中小企業のコーポレートガバナンス(1)

中小企業のコーポレートガバナンス(1)

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 これまでのIT化支援の中から、特に中小企業等におけるコーポレート・ガバナンスの重要性を再確認し、それを高めるための制度・仕組みとして「取締役会の機能強化」と「メインバンクの役割強化」を取り上げ、その制度・仕組みが効果的なものとするための対応策をまとめます。

1.支援させて頂いた企業例

以前IT化を支援させて頂いた企業の内、コーポレート・ガバナンスから見た特徴的な企業を取り上げ、特徴を分析することにより中小企業等におけるコーポレート・ガバナンスの重要性と問題点をまとめる。

(1)コーポレート・ガバナンスの特徴

Y社:地域の伝統産業である呉服卸売企業の中でも由緒ある有名企業。

創業以来、世襲により事業を継承しており、代々堅実経営により現在に至っている。

近年の着物離れによる業績低迷、先代社長(現会長)の体調不良により5年前に息子に事業を継承。

しかし、銀行勤務であった現社長の経営姿勢に対して取締役の反感が増し、さらにメインバンクの監督機能も低下していた事もあり不祥事発生。

現在、メインバンクから派遣された社外取締役と税理事務所変更により事業建て直し中。

R社:創業者の長年の夢の実現に向けて独立。

自動車業界の堅調もあり、特に国内販売網拡大に向けて地域の販社を吸収して事業を拡大。

吸収した販社の経営は、吸収前の経営者に任せているが、創業者が会長として、そして親会社から取締役を派遣してガバナンス態勢を確立。

また全社業績を株主やメインバンク、さらに社員に対して情報公開し理解を得ている。

C社:コミック漫画等の再販売市場の拡大を予測して創業。

予測通りの市場拡大と大手資本企業の参入への対抗策のため積極的な店舗展開を実施。

上場に向けて準備をしていたが、強引な経営に対する社内のリスク対策・監督態勢が追いつかず、メインバンクの影響力も及ばず民事再生法申請。

(2)中小企業等におけるコーポレート・ガバナンスの重要性

経営判断や経営の効率化を促進する仕組みとしてだけでなく、ステークホルダー間でのゴーイング・コンサーン(事業活動の継続)の共通認識を醸成するという意味において、大企業(公開企業)ほどの規制を受けていない中小企業等のコーポレート・ガバナンスを充実させることは、永続的な企業活動を実現する上で不可欠である。

たとえオーナー系企業でも、世代交代等の経営者が変わった場合に、円滑な事業承継を実現し、確実に存続できる仕組みを作っておく事が企業価値の維持のためには必要である。

(3)中小企業等のコーポレート・ガバナンスおける問題点

特に中小企業等は経営者及び同族の株式保有割合が高く、経営者の権限が大きい傾向にある。これに対して取締役会の監督も十分機能できない状況である。

また、1980年代以降の金融の自由化と時価会計、さらにバブルの発生・崩壊とその後の長期に渡る景気低迷により、日本の大きな特徴であるメインバンクによるコーポレート・ガバナンスが低下している。

中小企業におけるコーポレートガバナンス

2004.12. 8 中小企業のコーポレートガバナンス(1)

中小企業等におけるコーポレート・ガバナンスの特徴と重要性

2004.12. 8 中小企業のコーポレートガバナンス(2)

中小企業等のコーポレート・ガバナンスの充実策

2004.12. 8 中小企業のコーポレートガバナンス(3)

取締役会の機能強化策

2005. 2. 8 中小企業のコーポレートガバナンス(4)

メインバンクの役割強化策

2005. 3.13 同族企業のコーポレートガバナンス

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