富士通の2020年度(2021年3月期)通期決算は減収増益、コロナ影響で減収も営業利益・当期利益は最高益

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富士通の2020年度(2021年3月期)通期決算

 

富士通の2020年度(2021年3月期)通期決算(2020年4月1日~2021年3月31日)が発表されましたので、概況を整理します。

富士通は、前年同期に対して、売上収益はコロナ影響や前年PC特需の反動で減収となりましたが、営業利益及び当期利益ともに過去最高益となりました。

売上収益は、前年同期に対して2,680億円(6.9%)減収で3兆5,897億円(コロナ影響△1,469億円、コロナ影響を除くと△1,211億円)

営業利益は、前年同期に対して548億円増益で2,663億円(コロナ影響△482億円)

税引前利益は、前年同期に対して633億円増益で2,919億円

親会社の所有者に帰属する当期利益は、前年同期に対して427億円増益の2,027億円

 

2021年度(2022年3月期)の連結業績は、2020年度に対して増収増益を見込んでいます。

  • ・売上収益は、前年同期に対して402億円(1.1%)増収で3兆6,300億円
  • ・営業利益は、同86億円増益で2,750億円
  • ・親会社の所有者に帰属する当期利益は、同23億円増益で2,050億円

2020年度(2021年3月期)の新型コロナの影響は、

  • ・売上収益へのコロナ影響は△1,469億円
    ユビキタスソリューションで278億円増収したのの、テクノロジーソリューションで1,654億円の減収とデバイスソリューションで93億円の減収で、全体で1,469億円の減収
  • ・営業利益へのコロナ影響は△482億円
    ユビキタスソリューションで76億円増益であったものの、テクノロジーソリューションで517億円の減益、デバイスソリューションで40億円の減益で、全体で482億円の減益

 

富士通の2020年度通期(2020年4~2021年3月)連結業績

富士通の2020年度(2021年3月期)通期決算

 

売上収益は前年同期に対して2,680億円(6.9%)減収で3兆5,897億円、営業利益は同548億円増益で2,663億円

売上収益2,680億円減収の内訳は、

  • ・本業では、1,744億円の減収
    コロナの影響で、テクノロジーソリューション中心にマイナス影響で1,469億円の減収
    コロナ影響を除くと、テクノロジーソリューションが242億円増収、デバイスソリューションが339億円増収したものの、ユビキタスが前年特需の反動△1,221億円規模の減少影響を受けて、計274億円の減収
  • ・再編ビジネスで、936億円の減収
    デバイス事業、欧州低採算国、北米プロダクトビジネス、携帯販売代理店事業再編の影響

営業利益548億円増益の内訳は、

  • ・本業では、189憶円の増益
    コロナ影響で、テクノロジーソリューションを中心としたマイナス影響で482億円の減益
    コロナ影響を除くと、PCの大きな減収影響をカバーして増益となったのに加え、採算性改善や5G基地局の物量増で671億円の増益
  • ・再編ビジネスで、31億円の増益
  • ・特殊事項で、327億円の増益
    システムプラットフォームの製造工場再編他で64億円の減益、携帯販売事業譲渡益で254億円の増益

新型コロナウィルスの影響は、売上収益で△1,469億円、営業利益で△482億円

  • ・売上収益のマイナス影響:テクノロジーソリューションで△1,654億円、デバイスソリューションで△93億円
  • ・売上収益のプラス影響:ユビキタスソリューションで278億円

売上総利益率で1.0%の改善

  • ・ソリューション・サービスで、採算性好転が上期から継続
  • ・システムプラットフォームで、プロダクトミックスの影響により好転
  • ・デバイスソリューションで、売上増により固定費回収が進み好転

営業費用減による効果が377億円

  • ・一般経費/開発費の効率化で350億円改善
    ワークライフシフトやシステムプラットフォームの開発効率化他
  • ・先行投資費用で150億円
    サービスビジネス強化や社内DX、WLS関連など
  • ・その他の損益の増益で125億円改善
    ワンショットの費用・収益の増減

税引前利益は前年同期に対して633億円増の2,919億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同427億円増の2,027億円

国内の受注(単独)の状況は、全体では前年同期に対して96%(PC特需の反動を除くと同99%)で、分野別は以下の通りとしています。

  • ・エンタープライズ(産業・流通)は、前年同期に対して92%(PC除くと93%)
  • ・ファイナンス(金融・小売)は、同90%(同94%)
  • ・JAPAN(地方自治体・ヘルスケア他)は、同93%(同96%)
  • ・公共・社会インフラは、同107%(同107%)

 

セグメント別の業績

セグメント別の通期業績は、テクノロジーソリューション、ユビキタスソリューション、デバイスソリューションの全てのセグメントで減収増益となっています。

テクノロジーソリューションは、通期の売上収益は前年同期比1,692億円減の3兆436億円(コロナ影響△1,654億円)、営業利益は同5億円増の1,884億円(コロナ影響△517億円)

  • ・売上収益はコロナと再編事業の影響により大きく減収、営業利益はコロナの減収影響うけるも採算性改善とネットワークの物量増により大きく増益
  • ■ソリューション・サービス事業は減収増益
    ・売上収益が前年同期比1,170億円減の1兆7,659億円(コロナ影響△1,020億円)、営業利益が同40億円増の1,835億円(コロナ影響△364億円)
    ・売上収益は、コロナの影響を大きく受けて減収、コロナの影響以外でも、PC展開支援サービス等のハード一体型ビジネスが減少
    ・営業利益は、コロナの減収影響を多く受けるも、それ以外では原価改善と費用圧縮
  • ■システムプラットフォーム事業は増収増益
    ・売上収益が前年同期比184億円増の6,654億円(コロナ影響△247億円)、営業利益は同137億円増の412億円(コロナ影響△33億円)
    ・内、システムプロダクトの売上収益は、欧州工場閉鎖による商流変更影響+280億、コロナ影響で△320億円
    ・ネットワークプロダクトの売上収益は、5G基地局の所要増加により382憶円の増収
    ・営業利益は、ネットワークの増収効果と開発費の効率化により増益
  • ■海外リージョン事業は減収増益
    ・売上収益が前年同期比426億円減の7,237億円(コロナ影響△354億円)、営業利益は同77億円増の116億円(コロナ影響△102億円)
    ・売上収益は、欧州公共向け大型商談獲得などで208億円増収したものの、コロナ影響△354億円、欧州低採算国や北米プロダクトビジネス事業再編で△280億円が影響して全体では減収
    ・営業利益は、特殊事項63億円に加え、採算性改善と費用効率化による13億円で全体では増益
  • ■テクノロジーソリューション共通
    ・For Growth : デジタル(DX、モダナイゼーション)お客様の事業の変革と成長に貢献する事業領域
    通期売上収益(構成比):2019年度9,879億円(31%)、2020年度9,889億円(32%)
    ・For Stability : 従来型IT(システムの保守や運用、プロダクトの提供)お客様のIT基盤の安定稼働への貢献と品質向上に取り組む領域
    通期売上収益(構成比):2019年度2兆2,250億円(69%)、2020年度2兆547億円(68%)

ユビキタスソリューションは、通期の売上収益は前年同期比1,206億円減の3,346億円(コロナ影響+278億円)、営業利益は同212億円増の480億円(コロナ影響+76億円)

  • ・売上収益は、携帯販売代理店事業の連結除外影響△264億円に加え、前年度Windows7関連特需の反動を大きく受け減収
  • ・営業利益は、減収影響が大きく減益したものの、事業譲渡に関する一時利益254億円が貢献

デバイスソリューションは、通期の売上収益は前年同期比146億円減の2,938億円(コロナ影響△93億円)、営業利益は同330億円増の298億円(コロナ影響△40億円)

  • ・売上収益は、本業で電子部品中心に9.1%増収したものの、事業再編の影響で391億円の減収が影響
  • ・営業利益は、本業では電子部品の増収効果と採算性改善で230億円の増益に加え、特殊事項の影響で100億円の増益

 

その他

海外売上比率:32.7%の1兆1,720億円(前年同期:31.8%の1兆2,285億円)

キャッシュフローの状況

  • ・フリー・キャッシュフロー:前年同期比33億円増の2,363億円
    営業活動によるキャッシュ・フロー:同393億円減の3,079億円(前年比プラス要因は本業での利益増、マイナス要因は税金費用の増加)
    投資活動によるキャッシュ・フロー:同426億円増の△715億円(携帯販売代理店事業、PC事業などの再編に伴う収入に加え、固定資産の売却収入)
  • ・財務活動によるキャッシュ・フロー:同264億円減の△2,196億円
  • ・現金及び現金同等物の期末残高:同287億円増の4,818億円

資産、負債、資本の状況

  • ・資産:前年同期比27億円増の3兆1,902億円
  • ・負債:同1,957億円減の1兆6,433億円
  • ・資本(純資産):同1,984億円増の1兆5,469億円
    親会社所有者帰属持分(自己資本):同2,091億円増の1兆4,501億円(自己資本比率:同6.6ポイント増の45.5%)
  • ・ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)
    2018年度 9.4%、2019年度 13.5%、2020年度 15.1%
  • ・EPS(1株当たり当期利益)
    2018年度 512.5億円、2019年度 791.2億円、2020年度 1,013.8億円

 

2020年度(2021年3月期)の通期決算予想

富士通の2020年度(2021年3月期)通期決算予想

 

2021年度(2022年3月期)の連結業績は、2020年度に対して増収増益を見込んでいます。

売上収益は、前年同期に対して402億円(1.1%)増収で3兆6,300億円

海外売上比率:33.4%(前年同期:32.7%)

  • ・テクノロジーソリューションは、同1,563億円増の3兆2,000億円
    延伸したプロジェクトの再開、DXビジネス拡大、ネットワーク増
  • ・ユビキタスソリューションは、同1,046億円減の2,300億円
    前年のテレワーク、GIGAスクール商談の反動減
  • ・デバイスソリューションは、同61億円増の3,000億円
    高水準の電子部品の所要が継続

営業利益は、同86億円増益で2,750億円

  • ・テクノロジーソリューションは、同515億円増の2,400億円
    ソリューションサービスの増収効果、採算性改善、成長投資の実施
  • ・ユビキタスソリューションは、同430億円減の50億円
    減収影響による減益
  • ・デバイスソリューションは、同1億円増の300億円
    前年並みの利益

親会社の所有者に帰属する当期利益は、同23億円増益で2,050億円

 

企業価値の向上に向けた取り組み

2020年度は、営業利益・当期利益とも過去最高益を達成(中期目標への端緒)

2021年度は、積極的な成長投資で事業拡大と収益力強化(増収増益を実現)、株主還元は安定配当に加え自己株式取得を積極的に行い総還元額を拡大

財務目標

  • ・事業の拡大(達成時期:2022年度):テクノロジーソリューションの売上収益 3兆5,000億円
  • ・収益力の強化(達成時期:2022年度):テクノロジーソリューションの営業利益率 10%
  • ・資本効率の向上(2020~2024年度:2019年度比):全社EPSの年平均成長率 12%

最適な資本配分により『事業の拡大、収益力の強化、資本効率の向上』への取り組み

 

2020年度通期決算と2021年度(2022年3月期)予想

2020年度(2021年3月期)通期決算と2021年度(2022年3月期)予想

 

参考:電機各社の決算発表

富士通 株式会社(2021年4月28日発表)

日本電気 株式会社(2021年5月12日発表予定)

株式会社 日立製作所(2021年4月28日発表)

株式会社 東芝(2021年5月14日発表予定)

ソニー 株式会社(2021年4月28日発表)

パナソニック 株式会社(2021年5月10日発表予定)

三菱電機 株式会社(2021年4月28日発表)

シャープ 株式会社(2021年5月11日発表予定)

 

 

電機とITの決算

2021.04.30 富士通の2020年度経営方針進捗:売上・収益拡大と採算性改善の活動を強化

2021.04.29 2020年度通期決算と2021年度通期予想:富士通

 

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