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選択2:ITを利用して業務処理を請け負うアウトソーサーへ進化する。
これは、システムを提供するだけではなく、その対象とする業務処理を含めて請け負う企業となっていくことです。
これまでのITベンダーは、独自に開発した業務ソフトウェアを販売する「パッケージビジネス」から、一定期間の契約をしてバーションアップを無償で行う「ライセンスビジネス」へと展開してきました。
そして近年は、開発した業務システムをインターネット経由で利用でき、利用した分だけ課金する「(オンデマンド)サービスビジネス」を拡大しています。
特に「サービスビジネス」の導入企業側のメリットは、
1.自社にIT資産を保有する必要が無くなり、様々な管理費用が軽減できる。
2.安定した(最新の)システムを利用することができ、構築費用が低減できる。
3.オンデマンドで利用する場合は、利用状況により効率的な費用ですむ。
最近では、様々なシステムを組み合わせたり、個別企業用にカスタマイズできるSaaS(Software as a Service)が注目されています。
今後、様々なサービスが増えてくれば、企業内の多くの業務で利用することができるようになるでしょう。
一方SaaSを提供するベンダーは、初めはサービスできるだけで競争優位は確保できるでしょうが、様々なサービスメニューが増えてくると差別化を図る必要があります。
一つは、自らコアとなるサービスを創出し、他ベンダーのサービスを連動できる基盤を提供する「プラットフォームベンダー」になることでしょう。
もう一つは、業務などに特化したサービスを創出し、「デファクトベンダー」になることでしょう。
グループウェア・SFAなどのフロント業務や給与・財務などのバック業務に特化したり、大企業向けから中堅・中小企業向けにターゲットを拡大することも検討することが必要です。
さらにもう一つは、業務処理などのサービスを付加していくことです。
具体的には、システムの提供に加えて、業務処理を含めて請け負うことです。
ここでは、既存のITベンダーに限らず、これまでは利用者側であった一般企業も自社で構築したシステムを提供する状況も出てきてもおかしくはありません。
ITベンダーはシステム管理や運用といったシステム寄りの業務処理は得意としています。
一方、給与や財務、さらには生産や販売といった業務に関しては、専門とする企業や一般企業が経験豊富です。
しかもIT活用も累積的に進化させてきています。
ITベンダー、業務や業種の専門企業、一般企業などが入り混じっての競争になります。
この様な状況になると、仮説2:SaaS(Software as a Service)の動向はシステム構築だけに留まりません。
各企業がそれぞれの得意領域で協働する等の横断的に連携する「ネットワークアライアンス」も可能となります。
既存の業務プロセスや取引関係をも変えてしまいかねません。
それに伴い、労働者構造や雇用形態をも変わってしまうことになるでしょう。
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