富士通が2020年度経営方針を発表、価値創造のための事業領域と「パーパス(存在意義)」実現策

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富士通の2020年度経営方針

富士通の経営方針と決算資料を参考にしてATY-Japanで作成

 

富士通は、2020年度(2021年3月期)第1四半期決算に合わせて、「2020年度経営方針」も発表しています。

今回の発表では、価値創造のための2つの事業領域に加え、2020年5月に発表した「パーパス(存在意義)」実現に向けた「価値創造」と「自らの変革」を明らかにしています。

 

2020年度の経営方針

ニューノーマルの時代において、レジリエントな社会づくりに貢献したい。

これまでの習慣や常識とは非連続の新たな生活様式や考え方が生まれるなかで、富士通は社会やお客さまのあるべき姿を新しい視点でとらえ、テクノロジーで形にすることで、柔軟で、力強い社会づくりに貢献したい。

富士通の時田隆仁社長が、今回の発表で述べています。

また、「ニューノーマル時代に求められる富士通の役割は、テクノロジーを用いて、安心、安全で、利便性の高い社会づくりに貢献していくことである」と主張しています。

  • ・富士通自身がリファレンスとなるべく、テレワークやウェブ会議などのテクノロジーの活用を率先して行うのに加えて、Work Life Shiftのように、新たな生活様式に適した人事制度や、オフィス、ビジネスの在り方まで見直す取り組みを進めている。
  • ・すでに、ソフトウェア開発業務においては、協力会社を含めて、5000人規模でのリモート開発にシフトした。お客さまととともに、新たなビジネスの在り方を構想し、その実現に取り組むReimagine(リイマジン)キャンペーンを開始している。

 

なお、中期目標のテクノロジーソリューションの2022年度売上収益3兆5,000億円、営業利益率10%の計画を維持しています。

また、非財務指標として、人権・多様性、ウェルビーイング、環境、コンプライアンス、サプライチェーン、安全衛生、コミュニティの7つの課題について、NPS(Net Promoter Score)を用いて評価する仕組みを導入する準備を進めているとしています。

ここでは、組織やカルチャーの変革の進捗を、経済産業省が推進するDX推進指標を用いて、客観的に測定する考えです。

 

価値創造のための2つの事業領域

デジタル(DX、モダナイゼーション)を「For Growth」、従来型ITを「For Stability」と定め、2つの事業領域でお客様や社会への価値創造に取り組む。

「For Growth」では規模の拡大と収益規制の両方を伸ばし、「For Stability」は効率性を上げ、利益率を高める。

  • ・For Growth:DXやモダナイゼーションといったデジタル領域を、お客さまの事業の変革と成長に貢献する事業領域
    2022年度売上収益1兆3000億円を目指し、テクノロジーソリューションの内37%を占める計画
  • ・For Stability:システム保守や運用、プロダクト提供といった従来型IT領域を、IT基盤の安定への貢献と、品質向上に取り組む領域

 

2020年5月発表「パーパス(存在意義)」

「『イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていく』というパーパスに基づいて、富士通は、すべての活動を行っていく」として、富士通グループ全社員の原理原則である「Fujitsu Way」を12年ぶりに刷新しています。

  • ・新たなFujitsu Wayは、社員全員がパーパス実現に向けて、自律的に意思を決定し、行動していくためのよりどころである。
  • ・Fujitsu Wayは、パーパス、大切にする価値観、行動規範で構成している。
    富士通グループは、すべての行動をFujitsu Wayに照らし合わせて判断し、パーパスの実現に取り組むことになる。

 

パーパス実現のために取り組む課題

「価値創造」の観点からは、「グローバルビジネス戦略の再構築」「日本国内での課題解決力強化」「お客さま事業の一層の安定化に貢献」「お客さまのDXベストパートナーへ」という4つの取り組み

「自らの変革」の観点からは「データドリブン経営強化」「DX人材への進化・生産性の向上」「全員参加型、エコシステム型のDX推進」への取り組み

「価値創造」と「自らの変革」のための投資として、今後5年間で5,000~6,000億円の投資を計画

  • ・価値創造のための投資
    サービス・オファリング投資、M&A・有力パートナーとのアライアンス、ベンチャー投資、将来を見据えた戦略的なDXビジネスへの投資
  • ・自らの変革のための投資
    高度人材(コンサルティング、サービス)の獲得、内部強化(リスキング、社内システム)

 

価値創造 1.グローバルビジネス戦略の再構築

  • ・日本を含む6リージョン体制に再編してグローバルで戦略を着実に実行する体制を整え、グローバルで共通のポートフォリオ、アカウントプラン、オファリングを実現し、リージョンごとに最適化したサービスを提供する。
  • ・5Gビジネスにおいて海外展開を進め、ポスト5Gの技術研究に取り組み、富岳のテクノロジーをHPEを通じてグローバルに広く展開

 

価値創造 2.日本国内での課題解決力強化

  • ・日本市場に根ざしたビジネスを強化するために、富士通Japanを2020年10月1日に発足予定(グループ会社の最適化の一部を同時に実施)
  • ・富士通本体がグローバルに展開するソリューション開発をメインに行う体制になり、製造、流通、金融向けソリューションを残して、グローバルにポートフォリオを作る役割を担う一方で、富士通Japanはジャパンリージョンの中で、日本特有の要素が大きい自治体や文教、ヘルスケア、中堅民需市場のビジネスを担当
  • ・デジタル技術を活用して社会課題の解決に取り組むほか、豊富な業界、業務ノウハウを生かしたビジネス起点での提案を行い、クラウドファーストへシフト
  • ・富士通フロンテック株式の公開買い付けを行うことを発表し、同社が持つ金融、流通向けソリューションや手のひら静脈認証などについても、富士通グループとして一体化を促進

 

価値創造 3.お客さま事業の一層の安定化に貢献

  • ・各地域・国固有のニーズをオフシェア開発に適したかたちに整理・標準化するニアショアセンターを日本市場向けに設置
  • ・ジャパン・グローバルゲートウェイは、グローバル標準で開発を行う、世界8カ国のグローバルデリバリーセンターを活用するための日本の組織

 

価値創造 4.お客さまのDXベストパートナーへ

  • ・お客様ビジネスの本質課題を抽出し、デジタル技術を活用し解決策を抽出するために、デザインシンキングを取り入れてビジネスを変革
  • ・あらゆる事業活動にデザインシンキングを取り入れるための組織としてデザインセンター、Society 5.0の実現に向けた組織としてソーシャルデザイン本部を7月1日に新設
  • ・4月に設立したDX具体化のための新会社Ridgelinezの活動が本格化し、共創活動を開始

 

自らの変革 1.データドリブン経営強化

  • ・データに基づいたスピーディーな経営判断を行うことができるように、プロセスやシステムを刷新
  • ・今後、見るべき指標を決定し、全社で同じデータを参照できる仕組みを整備

 

自らの変革 2.DX人材への進化・生産性の向上

  • ・社員13万人がDX人材となることを目指し、デザイン思考やアジャイルマインドを教育
  • ・多様性を重んじた風土への転換を図るとともに、制度面でもジョブ型人事制度を開始して、これを国内1万5000人まで拡大し、高度人材の積極的な登用

 

自らの変革 3.全員参加型、エコシステム型のDX推進

  • ・CDXO(Chief Digital Transformation Officer)である時田社長と、SAPジャパンの前社長から富士通入りした福田譲執行役員常務に加えて、社内15部門にDX Officerを配置
  • ・CDXO直下の専任チームとともに、横ぐしの体制で推進する全社プロジェクトを7月1日からスタートし、富士通自身のDXを一層加速

 

財務目標

2022年度テクノロジーソリューション目標値
2018年度
実績
2019年度
実績
2020年度
予想
2022年度
目標
売上高 3兆1,612億円 3兆2,129億円 3兆900億円 3兆5,000億円
内、デジタル領域
(割合)
8,800億円
(28%)
9,850億円
(31%)
1兆3,000億円
(37%)
営業利益 1,405憶円 1,920憶円 1,980憶円 3,500憶円
営業利益率 4.4% 6.0% 6.4% 10%
参考(テクノロジーソリューション)
国内売上 2兆1,099億円 2兆2,561億円 未発表 未発表
海外売上 1兆137億円 9,071億円 未発表 未発表
海外比率 32.4% 28.7% 未発表 未発表
参考(連結業績)
売上高 3兆9,524億円 3兆8,577億円 3兆6,100億円 未発表
営業利益 1,302億円 2,114億円 2,120億円 未発表
純利益 1,045億円 1,600億円 1,600億円 未発表

テクノロジーソリューションは新セグメント、営業利益は本業
富士通の経営方針と決算資料を参考にしてATY-Japanで作成

 

キャピタルアロケーションポリシー

強固な財務基盤をベースにキャッシュを最適配分し、持続的な企業価値の向上につなげる。

  • ・ベース:社会インフラを支える企業のひとつとして相応しい強固な財務基盤
  • ・方向性:事業の成長と資本効率の向上につながる戦略的な成長投資、事業と利益の成長ステージに見合った安定的かつ持続的な株主還元の向上

今後5年間(2020年度~2024年度)の計画

  • ・キャッシュフロー:今後5年間で1兆円超のFCFを創出
  • ・アロケーション:キャッシュを成?投資と株主還元に最適配分

 

 

参考:富士通の発表資料

2019.09.26 経営方針説明会(2020年7月30日実施)

 

関連する情報(当サイト)

 

 

電機とITの決算

2020.08.07 2020年度第1四半期決算と通期予想:NEC

2020.08.02 富士通の2020年度経営方針:「パーパス(存在意義)」実現策

2020.08.01 2020年度第1四半期決算と通期予想:富士通

 

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