書籍 プラットフォーム革命(MODERN MONOPOLIES)/マイケル・ウェイド(著)

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プラットフォーム革命
経済を支配するビジネスモデルはどう機能し、どう作られるのか
MODERN MONOPOLIES
What It Takes to Dominate the 21st Century Economy

アレックス・モザド、ニコラス・L・ジョンソン(著)、藤原朝子(翻訳)
出版社:英治出版(2018/2/7)
Amazon.co.jp:プラットフォーム革命

 

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最強ビジネスモデルのすべてを解き明かす
Facebook、アリババ、Airbnb・・・
人をつなぎ、取引を仲介し、市場を創り出すプラットフォーム企業はなぜ爆発的に成長するのか。
あらゆる業界に広がる新たな経済原理を解明し、成功への指針と次なる機会の探し方、デジタルエコノミーの未来を提示する。

 

本書は、プラットフォームづくりを請け負う企業であるアプリコの創業者・CEOであり、モバイル技術とプラットフォーム技術の専門家である著者が、豊富な事例と理論的枠組み、実践経験に基づいて、プラットフォーム・ビジネスモデルを解き明かした一冊です。

新たに事業を起業しようとしている方にとっては、プラットフォーム・ビジネスを成功するためのツールとなりますし、既存企業のビジネスリーダーにとっては、既存ビジネスを改革していくうえでの指針となります。

 

本書は、プラットフォームが爆発的に成長する要因、あらゆる業界に広がる新たな経済原理を解明し、成功への指針となる機会の探し方、デジタルエコノミーの未来を提示しています。

  • ・前半の第1~4章では、プラットフォーム・ビジネスモデルとは何かを説明し、プラットフォームが現代の経済を作り変えている理由を明らかにしています。
  • ・後半の第5~8章では、プラットフォーム・ビジネスモデルの仕組みを解き明かし、アプリコの顧客が現代の独占企業になるに至った枠組みとインサイトの一部を紹介しています。
  • ・結論では、直線的なビジネスを規制することを想定して作られた現在の法令がプラットフォーム・ビジネスではリスクとなることと、潜在的なプラットフォームのチャンスを見つける方法をアドバイスしてくれています。

新しいビジネスモデルとは、プラットフォームだ。

すなわち相互に依存する複数のグループを結びつけ、すべてのグループが恩恵を得られるようにするビジネスだ。プラットフォーム・ビジネスは、伝統的なビジネスとは大きく仕組みが異なる。
既存ビジネスのほとんどは、現在のようなコネクテッドネス(つながり)など想像できなかった20世紀の考え方に基づいてできている。

簡単に言うと、プラットフォームは消費者とプロデューサー(モノやサービスやコンテンツを作ったり提供したりする人)を結びつけて、モノやサービスや情報の交換を可能にする。

 

直線的ビジネスとプラットフォーム・ビジネス

直線的ビジネス

直線的ビジネスは、商品やサービスを作り、それを顧客に販売するビジネスで、サプライチェーンに沿って一方向に直線的に価値が流れる。

過去2世紀にわたり、生産手段を所有することで価値を創造してきて、工場・人的資源・知的財産などの企業の資本基盤を利用して価値を創造することに注力してきた。

それは、企業がインプットを獲得して、より価値の高いアウトプットに変換する直線的なプロセスである。

 

プラットフォーム・ビジネス

プラットフォームは、大規模なネットワークを構築して管理し、ユーザー間の価値交換を円滑化する。

直線的ビジネスが商品やサービスを製造して価値を生み出すのに対して、プラットフォームはユーザー同士のつながりを作り、それを使った取引を「製造する」ことで価値を生み出す。

プラットフォーム企業は、工場をたくさん獲得して生産手段を所有するのではなく、ネットワーク内のユーザーを増やし、結びつけることで成長し、市場支配力を構築する。

直線的企業は、サプライサイドに「規模の経済」を構築した結果、独占的地位を手に入れ、「規模の経済」が生まれて大きくなるほどコストが下がる。

一方、プラットフォームが市場を支配するのは、そのネットワークが大きくなると、ユーザーにもたらされる価値が大きくなり、効率性と利便性が高まる。

プラットフォームは、「コア取引」を円滑化することによって価値を生み出す。

コア取引は多面的で、それが生み出す価値もプロデューサーから消費者への一方方向ではなく双方向で、取引の両当事者に価値をもたらせることが双方に継続的参加を促すカギとなる。

 

どうすれば失敗を避けられるのか

プラットフォームは、自らのネットワークを管理する。

そしてユーザーの参加を動機づけることによって、調整問題を克服しなければならない。

初期のネットワークの参加価値を高める方法

  • ・金銭的な補助
    直接金銭を交付、値引きなど
  • ・機能による補助
    活発に利用したくなるような付加価値を提供
  • ・ユーザー・シーケンシング
    一般ユーザーが交流したいと思うような特定のユーザーグループの獲得を優先

 

「ネットワーク効果」のはしご

「ネットワーク効果」は、ユーザーが増えるにしたがい、プラットフォームをより有用で価値の高いものにする。

あるユーザーのプラットフォーム上での行動が、別のユーザーの得る価値に直接的な影響を与えるとき、そこには「ネットワーク効果」があると言える。

どんなネットワークも、プラットフォームが成熟するにしたがい、質を高め、コミュニティー参加を目指すべきである。

  • ・コネクション
    コミュニティー内で起こる相互作用の理論値
    ⇒ 消費者とプロデューサーの両方をひきつける
  • ・コミュニケーション
    プラットフォーム上のユーザーの間で実際に相互作用が起きる
    ⇒ 質の高い交流を円滑化することで、価値交換をしやすい環境をつくる
  • ・キュレーション
    プラットフォーム上の情報をまとめて整理する
    ⇒ ユーザーによる評価システムなどように、フィードバックという形の価値提供を求めることで、ネットワークの質を維持する
  • ・コラボレーション
    参加者はお互いに付加価値を与えるために協力する
    ⇒ ユーザー間の協力を促すことで、ユーザーを一段とネットワークに巻き込む
  • ・コミュニティー
    このエコシステムにおける行動を統治する規模をつくり執行する
    ⇒ ユーザーに自分の利益を追求するだけでなく、コミュニティー運営に積極的に参加するよう促す

ネットワークが確立されて価値の交換が始まると、ユーザーに権限を与えることで「ネットワーク効果」を強化する。

キュレーションとコラボレーションを促してネットワークの質を高め、新しいタイプの価値を作る。

ユーザーにネットワークの統治を任せて、コミュニティーに対する当事者意識を持たせる。

 

「タマゴが先か、ニワトリが先か」問題と解決する方法

最初期のプラットフォームが直面するユーザー獲得上の問題である。

ほとんどの場合、できたばかりのプラットフォームに参加するコストは、そこから得られる価値よりも大きい。(参加価値はマイナス)

ネットワークが一定規模に達すれば、消費者もプロデューサーも喜んで参加するが、規模が小さいと、ほとんどの人は自ら進んで参加しようとしない。

この問題を解決する方法

1.大がかりな初期投資によって安全を確保する

2.業界の既存同業者と協力する

3.プラットフォームがプロデューサーの役割を果たす

4.既存のネットワークを利用する

5.価値の高い、又は「セレブ」ユーザーを取り込む

6.消費者とプロデューサー両方の役割を果たすユーザーの獲得に力を入れる

7.シングルユーザー・ユーティリティーを提供する

 

プラットフォームの構造

プラットフォームは取引を円滑化することによって、価値を創造する。

直線的なビジネスが、商品やサービスを作ることで価値を生み出すのに対して、プラットフォームはつながりを作り、取引を「製造する」ことで価値を見出す。

コア取引(Four Steps)

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The four steps of the core transaction.
出典:Platform Business Model - Definition | What is it? | Explanation

プラットフォームの中核をなす取引は「コア取引」と呼ばれ、ユーザーにとっての価値を生み出すという意味で、プラットフォームの「工場」であり、潜在的なつながりを取引に変えるプロセスでもある。

  • ・創造する(CREATE)
    プロデューサーが価値を創造し、プラットフォーム経由で提供する
  • ・結びつける(CONNECT)
    どんな取引でも、一人のユーザーが相手方とコネクトすることによって交換のきっかけが生まれる
  • ・消費する(CONSUME)
    消費者は自分の要望にマッチしたものを見つけると、プロデューサーが作った価値を消費できる
  • ・対価を支払う(COMPENSATE)
    消費者は、自分が消費したものと引き換えに、プロデューサーに価値をもたらす

 

コア機能(Four Functions)

コア取引を円滑にするといっても、プラットフォームはユーザーの行動を直接コントロールすることはできない。

無数のユーザーを思い通りに動かせるためには、ユーザーをネットワークに参加させ、そのマッチングを助け、取引をしやすくする技術を提供し、信頼を醸成して、質を維持するためのルールを作ることが必要である。

  • ・オーディエンス構築(AUDIENCE BUILDING)
    消費者とプロデューサーをクリティカルマス以上獲得して、流動的なマーケットプレースを構築する
  • ・マッチメーキング(MATCHMAKING)
    正しい消費者を正しいプロデューサーと結び付けて、取引と交流を円滑化する
  • ・中核ツールとサービスの提供(TOOLS & SERVICES)
    取引費用を下げ、参入障壁を取り除き、データによって長期的にプラットフォームの価値を高めて、コア取引を支援するツールとサービスを構築する
  • ・ルールと基準の設定(RULES & STANDARDS)
    どのような行動が許され奨励されるか、どのような行動が禁止され思いとどまるよう促されるかを定めたガイドラインを作成する

 

プラットフォームのタイプ(Platform Type)

「交換型プラットフォーム」と「メーカー型プラットフォーム」のどちらもプラットフォーム・ビジネスモデルが根底にあるが、機能は基本的に異なる。

交換型プラットフォーム(Exchange Platform)

  • ・消費者とプロデューサーの直接取引を最適化することで価値を提供するプラットフォーム
  • ・所定の時間内にプロデューサーが交換できるアイテムの単位数の最大値を「マッチング意思」と言い、このプラットフォームでは必ず限界がある。
  • ・在庫に限界がある。
    所定の時間に、一定の人数しか在庫を消費できない。

メーカー型プラットフォーム(Maker Platform)

  • ・プロデューサーが補完商品を作り、それを大規模なオーディエンスに向けて公開できるようにすることで価値を生み出すプラットフォーム
  • ・マッチング意思に限界はない。論理的には無限あるいは1対多数である。
  • ・在庫に限界はない。

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The different types of platforms
出典:Platform Business Model - Definition | What is it? | Explanation

プラットフォームは、さらにいくつかのタイプに分けられ、交換される価値(モノやサービス)を中心にコア取引が構築される。

同じタイプの価値交換を円滑化するコア取引を持つプラットフォームのグループで、どのタイプのプラット―フォームに適しているかを理解することは、プラットフォーム設計で最初にやるべきことの一つである。

 

交換型プラットフォーム

1.サービスマーケットプレース(Service Marketplace)

  • ・サービスの交換
  • ・例:ウーバー、エアビーアンドビー、ハンディーなど

2.プロダクトマーケットプレース(Product Marketplace)

  • ・物理的商品の交換
  • ・例:エッツィー、イーベイ、アマゾンなど

3.決済プラットフォーム(Payment Platforms)

  • ・金銭による支払い
  • ・例:ペイパル、スクエア、グーグルウォレットなど

4.投資プラットフォーム(Investment Platforms)

  • ・投資(株か融資かを問わず、金融商品のために交換される金銭)
  • ・例:エンジェリスト、レンディングクラブ、サークルアップなど

5.ソーシャルネットワーキングプラットフォーム(Social Networking Platforms)

  • ・ダブルオプトイン式(友達申請型)の交流
  • ・例:フェイスブック、ツイッター、ティンダーなど

6.コミュニケーションプラットフォーム(Communication Platforms)

  • ・1対1の直接交流
  • ・例:ドロップボックス、スカイプ、ウィーチャットなど

7.ソーシャルゲームプラットフォーム(Social Gaming Platforms)

  • ・複数のユーザーがいるゲーム交流
  • ・例:マインクラフト、ドラフトキング、ポーカースターズなど

 

メーカー型プラットフォーム

1.コンテンツプラットフォーム(Content Platforms)

  • ・一つのコンテンツ(記事、写真、動画など)
  • ・例:ユーチューブ、インスタグラム、ツイッターなど

2.開発プラットフォーム(Development Platforms)

  • ・ソフトウェアプログラム
  • ・例:閉鎖型(セールスフォース、フィットビットなど)、管理型(アンドロイド+グーグルプレイ、iOSなど)、オープン型(アンドロイド-グーグルプレイ、リナックス)

 

プラットフォームとは何か。
それは複数のユーザーグループや、消費者とプロデューサーの間での価値交換を円滑化するビジネスモデルだ。

この交換を実現するために、プラットフォームは、ユーザーとリソースからなり、好きなときにアクセスできるスケール化可能な大型ネットワークを作る。
また、プラットフォームは、ユーザーが交流し、取引ができるコミュニティーと市場を作る。

 

まとめ(私見)

今、まさに産業革命が起きています。

モバイルテクノロジーの普及を背景に、買い手と売り手、消費者と開発者など相互依存する複数のグループを結びつけ、相互に恩恵をもたらすビジネスモデル「プラットフォーム」が経済を支配しつつあります。

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2018年2月末時点の時価総額を見てみると、アップル(1位:9,037億USD)、グーグル(2位:7,678億USD)、アマゾン(3位:7,322億USD)、マイクロソフト(4位:7,220億USD)、テンセント(5位:5,201億USD)、フェイスブック(6位:5,180億USD)、アリババ(8位:4,708億USD)が上位を占めています。

どの企業もプラットフォーム・ビジネスを展開して拡大してきたと言えます。

ちなみに、アップル、アルファベット(グーグル)、マイクロソフト、アマゾン、フェイスブックの5社を、「フライトフル・ファイブ(ものすごい5社)」と呼ばれています。

また、本書によると、2015年7月現在の企業価値10億ドル以上の未上場企業「ユニコーン」126社の内73社(約58%)がプラットフォーム企業が占めているようです。

最初は特定の業界又は分野でプラットフォームを構築して独占してきましたが、その強みをテコにして他の業界に展開し、既存の産業構造を破壊(デジタル・ディスラプション)しようとしています。

プラットフォーム・ビジネスモデルは、産業・社会・生活の隅々に変化をもたらし、長い年月を経て最適化された現在の産業構造を壊し、経済全体を再編しようとしています。

既存企業にとっては、現状の延長線でビジネスを継続していくと脅威となりますが、自社の強みを活かして新たなプラットフォームを構築できれば大きなチャンスになります。

本書は、これまでの5年間に多くの企業のプラットフォーム構築を成功させてきた著者らの経験を基に、プラットフォームが爆発的に成長する理由、その成否を分ける要因、次の機会を見出し活かせる方法などについて、豊富な事例とともに理論的枠組みとして整理されていますので、ビジネスモデル構築に際してのバイブルとなる一冊です。

 

目次

プロローグ 燃えるプラットフォーム

第1章 プラットフォームが世界を食い尽くす

第2章 ハイエク対コンピューター

第3章 限界費用ゼロの会社

第4章 現代の独占

第5章 ビリオンダラー企業をデザインする

第6章 見える手

第7章 ネットワークに仕事を任せよう

第8章 なぜプラットフォームは失敗するのか、どうすれば失敗を避けられるのか

結論 次のビッグチャンスを見つける方法

 

参考

Digital Transformation & Platform Innovation Services | Applico

Platform Business Model - Definition | What is it? | Explanation
By Alex Moazed on May 1, 2016

 

デジタルトランスフォーメーション関係(当サイト)

20180116digitaltransformation

デジタルトランスフォーメーションの実際

ベイカレント・コンサルティング(著)
出版社:日経BP社(2017/12/8)
Amazon.co.jp:デジタルトランスフォーメーションの実際

 

 

digital-transformation

デジタルトランスフォーメーション

ベイカレント・コンサルティング(著)
出版社:日経BP社(2016/9/14)
Amazon.co.jp:デジタルトランスフォーメーション

 

 

digital-vortex

対デジタル・ディスラプター戦略 既存企業の戦い方

マイケル・ウェイド、ジェフ・ルークス、ジェイムズ・マコーレー(著)
出版社:日本経済新聞出版社(2017/10/24)
Amazon.co.jp:対デジタル・ディスラプター戦略

 

プラットフォーム革命

modern_monopolies

プラットフォーム革命
経済を支配するビジネスモデルはどう機能し、どう作られるのか
アレックス・モザド、ニコラス・L・ジョンソン(著)、藤原朝子(翻訳)
出版社:英治出版(2018/2/7)
Amazon.co.jp:プラットフォーム革命

 

 

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