の売上収益は前年比0.5%減の3,000億円、調整後営業利益は同50億円増の240億円
- ・Avaloqは、BlackRockとの戦略的パートナーシップの成果やNECのルートを活用したAPACでのビジネス拡大、クラウドによる費用効率化、オフショア化の移行加速で利益率向上を計画
2022年度の利益率:7%→2023年度:11%→2024年度:14%(売上成長:10%)→2025年度:20%
■社会インフラは増収増益
売上収益はANSでのプロジェクトを確実に実行することで増収を計画、調整後営業利益はテレコムサービスでのグローバル5Gの改善と23年度の一過性費用の剥落により増益を計画しています。
- ・売上収益は、前年度比972億円(8.6%)増の1兆1,700億円
- ・調整後営業利益は、同459億円増の1,010億円(対売上比率:8.6%)
- ・テレコムサービスの売上収益は前年比3.5%増の8,300億円、調整後営業利益は同467億円増の740億円
調整後営業利益は、テレコムサービスでのグローバル5Gの改善と23年度の一過性費用の剥落により増益を計画
- ・ANSの売上収益は前年比23.1%増の3,400億円、調整後営業利益は同9億円減の270億円
売上収益は、ANSでのプロジェクトを確実に実行することで増収を計画
■その他は減収減益
- ・売上収益は、前年度比2,359億円減の2,500億円
- ・調整後営業利益は、同180億円減の△130億円(対売上比率:△5.2%)
■調整額
- ・調整後営業利益は、同43億円減の△250億円
参考:電機各社の決算発表
2024.08.14 富士通とNECの中期経営計画の成長エンジンと進捗状況
2024.08.12 2024年度第1四半期決算と通期予想:富士通とNEC
2024.08.11 2024年度第1四半期決算と通期予想:ソニーとパナソニックとシャープ
2024.08.10 2024年度第1四半期決算と通期予想:日立製作所と三菱電機
2024.07.30 2024年度第1四半期決算と通期予想:NEC
2024.07.25 2024年度第1四半期決算と通期予想:富士通
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