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昨年から個人を中心に広まってきたスマートフォンやタブレット端末ですが、企業が「使用を許可していない」もしくは「利用規定を定めていない」状況で、私有端末を業務で使用しているケースが少なからずあります。
先日、 IDC Japan 株式会社から発表された「2013年 国内BYOD利用実態調査:法人向けモバイルデバイス市場に与えるインパクトと新たなソリューションの市場機会」からも、その実態が明らかになっています。
利用者(従業員)が保有している多種多様の機種や利用条件に対し、企業側の管理態勢が追いついていない状況かもしれませんが、企業の管理者は「シャドーIT利用」を見過ごしていてはいけません。
企業は、当面と中長期の両面から対応を急ぐ必要があります。
「2013年 国内BYOD利用実態調査:法人向けモバイルデバイス市場に与えるインパクトと新たなソリューションの市場機会」(IDC Japan 株式会社、2013年1月17日)の概要をまとめると以下の通りとなります。
1.BYOD導入率/シャドーIT利用率
- ・携帯電話:39.1%
- ・スマートフォン:29.2%
- ・モバイルPC:19.6%
- ・タブレット:19.3%
2.シャドーITの割合
- ・それぞれのデバイスで、BYODの約60~80%を占めている。
- ・シャドーITの割合が大きい。
3.従業員規模が大きくなるにつれて導入率は低下
4.産業分野別の導入率
- ・高い業種:流通/小売/卸売、一般サービス、建設/土木
- ・低い業種:金融、製造、自治体/教育
5.ひとりで複数を使用する場合を考慮した場合のBYOD/シャドーITユーザー数
- ・2011年:192万人→2016年:1,265万人に拡大
- ・2011年~2016年の年間平均成長率:51.5%
国内BYOD/シャドーITのユーザー数(デバイス別)
1位 携帯電話市場:2011年は140万3,000人、2016年には522万3,000人
2位 スマートフォン市場:2011年は53万1,000人、2016年には446万9,000人
3位 モバイルPC市場:2011年に33万6,000人、2016年には349万9,000人
4種類のデバイスの中で業務使用率が最高
4位 タブレット市場:2011年に19万4,000人、2016年には304万人
平均成長率は73.5%、4種類の中で最も成長
資料の中でも、以下の実態もあるようです。
- ・「個人種有端末の業務利用を黙認している(社内規定を設定していない)」が、7.5~14.3%
- ・「分からない」が、14.4~20.7%
基本的な対応策は、以前当サイトでもご紹介しましたが、
- ・まずは、私有端末の業務利用についての方針を明確にして、不適切な業務利用をなくす。
- ・当面の対策として、ハード、ソフト面からのシステム環境の再整備に加え、利用者の意識徹底を図る。
- ・中長期的には、業務プロセスやワークスタイルの変革など、経営面からの対応を行う。
モバイルデバイスの業務利用の範囲は、現在はメールやグループウェアなどのオフィス業務が主流ですが、今後ハードやソフトの機能強化に伴い、対象となる業務範囲が広がっていく可能性があります。
特にタブレットにおいては、Windows8が企業の業務としての活用を加速するかもしれません。
そのためにも、企業は早期対策が必要です。
BYODとシャドーIT(IDCの定義)
BYODとは、
従業員の私物のモバイルデバイス(スマートフォン、タブレット、PC、携帯電話)を企業、教育機関、官公庁、自治体のシステム、あるいは契約しているクラウドサービスにアクセスして、企業が利用ポリシーに準じて認めた従業員が業務で利用すること。
シャドーITとは、
「企業が業務において、私物端末の使用を許可しない状況で、従業員が使用するケース」と「BYOD利用規定を定めないで使用するケース」を指す。
参考
2013年 国内BYOD利用実態調査結果を発表(IDC Japan 株式会社、2013年1月17日)
当サイト記事
2012.9.20 スマートフォンやタブレット端末の業務利用、セキュリティ対策
私有端末の業務利用(BYOD) 環境とメリット、課題と対策
2012.1.21 私有端末の業務利用(BYOD)を取り巻く環境とメリット
2012.1.22 BYODに向けた課題と企業側の対策
2012.10.31 7インチタブレット(iPad mini、Kindle Fire HD、Nexus 7)比較
タブレットPCの動向 ≫ 私有端末の業務利用(BYOD)とシャドーITの実態
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