私有端末の業務利用(BYOD)を取り巻く環境とメリット

私有端末の業務利用(BYOD)を取り巻く環境とメリット

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私有端末の業務利用(BYOD)に向けた対応策

私有端末の業務利用(BYOD)に向けた対応策

BYODとは「Bring Your Own Device」の略で、従業員が個人で所有するスマートフォンやタブレットなどの私有端末を企業内に持ち込んで業務に活用すること。

急激に普及し始めたスマートフォンやタブレット端末。

様々な端末の発表に伴い、個人に普及するとともに、それを企業の業務システム用端末としても利用したい(BYOD)という要求も多くなっています。

私がセミナーや個別企業の研修の講師をする時にも、スマートフォンやタブレット端末の業務利用について、そして個人が保有する端末の取り扱いに関するご相談を多く受けます。

これまでの業務用モバイル端末といえばノートPCや携帯電話が主流で、国内企業の多くは企業が貸与し、業務以外には使用を禁止するものでした。

しかし、スマートフォンやタブレットなどの新たな端末が増え、むしろ操作性や機能面では従来のモバイル端末より優れているものが多い状況です。

メールやグループウェアなどの一般的なオフィス業務に限らず、営業や販売管理などの基幹業務の入力や照会、さらにはプレゼンやプロモーションなどの特定業務においても、スマートフォンやタブレット端末を利用している企業も増えてきました。

そこで、今回は「私有端末の業務利用(BYOD)を取り巻く環境とメリット」について、次回は「BYODに向けた課題と企業側の対策」について整理します。

私有端末の業務利用(BYOD)を取り巻く環境とメリット

1.私有端末の業務利用(BYOD)を取り巻く環境

①情報端末の普及と接続環境の整備

高性能なモバイル端末及び充実したソフトやサービスの発表、低額で高速の接続回線が普及してきた。

個人環境として、インターネットやPC及び携帯電話の利用率が高い。
              20歳代  30歳代  40歳代  50歳代
   インターネット   96.3%   95.7%   92.0%   82.2%
   パソコン(PC)    90.7%   87.2%   85.6%   75.4%
   携帯電話       95.7%   93.3%   91.1%   85.5%

   参照:『平成22年通信利用動向調査(世帯編)の概要』総務省

②テレワークや在宅勤務が注目されてきた。
 [テレワーク導入済:12.1%、総務省調査結果]

雇用形態の多様化に伴い、事務所内での業務に加え、サテライトオフィスや在宅などでの勤務が具体化されてきた。

災害時、安否状況の連絡や事業継続(BCP)の観点から、モバイル端末活用が注目されてきた。

③予測例:個人所有の端末で、企業の業務システムを利用する時代が到来する。

2014年までに、企業の90%がパーソナルデバイスでコーポレートアプリケーションをサポートすると予想することろもある。

参照:『Gartner Predicts 2012』ガートナー ジャパン株式会社,2011.12.14

2.私有端末の業務利用(BYOD)のメリット

後述する対策が実施できると想定すると、企業側及び利用者(従業員)側の主なメリットは以下のことが考えられます。

①企業側のメリット

端末購入や回線費用などの経費を低減できる。
全ての経費を利用者が負担することはないかもしれないが、一部を企業が負担するとしても、企業側にとっては経費節減につながる。

端末の資産管理が軽減される。
企業からの貸与となると、端末の資産管理やバージョンの管理が必要となるが、それらの管理業務が軽減され、財務上も効率化できる。

ユビキタスオフィスの実現につながる。
私有端末と様々な場所で接続できることにより、固定据え置き端末から解放されることにつながる。

②利用者(従業員)側のメリット

操作性が向上し、業務効率が上がる。
私有端末であれば操作が慣れているため、機能や操作などを新たに学習する必要がなくなる。

社用と私有の2台持ちから解放される。
荷物が増える、バッテリィの管理、着信に気づかないなど、個人が端末を管理する負荷が軽減される。

個人の裁量で、好みの機能や機種を選定できる。
ライフサイクルが短く、様々な機能や仕様の中から自分の好みに合った端末を選択することができる。

以上、「私有端末の業務利用(BYOD)を取り巻く環境とメリット」について整理しましたが、今回記述した内容の他にも指摘される点もあるかと思いますが、これからも関連する動向を確認しながら適時整理していく予定です。

上記の補足

在宅勤務テレワークとは本来の目的が違うので、注意が必要と考えています。

「在宅勤務」は、ワークライフバランスの一環として、社員が働きやすくなるよう業務効率を維持向上させ、働き方の多様性を追求していると考えています。

一方、テレワークはBCPの一環として最近注目を集めていますが、いざという時に即座にテレワークに切り替えることは難しく、就業規則や業務運営上の様々な準備と平時の練習が必要と考えています。

関連する情報

BYOD(Bring Your Own Device)とは』IT Pro,2011.10.5

Gartner Predicts 2012』ガートナー ジャパン株式会社,2011.12.14

・総務省

平成22年通信利用動向調査(世帯編)の概要』総務省

平成23年度版 情報通信白書』総務省

テレワーク関係

テレワークの現状と推進の意義(当サイト) 

社団法人 日本テレワーク協会

テレワークの推進』総務省

情報通信白書(総務省)

・平成22年度 『テレワークによるサステナブル社会の実現』

・平成23年度 『テレワークの推進』

 国土交通省 『テレワーク』サイト

当グログ

2011.7.26 スマートフォンやタブレットのビジネス活用拡大と企業のリスク対策

タブレットPCの動向

 ≫ 私有端末の業務利用(BYOD) 環境とメリット、課題と対策

    2012.1.21 私有端末の業務利用(BYOD)を取り巻く環境とメリット

    2012.1.22 BYODに向けた課題と企業側の対策

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