書籍 プラットフォーム・レボリューション(PLATFORM REVOLUTION)/ジェフリー・G・パーカー(著)

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プラットフォーム・レボリューション(PLATFORM REVOLUTION)
未知の巨大なライバルとの競争に勝つために

ジェフリー・G・パーカー(著)、マーシャル・W・ヴァン・アルスタイン(著)、サンジート・ポール・チョーダリー(著)
出版社:ダイヤモンド社(2018/8/23)
Amazon.co.jp:プラットフォーム・レボリューション

 

platform-revolution

2020年代を予見する!最重要戦略書

MITに結集した世界最高の研究者によるプラットフォーム時代の戦略ガイド
世界10カ国で大ヒット! 話題のベストセラー ついに邦訳

 

 

本書は、MITなどでデジタルビジネスの研究を進めている世界最高峰の学者たち三人が、多くの最新事例を紹介しながら、プラットフォームをあらゆる角度から学術的に分析した成果を解説した戦略ガイドです。

Google、Amazon、Microsoft、Uber、Airbnb、Alibabaなど、世界を席巻する現代企業の多くは、単に商品やサービスを提供するだけではなく、 ビジネスの仕組みそのものを提案する「プラットフォーム」を展開しています。

企業で戦略を推進している経営者やリーダーの方々にとっては、従来型ビジネス形態の「パイプライン」から「プラットフォーム」へと、ビジネス戦略の転換を考えていく上で大変参考になる一冊です。

 

本書は12章と巻末の「解説」で構成されています。

プラットフォーム企業が、なぜ起業から数年で巨大な伝統企業を破壊することができるのかを、ネットワークサービスを中心とした議論を展開し、米国の先端的な事例を紹介しながら分析をしています。

  • ■CHAPTER1~4では、プラットフォーム・ビジネスの現状とプラットフォームがなぜ強いのかを分析し、成功するための設計原則を掘り下げ、オールド・ビジネスの転換を迫っています。
  • ■CHAPTER5~9では、プラットフォームの立ち上げ戦略から収益化、利用範囲の規定、価値向上と成長強化のための方針、そしてステージ別の評価指標について解説しています。
  • ■CHAPTER10では20世紀の戦略を振り返りながら6つの競争戦略について、CHAPTER11ではプラットフォーム・ビジネスに対する規制問題と政府の介入について、CHAPTER12ではプラットフォーム革命の未来として産業別の予測と対応策について解説しています。
  • ■解説では、本書の全体を整理し、イノベーションを起こすのは技術だけではなくビジネスモデルが伴うことに加え、産業生態系の地殻変動の中で主導権を握るためのプラットフォームのビジネス上の意味を徹底的に検討することの重要性を解説しています。

私たちが本書を執筆したのは、デジタルの接続性とそれを可能にするプラットフォーム・モデルが、絶えず世の中を変えているとい信じているからにほかならない。

プラットフォーム主導の経済改革は、社会全体にとって、また、富と成長を生み出して人類のニーズに貢献する企業や組織にとって、多大な恩恵をもたらすだろう。

 

プラットフォーム

プラットフォームとは、外部の生産者と消費者が相互にインタラクションを行なうことにより、価値を新たに創造することを基本としている。

相互に関係し合えるようなオープンな参加型のインフラを提供するとともに、そのインフラの統治の条件を整えている。

全体的な目的は、ユーザ間で完璧なマッチングを行い、製品やサービス、社会的通貨を交換しやすくして、全参加者にとって価値を創造しうるようにすることである。

プラットフォーム構造の世界においては、タイプの異なる消費者同士が、プラットフォーム上で提供される資源を使ってお互いにつながり合い、インタラクションを行う。

プラットフォームが促す関わり合いによって、また、多様な方法や場所によって、創出、変更、交換、消費が行われる。

プラットフォーム・ビジネスが外部のエコシステムを用いて、新たなやり方で価値創造を行うようになっていており、様々な分野の境界線が再定義されつつある。

 

パイプライン

大半の企業が採用してきた従来のやり方で、パイプラインの片方には製品(モノ)やサービスの生産者が、もう片方にはそれらの消費者がいて、段階的に調整しながら価値を創出し、生産者から消費者へ移転していくビジネスである。

パイプラインを前提にしたバリューチェーンやサプライチェーンという概念は、川上から川下に向けた直線的なプロセスごとに価値が付加され、最終的にユーザーに渡る段階で最高価値になることが意図されている。

パイプラインでは、非効率的なゲートキーパーが、生産者から消費者までの価値の流れを管理している。

ゲートキーパーは、良い製品やサービスを提供しようと経験に基づいて判断するが、その結果はパイプラインからモノを出してみないと当りか外れかがわからない。

産業時代の巨大企業は、供給サイドの規模の経済に依存していたが、インターネット時代の巨大企業の多くは、需要サイドの規模の経済を頼りにしており、これをネットワーク効果と言い表すことができる。

既存企業はプラットフォームのレンズを通して所属業界を研究し、自社独自の価値創造エコシステムを構築していけば、プラットフォームによる破壊に対抗することができる。

 

プラットフォームによる革命的変化のパターン

ある産業から別の産業へとプラットフォーム・モデルが広がると、ビジネスのほぼすべての側面で革命的変化が起こる。

1.規模への効率的対応

  • ■プラットフォームは、ゲートキーパーを排除し、より効率的に大規模化できるので、パイプラインを打ち負かす。
  • ■パイプラインでは、非効率的なゲートキーパーが生産者から消費者までの価値の流れを管理しているが、このゲートキーパーがいなくなれば、消費者にとっては自らのニーズを満たす商品を選ぶ自由度が広がる。

2.価値創造と供給の源泉開拓

  • ■プラットフォームは、価値創造と供給の新たな源泉を開拓することで、パイプラインを打ち負かす。
  • ■プラットフォーム市場では、供給ということの本質が変わる。
    これまでは需要の源泉にすぎなかったコミュニティ(社会)において未利用であった潜在的な供給能力を、今や供給財として解き放ち、それらを最大限に役立つように活用する。

3.データに基づいたフィードバック・ループ

  • ■プラットフォームは、データに基づいたツールを用いてコミュニティのフィードバック・ループを創出することで、パイプラインを打ち負かす。
  • ■一方、既存のパイプライン企業は、マネージャーや監督などのコントロール・メカニズムに頼って品質を確保し、市場のインタラクションを形成しているが、このメカニズムは規模を拡大しようとするとコストがかかり効率も悪い。

4.プラットフォームは企業を「回転」させる

  • ■プラットフォームの価値はユーザーのコミュニティから生まれるため、プラットフォーム・ビジネスを行う場合は、企業活動の焦点を内部活動から外部活動へと移さなければならない。
  • ■戦略の対象も、独自の内部の経営資源を管理して競争障壁を築くことから、外部の経営資源を統合して魅力的で強力なコミュニティを巻き込むことへと移行し、イノベーションは社内専門家や研究開発部門の担当領域ではなく、プラットフォーム上の独立した参加者が考え出したアイデアやクラウドソーシングを通じて生み出されるもとなっている。

 

成功するプラットフォームの設計原則

プラットフォームが何を目的とし、どの様に機能するか、基本をしっかりと考える。

経済的交換や社会的交換と似ており、生産者と消費者を引き合わせて3つの交換に関与させるように、参加者をつなげるインフラと簡単で互いに満足のいく交換を実現させるツールとルールを提供する。

  • ■情報の交換 ⇒ 情報交換をしやすい設計にする。
  • ■製品やサービスの交換 ⇒ 価値単位の交換を簡便にする。
  • ■通貨の交換 ⇒ 通貨の交換が内在化されていて、獲得を可能にする。

プラットフォームを設計するときには、プラットフォームの価値創造という使命の中心にある相互作用(コア・インタラクション)から始める。

  • ■コア・インタラクションは、参加者、価値単位、フィルターで規定されるが、中でも価値単位が最も重要であり、コントロールが最も難しい。
  • ■コア・インタラクションを容易かつ不可欠なものにしていくためには、誘引、促進、マッチングの機能を実行する。
  • ■プラットフォームが成長していくと、コア・インタラクションを超えて拡大する方法が見つかることがよくあるが、新しい種類のインタラクションを別の層として重ねていくと、その過程で新しい参加者を引き付けられることも多い。
  • ■多数のユーザーが互いに満足いくインタラクションを簡単に行えるようにするために、プラットフォームを入念に設計する。

 

プラットフォームによる破壊

パイプラインに対する経済的優位性

  • ■製造や販売の限界的な経済性が優れている。
    プラットフォームが急速に規模に対応できる力は、ネットワーク効果によってさらに増強され、正のネットワーク効果が働き始めると生産性が高まり、それによって消費も増える。
  • ■類似のパイプライン企業よりも急成長できる。
    ・プラットフォームの世界が台頭することで、昔ながらのビジネスプロセスが再定義される。
    ・価値創造の再構成による新たな供給源を活用する。
    ・新しい形態の消費行動を可能にした価値消費を転換する。
    ・コミュニティ主導型キューレーションを通して品質管理を再定義する。

ビジネス全体への構造的な影響

  • ■価値と資産の分離
    創出される価値から物理的資産の所有権を切り離すことにより、所有者特有の用途に制限されずに、その資産を単独で売買するなどの最適な方法がとれるようになる。
  • ■仲介機能の再構築
    市場の参加者層を単に除去するというよりも、新タイプの仲介者が登場し、プラットフォームが再び仲介入りの市場となる。
    ・伝統的な仲介業者が手作業に頼っているのに対し、プラットフォームの仲介業者は迅速かつ効率的に規模に対応するアルゴリズムとソーシャル・フィードバックを用いる。
    ・プラットフォームが生み出した仲介機能によって、生産者と消費者の「参加の経済」も変化し、新たな勝者や敗者が生まれる。
    ・参加者が新しい経済性を享受できるようになったのは、プラットフォームによって限界的コストなど、優れた経済性が実現されたからである。
  • ■市場の集約
    ・プラットフォームは、組織化されていない市場を集約することでも、新たな効率性を生み出す。
    ・市場の集約とは、プラットフォームが中央集権的な市場を提供し、広く分散した個人や組織にサービスを行うプロセスのことである。

 

市場導入(8つの立ち上げ戦略)

プラットフォーム・マーケティングの世界では、「プル戦略」が「プッシュ戦略」よりもはるかに効果的で、重要性が高い。

認知されるだけでは採用や使用を促せないし、顧客に製品やサービスをプッシュするやり方はもはや成功の鍵ではない。

それよりも、製品やサービスを設計する際に、顧客を自社のプラットフォームの世界観に自然に引き込む魅力を持たせなければならない。

さらに、プラットフォーム・ビジネスにとって、ユーザーの登録や購入ではなく、ユーザーの参加や積極的利用が顧客獲得の真の指標となる。

競合のビジネスデザインを理解・分析するだけではなく、プラットフォーム市場におけるプル型マーケティングの重要性を理解することは、立ち上げ戦略では重要なことである。

プラットフォーム・ビジネスの拡大速度は、バイラリティ拡大を通じて加速させることができ、「送り手」「価値単位」「外部ネットワーク」「受け手」という4つの主要な要素に左右される。

 

ニワトリと卵のジレンマを打破する8つの戦略

1.フォロー・ザ・ラビット戦略

  • ■プラットフォーム以外のデモンストレーション・プロジェクトを用いて成功モデルをつくり、プラットフォームに有効性が実証されたインフラを構築し、消費者と生産者の両方を呼び込む。
  • ■価値創造の足場をつくる。
    ・ワンサイドのユーザー層を引き付けるプラットフォームを設計する。
    ・同時にオンボーディングさせる。

2.便乗戦略

  • ■異なるプラットフォームのユーザーベースを結び付けて、価値単位の創造の準備を整える。
  • ■他のプラットフォームのユーザーに、自分のプラットフォームへ参加してくれるように促す。

3.種蒔き戦略

  • ■少なくともワンサイドの潜在的なユーザー層に、関連性のある価値単位をつくる。
  • ■価値単位は、プラットフォーム開発者がゼロからつくるだけではなく、別のソースから「借りて」くる場合もあるし、模擬的(偽の)価値単位を通じて種蒔きをするケースもある。

4.看板戦略

  • ■重要なユーザー層を引き付け、プラットフォームに参加したくなるインセンティブを提供する。
  • ■変形版として、排他的にシーズにアクセスするために、看板となる参加者をお金で買う。

5.シングルサイド戦略

  • ■一方のユーザー層に役立つ製品やサービスを中心にビジネスを創出した後で、そのユーザーとのインタラクションに関わりたいと思っているもう一方のサイドのユーザーを引き付けて、最初のビジネスをプラットフォーム・ビジネスに転換させる。

6.生産者エバンジェリズム戦略

  • ■生産者が自分の顧客に対して、プラットフォームのユーザーになるよう働きかけてくれるように、プラットフォームを設計する。

7.ビッグバン適応戦略

  • ■プラットフォームに膨大な量の関心や注目を集めるために、複数の伝統的なプッシュ型のマーケティング戦略を使うことにより、同時にオンボーディング効果が生じて、ほぼ完成されたネットワークを直ちに創り出すことができる。

8.マイクロ市場戦略

  • ■既にメンバーが交流している極小市場をターゲットにすることから始めることにより、プラットフォームが成長段階のごく初期であっても大きな市場のように効果的なマッチング機能を提供できる。

 

これまで人類が築いてきたものすべての目的は、個々の人の可能性を解放し、誰もが富を得て、充足し、創造的で、豊かな人生を送る機会が持てるような社会を建設することにあったはずだ。

プラットフォーム革命によってその目的に近づくために、私たちが一翼を担っていくかどうかは、ビジネスリーダー、プロフェッショナル、労働者、政策立案者、教育者、一般市民である私たち全員の肩にかかっているのである。

 

まとめ(私見)

本書は、豊富な実績を持つプラットフォーム研修者三名が、MITデジタル・エコノミー・イニシアチブを拠点とした活動を通して得られたプラットフォームに関する知見を集大成した一冊です。

プラットフォーム・ビジネスの現在と強い要因、成功するための設計原則、市場参入から収益化と成長強化のための方針、成長ステージ別の評価指標、競争戦略の変化、規制と革命の未来に至るまで、多くの事例を交えながら幅広く分析をしています。

プラットフォームをあらゆる角度から学術的に分析した成果が解説されていますので、一読をお薦めします。

特に、メーカー、小売り、サービス、物流、金融、エネルギー、教育、医療、政府など、ビジネスの急激な変化のメカニズムが解明されていますので、ネットワークを主体にしたサービス・プラットフォームに関する基本的な知識と理解を得るのに最適な一冊です。

また、デジタル化の進展により、強力なプラットフォームを持つ企業が世界的に成功を収めている状況の中で、これまでの系列や伝統的な企業グループの力を削ぐ能力をプラットフォームは構造的に持っていることも示しています。

 

本書は、プラットフォームの仕組みや前提となっている構造、創出される多様な形態の価値などについて、詳しく学ぶことができます。

その点においては、自らプラットフォーム・ビジネスを始めようとしている方々、また、プラットフォームの力を活用して既存ビジネスを変革しようとしている方々にとって、成功するプラットフォームを設計し、立上げ、管理・統治し、成長させる際のマニュアルとして参考になります。

一方、プラットフォーム・ビジネスに関係のない方々にとっても、プラットフォームの台頭によって既に多くの主要産業に変化が起きていることや、プラットフォームの影響が社会にどのように関係しているのかを学ぶことができ、プラットフォームの世界の原則を学ぶことができます。

 

目次

はじめに
── なぜ、プラットフォームは、既存のビジネスを打ち負かすことができるのか

CHAPTER1 プラットフォーム・ビジネスの現在

CHAPTER2 ネットワーク効果 プラットフォームはなぜ強いのか

CHAPTER3 アーキテクチャ 成功するプラットフォームの設計原則

CHAPTER4 プラットフォームによる破壊 転換を迫られるオールド・ビジネス

CHAPTER5 市場導入 8つの立ち上げ戦略

CHAPTER6 収益化 価値を求めてネットワーク効果を強化する

CHAPTER7 オープン性 プラットフォームの利用範囲を規定する

CHAPTER8 ガバナンス 価値向上と成長強化のための方針

CHAPTER9 評価指標 プラットフォームが問題にすべきこと

CHAPTER10 戦略 プラットフォームによる競争の変化

CHAPTER11 政策 プラットフォームに対する規制

CHAPTER12 プラットフォーム革命の未来

解説
── 妹尾堅一郎(産学連携推進機構 理事長)

 

参考

Platform Strategy ? by Sangeet Paul Choudary
著者の一人、サンジート・ポール・チョーダリーのブログ

「プラットフォームの爆発」が起きるたった4つのパターン
ダイヤモンド・オンライン

 

関係する書籍

Match_makers

最新プラットフォーム戦略(Match makers)

デヴィッド・S・エヴァンス(著)、リチャード・シュマレンジー(著)、平野敦士カール(翻訳)
出版社:朝日新聞出版(2018/5/7)
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プラットフォーム革命
経済を支配するビジネスモデルはどう機能し、どう作られるのか
アレックス・モザド、ニコラス・L・ジョンソン(著)、藤原朝子(翻訳)
出版社:英治出版(2018/2/7)
Amazon.co.jp:プラットフォーム革命

 

 

プラットフォーム・レボリューション

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