NECの2012年度第3四半期決算(2012年4~12月)、売り上げ増と構造改革効果により増収増益で4期ぶりに黒字達成

NECの2012年度第3四半期決算(2012年4~12月)、売り上げ増と構造改革効果により増収増益で4期ぶりに黒字達成

このページ内の目次

先日(1月31日)、NECから2012年度第3四半期(2012年4~12月)の決算が発表されましたので、その概要を整理しておきます。

売上高、営業損益、経常利益、純損益の全ての指標において、前年同期を上回り4期ぶりに黒字となりました。

なお、本日現在の電機各社の速報値も最後に整理しておきます。

NECの第3四半期累計の各指標

第3四半期累計の各指標の概要は、以下の通りです。

  • 売上高:2兆1,698億円(前年同期比:2.7%増)
    個人向けパソコン事業の非連結化などによりパーソナルソリューション事業が減収となりましたが、ITソリューションやキャリアネットワークの堅調に加え、社会インフラの増収が寄与しました。
  • 営業利益:718億円(前年同期差:732億円増)
    大幅増益となったITソリューションやキャリアネットワークを中心に、全セグメントで黒字化を達成しました。
    また構造改革や原価率改善に加え、販売費及び一般管理費の効率化が寄与しました。
  • 経常利益:518億円(同:738億円増)
  • 純損益:115億円(同:1,090億円増)
    営業利益の増加などにより黒字に転換。
    前年同期は、繰延税金資産の見直しなどの影響がありました。

なお、2012年度の通期及びセグメント別の予想については、景気先行き不透明などを理由に当初予想を据え置いています。

NECのセグメント別の第3四半期累計(2012年4~12月)

ITソリューション事業
  • ・売上高:8,593億円(前年同期比8.4%増)、営業利益:302億円(同:330億円増)
  • ・ITサービスは、製造業、流通サービス業などで堅調に推移したことに加え、豪州CSG社の連結化により増収となりました。
  • ・プラットフォームは、大型案件のハード及びソフトウェアを中心に増収となりました。
キャリアネットワーク事業
  • ・売上高:4,647億円(同:9.3%増)、営業利益:435億円(同:200億円増)
  • ・国内事業が堅調に推移したことに加え、米国コンバージス社の事業支援システム事業を連結化したことなどにより増収となりました。
  • ・海外事業でサービス&マネジメントや海洋システムの取り込みなどにより増収となりました。
社会インフラ事業
  • ・売上高:2,256億円(同:7.3%増)、営業利益:141億円(同:66億円増)
  • ・航空宇宙・防衛システム分野が堅調に推移したことなどにより増収となりました。
パーソナルソリューション事業
  • ・売上高:4,521億円(同:8.9%減)、営業利益:64億円(同:59億円減)
  • ・モバイルターミナルは、NECモバイリングの携帯販売事業の好調により増収となりましたが、前第2四半期連結期間から個人向けパソコン事業の非連結化と携帯電話の出荷台数減少などにより、全体では減収となりました。
  • ・特にPCその他は、ビジネスPCは堅調でしたが前年同期は特需があったため、対前年比では減収となりました。
  • ・第3四半期の携帯電話の出荷台数は80万台で、前年同期の実績を10万台下回りましたが、NECカシオモバイルは第3四半期は黒字となりました。
その他事業
  • ・売上高:1,682億円(同:10.3%減)、営業利益:174億円(同:120億円増)
  • ・前第2四半期連結期間から液晶ディスプレイ用パネル事業の非連結化に加え、電子部品事業のとエネルギー事業の減少などにより減収となりました。
  • ・売上は減少となりましたが、営業利益は液晶ディスプレイ関連の特許売却などの構造改革効果により増益となりました。
構造改革の進捗
  • ・2012年度内400億円の改善効果は予定通りの見込みとしています。
  • ・第3四半期で130億円、第3四半期までの累計で260億円の実績となりました。

以上、第3四半期の業績も好調に推移していますが、本格的な回復基調に転換したかは通期及び来年度の業績を見定めていくことが必要と考えます。

  • ・主力事業の「ITソリューション事業」は、国内IT投資は回復基調としているものの、民需を中心として本格的な投資に向かっていくのかは不透明であり、激しいい競合他社との差別化も課題となります。
  • ・クラウド事業については、前年に比べて成長しており、今年度は数100億円規模を見込んでいますが、グローバル競争の中で先行投資に対する早期回収サイクルの連動が必要になります。
  • ・「パーソナル事業」においては、携帯電話は今年度430万台を目指していますが、10%強の未達のリスクがあるようです。
    また、営業損益の目標についてもリスクがあり、NECカシオモバイルは第3四半期に続いて第4四半期も黒字を見込んでいますが、上期の赤字が残るリスクがあるようです。
  • ・なお、ルネサスエレクトロニクスへの保証金の内、38億円を債権放棄することも発表しています。

なお国内電機各社の決算についても整理していく予定ですが、現在の速報値は以下の通りとなっています。

参考

日本電気株式会社「2012年度 第3四半期 連結決算発表」

2012.10.28 NECの2012年度上期決算、増収増益で黒字化(当サイト)

電機他社の決算

富士通 株式会社:2013年2月7日発表予定

株式会社 日立製作所:2013年2月4日

株式会社 東芝:2013年1月31日

ソニー 株式会社:2013年2月7日発表予定

パナソニック 株式会社:2013年2月1日

三菱電機 株式会社:2013年2月4日

シャープ 株式会社:2013年2月1日

電機とITの決算 ≫ NECの2012年度第3四半期決算、4期ぶりに黒字化

トップに戻る

関連記事

前へ

「私有端末の業務利用(BYOD)」と「シャドーIT利用」の実態 企業は対応を急ぐ必要あり

次へ

シャープの2012年度第3四半期決算(2012年4~12月)、5四半期ぶりの営業黒字、来期の本格回復に期待

Page Top