ビジネス変革時の組織変革と価値創造プロセス、取組み概要と留意点及び「3つの課題」の解決策

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Customer_Experience

近年のデジタル技術の進化により、その影響は、産業を超え、国境を超えて、競争が激しくなってきています。

デジタル化による事業構造の変革、いわゆる「デジタルトランスフォーメーション」が起こっています。

デジタル技術を活用することで、ビジネスモデルの変革、オペレーションやITを大きく変えていく必要があり、そのためには組織風土や人材の変革も重要になっています。

そこで、「ビジネス変革時における組織変革」と「価値創造プロセス」について、取組み概要や留意点をこれまでの経験から簡単に整理します。

 

ビジネス変革時における組織変革

過去、特に日本企業は、製品の差別化が競争力獲得に有効であるということで、製品そのものの機能強化に努力してきました。

しかし、製品の技術革新の短サイクル化、デジタル化やモジュール化などにより差別化が難しくなってきていると同時に、顧客の価値基準も製品そのものの機能ではなく、それらを利用した際の体験価値をより重要視するようになってきました。

B2Cビジネス企業は強く感じていらっしゃるでしょうし、B2Bビジネス企業でも間接的に感じられているかもしれませんし、取引先から要求されている場合もあるのではないかと思います。

モノ(商品の機能重視)からコト(体験価値重視)へと移行し、その体験が習慣やルールとなり、さらには持つことの意義や意味が高まれば、顧客は使い続け、離れられない存在となります。

そのためには、特定の商品の利用体験を高める「ユーザーエクスペリエンス:User Experience」から、商品全体に関わる利用体験を高める「カスタマーエクスペリエンス:Customer Experience」へと、取り組みの視点を変えていくことが必要になってきます。

ユーザーエクスペリエンス:User Experience

  • ・視点:特定の商品の利用体験
  • ・対象:商品そのものの機能や品質及び操作性など、個々の商品と接する際のインターフェース

カスタマーエクスペリエンス:Customer Experience

  • ・視点:商品全体に関わる利用体験
  • ・対象:商品の認知、購入、利用、廃棄までの全体プロセス

そこで、カスタマーエクスペリエンスを高めていくためには、顧客の潜在的なニーズや周辺の困り事に着目して、課題を解決するための全体プロセスを考え、そこには従業員の経験(Employee Experience)を組み入れていくことも重要になってきます。

 

価値創造のプロセス

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ほとんどの企業は、これまでの経営環境に適切に対応し、最適化した組織で運営してきています。

そこに、近年のデジタル革命に対応するために、全社的な組織変革を一気に進めることは難しい状況にあると思います。

これまで、個別にご支援した企業、セミナーや研修でお会いした方々とお話しした経験では、多くの企業がプロジェクトチームを設立して、デジタルによる改革を進められています。

その際には、以下に留意して取組みを進めていくべきと考えています。

 

価値創造のプロセス

取組みに当たっては、原点に返って進めていく。

1.市場の機会を確認する。

  • ・想定する顧客の潜在的なニーズや課題を確認し、その課題の解決策を一から考える。
  • ・解決策を考える上では、既存事業や社内体制などの既成事実に捉われない。

2.自社のブランド(会社の意志)を再認識する。

  • ・解決策となるカスタマーエクスペリエンスと自社ブランド(意志)とを整合する。
  • ・自社が掲げているビジョンや経営理念に沿った事業構想を考える。

3.自社の強みを確認する。

  • ・企業文化や技術など、自社の強みを再確認する。
  • ・新たなカスタマーエクスペリエンスを構築する際に、自社の強みを有効活用する。

4.基本的な考え方や方向性を決める。

  • ・新たな価値の有効性や実現性などを整理する。
  • ・その価値を提供したときの事業規模、それを実現するための投資などを確認して事業を計画する。

5.経営者を含め、全社で意志決定する。

 

価値創造プロセスを進めていく上での留意点

1.「両利きの経営」をする。

  • ・新しい知を求める活動を「知の探索」、既存の知識を改良していくことを「知の深化」といい、改めて両者のバランスをとる。
  • ・事業が成功している企業ほど「知の深化」傾向が強いことを「コンピテンシー・トラップ(Competency Trap)」といい、この「コンピテンシー・トラップ」にはまらないようにするためにも「知の探索」に重心を置く。

2.短期志向ではなく長期志向で考える。

  • ・事業計画を考える際、様々なステークホルダーの圧力で短期志向になる傾向が強い。
  • ・新たな価値創造に当たっては、事業構造を長期的視点で大きく考え、小さい単位で仮説検討を繰り返して学習し、速く実現を目指す。

3.「見逃し三振」は避ける。

  • ・様々なビジネスアイデアを出すのは構わないが、過度に「オオカミ少年」化するのは避ける。
    社内から信用されなくなる。
  • ・あらゆる場合を想定したビジネスアイデアを考えることは不可能に近いが、「見逃し三振」は避ける。
    考えられるだけのアイデアを出し、実行すべきか否かを意志を持って判断する。

4.「新規性・意外性・妥当性」重視のマネジメント

  • ・既存の事業では、計画された業務を「効率的に、秩序を持って、確実に実行する」ことを重視したマネジメントとなっており、それを遂行することが得意なマネージャーが管理している。
  • ・新たな価値創造という変革の必要性を理解したマネージャーを置き、「新規性・意外性・妥当性」を重視したマネジメントを実行する。

 

「3つの課題」を解決するための支援

これまでお会いした変革プロジェクトのリーダーの方々とお話ししていると、上記の価値創造プロセスを進めていく上での留意点の他に、特に「3つの課題」があることが明らかになってきました。

この「3つの課題」を解決していくためには、経営者の支援が必要になってきます。

1.明確な意思決定

  • ・状況
    プロジェクトで考えた提案に対し、実行の是非を明確に意思決定しない。
  • ・基本的な対策
    プロジェクトの推進に対して経営者が適時フォローし、結果に対して責任を負う。
    途中に出てきた悩みに対し、経営者自らがメンターとなってアドバイスする。必要によっては、変革の経験者をメンターとして設置する。

2.リソースの確保

  • ・状況
    ビジネスアイデアを試行や検証する際、社内の関係部門から技術や要員及び時間などの支援が得られない。
  • ・基本的な対策
    変革の重要性やプロジェクトの位置づけを経営者自身の口で発信し、全社で協力するよう周知徹底する。

3.社内外との連携

  • ・状況
    リソースが確保されても、既存組織の利害が依然として優先され、連携してもらえない。
    また、他社と連携しようとした場合、一部の技術の公開や共同作業など、既存事業部門にオープンイノベーションの理解が得られない。(意識が低い)
  • ・基本的な対策
    既存組織に対して明確に指示する。また、業績評価指標を別枠で設ける。
    他社との折衝に当たっては、公開する部分(オープン)と競争する部分(クローズ)とを見極め、経営者が先頭に立って推進する。

 

以上、「ビジネス変革時における組織変革」と「価値創造プロセス」について、取組み概要や留意点をこれまでの経験から簡単に整理してきました。

そして、多くの方々とお話しをしている中で、価値創造プロセスを進めていく上で「3つの課題」があり、それらを解決するための基本的な対策を整理しました。

これまで、既存事業に最適化された組織においては、新たな取組みに対する反発、特に既存事業で効率よく業務を行って立場を得てきたリーダーの抵抗は手強いのではないかと思います。

さらに、決められた業務を無難に実行する体質がしみ込んだ社員に対して、「速く変われ」と言っても酷な話かもしれません。

一方、「変革の必要性を経営者が発信するものの推進は現場任せ」という企業も、時折見受けられます。

新たな視点から変革していくことは簡単ではないかもしれませんが、「経営者が意志表示し、それを理解して全社員が協力する」という全社的な活動が必要で、まさに経営者の舵取りが重要となります。

 

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