NECの2025中期経営計画の進捗 | ネットワークは立ち遅れも他セグメントは順調で全体では着実に前進

NECの2025中期経営計画の進捗 | ネットワークは立ち遅れも他セグメントは順調で全体では着実に前進

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NECの業績推移と2025年度中期目標

NECの2025中期経営計画と決算資料を参考にしてATY-Japanで作成

2023年4月28日、NECは2022年度(2023年3月期)の決算発表に合わせて、2025中期経営計画の進捗状況も発表しています。

2025年度を最終年度とする中期経営計画で、2021年5月14日に発表しました。

ネットワークサービスは想定よりもビハインドしているものの、他セグメントは順調に進捗していると発表しています。

個別には課題もあるものの、全体では着実に前進しているようです。

2025中期経営計画の進捗状況

NECの業績推移と2025年度中期目標

NECの2025中期経営計画と決算資料を参考にしてATY-Japanで作成

2025中期経営計画の目標

「デジタルガバメントおよびデジタルファイナンス市場において、グローバルトップクラスのバーチカルSaaSベンダーを目指す」と宣言し、以下の目標値をあげています。

  • ・売上収益:3兆5,000億円(2020年度実績:2兆9,940億円)、2020年度比成長率:3.2%
  • ・調整後営業利益:3,000億円(同1,782億円)、売上収益比:8.6%(同6.0%)
  • ・調整後当期利益:1,850億円(同1,496億円)、売上収益比:5.3%(同5.0%)
  • ・EBITDA:4,500億円(同2,958億円)、売上収益比:12.9%(同9.9%)
  • ・ROIC:6.5%(同4.7%)
  • ・非財務指標
     エンゲージメントスコア:50%(同25%)
     女性および外国人役員の構成比:20%
     女性管理職:20%
2025中期経営計画の進捗状況

今回発表した2025中期経営計画の進捗状況は、以下の通り総評しています。

  • ・ネットワークサービスは、国内事業通信事業者の投資抑制と、海外5G事業の立ち上がりの遅れにより、想定よりも遅れている。
  • ・エンタープライズや社会基盤、社会公共、グローバルは順調に進捗している。

そして、目標値に対する2022年度実績と2023年度予想は、以下の通りです。

  • ・売上収益:目標 3兆5,000億円
     → 2022年度実績 3兆3,130億円、2023年度予想 3兆3,800億円
  • ・調整後営業利益:目標 3,000億円(売上収益比:8.6%)
     → 2022年度実績 2,055億円(6.2%)、2023年度予想 2,200億円(6.5%)
  • ・調整後当期利益:目標 1,850億円(売上収益比:5.3%)
     → 2022年度実績 1,386億円(4.2%)、2023年度予想 1,400億円(4.1%)
  • ・EBITDA:目標 4,500億円(売上収益比:12.9%)
     → 2022年度実績 3,478億円(10.5%)、2023年度予想 3,600億円(10.7%)
  • ・ROIC:6.5%
     → 2022年度実績 4.7%、2023年度予想 5.1%
  • ・非財務指標
     エンゲージメントスコア:50% → 2022年度実績:36%

成長事業、課題事業、文化の進捗状況

成長事業

成長事業には、「DG/DF」「グローバル5G」「コアDX」「次の柱となる成長事業」の4点をあげ、「成長事業は、競争優位獲得強化のために優先的に資源配分を進め、増収増益をけん引。成長事業以外で構成するベース事業では、慎重な事業環境を前提にした上で収益性の改善に軸足を置く」としています。

そして、成長事業の売上収益に対する構成比と調整後営業利益率について、以下を計画しています。

  • ・売上収益に対する構成比:2025年度 32.9%(2020年度:12.7%)
  • ・調整後営業利益率:2025年度 成長事業 12.9%、ベース事業 10.0%
    (全体:2025年度 8.6%、2020年度 5.1%)

デジタル・ガバメント(DG)/デジタル・ファイナンス(DF)

  • ・売上収益:2025年度目標 3,000億円
    2020年度 1,931億円 → 2021年度 2,527億円 → 2022年度 2,806億円 → 2023年度予想 2,880億円
  • ・調整後営業利益:2025年度目標 360億円(調整後営業利益率:12%)
    2020年度 90億円 → 2021年度 159億円 → 2022年度 166億円 → 2023年度予想 260億円
  • ・2023年度の取り組み
    シナジー拡大とコスト管理による収益性改善
    日本を含むAPAC市場でのシェア拡大に加え、さらなるオフシェア摘要の推進

グローバル5G

  • ・売上収益:2025年度目標 1,900億円
    2020年度 417億円 → 2021年度 670億円 → 2022年度 872億円 → 2023年度予想 850億円
  • ・調整後営業利益:2025年度目標 190億円(調整後営業利益率:10%)
    2020年度 △130億円 → 2021年度 △206億円 → 2022年度 △311億円 → 2023年度予想 △150億円
  • ・2023年度の取り組み
    ソフトウェア/サービス拡大による収益性改善、国内市場でのシェア拡大、海外市場における販売・開発体制の最適化

コアDX

  • ・売上収益:2025年度目標 5,700億円
    2020年度 1,410億円 → 2021年度 1,802億円 → 2022年度 2,401億円 → 2023年度予想 2,960億円
  • ・調整後営業利益:2025年度目標 750億円(調整後営業利益率:13%)
    2020年度 △50億円 → 2021年度 △33億円 → 2022年度 38億円 → 2023年度予想 200億円
  • ・2023年度の取り組み
    共通基盤の売上比率拡大による収益性の向上、戦略顧客アプローチによる大型案件の獲得、ソートリーダーシップ活動と連動した新事業機会の創出
営業利益率7%以下の低収益事業を指す課題事業

2022年度は調整後営業利益率+2.4%改善、オペレーション改善の半減に貢献

収益が改善した4事業は、社会公共で1事業、エンタープライズで2事業、グローバルで1事業で、2年間連続で7%を超え、課題事業を卒業し、高収益事業に移行(これらの事業は2025年度には10%以上の営業利益率を想定)

2023年度も事業価値を最大化するための施策を実行
CFO主導の徹底したモニタリングにより2022年度をもって4事業が低収益から脱却、対象事業は継続して施策の実行と効果をモニタリング、ノンコア事業は、売却・JVなどによりターンアラウンド

文化

エンゲージメントスコア50%を2025年度目標(2020年度 25%)として、「人・カルチャーの変革」「ビジネスインフラの整備」「顧客との未来の共感創り」の3点に取り組むとしています。

  • ・NEC Wayのもとに多様な人材が集い、イノベーションを追求する会社を実現し、選ばれる会社(Employer of Choice)を目指す。
  • ・人・カルチャーの変革、ビジネスインフラの整備、顧客との未来の共感創りに取り組む。

さらに今回、「NEC 2030 VISION」を策定し、「環境」「社会」「暮らし」の3点から取り組むことを発表しています。

「NEC 2030 VISION」は、各部門の代表者や役員が策定に参画し、未来の生活者を思い、ありたい姿を具体化し、社会実装に向けた活動を開始することになるとしています。

人・カルチャーの変革

  • ・エンゲージメントスコア:2020年度 25% → 2021年度 35% → 2022年度 36%
  • ・ジョブ型マネジメント
    事業戦略に連動した適時・適所・適材の実行(2023年度は統括部長以上、2024年度に全社員へ導入)
  • ・RISE Fast:問題解決実践を通じた「スピード」変革
    現場プロセスのシンプル化と社員の主体性を強化する活動として推進(2022年度に48の全部門で200テーマの課題解決を実践、参加者数は約1300人、現場の無駄の排除などによる金額効果は17億円に到達)

文化の変革

  • ・Smart Work 2.0
    COVID-19の5類移行を受けて働き方をさらに進化(チームの生産性最大化のため、チームとして最適な働き方を選択)
  • ・ビジネスインフラの整備(経営・ファイナンスプロセスの刷新)
    グローバルトップレベルの経営基盤を構築し、すべての情報をデジタル化することによりデータドリブン経営を実現(環境変化に対して、柔軟で、スピーディな事業運営を実現し、事業価値のアウトプットの最大化を目指す)

参考:NECの発表資料

2023.04.28 NECの2023年3月期決算発表

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