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『デジタル時代のイノベーション戦略』を参考にしてATY-Japanで作成
ここでは、『デジタル時代のイノベーション戦略』(内山 悟志、2019年6月7日、技術評論社)で整理されているイノベーションの方向性と適用パターン、イノベーションに向けた環境整備のための企業内変革と成熟度について整理します。イノベーションのゴールは、「会社全体がイノベーティブな会社に生まれ変わる」ことであり、そのためには企業風土や制度を含めイノベーションを生み出す環境を整備し、社内のだれもが意識することなく、当たり前のようにイノベーションを創出できる状態となることです。
イノベーションの方向性と適用パターン
デジタルイノベーションを起こしていく際に、どのような分野を対象とするかが重要となる。
デジタル技術を活用することで、ビジネスや業務をどのように変革するのかを明確に方向づけるためには、イノベーションの対象領域と適用パターンを理解する必要がある。
イノベーションのポートフォリオ
「提供する価値」と「顧客層」の観点からイノベーションの方向性を見出す。
従来の提供価値×従来の顧客層:社内の業務のあり方を変革する
- ・仕入や作り方の変革
- ・売り方や届け方の変革
- ・品質やコストの変革
- ・顧客サービスの変革
従来の提供価値×新規の顧客層:ビジネスモデルを変革する
- ・顧客ターゲットの変革
- ・新規市場の開拓
- ・収益源の変革
- ・提供経路の変革
新規の提供価値×従来の顧客層:新しい顧客価値を創出する
- ・製品やサービスの改良
- ・価格や課金方式の変革
- ・新たな顧客体験の提供
- ・提供形態の変革
新規の提供価値×新規の顧客層:新規ビジネスを創出する
- ・新規価値の創出
- ・新事業の創造
- ・新市場の創出
- ・新業態の創出
イノベーションの適用パターン
具体的にどのようなイノベーションを創出するかを検討する際には、デジタル技術の応用方法やビジネスモデルに着目したパターンに当てはめて考えることが有効である。
現在注目されているデジタルイノベーションの事例を分類すると、「1.データに着目したイノベーション」と、「2.つながりに着目したイノベーション」のパターンに分けられる。
1.データに着目したイノベーション
デジタルデバイスの主流が、パソコンからスマートデバイスへと移り、IoT技術により機器や設備のあらゆるモノがインターネットに接続される。
これにより、これまで扱えていなかった様々なモノ・コトをデジタルデータに変換して表現・伝達することが可能となり、それによって新しい応用方法やビジネスモデルが生まれる。
『デジタル時代のイノベーション戦略』を参考にしてATY-Japanで作成
2.つながりに着目したイノベーション
大量消費の時代が終焉し、「モノ」そのものに価値を見出してきた時代から、モノの先にある「コト」へと価値が移り変わり、さらに「コト」に対する「体験」や「共感」が重要視される時代へと消費トレンドが進化している。
デジタル技術は、モノとモノ、モノとコト、コトとコトを互いにつなぎ合わせることを容易にし、それによって新しい応用方法やビジネスモデルが生まれる。
『デジタル時代のイノベーション戦略』を参考にしてATY-Japanで作成
イノベーションに向けた環境整備のための成熟度
『デジタル時代のイノベーション戦略』を参考にしてATY-Japanで作成
成熟度モデルのポイント
成熟度モデルのポイント
- ・個人や一部の部門の取り組みではなく、全社全体の取り組みとする。
- ・一過性のものではなく、組織に定着させ、継続的な営みとする。
- ・ビジネス環境や自社のポジションの変化に応じて、常に軌道修正がかけられる。
成熟度の全般的な評価基準となるキーワードは「全社的」「継続性」「柔軟性」であり、不断の変革を実現しながら階段を一段ずつ上がるように環境整備を行っていくことが必要である。
越えなければならない2つの壁
成熟度:レベル0~1
変革に対する意識が低く、経験・ノウハウもない
最初のひと転がりの壁
成熟度:レベル2~3
取り組みは始動しているが、変革意識も成功体験も部分的な範囲に留まる
全社への浸透と定着化の壁
成熟度:レベル4~5
革新を戦略の中枢に据え、全社一丸となって取り組んでいる
2つの壁を乗り越えていくためには、第一段階で小さな取り組みを成功させ、第二段階で環境を順次整備しつつ、全社的な取り組みへと昇華・拡大させていく。
- ・第一段階では、特定の組織やプロジェクトをイノベーション特区に指定して、予算や各種社内プロセスに関して例外的な対応や権限委譲をする。
- ・また、デジタルイノベーションへの取り組みを開始することを、部門内又は社内に宣言することにより、その活動を周囲に認知してもらう。
- ・第二段階の活動には終わりはなく、企業の継続的な営みとなる。
- ・そのために、イノベーションを牽引しつつ社内を変革していくための専門組織を設置することも有効である。
- ・推進する人材を確保し、経営者の後ろ盾も必要である。
求められる企業内変革
意識:経営層や現場の危機感と変革に対する意識づけ
- ・啓発的な社内セミナーの開催
- ・初期のイノベーションへの取り組みでの小さな成功体験の社内アピール
- ・組織・制度などの他、4つの分野における変革状況の周知
組織:専門組織の設置や既存組織の役割の再定義
- ・専門の推進組織の設置
- ・従来のIT部門の役割の再定義
- ・事業部門の組織編成の変更
制度:変革を促進させる制度の採用と阻害する制度の緩和
- ・社内インキュベーション制度の設置
- ・人事評価と報酬制度の見直し
- ・副業・兼業や在宅勤務などの働き方に関する規則の設置
- ・契約や特許・知財の帰属に関するルール制定
- ・スピンオフ制度の確立
- ・社内外からのアイデア公募制度の設置
権限:予算、人事、組織連携などに関する権限移譲
- ・予算権限の見直し
- ・稟議・承認プロセスの再構築
- ・外部との連携における自由度の確立
- ・既存組織を巻き込む権限の設定
デジタルイノベーション推進人材の確保と育成
- ・外部からのCDO(チーフデジタルオフィサー)の登用
- ・社内のIT部門及び事業部門を対象としたイノベーション人材の育成
- ・中途採用や配置転換の促進
関連する情報(当サイト)
関係する書籍(当サイト)
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内山 悟志(著)
出版社:技術評論社 (2019/6/7)
Amazon.co.jp:デジタル時代のイノベーション戦略 -
チャールズ・A・オライリー(著)、マイケル・L・タッシュマン(著)、入山章栄(監訳・解説)、冨山和彦(解説)
出版社:東洋経済新報社(2019/2/15)
Amazon.co.jp:両利きの経営 -
デジタル・ビジネスモデル
次世代企業になるための6つの問いピーター・ウェイル(著)、ステファニー・L・ウォーナー(著)
出版社:日本経済新聞出版社(2018/11/17)
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