富士通とNECの中期経営計画 | 富士通は未達でも確実に収益性向上、NECは課題あるが全体では直実に前進

富士通とNECの中期経営計画 | 富士通は未達でも確実に収益性向上、NECは課題あるが全体では直実に前進

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富士通とNECの業績推移

富士通とNECの決算資料を参考にしてATY-Japanで作成

富士通とNECが、2022年度(2023年3月期)の決算発表に合わせて、中期経営計画の進捗状況を発表しましたので、概要を整理します。

富士通は2022年度が最終年度、NECは2年目を終えたところです。

  • ・富士通は、全社連結業績のフリーキャッシュフローは中期経営計画の目標を達成しましたが、テクノロジーソリューション事業の目標値は達成できませんでした。
  • ・NECは、個別には課題もあるものの、全体では着実に前進していると発表しています。

中期経営計画、富士通の結果とNECの進捗状況

富士通の中期経営計画の結果

富士通の中期経営計画

富士通の中期経営計画と決算資料を参考にしてATY-Japanで作成

中期経営計画の財務指標の結果は、連結業績のフリーキャッシュフローは目標を達成しましたが、テクノロジーソリューション事業の目標は達成できませんでした。

テクノロジーソリューション事業の目標未達成の主な要因は、部材供給問題やハードウェアの供給が第4四半期には回復することを見込んでいたものの、計画通りにはいかなかったとしています。

連結業績のフリーキャッシュフロー:目標達成

  • ・当初目標 1,500億円以上に対して2022年度実績は 1,775億円で、目標を達成しました。

テクノロジーソリューション事業:目標未達成

  • ・売上収益の目標 3兆5,000億円(2022年4月に3兆2,000億円に修正後、2023年1月に3兆2,200億円に修正)に対して、2022年度実績は 3兆1,765億円
  • ・営業利益率の目標 10%(2023年1月に9.3%に修正)に対して、2022年度実績は 8.3%で、売上収益と営業利益率の両指標とも目標を達成することができませんでした。

また、非財務指標は、お客様NPSとDX推進指標は目標値を達成しましたが、従業員エンゲージメントに関しては未達成でしたがグローバル全体で改善していると発表しています。

  • ・お客様NPS
    2021年度 +2.3ポイント → 2022年度 +18.1ポイント(2022年4月時点の目標 +3.7ポイント)
  • ・従業員エンゲージメント
    2019年度 63 → 2020年度 68 → 2021年度 67 → 2022年度 69(2022年4月時点の目標 75)
  • ・DX推進指標
    2019年度 1.9 → 2020年度 2.4 → 2021年度 3.2 → 2022年度 3.56(2022年4月時点の目標 3.5)
NECの中期経営計画の進捗状況

NECの中期経営計画

NECの中期経営計画と決算資料を参考にしてATY-Japanで作成

今回発表した2025中期経営計画の進捗状況は、以下の通り総評しています。

  • ・ネットワークサービスは、国内事業通信事業者の投資抑制と、海外5G事業の立ち上がりの遅れにより、想定よりも遅れている。
  • ・エンタープライズや社会基盤、社会公共、グローバルは順調に進捗している。

そして、目標値に対する2022年度実績と2023年度予想は、以下の通りです。

  • ・売上収益:目標 3兆5,000億円
     → 2022年度実績 3兆3,130億円、2023年度予想 3兆3,800億円
  • ・調整後営業利益:目標 3,000億円(売上収益比:8.6%)
     → 2022年度実績 2,055億円(6.2%)、2023年度予想 2,200億円(6.5%)
  • ・調整後当期利益:目標 1,850億円(売上収益比:5.3%)
     → 2022年度実績 1,386億円(4.2%)、2023年度予想 1,400億円(4.1%)
  • ・EBITDA:目標 4,500億円(売上収益比:12.9%)
     → 2022年度実績 3,478億円(10.5%)、2023年度予想 3,600億円(10.7%)
  • ・ROIC:6.5%
     → 2022年度実績 4.7%、2023年度予想 5.1%
  • ・非財務指標
     エンゲージメントスコア:50% → 2022年度実績:36%

また、非財務指標としては、エンゲージメントスコア50%を2025年度目標(2020年度 25%)として、「人・カルチャーの変革」「ビジネスインフラの整備」「顧客との未来の共感創り」の3点に取り組むとしています。

  • ・エンゲージメントスコア
     2020年度 25% → 2021年度 35% → 2022年度 36%
  • ・Smart Work 2.0
    COVID-19の5類移行を受けて働き方をさらに進化(チームの生産性最大化のため、チームとして最適な働き方を選択)
  • ・ビジネスインフラの整備(経営・ファイナンスプロセスの刷新)
    グローバルトップレベルの経営基盤を構築し、すべての情報をデジタル化することによりデータドリブン経営を実現(環境変化に対して、柔軟で、スピーディな事業運営を実現し、事業価値のアウトプットの最大化を目指す)

富士通とNECの主な事業改革と人材施策の歴史

富士通とNECの主な事業改革と人材施策の歴史(2001年度~2015年度)

富士通とNECの主な事業改革と人材施策の歴史(2016年度~2019年度)

富士通とNECの主な事業改革と人材施策の歴史(2020年度~2024年度)

富士通とNECの決算資料を参考にしてATY-Japanで作成

富士通とNECの両社は、国内のデジタル化や5G事業の好調に支えられて、2022年度(2023年3月期)は両社ともに増収増益し、富士通は営業利益で最高益を記録しました。

かつては売上収益 5兆円を確保していましたが、構造改革を実行して現在では 4兆円を下回っています。

グループ会社の統廃合を繰り返しながら、DX(デジタル・トランスフォーメーション)事業にシフトしています。

そして、収益改善と企業文化・組織風土改革に取り組むとともに、ジョブ型マネジメントに移行してしています。

富士通は2023年5月24日に次期中期経営計画(2023年度~2025年度)の発表を予定していますし、NECは現在の2025中期経営計画の3年目を迎えます。

2020年からのコロナウィルス感染症、そして半導体・電子部品の供給遅延などの影響が落ち着いてきた中で、両社の今後の舵取りに期待しています。

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