書籍　残念な経営者誇れる経営者/山田修(著)

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残念な経営者誇れる経営者
山田修(著)
出版社:ぱる出版（2017/4/14）
Amazon.co.jp：残念な経営者誇れる経営者

20170501

9割の日本の社長は、「経営戦略」を勘違いしている!

外資4社と日系2社で社長を歴任し、不調業績をすべて回復させ
「企業再生経営者」と評される著者が、日本の企業22社・22人を一刀両断！

本書は、6社の社長を歴任し「企業再生請負人」と評された著者が、残念な経営者のどこがどう間違っていたのか、また戦略的で注目される経営者の見習いたいポイントはどこかをまとめた一冊です。

著者は月間の閲覧5,000万PVの人気ビジネスサイト「ビジネスジャーナル」の看板コラムニストで、本書は連載した記事を基に、前著「間違いだらけのビジネス戦略」以後の記事から収載されています。

登場するのは、「2016経営者残念大賞」の選考基準に基づいた「残念な経営者」の他に、「一目置きたい経営者たち」として浦安鉄鋼団地や㈱松田商工及び㈱ACROなど、著者自身が取材された企業も加えられています。

著者の経営者経験に基づいた戦略的視点からの鋭い分析や提言は、経営や戦略立案を担っているリーダーだけではなく、それらを研究している方々にとって、大変勉強になります。

本書は5つの章で構成されていますが、「残念な経営者」を「反面教師にしたい」「事業継承に奮闘する」「醜い代表交代劇を演じた」の3つの視点で整理し、加えて「一目置きたい戦略型経営者たち」と「岐路に立つ経営者たち」が紹介されています。

また、主な章の終わりにはコラムとして、著者の評論が加えられています。

Chapter 1：反面教師にしたい残念な経営者たち
　　　　　　～「経営者残念大賞」受賞者の事跡～

Chapter 2：事業継承に奮戦する残念な経営者たち
　　　　　　～経営継承、みんな悩んでいる～

Chapter 3：一目置きたい戦略型経営者たち
　　　　　　～戦略経営者たちが征く～

Chapter 4：醜い代表交代劇を演じた残念な経営者たち
　　　　　　～コンビニ大戦　経営者が代わった～

Chapter 5：これからどうなる? 岐路に立つ経営者たち
　　　　　　～曲がり角に立つ企業、戦略の行方は？～

「2016経営者残念大賞」の選考基準（「残念」の内容）は以下とし、その結果をもたらしたのは企業という組織ではあるが、最終責任者は会社の経営者、多くは社長であるという観点から審議されています。

「残念」の内容

・業績を大きく落とした

・成長機会を逃した

・企業価値を大きく毀損した

・危機的状況に際して拱手傍観してしまい、窮地に陥る状況としてしまった

・経営者としての倫理にもとった

・社会に大きな損害やリスク・不安を与え強く指弾された

経営者の残念度から著者はグランプリを決定していますが、著者の論点を読み取りながら、自身の考察と比べてみると理解が深まりそうです。

Chapter 1：反面教師にしたい残念な経営者たち

電通

・企業文化を体現する石井社長

・社員過労死連発への責任ゼロ

・頑なに社内組織優先

三菱自動車

・隠蔽事件で死者まで出したが、結局この10年間「何も変わっていなかった」

・消費者の安全より組織的利益優先

シャープ

・晩節を汚した無能すぎる社長

・何でもリストラ繰り返し、結局は台湾系の傘下に

・鴻海、早くもシャープを子会社扱いでやりたい放題

・危機下で何も決断できない最悪の経営者

Chapter 2：事業継承に奮戦する残念な経営者たち

大塚家具

・広大なフロアに誰もおらず

・放逐した父会長時代より業績悪化

・赤字転落でも「戦略なき経営者」久美子社長と元会長の実父は1億円の収入

出光興産

・合併を阻止し株主に損をさせる創業者は、経営合理性も「義」も欠如している

クックパッド

・創業者の横暴で株主に多大な損失

・批判ばかりで具体案示せず、上場企業失格

Chapter 4：醜い代表交代劇を演じた残念な経営者たち

セブン＆アイ

・深まる混迷と社内に鬱積（うつせき）する不満

・「皆の意見を聞く」井阪社長の限界

・鈴木前社長を放逐した伊藤邦雄とは何者？

・社外取締役が大企業に激震呼ぶ時代に

ローソン

・コンビニ２強が生き残りかけ最終戦争突入

・玉塚氏排除で三菱商事が直接経営

その他、「一目置きたい戦略型経営者」として、日本電算、トヨタ自動車、ヤマダ電機、霧島酒造、浦安鉄鋼団地、松田商工、ACRO、「岐路に立つ経営者たち」には、しまむら、任天堂、川崎重工業、LIXILが整理されています。

「うまくやっている」様態は各社異なっている。
戦略とは、与えられた市場環境と自社の経営資源との組み合せから考え出されるものだらから、各社の繁栄振りが異なってくるのが当然だ。

（略）

１０年くらいの間に階段を登るような売り上げ増を２回程度作ってほしい。
それを通過すると、何倍増あるいは桁が異なる業容となる、そんなことを仕込むのが経営戦略の策定だ。
後は果断な実践となり、それには強いリーダーシップが求められる。