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LinkedIn(リンクトイン)活用大全 情報発信、起業、転職、人脈…ビジネスで一番使えるSNS
松本 淳(著)
出版社:日本実業出版社 (2022/4/18)
Amazon.co.jp:LinkedIn(リンクトイン)活用大全
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この流れに乗り遅れるな!なぜ、「ビジネスSNSの主役」として脚光を浴びているのか?
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本書は、ソーシャルリクルーティングやソーシャルメディア(SNS)の運用支援、人事組織および経営コンサルティングをおこなう企業の代表取締役CEOの著者が、ビジネスSNS「LinkedIn」について、豊富な実際の事例を紹介しながら、実践的な活用方法を詳細に解説した一冊です。
著者自身の長年の経験に加え、成果をあげている21名の事例を紹介しながら、ビジネスSNS「LinkedIn」や他のSNS運用のポイントなどについて解説していますので、ビジネスパーソンだけでなく全ての方々にとって、LinkedInのビジネス活用に加え、自身のブランディング確立、信頼と相互理解を基礎としたネットワークの拡大、新たなビジネス展開を見出していくうえで大変参考になります。
本書は10章で構成し、ビジネスSNS「LinkedIn」の具体的な活用方法について、基本的な使い方からビジネスへの応用へと段階的に解説し、非常に読みやすい構成となっています。
第2章から第6章ではLinkedInの基本的な使い方について、第7章から第9章では成果をあげている21名の事例を紹介しながら、就職・転職、人材採用、営業やマーケティングへの活用について、詳しく解説しています。
- ・第1章では、LinkedInの最新状況に加え、「ビジネスSNS」としての位置づけや今後の可能性について、他のSNSと比較しながら詳細に解説しています。
- ・第2章では、LinkedInのメニューと機能など、始めるにあたっての基本的な設定について、ていねいに解説しています。
- ・第3章では、LinkedInでは重要な位置づけとなる「プロフィール」について、ヘッドラインの入力ポイントや魅力的な内容にするための設定方法を具体例を示しながら詳細に説明しています。
- ・第4章では、効果的な相互コミュニケーションのとり方や増やす方法、効果的な活用方法について解説しています。
- ・第5章では、つながり数やフォロワー数を増やしながら「適切な数を目指す」ことの意味を示したうえで、「どのような人」と「どのようにつながる」べきかを示しています。
- ・第6章では、継続的に発信することが重要であるとして、発信する際に意識しておくポイントや留意点について詳細に解説しています。
- ・第7章では、キャリアップを目指す人の観点から、LinkedInの活用における「ソーシャルリクルーティング」の現状を紹介し、転職に成功した5名と就職活動に成功した学生2名の事例を紹介しながら、プロフィールを詳細に記入し、自分から動く姿勢を示すことの重要性を説いています。
- ・第8章では、採用する側の企業の観点から、LinkedIn活用における「会社ページ」機能と採用に活用する際の重要なポイントを解説し、LinkedInを採用業務に活用している2社と、「ソーシャルリクルーティング」の可能性についてHR専門家3名の話を紹介しています。
- ・第9章では、LinkedInはさまざまな商品やサービスのマーケティング業務や営業活動といったソーシャルセリングにも活用できるとして、「自己ブランディング」の重要性を説いたうえで、8つのビジネス活用事例を示しながら「創意工夫を楽しみながら続けていく」ことの重要性を示しています。
- ・第10章では、著者自身のLinkedIn活用経験から得た重要な3つの示唆に加え、コミュニティの可能性や展望を語っています。
「ビジネスSNS」の本命として、やはりLinkedInをきちんと運用しなければという動きは、国内のビジネス界隈でも日ごとに明確に大きくなってきています。
LinkedInは、グローバルでは完全にスタンダードになった「ビジネスに必須の」SNSですが、これからは日本でも一気に普及が進むでしょう(その背景と理由、そして国内での最新の状況は、本書の第1章以降で詳しく述べています)。
ビジネスSNSのLinkedIn
『LinkedIn活用大全』を参考にしてATY-Japanで作成
北米や欧州諸国では、LinkedInのアカウントを持っていなければ、ビジネス上のコミュニケーションをスムーズに進めることができないこともある。
LinkedInは「人材採用や転職のためのSNSである」というイメージが強いが、実際グローバルでは営業(ソーシャルセリング)やマーケティング領域での利用の割合が高まっている。
LinkedInは「ビジネスSNS」なので、ビジネスで利用することへの気兼ねは基本的には必要ない。
LinkedInも実名文化であり、個人の経歴やキャリアが他のSNSよりもはるかに詳細にわかるため、ビジネス上の新たな出会いやつながりを構築しやすい。
LinkedInは、それぞれのビジネス目的を達成したい人が、心理的安全性の高い環境の中で、理想のビジネスパートナーを見つけることができる。
他SNSとの比較によるLinkedInの主な特徴
LinkedInのグローバルでのユーザー数は、200カ国で8億1,000万人(2022年3月現在)、国内では約200万人
- ・米国の人口3億3,000万人の内、労働人口は1億6,000万人強に対し、米国内のLinkedInユーザー数は1億8,000万人超(学生やシニア層も含んでいるものの、仕事をする人の大多数はアカウントを保有)
- ・日本人が好むTwitterのユーザー数は、グローバルで3億3,300万人(国内では約4,500万人)
- ・Facebookのユーザー数は、グローバルで29億1,000万人(国内では約2,600万人)
LinkedInは、2003年5月にサービスを開始、日本には2011年10月に上陸し、一時伸び悩んだものの近年拡大傾向にある。
- ・Twitterのサービス開始は、2006年6月
- ・Facebookのサービス開始は、2004年2月
LinkedInは、実名によるビジネス利用のSNSである。
- ・TwitterやInstagram、動画SNSのYouTubeやkikTokは、匿名性が高く、プライベート利用が中心(相手の実際の姿が不明)
- ・Facebookは、実名でのビジネス利用とプライベート利用が混在(どちらかと言えばプライベート重視)
LinkedInは、「つながり申請を積極的に受ける」スタンスの人が少なくなく、時間において投資対効果が高い。
- ・LinkedInは、Facebookに比べて「パブリックでオープン」な文化とアルゴリズムを持っている。
- ・Facebookは、「知らない人からのつながりはNG」という方針の人が多い。
LinkedInは、一つひとつの投稿に重みを持たせやすく、一つの投稿の寿命が長い。
- ・LinkedInは、3,000文字まで入力でき、1週間以上に渡って投稿が閲覧され続けることもあり、多くの優秀なビジネスパーソンが敬意を持って閲覧してくれる。
- ・Twitterは、140文字で思いついたことを気軽に投稿でき、閲覧は1~2日でピークを超える。
LinkedInは、ユーザーのプロフィール情報を詳しく共有でき、信用をベースとした交流ができる。
- ・LinkedInは、「ヘッドライン」や「自己紹介」などのプロフィールを詳細に記述できるため、自分のことを理解してもらえる。
- ・Twitterのプロフィールの文字数は160文字で、相手がどういう人かを詳しく把握できないケースが少なくない。
LinkedInは、「知らない人とつながれる」という文化があり、自分のネットワークを拡大しやすい土壌がある。
- ・Facebookは、実名文化という点では安心して他者と交流できるが、「新しい人とつながる」という文化が希薄で、個人のリアルのつながりをベースとした「閉じた」世界観を持っている。
- ・Twitterは、リアルタイム性が高く、気軽にフォローでき情報を拡散しやすいため、ネットワークを外に拡大することができるが、匿名性が強いため無責任な言動が起こるリスクもある。
SNSの良さは「場所に限定されない」ということにもありますので、物理的に距離があったり、何らかの理由で外出ができなかったりする方々にとっての価値も、非常に大きいといつも感じています。
SNSの活用法は、人によって千差万別で、まさに「自分次第」です。
そしてまた、周りの人々へは何を提供できるのか、コミュニティへはどのように貢献できるのかということも、自分なりに創意工夫できる部分ですし、自分だけの、オリジナルな価値を見出せるはずです。
まとめ(私見)
本書は、ビジネスSNS「LinkedIn」について、豊富な実際の事例を紹介しながら、実践的な活用方法を詳細に解説した一冊です。
基本的な使い方からビジネスへの活用へと段階的に解説し、非常に読みやすい構成となっていますので、初心者から上級者の全ての方々にとって、LinkedInのビジネス活用に加え、自身のブランディング確立、信頼と相互理解を基礎としたネットワークの拡大、新たなビジネス展開を見出していくうえで大変参考になります。
- ・LinkedInを活用していない方々は、LinkedInの位置づけを理解し、本書に従って設定(第2章から第6章)していけば、効果的な活用ができます。
- ・LinkedInをすでに個人で活用している方々は、本書をもとにプロフィールを更新し、活用方法を見直していけば、さらにネットワーク拡大に役立てることができます。
- ・LinkedInをビジネスで活用している、または活用しようとしている方々は、本書は「就職・転職・キャリアップ」「人材採用」「営業・マーケティング」の3つの活用それぞれを詳細に解説していますので、目的に応じて効果的に活用していくうえで非常に参考になります。
なお、本書は、LinkedInの具体的な活用方法を解説した書籍に見えますが、個人的にはそれだけではないと感じています。
どのような目的でLinkedInを活用するとしても、自分の「長期的なキャリア」を考えること、その根底にある「自分のブランド」を確立することを問いかけているのではないかと思います。
就職や転職をする際には特に必要ですが、人材採用や営業・マーケッティングの際においても、LinkedInを活用している人(個人)が「担当している業務および勤めている企業だから」とか、「その方だからこそお願いしたい」と思ってもらうことが重要であると痛感しました。
本書では、「魅力的でオンリーワンな個人」「〇〇といえば△△(第一想起)」といった表現や同じ意味の記述を随所で見かけ、自分起点の「自己ブランディング」確立が重要であると感じました。
LinkedInは現在、良識のある方々が活用しているのかもしれませんが、国内でもこれから拡大し、さまざまな考えを持っている人が活用し初めてくれば、必ずしもポジティブな反応ばかりではなく、コミュニティが混乱する可能性もあることは否定できません。
一方、LinkedIn内での社員の発信が「社員個人のブランド」を構築し、その社員が勤務している「企業のブランド」も確立でき、さらにはユーザー間の「つながり」から新たなビジネスを創出していくといった好循環も生まれる可能性もあります。
そのためにも、企業はSNSに関するガバナンスも確立し、社員のSNS活用リテラシー向上に努めるとともに、個人も社会人として適切な発信を心がけていかなければなりません。
そして、現在LinkedInを活用している方々が、お互いに盛り上げていきながら、理念に沿わない人は居づらくなるような土壌や文化を維持し続けていくことも必要なのかもしれません。
LinkedInは、他のSNSに比べると、ビジネスよりの「パブリックでオープン」な文化とアルゴリズムを持っているので、「新しい人びとと積極につながることができ、初心者の方でもビジネスの可能性を拡大することができる」としています。
そのために、自分のことを相手に理解してもらえるような「ヘッドライン」や「自己紹介」といったプロフィールの設定のポイント、効果的な相互コミュニケーションのための「発信」や「他者へのリアクション」のとり方、「つながり数」や「フォロワー数」の適切な数を目指すことの重要性、発信する際に意識しておくべきポイントなど、本書では貴重なノウハウを惜しみなく紹介しています。
就職や転職、キャリア形成、人材の採用、営業やマーケティングなど、LinkedInを活用する目的はさまざまであると思いますが、ビジネス目的を達成したい人が、心理的安全な環境で、理想のビジネスパートナーを見つけることのできるSNSであると、改めて認識できます。
そして、プロフィール内容を充実させ、積極的にリアクションすることに加え、個性を出しながらも適度にバランスをとった発信を地道に心がけることの重要性を学ぶことができます。
なお、LinkedInをビジネスに活用する際、そこには個人的な利害が絡む場合がありますが、本書では、「独りよがりになることなく、お互いに助け合い、みんなで成功しようとする」精神がSNSで成功する秘訣であると強調しています。
人は社会の構成員であり、そこではリアルやネットにかかわらず「つながり」があります。
そこで他者と交流していくためには礼儀や配慮が必要であり、自発的に動いて他者やコミュニティに貢献してこそ得られるものがあります。
本書は、ビジネスSNS「LinkedIn」の実践的な活用方法を学ぶだけでなく、「自分の人生そのもの=キャリア」「自己ブランディング」について考えていくためにも熟読すべき一冊です。
目次
はじめに
第1章 なぜリンクトインはビジネスに効くのか?
第2章 リンクトインをはじめよう
第3章 人を惹きつけるプロフィールはこう作る
第4章 相互コミュニケーションの重要性
第5章 自分のネットワークを広げる
第6章 積極的な投稿が自分の可能性を広げる
第7章 就職・転職・キャリアアップに活用する
第8章 人材採用に活用する
第9章 営業・マーケティングに活用する
第10章 結びにかえて 「コミュニティの力」
おわりに & 謝辞
参考
LinkedIn(リンクトイン)活用大全 日本実業出版社
LinkedIn(リンクトイン)活用大全? 松本淳 著 [日本実業出版社]|アースメディア
松本 淳 - 代表取締役CEO - 株式会社アースメディア | LinkedIn
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