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NECが、2025年度(2026年3月期)第2四半期決算(2025年4月1日~9月30日)と通期業績予想を発表しましたので、概況を整理します。
NECは、国内ITとANS(航空宇宙・防衛)が好調で、前年同期に対して増収増益となりました。
特に、Non-GAAP営業利益は、前年同期に対して626億円大幅増益となり、国内ITの受注は引き続き高水準を維持しています。
調整後連結業績
- ・売上収益は、前年同期に対して831億円(5.6%)増の1兆5,698億円
- ・調整後営業利益は、前年同期に対して706億円増の1,316億円
(対売上比率は、前年同期比4.3%改善して8.4%)
- ・Non-GAAP営業利益は、前年同期に対して626億円増の1,275億円
(対売上比率は、前年同期比3.8%改善して8.1%)
- ・親会社の所有者に帰属するNon-GAAP当期利益は、前年同期に対して412億円増の786億円
連結業績(調整前)
- ・売上収益は、前年同期に対して831億円(5.6%)増の1兆5,698億円
- ・営業利益は、前年同期に対して739億円増の1,186億円
- ・税引前利益は、前年同期に対して888億円増の1,154億円
- ・親会社の所有者に帰属する当期利益は、前年同期に対して594億円増の728億円
2025年度(2026年3月期)の通期決算予想は、前回予想から全ての指標を上方修正しています。
業績進捗を考慮し、国内ITサービスで業績予想を引き上げています。
NECの2025年度第2四半期(2024年4~9月)連結業績

国内のパブリック増収とBluStellar中心の収益性が向上したITサービス、テレコムサービスの費用効率化による増益と航空宇宙・防衛での大幅な増収増益した社会インフラの両セグメントが増収増益となったのが貢献しています。
調整後連結業績
- ・売上収益は、前年同期に対して831億円(5.6%)増の1兆5,698億円
- ・調整後営業利益は、前年同期に対して706億円増の1,316億円
(対売上比率は、前年同期比4.3%改善して8.4%)
- ・Non-GAAP営業利益は、前年同期に対して626億円増の1,275億円
(対売上比率は、前年同期比3.8%改善して8.1%)
- ・親会社の所有者に帰属するNon-GAAP当期利益は、前年同期に対して412億円増の786億円
連結業績(調整前)
- ・売上収益は、前年同期に対して831億円(5.6%)増の1兆5,698億円
- ・営業利益は、前年同期に対して739億円増の1,186億円
- ・税引前利益は、前年同期に対して888億円増の1,154億円
- ・親会社の所有者に帰属する当期利益は、前年同期に対して594億円増の728億円
売上収益は、前年同期比831億円(5.6%)増の1兆5,698億円
- ・ITサービスと社会インフラの2セグメントが増収増益したことが貢献しています。
- ・ITサービスは、海外はKMDで低収益事業の収束により減収したものの、国内のパブリック増収とBluStellar売上増により、全体では増収しています。
- ・社会インフラは、テレコムサービスは減収したものの、ANS(Aerospace and National Security)は受注済み案件を着実に実行して増収し、全体では増収しています。
調整後営業利益は、前年同期比706億円増の1,316億円
- ・ITサービスは、国内ではBluStellarを中心に収益性向上して大幅な増益、海外はAvaloqの収益性改善、前年度の一過性費用剥落により増益し、全体では増益しています。
- ・社会インフラは、テレコムサービスの開発費を中心とした費用効率化により増益、ANSは海洋で一過性費用計上も、航空宇宙・防衛で大幅な増収増益して、全体では増益しています。
Non-GAAP営業利益(1,275億円)の前年からの626億円増益要因は、オペレーション改善で+626億円(ITサービスで+518億円、社会インフラで+168億円、DX投資増他で△60億円)です。
さらにNon-GAAP調整項目(資産売却益)の+41億円で、調整後営業利益1,316億円(対前年度比706億円の増益)となります。
なお、Non-GAAP営業利益は、買収によって認識した無形資産の償却費、M&A関連費用、一過性損益である構造改革関連費用、減損損失、株式報酬などを営業利益から排除したもので、「根源的な事業の業績を測る利益指標」としています。
セグメント別の業績
セグメント別の業績は以下の通りで、前年同期に対して、ITサービスと社会インフラが増収増益、その他が増収減益となりました。
■ITサービスは増収増益
売上収益は前年同期に対して282億円(2.6%)増の1兆1,083億円、調整後営業利益は前年同期から593億円増の1,156億円
- ・売上収益は、海外はKMDで低収益事業の収束により減収したものの、国内は前年度の大幅な受注増を背景にパブリックが増収を牽引したのに加え、BluStellarを中心とした売上増
- ・調整後営業利益は、売上増に加え、国内はBluStellarを中心に収益性向上し大幅な増益、海外はAvaloqの収益性改善(前年度の一過性費用剥落により増益)
- ・国内外の構成は以下の通りです。
- 国内の売上収益は前年同期比3.4%増の9,540億円、調整後営業利益は同520億円増の1,009億円
- 海外(DG/DF)の売上収益は前年同期比1.8%減の1,542億円、調整後営業利益は同73億円増の146億円
国内ITサービスのサブセグメント別の売上構成および受注動向は以下の通りで、モダナイゼーション案件を中心にDX需要は引き続き堅調に推移しています。
売上構成 国内:前年同期比3.3%増の9,540億円(連結売上収益1兆5,698億円に対する構成比:60.8%)、受注はパブリックが高水準を維持したものの前年同期比5%減(エンタープライズは下期に受注増を見込む)
- ・パブリック:前年同期比16.6%増の3,049億円(構成比:19.4%)
受注は前年同期比1%減で、官公庁大型案件獲得により前年並み
- ・エンタープライズ:同2.9%減の2,862億円(同:18.2%)
受注は同11%減(案件の端境期により減)- 金融は同3%減
- 製造は同1%増
- 流通・サービスは同21%減
- ・子会社他:同1.1%減の3,629億円(同:23.1%)
受注は構造改革および法人向けPCの販売機能移管の影響で同5%減ですが、法人向けPCの販売機能移管の影響を除くと前年並み(内、アビームは同13%増)
売上構成 海外 Digital Government(DG) / Digital Finance(DF)の売上収益:前年同期比1.8%減の1,542億円(構成比:9.8%)
■社会インフラは増収増益
売上収益は前年同期に対して528億円(15.1%)増の4,030億円、調整後営業利益は前年同期から168億円増の286億円
- ・売上収益は、テレコムサービスは減収したものの、ANSは受注済み案件を確実に事項して増収(特に、航空宇宙・防衛で大幅な増収)
- ・調整後営業利益は、テレコムサービスは開発費を中心とした費用効率化により増益、ANSは:海洋で一過性費用計上も、航空宇宙・防衛で大幅な増益
サブセグメント別の売上構成は、以下の通りです。
- ・テレコムサービス:売上収益は前年同期比3.2%減の1,768億円、調整後営業利益は同89億円増の152億円
- ・Aerospace and National Security(ANS):売上収益は前年同期比35.0%増の2,262億円、調整後営業利益は同79億円増の134億円
内、航空宇宙・防衛の売上収益は前年同期比51.8%増の1,955億円、調整後営業利益は同146億円増の232億円
■その他は増収減益
売上収益は前年同期に対して3.8%増の585億円、調整後営業利益は前年同期から30億円減の△29億円
トピックス
■2024年5月30日に発表した価値創造モデル「BluStellar(ブルーステラ)」
「BluStellarによって、以前から進めてきたDXの取り組みを強化し、新たな価値創造に向けて、お客さまのビジネス変革を加速させ、2025中期経営計画の達成に向けた成長エンジンに位置づけており、DX事業をさらに加速することになる」と位置づけています。
また、構想策定をはじめとしたコンサルティングから、サービスデリバリー、運用、保守に至るまで、すべてのビジネスプロセスにAIをフル活用し、「先端テクノロジーを集約し、AI技術とセキュリティをキーテクノロジーに位置づけて展開する。従来型のSIビジネスから進化し、顧客価値を最大化するValue Driverとなり、NECのDX事業を強化していくことになる」としています。
2024年度のBluStellarの売上収益は前年度比44.3%増の5,424億円、調整後営業利益は同438億円増の663億円
- ・2023年度 実績
売上収益 3,758億円、調整後営業利益 225億円、利益率 6.0%
- ・2024年度 実績
売上収益 5,424億円(対前年度+44.3%)、調整後営業利益 663億円(同+438億円)、
利益率 12.2%(同+6.2%)
- ・2025年度 計画
売上収益 6,240億円(対前年度+15.0%)、調整後営業利益 825億円(同+162億円)、
利益率 13.2%(同+1.0%)
2025年度第2四半期は、ITサービス(国内)において、BluStellarは想像以上のペースで事業拡大し、収益性向上を実現しました。
- ・2024年度 2Q実績
売上収益 2,404億円、調整後営業利益 135億円、利益率 5.6%
- ・2025年度 2Q実績
売上収益 2,880億円(対前年度+19.8%)、調整後営業利益 396億円(同+261億円)、
利益率 13.7%(+8.1%)
■セグメントを変更(2025年度以降)
- ・ITサービス内のNECファシリティーズをその他へ移行
- ・社会インフラのテレコムサービス内のNECネッツエスアイをITサービスへ移行
- ・社会インフラのテレコムサービス内の海洋を社会インフラのエアロスペース・ナショナルセキュリティへ移行
- ・その他のグローバルイノベーション内のヘルスケア、コーポレート主管会社内のNECプラットフォームズをITサービスへ移行
その他
海外売上比率:20.5%の3,217億円(前年度:23.6%の3,504億円)
キャッシュフローの状況
- ・営業活動によるキャッシュ・フロー:前年同期比1,187億円増の1,774億円
投資活動によるキャッシュ・フロー:同497億円増の△32億円
フリーキャッシュ・フロー:同1,684億円増の1,742億円
- ・財務活動によるキャッシュ・フロー:同3,131億円減の△3,77億円
- ・現金及び現金同等物の期末残高:同1,305億円減の4,541億円
資産、負債、資本の状況(2025年9月末)
- ・資産:2025年3月末に対して3,265億円減の3兆9,889億円
(流動資産は同2,224億円減の2兆25億円、非流動資産は同1,040億円減の1兆9,863億円)
- ・負債:同3,058億円減の1兆9,380億円
- ・資本:同206億円減の2兆509億円
親会社所有者帰属持分:同193億円増の1兆9,714億円
親会社所有者帰属持分比率:同4.2ポイント増の49.4%
- ・D/Eレシオ(倍):同0.07ポイント増の0.27
- ・ネットD/Eレシオ(倍):同±0ポイントの0.04
2025年度(2026年3月期)の通期決算予想

2025年度(2026年3月期)の通期決算予想は以下の通りで、足元の業績進捗を考慮しITサービス(国内)で前回予想から上方修正しています。
Non-GAAP営業利益は、2025年度を最終年度とする中期経営計画の目標を200億円上方修正して3,400億円としています。
- ・売上収益は、前年度比34億円(0.1%)減の3兆4,200億円
前回予想から600億円上方修正
- ・調整後営業利益は、同428億円増の3,300億円(対売上比率:同1.2%増の9.6%)
前回予想から200億円上方修正
- ・Non-GAAP営業利益は、同287億円増の3,400億円(対売上比率:同0.8%増の9.9%)
前回予想から200億円上方修正
- ・Non-GAAP当期利益は、同193億円増の2,450億円
前回予想から150億円上方修正
- ・EBITDAは、同234億円増の4,650億円
前回予想から200億円上方修正
- ・ROICは、同1.2%増の7.8%
前回予想から0.5%上方修正
- ・フリー・キャッシュ・フローは、同768億円増の2,900億円
- ・1株当り配当金は、同4円増の32円
セグメント別の業績予想
■ITサービスは減収増益
国内は法人向けPCの販売機能移管や子会社の一部事業収束に伴い減収も、継続的な収益性向上により増益を計画し、海外は収益性向上と前年度一過性費用の剥落により増益を計画しています。
- ・売上収益は、前年度比598億円(2.4%)減の2兆4,000億円
前回予想から600億円上方修正
- ・調整後営業利益は、同692億円増の3,210億円(対売上比率:13.4%)
前回予想から200億円上方修正
■社会インフラは増収増益
売上収益はANSでの獲得済みの案件の確実な実行、海洋での前年度の一過性費用の剥落により増収増益を計画しています。
- ・売上収益は、前年度比529億円(6.4%)増の8,850億円
- ・調整後営業利益は、同85億円増の690億円(対売上比率:7.8%)
- ・テレコムサービスの売上収益は前年比12.6%減の3,600億円、調整後営業利益は同156億円減の350億円
調整後営業利益は、前年度の一過性要因の反動による減益を計画
- ・ANSの売上収益は前年比24.9%増の5,250億円、調整後営業利益は同241億円増の340億円
獲得済みの案件の確実な実行、海洋での前年度の一過性費用の剥落により増収増益を計画
- ・ANS内航空宇宙・防衛の売上収益は前年比16.0%増の4,310億円、調整後営業利益は同8億円増の440億円
事業機会獲得のための投資を実行
■その他は増収減益
- ・売上収益は、前年度比35億円(2.7%)増の1,350億円
- ・調整後営業利益は、同50億円減の△80億円(対売上比率:△5.9%)
■調整額
- ・調整後営業利益は、同299億円減の△520億円
参考:電機各社の決算発表
2025.10.29 2025年度第2四半期決算と通期予想:NEC
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