DXを成功させ継続する組織、情報システム部門を変革してデジタル化を牽引する新たな組織が必要性

DXを成功させ継続する組織、情報システム部門を変革してデジタル化を牽引する新たな組織が必要性

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DXに至るまでの3つの段階

『いまこそ知りたいDX戦略 自社のコアを再定義し、デジタル化する』を参考にしてATY-Japanで作成

組織は戦略に基づくとも言います。

戦略を実行するうえで組織を設計し、その組織が戦略を理解し、機能して初めて戦略が実行できます。

ここでは、DX(デジタル・トランスフォーメーション:Digital Transformation)を成功させ継続する組織について、特にデジタル化をけん引する組織と事業部門のあり方を中心に俯瞰することにし、それぞれのテーマの詳細については関連サイトで整理します。

なお、組織におけるリーダーシップやメンバー(デジタル人材)のあり方などに関しては改めて整理します。

  • ・まずは、これまでのICTにおける情報システム部門、デジタル化をけん引するために変革の必要性があることを示し、そのための組織とCIO(Chief Information Officer:最高情報責任者)やCDO(Chief Digital Officer:最高デジタル責任者)の役割について整理します。
  • ・次に、デジタル化を推進していくうえでは、デジタル化の対象領域や成熟度に応じたけん引組織を編成することが効果的で、そのための4つの形態を示し、既存事業と新規(デジタル)事業のデジタル化を同時並行で推進していくための組織構造パターンを整理します。
  • ・そして最後に、デジタル組織とはどういう姿なのかを示し、その根底となるデジタル文化について整理します。

DXを成功させ継続する組織

戦略はその時々の経営環境によって立て直す必要があり、それに応じて組織も柔軟に変更していくことが必要となります。

近年のデジタル化によって業界構造が大きく変革していく中で、対応するための戦略を企業は立案していかなければなりません。

DX(デジタル・トランスフォーメーション:Digital Transformation)の推進はまさに急務の課題となっていますが、それを実現するための組織はどうあるべきなのか悩ましい問題です。

スタートアップ企業は最新のデジタル技術を活用して一気に市場に打って出れますが、既存の企業はこれまでの事業を継続しながらデジタル化を進めていかなければなりません。

既存事業をデジタル化によりさらに強化していくだけでなく、デジタル技術を活用した新たな事業を展開するという「両利きの経営」が必要となります。

既存の企業が新たな事業を展開していくうえでは、チャネルや人材などの現在保有している経営資産を有効活用できれば、他社に対して競争優位を築くことができます。

そこで、自社の強みを活かし、新たな脅威に打ち勝っていくためには、状況に応じて適切に組織を確立することが必須となります。

これまでのICT(情報システム)の延長ではなく、デジタルというより広い視点で、社内外を牽引していく組織です。

しかし、自社の実力からかけ離れた組織では社内は混乱してしまいますので、自社のデジタル成熟度に応じた組織を確立していくことが重要となります。

そしてDXへの取り組みを、「既存業務のデジタル化(デジタイゼーション:Digitization)」や「ビジネスプロセスやビジネスモデルの変革(デジタライゼーション:Digitalization)」までではなく、恒久的な人や組織の変革までを含めたものと捉えると、組織は企業文化に根差していなくてはなりません。

理想的には、デジタルを特別なものと考えるのではなく、絶え間ない変革とアジャイルな文化が根付いた組織で、日々の業務の中で当たり前のように顧客中心主義を実現するために連携・協力できる状態になることです。

デジタル化に向けた従来の情報システム部門の変革の必要性

かつて、経営戦略を実現するためにICTを利活用する「IT経営」が叫ばれ、そのけん引役としての情報システム部門、そのリーダーとしてのCIO(Chief Information Officer:最高情報責任者)の重要性が注目されていました。

しかし、平成30年5月11日の第1回配布資料『デジタルトランスフォーメーションに向けた課題の検討』では、デジタルトランスフォーメーション(DX)を進める上での課題が指摘されています。

  • ・IT関連費用の80%は現行システムの維持管理に使われている。
  • ・短期的観点でのシステム改修を繰り返した結果、長期的に保守・運用費が高騰する「技術的負債」となっており、これを返済することができず、戦略的なIT投資に資金・人材を振り向けられていない(DX推進の足かせ)。

これに対して情報システム部門も、社内外からのデジタル化への要求に答えようと努力はしているものの、このような状況は未だに続いているようです。

ICT導入の前提としての効率化の実現のためには、CIO・CDOを設置するだけではなく、それらを核とした組織改革が求められます。

  • ・社内外からメンバーを集め、新しい部署を設置
    外部との連携を進めたり、社内外のイノベーションを推進
  • ・暫定メンバーで仮想的なチームを組成
    社内のICTに係る取組状況やニーズを把握し、交通整理をし、全社横断的なデジタル戦略を進めることに力点を置き、全体最適なデジタル化を推進

参考:デジタル化に向けた情報システム部門の実体と課題(当サイト)

CIOやCDOなどの設置による組織改革の必要性

CIO・CDOの役割

出典:『情報通信白書 平成30年度版』総務省(2018年7月)

既存業務のデジタル化(デジタイゼーション)は従来の情報システム部門で対応できるかもしれませんが、デジタル化によるビジネスモデル変革(デジタライゼーション)や人や組織に関する変革(DX)を推進するには、専門とする組織を立ち上げ、牽引していくことが有効です。

特に初期段階においては専門組織の存在が重要であり、その組織の責任者であるCDOは、デジタル技術のみならず、デジタルに適応する組織の体質改善の責任者として、重要な役割を果たすことになります。

さらに既存企業においては、「組織のもつれ」や「変革のジレンマ」が存在していますので、それらの課題を解決していきながらDXを実行していかなければなりません。

そこでCDOには、謙虚で、順応性、ビジョナリーで、積極的に関与してくれる人物を任命し、組織リソースを動員して結びつきを機能させる責任を与えることが重要となります。

変革の結果についてはCDOが責任を分担し、事業部門は担当する領域にデジタル能力を実装し、変革を推進することに集中します。

そして、事業部門のリーダーたちと強力な信頼関係を築き、他の事業と張り合うのではなく、イノベーションやアジリティ、スピードの源泉だと考えなければなりません。

「新しいプロセス」「よりよい能力」の育成に注力し、成熟期に入ったら、こうしたプロセスと能力の管理は事業部門に引き継ぐことになります。

参考:DXを実行するための組織の必要性(当サイト)

参考:DXの実行責任者はCDO(当サイト)

DXを成功させ継続する組織

2021.09.09 デジタル化を牽引する新たな組織が必要性

2021.09.10 デジタル化の領域や成熟度に応じた組織編成

2021.09.11 企業文化に根差した組織をデジタル成熟度に応じて進化

2021.09.12 デジタル化専門組織と事業部門とが融合した取り組み

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