NEC、富士通の2020年度(2021年3月期)第2四半期決算と業績予想、コロナ影響中心に整理

NEC、富士通の2020年度(2021年3月期)第2四半期決算と業績予想、コロナ影響中心に整理

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NEC、富士通の2020年度(2021年3月期)第2四半期決算と通期予想、コロナ影響

NEC、富士通の2020年度(2021年3月期)第2四半期決算が出そろいましたが、両社ともに新型コロナウィルス感染症の影響によるIT投資の抑制を受けて減収減益となりました。

そこで、第2四半期決算におけるコロナ影響に加え、通期予想における影響の見込みについて整理します。

NEC

  • ・第2四半期の売上収益は、大型案件の減少やビジネスPCの更新需要の一巡に加え、マクロ経済悪化の影響により減収し、営業利益は、費用節減や子会社株式売却益を計上したものの、売上収益の減少に伴い減益となりました。
  • ・コロナの影響は、第2四半期の売上収益は影響額の提示はありませんでしたが、マクロ経済悪化の影響により減収となり、調整後営業利益は330億円のマイナス影響があったとしています。
  • ・通期決算予想でのコロナの影響は、売上収益は社会公共での企業向けPCや公共・医療向けITサービスの減少は続くと見込み、調整後営業利益へは約650億円のマイナス影響があると見込んでいます。

富士通

  • ・第2四半期の売上収益は、コロナの影響でテクノロジーソリューション中心にマイナス影響、コロナ影響を除いてもユビキタスが前年特需の反動、デバイス事業の再編で減収し、営業利益は、ソリューション・サービスやデバイスの採算性改善、営業費用の圧縮などでカバーしたものの、コロナ影響でテクノロジーソリューションを中心としたマイナス影響で減益となりました。
  • ・コロナの影響は、第2四半期の売上収益はプラス影響が529億円であったもののマイナス影響が1,381億円で、全体では851億円のマイナス影響があったとし、営業利益は309億円のマイナス影響があったとしています。
  • ・通期決算予想でのコロナの影響は、売上収益はテクノロジーソリューションを中心に1,100億円のマイナス影響を見込み、営業利益へは380億円のマイナス影響があると見込んでいます。

NEC

2020年度第2四半期(2020年4~9月)連結業績

NECの2020年度(2021年3月期)第2四半期決算

大型案件の減少や、ビジネスPCの更新需要の一巡に加えマクロ経済悪化が影響し、費用節減や子会社株式売却益を計上したものの売上収益の減少が影響したことにより、全体では減収減益

売上収益は、対前年同期比9.2%(1,340億円)減の1兆3,150億円
エンタープライズや社会公共、グローバルが減収となったことなどが影響して、全体では前年に対して1,340億円減の1兆3,150億円

営業利益は、同269億円減の200億円(調整後営業利益は、同263億円減の290億円)
子会社株式売却益で130億円の他、不採算案件の改善や費用コントロール及びNew Normal関連の獲得でプラス影響はあったものの、新型コロナウイルス感染症の影響による市況悪化で330億円をはじめ、ビジネスPCの需要減や前年度大型案件の反動及び5GやDX共通プラットフォームへの投資増などのマイナス影響で、全体では前年に対して269億円減の200億円

2020年度(2021年3月期)の通期決算予想

NECの2020年度(2021年3月期)通期決算予想

2020年度(2021年3月期)の通期決算予想は、前回予想を維持しています。

売上収益は、対前年比2.1%(652億円)減の3兆300億円
製造業や流通・サービス業及び金融業向けいずれも前年並を見込むエンタープライズに対し、企業向けPCや公共・医療向けITサービスの減少を見込む社会公共を中心に減収し、前年に対して2.1%減の3兆300億円

営業利益は、同224億円増の1,500億円
収益性改善及び前年度に計上した一過性費用の減少を見込む社会公共、不採算案件の再発防止と費用効率化を見込むエンタープライズを中心に増益、グローバルも前年度に計上した一過性費用の減少と構造改革効果などにより黒字化を見込んで、全体では前年に対して224億円増の1,500億円

新型コロナウィルスの影響

第2四半期での影響

  • ・売上収益での具体的な影響額の提示はないものの、ネットワークでNew Normal商材を中心に増収も、社会公共では医療向けや地域産業向けの減収、エンタープライズでの製造業や流通・サービス業におけるIT投資抑制による減収が影響しています。
  • ・調整後営業利益への影響は、330億円のマイナス影響
    グローバルやエンタープライズ及び日本航空電子工業を中心とした市場悪化で330億円のマイナス影響がありました。

通期決算予想での影響

  • ・売上収益での具体的な影響額の提示はないものの、社会公共での企業向けPCや 公共・医療向けITサービスの減少は続くと見込んでいます。
  • ・調整後営業利益へは、約650億円のマイナス影響
    5月期初めは約500億円のマイナス影響としていましたが10月時点では約650億円とし、各施策により約650億円のマイナス影響を相殺するとしています。
    マイナス影響の相殺策:費用節減は予定通りで220億円、New Normal需要の獲得で160億円、株式や不動産の売却による資産圧縮で270億円

富士通

2020年度第2四半期(2020年4~9月)連結業績

富士通の2020年度(2021年3月期)第2四半期決算

コロナのマイナス影響が大きかったテクノロジーソリューションを中心に、全体では減収減益

売上収益は、対前年同期比10.8%(1,969億円)減の1兆6,318億円
本業ではコロナの影響でテクノロジーソリューション中心にマイナス影響で851億円の減収、コロナ影響を除いてもユビキタスが前年特需の反動△1,000億円規模の減少影響を受けて607億円の減収、デバイス事業の再編と北米・欧州再編の影響で509億円の減収により、全体では前年に対して10.8%(1,969億円)減の1兆6,318億円

営業利益は、同88億円減の622億円(調整後営業利益は、同674億円減の891億円)
コロナ影響を除くとPCの大きな減収影響に対してソリューション・サービスやデバイスの採算性改善、営業費用の圧縮などでカバーして187億円の増益となったものの、コロナ影響でテクノロジーソリューションを中心としたマイナス影響で281億円の減益となり、全体では前年に対して88億円減の622億円

2020年度(2021年3月期)の通期決算予想

富士通の2020年度(2021年3月期)通期決算予想

2020年度(2021年3月期)の連結業績は、前回予想値を維持しています。

新型コロナウイルスの影響で売上収益は減少するものの営業利益率は前年度並を確保でき、特に、本業となるテクノロジーソリューションは、利益率の高いサービスにシフトすることで営業利益率は6%となり、前年度並みの営業利益を確保すると予想しています。

売上収益は、対前年比6.4%(2,478億円)減の3兆6,100億円
テクノロジーソリューションで1,229億円、ユビキタスソリューションで1,362億円の減収を中心として全セグメントで前年に対して減収を見込み、全体では前年に対して6.4%(2,478億円)減の3兆6,100億円

営業利益は、同5億円増の2,120億円
ユビキタスソリューションで187億円の減益を見込むものの、テクノロジーソリューションは前年並み、デバイスソリューションで192億円の増益を見込んで、全体では前年に対して5億円増の2,120億円

新型コロナウィルスの影響

第2四半期での影響

  • ・売上収益では、851億円のマイナス影響(プラス影響が529億円であったもののマイナス影響が1,381億円)
    製造や自動車中心にプロジェクト開始時期の見直し影響が大きかったエンタープライズに対し、ヘルスケアや自治体向けで開始時期の見直しや商談の停滞影響が大きかったJAPAN-BG、小売りに若干の影響はあったファイナンス&リテール、公共・社会インフラへの影響は軽微となっています。
  • ・営業利益への影響は、281億円のマイナス影響
    ユビキタスソリューションで48億円のプラス影響があったものの、テクノロジーソリューションで309億円とデバイスソリューションズで20億円のマイナス影響がありました。

通期決算予想での影響

  • ・売上収益での影響は、1,100億円のマイナス影響
    ユビキタスソリューションで300億円のプラス影響を見込むものの、テクノロジーソリューションで1,310億円とデバイスソリューションズで90億円のマイナス影響を見込んでいます。
    特にテクノロジーソリューションの1,310億円のマイナス影響の内、ソリューション・サービスは780億円(システムプラットフォームは100億円)のマイナス影響を見込んでいます。
  • ・営業利益は、380億円のマイナス影響
    ユビキタスソリューションで60億円のプラス影響を見込むものの、テクノロジーソリューションで400億円とデバイスソリューションズで40億円のマイナス影響を見込んでいます。

2020年度(2021年3月期)第2四半期決算と通期予想

国内電機8社の2020年度(2021年3月期)第2四半期決算と通期予想

参考:電機各社の決算発表

富士通 株式会社(2020年10月27日発表)

日本電気 株式会社(2020年10月29日発表)

株式会社 日立製作所(2020年10月28日発表)

株式会社 東芝(2020年11月11日発表予定)

ソニー 株式会社(2020年10月28日発表)

パナソニック 株式会社(2020年10月29日発表)

三菱電機 株式会社(2020年10月29日発表)

シャープ 株式会社(2020年11月6日発表予定)

電機とITの決算

2020.11.11 2020年度第2四半期決算と通期予想:日立製作所、東芝、三菱電機

2020.11.06 2020年度第2四半期決算と通期予想:ソニー、パナソニック、シャープ

2020.11.03 2020年度第2四半期決算と通期予想:NEC、富士通のコロナ影響

2020.10.29 2020年度第2四半期決算と通期予想:NEC

2020.10.27 2020年度第2四半期決算と通期予想:富士通

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