書籍 DX成功の鍵 トップが変える企業の未来 NECが挑んだ変革の記録 | 小玉 浩・森田 隆之(著)

書籍 DX成功の鍵 トップが変える企業の未来 NECが挑んだ変革の記録 | 小玉 浩・森田 隆之(著)

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DX成功の鍵 トップが変える企業の未来 NECが挑んだ変革の記録

小玉 浩(著)、森田 隆之(著)
出版社:日経BP (2025/8/22)
Amazon.co.jp:DX成功の鍵

  • よみがえったNEC復活の原動力は、DXとAIだった

    企業価値7倍以上、GP率5.5%以上

本書は、NEC 代表取締役社長 兼 CEOと執行役Corporate EVP 兼 CIOのお二人が、かつて株価が額面割れするまでに追い込まれた危機を回避するため、掛け声だけに終わらない、真の構造改革を、どのように実行したかを記録した、トップの決断とアクションのドキュメントです。

NECの業績が厳しかった時期に復活を期して何をしたのか、変革に乗り出す前の課題や空気感や変革を決断するまでの歩み、実際にDXをどのように考え、どのように進めてきたのかを赤裸々に語っています。

DXプロジェクトのオーナーと実行リーダーのお二人が、きれいごとだけでは進められない変革とDXの真実と、成功に導く鍵を明らかにしていますので、企業トップだけでなく組織リーダーの方々が、変革を推進していくうえでの指南書になります。

本書は8章で構成し、NECのDXを主導したCIOとCEOが、実践により積み上げてきた、生きた知見とノウハウを明らかにしています。

  • ・第1章では、変革するためには第一歩を踏み出すことが重要であるとして、どのように踏み出すか、どのようにして変革の輪を拡げてDXを推進していくべきかを明らかにしています。
  • ・第2章では、NECが現在の成長軌道への回帰を果たした過程として、倒産の危機にまで追い込まれた歴史に加え、DXが不可欠だった背景として、DX以前のNECがどういう状態であったかを、CEO自らが振り返っています。
  • ・第3章では、前CEOから現CEOに至るなかで、DXを推進する前提として、経営陣がどう変わっていったか、NECという会社をどう変えていったかについて整理しています。
  • ・第4章では、DXを推進していく9つのドライバーに加え、実行部隊の再編成、グローバルパートナーとの協業、クライアントゼロ戦略など、DXを具体的にどのように進めていったかをCIOが詳細に解説しています。
  • ・第5章では、実際にDXを進める「社内DX特区」が形になったリファレンスオフィスで実現されているDXの具体的な成果を「3つの柱」と「3つの横串機能」で整理し、DXの先を見据えたAIネイティブカンパニーに向けた取り組みを詳細に紹介しています。
  • ・第6章では、これまでの章で紹介してきたNECのDX推進で培ってきた知見や経験を、お客様や社会のDXに役立てる「クライアントゼロ」戦略について解説し、その事例として、荏原製作所、セブン-イレブン、セブン銀行の取り組みを紹介しています。
  • ・第7章では、2012年から始まったNECの変革は一定の成果を出したとして、現段階で振り返ると、DXで成果を出せるポイントは「3点の鍵」であったとして、その内容を整理しています。
  • ・第8章では、NECのDXに協力した日本マイクロソフト、SAP、ServiceNowの3社の国内トップとの対談を紹介しています。

DXによってNECが大きく変わったのは確かです。

しかし、DXとはそれほど複雑なものではありません。

実態はとてもシンプルです。

大規模なDXも、実は小さな試みの集積です。

大切なのはスピード感を持ってまずやってみることであり、何よりも時間が大きな価値です。

スピードが2倍になれば、コストは半分、やれることは2倍になり、多くの知見を集めることもできます。

時代遅れになるリスクも軽減できます。

NECの変革、DX成功の鍵

DX成功の鍵

『DX成功の鍵』を参考にしてATY-Japanで作成

事業環境が絶えず変化するなかでは、企業変革には終わりはない。

DXの定義やデジタル化との違いといった議論に時間を費やす必要はなく、それよりも優先すべきは、極めてシンプルに「第一歩を踏み出す」ことである。

まずはやってみる。
やったらどうなるかをあれこれ考える前に、アクションを起こす。

単にやることを増やす「足し算」ではなく、多少の損失や混乱があってもやるべきことに絞り込む「引き算」が大切である。

本質を見極め、覚悟と決断をもってやるべきことに舵を切る、そうした行動ができる人こそが、真のリーダーである。

DXには正解がないため、より良いものを探しながらアップデートを繰り返し、自分たちの手で正解を作っていくアプローチが重要である。

活動をできるだけ早く、多くの人に伝えるためには、プロセスと成果を可視化することが有効である。

  • ・可視化は、自律的な行動を確実に促進する。
  • ・可視化は、気づきをもたらし、それが改善をもたらす。
  • ・改善を求める人が増え、関わる人が増え、その結果として可視化される領域が増え、精度が上がれば改善は加速する。

時間をかけずに成果を出すことが重要で、最初は精度が低くてもかまわない。

小さくても成果があることが重要で、まずは早く可視化して効果を得て、それを共有する。

「DXがうまくいったのはNECだからだろう」という見方は誤解です。

むしろ規模の大きい会社ほど、変わるのが難しいのが実態です。

NECがIT企業だからできたという見方も正解ではありません。

IT企業であるがゆえに社内に多数のカスタマイズが存在し、システム刷新で困難を経験しました。

それでも、NECがDXを進めることで、株価が額面割れし、倒産寸前まで追い込まれたところから、企業価値は7倍以上、GP率も6.5パーセント向上させるところまで、可視化のパワーとNECグループ従業員全員のアクションでここまで会社を変えることができました。

その原動力は間違いなくDXです。

まとめ(私見)

本書は、DXプロジェクトのオーナーと実行リーダーのお二人が、きれいごとだけでは進められない変革とDXの真実、成功に導く鍵を明らかにしていますので、企業トップだけでなく組織リーダーの方々が、変革を推進していくうえでの指南書になります。

NECの業績が厳しかった時期に、復活を期して何をやったのか、変革に乗り出す前のNECの課題や当時の空気感、変革を決断するまでの歩みについて赤裸々に語っています。

そのうえで、実際にDXをどのように考えて、どのように進めてきたかを詳細に記述しています。

そして第8章では、NECの戦略的パートナーでありDXに協力した日本マイクロソフト、SAP、ServiceNowの3社の国内トップとの対談を紹介しています。

各社自身がどのようにDXに取り組んできたか、NECのDXをどう見ていたか、国内企業がDXを進めていくときのポイントなどについて詳細に語り合っていますので、DXを推進するうえでのヒントを随所に垣間見ることができます。

NECも同様に、DX推進以前では、現場は今まで通りにやりたいという意識が強く、変革には社内の抵抗もあったようです。

そのような状況において、どういう場面でどう抵抗されるのかも包み隠さず明らかにし、きれいごとではすまされない変革の現実とともに、どのように乗り越えたのかを語っています。

さらに、NECは「クライアントゼロ」と称して、自分自身を最初のクライアントと位置づけています。

NECが、自らのDX実践を通じて徹底的に検証し、何から手を付けるべきか、どういうツールを使うのか、DXにより何が起こるのか、予想外のことが起こったらどうするのかを明らかにしています。

「自社の構造改革に着手したいが、どのように進めていったらいいかわからない」「DXによる業務改革に踏み切ったが、思うように進展せず、社内に疲労がたまってしまった」といった悩みを打開するためのヒントを得ることができます。

NEC復活の原動力となったのがDX推進にあるとしていますが、それは単に業務をデジタル化するだけでは不十分です。

企業がより大きな価値を創造できるようになるために、未来を見据えたトップの判断が重要であることを教えてくれます。

規模が大きく、人材が豊富なNECだからDXに成功したのではないかと疑うかもしれませんが、逆に、規模が大きく、身動きが取りにくいNECでも変わることができたとも言えます。

NECの変革を大企業の取り組み事例として捉えるのではなく、どの企業でもDXを推進することで変革できるということを本書は教えてくれています。

事業環境が絶えず変化するなかでは、企業変革に終わりはありません。

しかし、ある程度の歴史ある企業は、これまでの環境変化に対応して累積的に進化し、その時代に応じて最適化しています。

そして、業績を支えている主力事業の論理が強く、その声は社内でも通りやすい状況であり、次の時代に向けて変革しようとしても抵抗がある場合も少なくありません。

従業員たちも、慣れた現状に安住し、変えられたくない(今更変わりたくない)という意識が根強く存在していることも事実です。

NECの場合は、倒産寸前まで追い込まれた状態であったにもかかわらず、変革に向けてはさまざまな抵抗や課題があったことを垣間見ることができます。

NECの活動からは特に以下の対応が見えてきますが、他の企業にも企業変革に向けた取り組みの参考になると思います。

  • ・まずはトップや経営陣が覚悟し決断する。
  • ・その決断を社内(外)に示す。
    そのために、経営陣の体制や報酬制度から改革し、DX推進を実行する組織を再編成して活動をバックアップする。
  • ・カルチャー変革に向けては、推進組織を設立するとともに、社員とトップとが直接コミュニケーションすることを通じてベクトルを合わせ、共感を連鎖させる。
  • ・具体的なDX推進に向けては、DXを検討ばかりしているのではなく、まずはDXに踏み出す。
  • ・しかも、クイックに着手し、仮説と検証を繰り返し、そのプロセスと結果を可視化する。
  • ・社内を巻き込むだけでなく、必要によっては社外パートナー企業との連携を推進する。

NECは倒産寸前という危機感が変革ドライバーとなったように感じますが、事業が好調な時にも常に危機感を持ち、次の時代に備えて絶えず変革し続けていくことが必要であると思います。

どのような企業においても、程度の差こそあれ、何らかの経営上の課題を抱えているはずです。

それを解決するためには、現状把握、課題認識、解決策の立案と実行を適切に行うことが必要です。

それを実現するためには、トップだけだなく現場も含めて一人ひとりがリーダーとなり、リーダーシップを発揮することが重要になってくるのではないかと考えています。

リーダーの定義を、「自分の目指す目標に対して、人を巻き込んでたどり着ける能力を持つ人」と考えると、それぞれの現場においてもリーダシップを発揮していくべきです。

現場メンバーにおいてもリーダーシップを育み、一人ひとりが素早く適切に判断して行動できる風土を醸成し、それが企業文化へと定着していけば、連続的な変革は実現できると思います。

本書は、NECがDX推進で変革してきた歴史を紹介していますが、どの企業においても、きれいごとだけでは進められない変革とDXの真実、成功に導く鍵を学べる一冊です。

目次

はじめに

序章  生まれ変わったNECは何を変えたのか

第1章 企業変革とDX

第2章 大企業病に陥っていたNEC

第3章 経営陣の覚悟と決断

第4章 全社を巻き込むトランスフォーメーションへの挑戦

第5章 QuickWinで進めたDXの取り組み

第6章 BluStellarで社会課題・経営課題を解決

第7章 変革は終わりのない旅。改革を次のステージへ

第8章 グローバルパートナーと語るDXと企業変革

おわりに

参考

DX成功の鍵 トップが変える企業の未来 NECが挑んだ変革の記録 | 日経BOOKプラス

デジタルトランスフォーメーション | NEC

自社をゼロ番目のクライアントとする「クライアントゼロ」で最先端の社内DXを推進しお客様や社会のDXへ還元 | NEC

関係する書籍(当サイト)

参考:NECの2025年度(2026年3月期)第二四半期決算と通期予想(当サイト)

DX成功の鍵 トップが変える企業の未来 NECが挑んだ変革の記録
  • DX成功の鍵

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