ソニー、パナソニック、シャープの2021年3月期の通期決算と2022年3月期の業績予想

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ソニー、パナソニック、シャープの2020年度(2021年3月期)通期決算と2021年度(2022年3月期)通期予想

 

ソニー、パナソニック、シャープの2020年度(2021年3月期)通期決算と2021年度(2022年3月期)通期予想が出そろいましたので、各社の概況を整理します。

ソニー

  • ・2020年度は、イメージング&センシング・ソリューションは前年に対して減収減益、映画とエレクトロニクス・プロダクツ&ソリューションが減収増益、ゲーム&ネットワークサービスと音楽及び金融の分野が増収増益となり、全体では増収増益となっています。
  • ・2021年度予想は、映画とエレクトロニクス・プロダクツ&ソリューションが前年に対して増収増益、ゲーム&ネットワークサービスと音楽及びイメージング&センシング・ソリューションで増収減益、金融で減収増益を見込んで、全体では増収減益を見込んでいます。

パナソニック

  • ・2020年度は、事業ポートフォリオ改革による非連結化影響に加え、コロナ影響により売上減収となったものの、調整後営業利益は、経営体質強化が着実に進捗し、社会変化を捉えた事業増販が寄与して増益、営業利益と純利益は、前年度のその他損益における一時益の反動などで減益となっています。
  • ・2021年度予想は、各国経済の回復や経営体質強化の取り組み継続により、全てのセグメントで増益、全体でも増収増益を見込んでいます。

シャープ

  • ・2020年度は、新型コロナウィルスが収束しないなか、期末にかけては半導体が隘路となった影響などがあったものの、業績は順調に回復し、全体では増収減益となっています。
  • ・2021年度予想は、売上収益、営業利益、純利益ともに増収増益を見込んでいます。

 

ソニー

2020年度(2021年3月期)連結業績

ソニーの2020年度(2021年3月期)通期決算

 

イメージング&センシング・ソリューションは前年に対して減収減益、映画とエレクトロニクス・プロダクツ&ソリューションが減収増益、ゲーム&ネットワークサービスと音楽及び金融の分野が増収増益となり、全体では増収増益となっています。

売上収益は、対前年同期比9%(7,395億円)増の8兆9,994億円

  • ・映画分野の大幅減収があったものの、ゲーム&ネットワークサービスと金融の分野が大幅増収して、全体では前年に対して9%(7,395億円)増の8兆9,994億円となっています。
  • ・減収した分野
    • ・映画分野:コロナ影響による映画館閉鎖による劇場興行収入の減少、テレビ番組政策の作品納入数減少が影響して大幅減収
    • ・イメージング&センシング・ソリューション:モバイル機器向けイメージセンサーが減少
    • ・エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション:デジタルカメラや放送用・業務用機器及びオーディオ・ビデオが減収
  • ・増収した分野
    • ・ゲーム&ネットワークサービス:アドオンコンテンツ含むゲームソフトウェア販売とプレイステーション5発売に伴うハードウェア売上が増加
    • ・金融分野:ソニー生命の増収とソニー銀行における有価証券評価損益が改善して大幅増収
    • ・音楽分野:音楽政策におけるストリーミングサービスからの収入増と『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が貢献した映像メディア・プラットフォームが増収

営業利益は、同1,264億円増の9,719億円(調整後営業利益は、同1,659億円増の9,799億円)

  • ・イメージング&センシング・ソリューションが、減収の影響に加え、研究開発費及び減価償却費が増加して大幅減益したものの、他の分野が増益して、全体では前年に対して1,264億円増の9,719億円となっています。
  • ・増益した分野
    • ・ゲーム&ネットワークサービス:ゲームソフトウェアやネットワークサービスの増収による増益
    • 音楽:増収に加え、Pledis株式の一部譲渡益による増益
    • 映画:広告宣伝費ほ減少とチャネルポートフォリオ見直し費用減少による増益
    • モバイル・エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション:コミュニケーション中心のオペレーション費用の削減と製品ミックス改善による増益
    • 金融:増収による増益

 

2021年度(2022年3月期)の通期決算予想

ソニーの2021年度(2022年3月期)通期決算予想

 

映画とエレクトロニクス・プロダクツ&ソリューションが前年に対して増収増益、ゲーム&ネットワークサービスと音楽及びイメージング&センシング・ソリューションで増収減益、金融で減収増益を見込んで、全体では増収減益を見込んでいます。

売上収益は、対前年比8%(7,006億円)増の9兆7,000億円

  • ・金融分野が、前年度の市況好調による特別勘定運用益の押し上げ効果を見込まない影響で、前年に対して大幅減収を見込むものの、他の分野が増収することにより、全体では前年に対して8%増の9兆7,000億円となると見込んでいます。
  • 増収を見込む分野
    • ・映画:劇場興行収入とテレビ番組制作において大幅増収を見込む
    • ・ゲーム&ネットワークサービス:ハードウェア販売増を見込む
    • ・エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション:製品ミックス改善によるテレビとデジタルカメラの増収を見込む
    • ・イメージング&センシング・ソリューション:モバイル機器向けとデジタルカメラ向けのイメージセンサー販売増を見込む
    • ・音楽:ストリーミングサービスからの収入増を見込む

営業利益は、同419億円減の9,300億円

  • ・映画、エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション、金融の分野が、増収による増益を見込むものの、他の分野が減益することにより、全体では、前年に対して419億円減の9,300億円となると見込んでいます。
  • ・減益を見込む分野
    • ・ゲーム&ネットワークサービス:ゲームソフトウェア開発費のコスト増と自社制作以外のゲームソフトウェア販売の減少を見込む
    • ・音楽:映像メディア・プラットフォームの減収影響と前期株式譲渡益の反動を見込む
    • ・イメージング&センシング・ソリューション:研究開発費や減価償却費の増加を見込む

 

その他のトピックス

2021年度から国際財務報告基準(IFRS)を適用

2021年2月3日付「国際財務報告基準(IFRS)の任意適用に関するお知らせ」において、従来の米国会計基準(U.S. GAAP)に替えて、2021年度からIFRSを任意適用することを発表しており、IFRS移行日時点(2020年4月1日)の貸借対照表への主な影響は以下としています。

  • ・資産:IFRS 24兆9,671億円(米国会計基準 23兆327億円から1兆9,344億円増)
    ソニー生命保険㈱における負債性証券の測定方法変更による投資の増加 +24,337億円、変更に関連する繰延保険契約費の減少△4,130億円
    のれん減損テストの実施単位変更によるのれんの減少△968億円
  • ・負債:IFRS 18兆9,726億円(米国会計基準 18兆2,483億円から7,243億円増)
    ソニー生命における負債性証券の測定方法変更に関連する保険負債及び繰延税金負債の増加+7,611億円
  • ・資本:IFRS 5兆9,945億円(米国会計基準 4兆7,844億円から1兆2,101億円増)
    ソニー生命における負債性証券の測定方法変更に関連する累積、その他の包括利益及び非支配持分の増加+12,596億円
    在外営業活動体の換算差額累計額及び退職給付負債の再測定による調整額の累積その他の包括利益から利益剰余金への振替

 

パナソニック

2020年度(2021年3月期)連結業績

パナソニックの2020年度(2021年3月期)通期決算

 

売上収益は、事業ポートフォリオ改革による非連結化影響に加え、コロナ影響により減収となったものの、調整後営業利益は、経営体質強化が着実に進捗し、社会変化を捉えた事業増販が寄与して増益、営業利益と純利益は、前年度のその他損益における一時益の反動などで減益となっています。

売上収益は、対前年同期比11%(7,918億円)減の6兆6,988億円

  • ・住宅、角形車載電池、セキュリティシステム、半導体における事業ポートフォリオ改革による非連結化影響に加え、コロナ影響△5,600億円により、全体では前年に対して11%(7,918億円)減の6兆6,988億円となっています。
  • ・なお、非連結化影響などを除く実質ベースでは、ホームアプライアンスなどの増収はあったものの、コネクテッドソリューションズを中心としたコロナ影響により、全体で同5%(3,902億円)の減収となっています。
  • ・全てのセグメントで減収
    • ・アプライアンス:ホームアプライアンスは堅調もスマートライフネットワークの減販が大きく影響
    • ・ライフソリューションズ:実質関連事業は好調に推移するもコロナによる市場悪化をカバーできず
    • ・コネクテッドソリューションズ:5G関連需要により実装機は好調もコロナ影響が大きいアビオニクス事業の落ち込みが影響
    • ・オートモーティブ:1Qを中心にコロナ影響による自動車減産が影響
    • ・インダストリアルソリューションズ:データーセンターやFA向けが好調と車載向けが回復するも半導体事業譲渡や米中摩擦の影響

営業利益は、同352億円減の2,586億円(調整後営業利益は、同205億円増の3,072億円)

  • ・経営体質強化で固定費削減600億円、構造的赤字事業への対策で300億円の増益に加え、ホームアプライアンスなどの事業の増販益492億円が増益に寄与したものの、コロナの影響で1,350億円の減益が影響して、全体では前年度事業譲渡益の反動もあって同352億円減の2,586億円となっています。
  • ・調整後営業利益は、中長期的な社会変化を捉えた事業が年間で984億円増益し、コロナ影響を大きく受けたアビオニクスをカバーして、前年に対して205億円増の3,072億円となっています。
  • ・増益したセグメント
    • ・アプライアンス:増収に加え、コストコントロールが貢献
    • ・オートモーティブ:車載機器の固定費削減や円筒形車載電池の材料費を合理化
    • ・インダストリアルソリューションズ:コンデンサや蓄電池システム、産業用モータの増販益や半導体の構造改革効果
  • ・減益したセグメント
    • ・ライフソリューションズ:市場悪化による減販損を固定費削減でカバーするも非連結化が影響
    • ・コネクテッドソリューションズ:固定費削減を徹底するも減販をカバーできず

 

2021年度(2022年3月期)の通期決算予想

パナソニックの2021年度(2022年3月期)通期決算予想

 

各国経済の回復や経営体質強化の取り組み継続により、全てのセグメントで増益、全体でも増収増益を見込んでいます。

中期経営計画の最終年度として、低収益体質からの脱却に向けた取り組みを着実に進めつつ、キャピタルアロケーション方針に基づき、中長期的な事業機会への取り組みを強化するとしています。

売上収益は、対前年比4%(3,012億円)増の7兆円

  • ・アプライアンスは前年並み、他セグメントは全て増収を見込み、
  • ・全体では、前年に対して4%(3,012億円)増の7兆億円となると見込んでいます。

営業利益は、同714億円増の3,300億円(調整後営業利益は、同828億円増の3,900億円)

  • ・アプライアンス、オートモーティブ、インダストリアルソリューションズは、前年に対して増益を継続し、
  • ・ライフソリューションズ、コネクテッドソリューションズは、前年の減益から増益に転じて、
  • ・全体では、前年に対して714億円増の3,300億円となると見込んでいます。

 

その他トピックス

中期経営計画の最終年度として、重点取り組みを引き続き緩めることなく進め、収益性を一層高めるとしています。

2019年度から始まる現在の中期経営計画では、低収益体質からの脱却を目指し、経営体質強化と事業ポートフォリオ改革を着実に推進し、収益性は、環境が大きく変わる中でも2020年度に続き2021年度も改善を見込んでいます。

  • ・経営体質強化は、固定費削減が大きく進捗し、2020年度に中期目標1,000億円を前倒しで達成し、2021年度も200億円のさらなる利益貢献を目指す。
    構造的赤字事業への対策は、半導体、液晶パネル、ソーラーについては方向付けを実施しており、テレビに関しては、2020年度に頃時価したものの、生産拠点再編に加え包括的な他社協業に向けて交渉中である。
  • ・事業ポートフォリオ改革は、成長投資として、世界トップクラスのサプライチェーン・ソフトウェア専門企業のBlue Yonder社、その他全株式の取得を合意し(買収総額約7,500億円)、車載電池では、生産能力拡大を着実に進めている。
    収益性の改善としては、欧州・北米の証明デバイス事業の株式譲渡などを決定し、個別事業でも地域軸や商品軸などでポートフォリオ改革を進めている。
  • ・車載事業の収益改善では、2019年度305億円の赤字から2020年度は黒字化、2021年度は500億円の利益を見込んでおり、固定費削減や生産性向上、材料合理化などの取り組みにより、収益は大きく改善している。

現在のカンパニー制から10月に新組織ベースのバーチャル体制に移行し、2022年4月には持株会社制に移行する予定です。

  • ・2021年5月27日に、新CEOによる説明会を開催
  • ・2021年度第3四半期から、新セグメントでの情報開示を開始
  • ・2022年5月ごろには、新体制での中長期戦略の発信を予定

 

シャープ

2020年度(2021年3月期)連結業績

シャープの2020年度(2021年3月期)通期決算

 

新型コロナウィルスが収束しないなか、期末にかけては半導体が隘路となった影響などがあったものの、業績は順調に回復し、全体では増収減益となっています。

売上収益は、対前年同期比7.2%(1,637億円)増の2兆4,259億円

  • ・スマートライフでは、プラズマクラスターの好調に加え、冷蔵庫や洗濯機なども前年を上回り、デバイスも顧客需要を取り込み増加、
  • ・ICTは、半導体が逼迫するなどの部材隘路が発生したものの、通信事業での商品展開とGIGAスクールをはじめとした教育向けPCなどが伸長し、
  • ・8Kエコシステムは、コロナ影響で車載向けディスプレイやMFPが減収、ディスプレイ事業などで半導体が隘路となった影響があったものの、日米でのテレビの売上増とPC・タブレット・スマホ向けパネルが増収して、
  • ・全体では、前年に対して7.2%(1,637億円)増の2兆4,259億円となっています。

営業利益は、同317億円増の831億円

  • ・ICTは、スマホのモデルミックス変化で減益となったものの、
  • ・スマートライフは、販売増に加え、原価力向上と白物家電の高付加価値化で増益、
  • ・8Kエコシステムは、コロナの影響のあった車載向け減とMFPのプリントボリューム減があったものの、販売増とテレビなどの原価力向上により増益となり
  • ・全体では、前年に対して317億円増の831億円となっています。
  • ・前年度比では、営業利益が1.6倍、最終利益が3.9倍と大幅な増益となっています。
    (特に、白物家電が好調に推移したスマートライフの営業利益は同1.8倍)

 

2021年度(2022年3月期)の通期決算予想

シャープの2021年度(2022年3月期)通期決算予想

 

2021年度(2022年3月期)の連結業績予想は、売上収益、営業利益、純利益ともに増収増益を見込んでいます。

売上収益は、対前年比5.1%(1,241億円)増の2兆5,500億円

営業利益は、同179億円増の1,010億円

親会社株主に帰属する当期純利益は、同228億円増の760億円

 

2020年度通期決算と2021年度予想

2020年度(2021年3月期)通期決算と2021年度(2022年3月期)予想

 

参考:電機各社の決算発表

富士通 株式会社(2021年4月28日発表)

日本電気 株式会社(2021年5月12日発表)

株式会社 日立製作所(2021年4月28日発表)

株式会社 東芝(2021年5月14日発表)

ソニー 株式会社(2021年4月28日)

パナソニック 株式会社(2021年5月10日発表)

三菱電機 株式会社(2021年4月28日発表)

シャープ 株式会社(2021年5月11日発表)

 

 

電機とITの決算

2021.05.26 2020年度通期決算と2021年度通期予想:日立製作所、東芝、三菱電機

2021.05.22 2020年度通期決算と2021年度通期予想:ソニー、パナソニック、シャープ

2021.05.15 NECが「2025中期経営計画」を発表:戦略と文化を結びつけて目標達成

2021.05.14 2020年度通期決算と2021年度通期予想:NEC

2021.04.30 富士通の2020年度経営方針進捗:売上・収益拡大と採算性改善の活動を強化

2021.04.29 2020年度通期決算と2021年度通期予想:富士通

 

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