書籍 GET A GRIP ゲット・ア・グリップ | ジーノ・ウィックマン、マイク・ペイトン(著)

書籍 GET A GRIP ゲット・ア・グリップ | ジーノ・ウィックマン、マイク・ペイトン(著)

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GET A GRIP ゲット・ア・グリップ

ジーノ・ウィックマン(著)、マイク・ペイトン(著)、福井 久美子 (翻訳)、カール・パイザー(翻訳)、久能 克也(翻訳)
出版社:ビジネス教育出版社 (2022/6/6)
Amazon.co.jp:GET A GRIP ゲット・ア・グリップ

  • GET A GRIP ゲット・ア・グリップ

    業績停滞、瓦解寸前

    瀕死の経営チームがたった1年で「劇的再生」した理由

本書は、EOS(起業家のための経営システム)の開発者らが、EOSを実際に採用した経営者たちの声をもとに、EOS導入の様子を小説形式に描いた一冊です。

世界中で120万部のベストセラーとなった前著『TRACTION トラクション』ビジネス教育出版社(2020年12月10日)で紹介した実践的理論(EOS)について、EOS導入プロセス、導入の効果、チームメンバーの変化などが物語として描かれていますので、起業家や企業内組織のリーダーの方々にとって、登場人物のような疑似体験を通してEOS導入による経営改善を学ぶことができます。

本書は8章で構成されており、スワン・サービス社(創業10年、年商7億円、従業員35人)の経営チームが、EOS導入によって直面する重要課題を解決していく様子を、EOSプロセスに従って描いています。

第1章は、創業8年目以降、四半期の売上目標を達成できない状況が続いているなかで、経営チームのミーティングでは、互いの責任をなすりつけ合い、多くの課題も解決できずにいるところから始まります。

第2章は、共同経営者の一人(アイリーン)が経営者向け交流会で紹介してもらったEOSインプリメンターのアランと会います。

そして、経営チーム向け90分ミーティングで「トラクション」を説明してもらい、チーム内では賛否両論があったもののアイリーンがEOS導入を決断しました。

第3章は、本格的なセッションの一回目フォーカス・デイです。

  • ・今後のセッションでの期待をEOSインプリメンター(アラン)が述べた後、組織機能を定義する「アカンタビリティ・チャート」の作成に取りかかります。
  • ・経営チーム内の意見整合は難航しましたが、次の90日間に取り組むための優先事項となる「石」を何とか設定し、生産性の高い定期的なミーテング(10点満点ミーティング)リズムの重要性を確認した後、目標達成のための「スコアカード」のテンプレート作成にこぎつけました。

第4章は、二日間にわたるビジョン構築セッションの初日です。

このビジョン構築セッションでは、前回のセッションで学んだフォーカス・デイのツールをマスターし、明確なビジョンと達成のための計画を完成させることを目的としていますが、さまざまな議論を繰り広げています。

  • ・「アカンタビリティ・チャート」は、それらの機能は正しい構造になっているか、人の要素は抜きにして組織内の重要な機能がすべて含まれているか、互いに適切につながっているかを確認していきますが、チームリーダーそれぞれの立場から多くの課題が浮かび上がってきたうえに、参加しているリーダーの席(マーケティング機能)の位置づけに課題があることが明らかになりました。
  • ・「石」の進捗状況の報告では、チームリーダーからの言い訳、議論の脱線に加え、答えに対する認識が異なって感情的になる場面もありましたが、EOSインプリメンター(アラン)のアドバイスにより何とか認識整合を終えることができました。
  • ・「スコアカード」のレビューに関しても不安を口にするリーダーもいましたが、まずはこの四半期が終わるまでは項目を変更せずに数値をモニタリングすることになりました。
  • ・次にビジョンの構築に移っていきますが、持てるビジョンは一つだけであり、「ビジョン・トラクションシート」の8つの質問に答えることで整理できるというアドバイスにより、さまざまな議論を繰り広げながら「5つのコア・バリュー」をまとめました。
  • ・そして「ピープル・アナライザー」を使って経営チームのリーダーそれぞれのコア・バリューの有無を評価する場面に移り、見解が違ったり感情的な発言があったりして議論は進んでいきますが、基準を満たしていない一人のリーダーが浮かび上がってきます。

第5章は、二日間にわたるビジョン構築セッションの二日目に展開していきます。

場面はビジョン構築セッション(初日)の翌朝で、「ピープル・アナライザー」で基準に満たしていなかった一人のリーダーと共同経営者との面談から始まります。

  • ・4週間後のビジョン構築セッションの二日目は、「アカンタビリティ・チャート」の「人の課題」の確認から始まりますが、「正しい席に座る人」について激しい議論を繰り広げていきます。
  • ・「石のリスト」の確認では、初日の「石」の平均達成率は50%となった結果に対し、達成率は80%を目標とすることで「石のリスト」を再度作成していきます。
  • ・「スコアカード」に関しては前向きな指摘を経てレビューを終え、組織にトラクション(実行力)をもらたすツールの復讐を終えました。
  • ・そして、いよいよ「ビジョン・トラクションシート」の作成に展開していきますが、中小企業の多くが直面する課題への解決策や「8つの質問」に対する解答の掘り下げなど、EOSインプリメンター(アラン)の適切なアドバイスを受けながら活発な議論を繰り広げています。

第6章は、基本的なツールを活用して順調に進んでいるかのように見えているなかで、「ピープル・アナライザー」で基準を見たいしていないリーダーが辞め、一回目の四半期ミーティングが実施されました。

  • ・「アカンタビリティ・チャート」で浮かぶ上った課題の業務部門に新たに採用した部長を加え、経営チームはこれまでの90日間の取り組みを振り返っていきます。
  • ・前回作成した「ビジョン・トラクションシート(第2四半期)」の項目一つひとつについて状況を確認しながら、浮かび上がってきた課題と解決策を議論していきます。
  • ・そして次の「ビジョン・トラクションシート(第3四半期)」の作成を終えて「石」の設定に入っていきますが、議論が脱線しながらも新たな課題も浮かび上がってきます。

第7章は、トラクション(実行力)を発揮し売上目標を毎回達成して順調に推移しているものの経営チームでは次々と困難にぶつかっているなか、年間計画セッションに展開していきます。

新たに採用したCFOを加えた経営チームは、ある別のホテルで2日間の年間計画セッションを行いますが、一日目は高い視点からビジョンを共有し課題をあぶり出し、二日目は達成に向けた翌年の計画を立て、主要な課題を解決していきます。

  • ・まず「石」のレビューを行っていきますが、多少の課題はあるものの順調に完了してきていることを共有しています。
  • ・次に、チーム内の信頼関係を高めるワークとして「トラスト・ビルダー」を実施していきますが、個々に受け取ったフィードバック(本音の指摘)から新たな気づきを得ています。
  • ・そして、組織のチェックアップで課題をあぶり出した後、SWOT(Strength:強み、Weakness:弱み、Opportunity:機会、Threat:脅威)分析で活発な議論を展開して3年イメージをまとめていきました。
  • ・年間計画セッションの二日目は、課題リストと3年イメージを再確認した後、1年計画を策定していきます。
  • ・活発な議論のもとで売上目標、組織構造(アカンタビリティ・チャート)、「スコアカード」といった1年計画を作成し、第1四半期の「石」を設定していきます。
  • ・経営者と現場(業務チーム)との間での立場の食い違いからくる激しい論争、以前からあった人の課題、売上予測をもとにした人員配置に関する課題などに関する激しい議論を展開しながら「ビジョン・トラクションシート(第1四半期)」を作成していきます。

第8章は、経営チームが着実にトラクション(実行力)を高めていき、3回の四半期セッションを行い、障害は起こるもののリーダーがツールを適切に活用しながら克服していく様子が描かれています。

そして、共同経営者の一人(アイリーン)が経営者向け交流会に参加し、3年前の自分と同じ悩みを持つ仲間に偶然会います。

本書を書いたのは、読者に何かを考えてもらいたかったからではない。

みなさんと経営チームが、この寓話に出てくるツールを完璧に導入して、先に引用した数々の企業と同じような結果を出せるよう、EOSについてできるだけ詳しく書いた。

EOSの説明に本書を丸ごと費やすこともできただろう(事実、姉妹本である『トラクション』はまさにそんな内容だ)。

しかし、多くの読者にとっては、EOSを導入した会社がどうなるかを観察する方が、プロセスを理解して応用しやすくなるだろうと思ったのだ。

また、得られる結果についても理解できるだろう。

EOSプロセスとEOS導入時の主なポイント

EOSプロセス

『GET A GRIP ゲット・ア・グリップ』を参考にしてATY-Japanで作成

リーダーシップの五つの能力と使用ツール

1.単純化

  • ・組織が急速に複雑化する中では、リーダーは物事をシンプルにしておくこと必要である。
  • ・少ない方がよい(Less is More)。

2.権限移譲

  • ・会社を成長させて天井を突き破るには、自分自身を拡張することを学ばなければならない(一部の業務を「手放し」、すべてを自分でやろうとしない)。
  • ・ツール:アカンタビリティ・チャート

3.予測

  • ・経営チームは短期と長期の二種類の予測を立てるが、どちらも的確に予測できなければならない。
  • ・会社の長期的なビジョンを明確に定めて、それを達成するための計画を練ることが重要であり、短期的な予測は、日々の課題と毎週の課題を効率よく解決する能力である。
  • ・ツール:ビジョン・トラクションシート、石、課題解決トラック(IDS、短期的予測を立てる習慣を身に着けるため)

4.システム化

  • ・組織をシステム化すると、一貫性が生まれて、スケーラブルにもなる。
  • ・会社のプロセスを定義すれば、それが自社独自のビジネスモデルとなる。
    経営チームは、これらのプロセスを文書化して単純化し、全従業員に一貫して実行してもらう。
  • ・物事を単純化すると、システム化は最大の効果を発揮するため、コア・プロセスの20%の重要なステップを文書化すれば、80%の成果が得られる(20対80の法則)。
  • ・ツール:3ステップ・プロセス・ドキュメンター(コア・プロセスの文書化)

5.構造化

  • ・適切な構造をつくって、会社を次の段階へと進化させる。
  • ・ツール:アカンタビリティ・チャート
正しい人を正しい席に座らせる

正しい人とは、会社のコア・バリューを共有する人のことである。

正しい席に座る人とは、業務を理解し(Get it)、その業務に対するやる気があり(Wants it)、業務を遂行する能力がある(Capacity to do it)人のことである。

GWC(Get it、Wants it、Capacity to do it):席に伴う役割について評価する。

  • ・Get it(業務を理解できている)
    席で求められる役割を、本質的に理解している。
  • ・Wants it(業務に対するやる気がある)
    自分の仕事をうまくやりたくて、毎日ベットから飛び起きて仕事に向かう。
  • ・Capacity to do it(業務を遂行する能力がある)
    知的にも感情的にも熟成していて、教育、トレーニング、現場経験も積んでいて、自分の席で良い結果を出し続ける。

全従業員が結果責任を果たすような環境をつくるには、責任者には優れたリーダーシップとマネジメント能力が必要である。

部下の能力を最大限に引き出す業務は、LMA(Leadership:リーダーシップ、Management:マネジメント、Accountability:説明責任)である。

石:今後90日以内にやらなければならないこと

ほとんどの中小企業では、重要案件には緊急案件という敵がいる。

リーダーは、日々の業務や無数の割り込み案件に気をとられて毎日忙殺されていて、組織にとって重要な業務がどんどん後回しにされる。

膨れ上がった優先事項のリストを削っていって、四半期で最も重要な優先事項に絞り込み、以降90日間はひたすら集中する。

まずは経営チーム向けの「90日の世界」をつくり、最終的には社員全員にまで広げる。

責任を持って「石」を完了させる人である「所有者」を決め、責任を負うのは一人だけである(四半期末には、完了したかどうかを判断する人も必要)。

絞り込んでリスト化する手法

  • ・キープ(keep)
    経営チームの誰かが、今四半期の会社のための優先事項3~7項目のうちの一つだと考えている。
  • ・キル(kill)
    今四半期の優先事項ではないので、削除する。
  • ・コンバイン(combine)
    似た項目を組み合わせて一つの「石」にする。

SMARTを念頭に「石」を明確に定義

  • ・Specific(具体的)
  • ・Measurable(測定可能)
  • ・Attainable(達成可能)
  • ・Relevant(目標と関連している)
  • ・Time-based(締め切りがある)

「石」の進捗状況は、「石」の所有者が「オントラック(順調)」か「オフトラック(不調)」かのいづれかで応える。

10点満点ミーティングで「オントラック」か「オフトラック」かだけを答えるのは、健全な経営チームでは進捗状況さえわかればいいからである。

お互いを信用できないせいで、もっと情報が必要だとか、情報を提供しなければならないのなら、結果責任に問題があるか、チームの健全性に問題があるか、あるいはその両方である。

EOSを構成する「6つのモジュール」

EOSを構成する「6つのモジュール」

『TRACTION トラクション』を参考にしてATY-Japanで作成

ジーノ・ウィックマンとマイク・ペイントンは、人々がビジネスで手に入れたいことを実現できるよう手助けすることに情熱を抱いています。

その情熱を満足させるために、二人は本書で紹介されている「起業家のための経営システム(EOS)」を企業に導入するサポートをしています。

EOSとはジーノが作った包括的なシステムのことです。

EOSを組織に導入すると、リーダーはうまく会社を経営・管理できるようになり、ワーク・ライフ・バランスが改善し、実行力を身につけられるでしょう。

組織も、健全で機能的で結束力のあるチームとなって前進できるようになります。

まとめ(私見)

本書は、EOS(起業家のための経営システム)を実際に採用した経営者たちの声をもとにして、経営チームが直面する課題に対してEOSを導入して解決していく様子を小説形式で描いた一冊です。

著者お二人は実績豊富なEOSインプリメンターとあって、経営チームの反論や衝突などがあるなかで、直面するさまざまな課題を解決していく様子を絶妙に描いています。

本書では、組織の課題、経営チームの課題、そして従業員の課題を経営チームリーダーが解決していますので、ビジネスリーダーの方々が実際の現場でも直面する課題解決のヒントになります。

また、経営チームが繰り広げた議論の途中経過、ポイントとなるツールの最終記入内容を提示していますので、プロセスを進めていくうえでの視点や整理の仕方の参考になりますし、自社に当てはめて作成していくうえでのガイドとなります。

なお、EOS(the Entrepreneurial Operating System)を「起業家のための経営システム」と表現していますが、起業家だけでなく、企業内で新たな事業を立ち上げるリーダーや既存組織のリーダーの方々にとっても実践的なツールとなります。

本書には、特に中小企業が抱える課題に対して「6つのモジュール」の質問に答えることによって解決できるとして、さまざまなツールを提示しています。

特に、以下の5つの基本ツールを初めとして、実践的なツールを随所で紹介しながら、経営チームが作成していくプロセスを詳細に描いています。

  • ・大局的な視点から組織構造を考える「アカンタビリティ・チャート」
  • ・90日ごとに設定して達成を目指す「石」
  • ・10点満点ミーティングを通して課題を解決していく「ミーティングのリズム」
  • ・測定すべき活動を数字で設定して進捗管理する「スコアカード」
  • ・ビジョンを構築する「ビジョン・トラクションシート」

しかし、これらのツールを理解したとしても、作成することが目的ではなく、作成するまでの議論、特に本音で正直な議論を繰り返して、全員が腹落ちすることが重要であることは言うまでもありません。

そのためには、当事者間の信頼関係に加え、全員が同じ方向を目指していくことが必要となります。

経営、部門やチームといった階層単位で展開していき、最終的には全社員が同じ方向を目指して実践していかなければ、さまざまな課題を解決してくことはできません。

ビジョンを明確にして全員で議論すること、議論していく中で脱線したり感情的になったりした際には軌道修正し、内容が複雑になってきたときには簡潔(少ない方が良い:Less is More)に整理するなど、本書には多くのノウハウを垣間見ることができます。

これらを自社単独で実践していくことは難しいかもしれませんが、本書のアランのようなEOSインプリメンターの存在は欠かせません。

ツール活用に関するノウハウに限らず、基本的な理論、他企業(特に同規模なの企業)の事例など、豊富な経験をもった人のアドバイスは非常に効果的で説得力があります。

創業後に急成長している企業、次の飛躍を目指している企業にとっては、やはり人に関する課題が多いのではないかと思います。

企業経営に適切な機能は定義できるものの、その機能を担える人が社内にはいない。

新たに採用しようとしても、応募者も候補者も限定されるし、人件費の確保も難しいのが現実かもしれません。

しかし、表面上の改善では「天井を打ち破る」ことはできないのも事実です。

「自社のビジョンを再確認し、自社は何屋でどこに向かおうとしているのか」「実現するための組織や機能、評価指標や仕組みづくり」「信頼関係に基づいた活発な議論ができる会議」など、経営全体の仕組みを再構築する。

本書は、EOS(起業家のための経営システム)導入のプロセスに限らず、リーダーが直面する課題を解決していくための方法を物語形式で教えてくれる、リーダーとして疑似体験できる一冊です。

目次

はじめに

第1章 事件

第2章 出会い

第3章 フォーカス

第4章 ビジョン構築 1日目

第5章 ビジョン構築 2日目

第6章 大変革

第7章 年間計画セッション

第8章 トラクション

著者およびEOSワールドワイドについて

参考

EOS JAPAN 起業家のための経営システム - EOS JAPAN -

THE EOS TOOLBOX - EOS JAPAN 起業家のための経営システム

組織のチェックアップ - EOS JAPAN 起業家のための経営システム

ブログ - EOS JAPAN 起業家のための経営システム

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