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1月25日、サムスン電子から、2012年度の第4四半期とともに通期決算が発表されました。主な指標は、今月初めの予想値通りでした。
- ・通期の売上高は、前年比21.9%増の201兆1,036億ウォン(約16兆8,800億円)
- ・営業利益は、同85.7%増の29兆493億ウォン(約2兆4,400億円)
「GALAXY S III」や「GALAXY Note II」などの堅調な売れ行きで、モバイルコミュニケーション事業が売上増に寄与し、全部門で前年から増益となり、売上高及び営業利益のいずれも過去最高を更新しました。
事業部門別の営業利益は以下の通りですが、特に有機ELパネルやDRAMなどの他事業においても、スマートフォン用としての内製から外販へ拡大して業績を伸ばしています。
完成品分野(Set Business)
コンシューマーエレクトロニクス(CE)事業
- ・TV、モニター、PC、プリンター、カメラ、エアコン、冷蔵庫等製造/販売
- ・営業利益:2.3兆ウォン(前年1.26兆ウォン、1.04兆ウォン増)
IT&モバイルコミュニケーション(IM)事業
- ・携帯電話、スマートフォン、タブレットPCなどの携帯端末、通信システム製造/販売
- ・営業利益:19.44兆ウォン(前年8.12兆ウォン、11.32兆ウォン増)
電子部品分野(Component Business)
半導体(Semi)事業
- ・メモリー半導体、システムLSI半導体製造/販売
- ・営業利益:4.17兆ウォン(前年6.38兆ウォン、2.21兆ウォン減)
- ・DRAMの需要が伸び悩む中、半導体部門の売上高は前四半期比に対し10%増となっています。
- ・DRAM製造をPC用からスマートフォン用やサーバー用に早期に移行したことにより、スマートフォンやクラウド需要の拡大に伴って伸びているようです。
ディスプレイパネル(DP)事業
- ・LCDパネル、LEDパネル製造/販売
- ・営業利益:3.21兆ウォン(前年△0.35兆ウォン、3.56兆ウォン増)
- ・LEDテレビの販売も利益の増加に寄与したようですが、家庭電化製品の需要は低迷しているようです。
一方で、欧米で高機能の冷蔵庫や洗濯機の売り上げが増加したようです。
ウォン安、実行税率を下回る法人所得課税など、真の実力による業績かどうかは詳細に分析していく必要がありますが、
- ・市場の動きを読み、柔軟に主力事業を転換していく。
- ・主力事業に関連する事業を早期に内製化し、さらに外販へと展開する。
この戦略が今のところ成功しているように見えます。
今やスマートフォンへの依存が大きくなっていますが、競合との競争激化やスマートフォン市場自体の減速などが予想される中、次なる事業への転換準備(目利き)が今後の課題となりそうです。
参考
サムスン電子の発表
Samsung Electronics Announces Earnings for Fourth Quarter in 2012
Earnings Release Q4 2012(PDF、809.2KB)
法人所得課税の実効税率の国際比較(2012年4月現在、財務省)
法人所得課税の実効税率は、日本が40.69%(2011年度改正後35.64%)に対し、韓国は24.2%です。
日本の電機の一部にも、実効税率を下回っている企業もあるようです。
日本(2011年度改正前:40.69%→改正後:35.64%)
- ・法人税率:30% → 25.5%
- ・事業税率:3.26%
- ・地方法人特別税:事業税額148%
- ・住民税:法人税額20.7%
- ・実効税率
40.69%:2012年(平成24年)3月31日まで
↓
38.01%:2012年(平成24年)4月1日から2015年(平成27年)3月31日まで
↓
35.64%:2015年(平成27年)4月1日以降
韓国:24.2%(2012年4月現在)
- ・法人税率:22%
- ・地方取得税:法人税額10%
- 注)地方税においては、地方所得税のほかに資本金額及び従業員数に応じた住民税(均等割)等が課される。
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