GAFAに共有する「覇権の8遺伝子」と次に現れる企業、企業の取組みの方向性

GAFAに共有する「覇権の8遺伝子」と次に現れる企業、企業の取組みの方向性

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GAFA

今や、GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)の勢いがますます拡大してきています。

そこで、GAFA成長の要因と特に国内企業の取組みの方向性について整理します。

GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)と次の企業

現地時間2018年8月2日にAppleが、続いて9月4日にAmazonが、時価総額1兆ドルを超えました。(現時点の時価総額は、Appleが1兆80億ドル、Amazonが9,609億ドル)

今や、GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)が提供しているサービスをほとんどの人が使用しており、生活の隅々にまで浸透しています。

各社の成功要因は、「脳、心、性器」を刺激し、人々の習慣となり、なくてはならない存在になってきているのも事実です。

各社は、新しい行動パターンをつくってユーザーを集め、既存のマーケットに参入してきました。

デジタル技術を駆使して、業界の常識に縛られない発想で、既存の市場を破壊しています。

そこには、急激な成長を遂げるため、競合他社が気付かぬうちに既存の市場を破壊し、新たに成長する破壊的イノベーションを進めてきました。

GAFAの次となる可能性のある企業

GAFA各社は今のところ共存をしているように見えますが、GAFA間での市場の奪い合いも起こってくるでしょうし、市場優位性を備えた新たな企業が現れてくる可能性もあります。

  • ・中国という国の特殊性を背景に拡大し、グローバル展開をしているテンセントやアリババそしてバイドゥ(百度)
  • ・電気自動車のマーケットリーダーとして地位を固めつつあるテスラ、配車サービスのウーバー、宿泊シェアリングサービスのエアビーアンドビー
  • ・かつては市場リーダーであったウォルマートやマイクロソフト及びIBMなど、近年のデジタル時代における巻き返し
  • ・これからの5Gを見据え、通信インフラを所有している企業

など、デジタル時代において、今後の技術動向やマーケットの変化及び人口構成の変化などにより、新たな企業が現れてくる可能性もあります。

GAFAは今のところ多くの面で優位性があり、高い参入障壁と深い堀を張り巡らせて主導権を守り、さらに拡大していこうとしていますが、永遠に続く保証もありません。

国内企業の取組みの方向性

産業界においても、100年に一度といわれる革命が来ている現代において、デジタルによる事業構造の変革「デジタルトランスフォーメーション」の波が押し寄せています。

近年、市場を予測することは困難ですが、だからこそPDCAを猛スピードで回して、前向きに失敗を繰り返すことが必要ではないかと考えています。

自動化できる仕事はロボットに任せ、人間は直感や創造性などを発揮することに集中すべきであるといえます。

特に日本の企業は、過去様々な難局を乗り越えてきたがゆえに、以下の恐れがあるのではないか懸念されます。

  • ・人材の量的不足に加え、質的な抜本変化に対応できていない恐れ
  • ・従来「強み」と考えてきたものが、変革の足かせになる恐れ
  • ・近年のデジタル化などの大きな変革期であることを、経営者が認識できていない恐れ
  • ・自前主義からの脱却、非連続的な変革が必要であることを認識できていない恐れ

そこで、これからの企業経営は、主に以下の取組みが必要ではないかと考えています。

  • ・デジタル革命の本質を見抜く。
  • ・社会や顧客が抱えている課題を見つけ出し、デジタル技術を駆使して解決策をいち早く提供する。
  • ・協調領域(オープン戦略)と競争領域を明確に見極める。
  • ・安心、安全、高性能、高品質なサービスを創出していける体制で、プラットフォームを構築し運営する。
  • ・ピラミッド型組織とフラット型組織の両方を組み合せ、計画に縛られず柔軟に、トライ&エラーを高速に繰り返して検証する。
  • ・優秀なAI人材を確保・活用する柔軟な人事システムを構築する。

GAFAが共有する「覇権の8遺伝子」

先日ご紹介した書籍『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』では、Google、Apple、Facebook、Amazon(GAFA)を、ヨハネの黙示録になぞらえて現代の「四騎士」と称し、各社の戦略を詳細に分析したうえで、四騎士の成長要因、四騎士時代の世界で生きるための武器について提言しています。

本書の中で、四騎士に共通する8つの要素が紹介されていますので、そのポイントを整理します。

1.商品の差別化

小売業の強みは、場所から流通、その後は製品から金融の時代へと向かい、80から90年代はブランドの時代となり、現在は再び製品の時代にきている。

現在の製品の差別化とは、形あるものに限るのではなく、バリューチェーン全体で商品を差別化する。

実体のあるイノベーションであり、製品の差別化の核心ができたのは、安い資本と技術イノベーションのおかげである。

  • ・Googleは素晴らしい検索エンジン
  • ・AppleはiPhone
  • ・Facebookはネットワーク効果と絶えず導入される新しい機能
  • ・Amazonはショッピング体験
2.ビジョンへの投資

四騎士は、理解しやすい大胆なビジョンで、安い資本を集めている。

ビジョンへの投資の強みが競争上の強みを生む。
じっくりと資産(投資)を増やして、より多くのイノベーションにより多くの投資を注ぎ込める。

現代のCEOとは、ビジョンを雄弁に語るストリーテイリングの才能を持ち、マーケットの予想を把握し、同時に自分の周囲をビジョンに対して毎日少しずつ進歩させられる人々で固めることができる人である。

四騎士のビジョン

  • ・Google:地球上の情報を整理する、1クリックで世界の情報へアクセス可能にする。
  • ・Apple:テクノロジーを介して何百万人もの人の生活を変える。
  • ・Facebook:よりオープンに繋がれた世界をつくり、シェアすることで、人々に力を与える。
  • ・Amazon:地球上で最も豊富な品揃えを提供し、お客様のすべてのニーズに応え続ける。
3.世界展開

国境を越えて世界中の人にアピールする製品をつくり、世界に打って出る。

持っている製品やサービスが「デジタル的」であり、普通の文化摩擦のルールは当てはまらないと証明する。

できれば、創業から5年以内に、世界中に売り込む。

4.高感度

よき存在、よき市民であり、国や国民、従業員、製品を調達するサプライチェーンに関わる人々に配慮しているとみなされるようにする。

外からどう見えるかが会社の現実であり、高感度が高く、「かわいげ」のある存在になることが重要になる。

法律は結果を左右するが、企業を法廷に引っ張り出すか否かは主観が左右する。
その見解は、往々にしてその企業が善良か否か、しおらしく見えるか否かに基づいている。

5.垂直統合

モノを買う時の消費者体験全てを垂直統合でコントロールする。
製品を自社生産していなくても、調達、営業、販売、サポートを行う。

  • ・Googleは、購買時点を支配している。
  • ・Appleは、直営店をつくって、流通とブランドについての支配権を持っている。
  • ・FacebookとAmazonは、商品を生産していないが、材料調達と製造以外、ユーザー体験全体をコントロールしている。
6.AI

人間がインプットしたデータを学習し、それをアルゴリズム的に記憶するテクノロジーを持つ。

マーケティングの歴史は、デモグラフィック・ターゲティングからソーシャル・ターゲティングへ、そして行動ターゲティングへと移行している。

今や、人工知能のおかげて、想像もできなかったレベルと規模で、人の行動を追跡できるようになっている。

消費者の行動パターンを明らかにして提案を向上させるために、ソフトウェアとAIを活用するスキルを持つ。

7.キャリアの箔づけになる

求職者にとってキャリアの箔づけになる仕事であるとみなされ、トップクラスの人材を集める。

最高のプレーヤーが揃っているチームには、安い資本が集まり、イノベーションが進み、上昇スパイラルがさく裂し、競争をリードすることができる。

8.地の利

過去10年の間に時価総額が何百億ドルも増加した企業は、ほぼ例外なく世界的な技術系あるいは工学系の大学に自転車で通える距離にある。

工学、経営、教養の学位を持つ人材が集まる場所に企業をつくる。

企業や消費者にとって、価値をあげる力と技術の両方を追求するセンスを持つ人材を集める。

参考

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