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4.ブランドの差別化ポイント(POD)と同質化ポイント(POP)
4.ブランドの差別化ポイント(POD)と同質化ポイント(POP)
差別化ポイント(POD:Points-of-Difference)とは、
商品やサービス、企業に固有するブランドの価値であり、他ブランドにはない差別化のポイントのこと
同質化(POP:Points-of-Parity)とは、
商品やサービス、企業のブランドは特にユニークではないが、マーケットに存在するために必須なポイント、あるいは競合の差別化ポイント(POD)を打ち消すためのもの。
伊藤園は、
- ・これまでたゆみない開発努力と顧客価値・競争優位を保つマーケティングプログラムにより、約20年間緑茶飲料のパイオニアとしてブランド・エクイティを確立してきています。
- ・しかし、今でこそ緑茶市場のビックブランドとなった「お~いお茶」においても、発売当初から現在に至るまでには、他の飲料に対して差別化連想を訴求するとともに、同質化連想を訴求してトップシェアを維持してきたと考えます。
差別化と同質化ポイント
「お~いお茶」に対して「ヘルシア緑茶」や「伊右衛門」は、
- ・差別化戦略としてユニークさによる差別化連想を訴求しながら、同時に緑茶としての同質化連想も訴求することにより、消費者の心の中にポジショニングし売上を拡大してきています。
- ・しかし、この「ヘルシア緑茶」や「伊右衛門」の売上拡大に対し、「お~いお茶」はサブブランドとして「濃い味」を昨年発表して同質化することにより、この2つのブランド間との独自性の最小化を図っていると考えます。
「お~いお茶 濃い味」による同質化連想
- ・健康性:「ヘルシア緑茶」への対抗として、カテキン含有量を増量し価格は現行に据え置いている。
「お~いお茶」:280mg/350ml(120円)、400mg/500ml(150円)
「ヘルシア緑茶」:540mg/350ml(180円)
- ・嗜好性:「伊右衛門」への対抗として、「おいしい」と感じるイメージを刷り込んでいる。
「お~いお茶」:広告ポスターの背景を「竹一色」に統一
なお、ケビン・レーン・ケラー教授の『ケラーの戦略的ブランディング』で、ブランド連想における「相違点と類似点」について解説されています。
ユニークで意味のある相違点をつくることにより、ブランド連想を生み出し、ブランドに競争優位をもたらし、そのブランドを買う理由を消費者に知ってもらうことにつながる。
しかし、競合するブランドとの相違点を打ち消すためにも、類似点としてブランド連想が機能する。
類似点となっている連想以外のブランド連想が相違点になれば、好ましいブランド評価が得られ、ブランドが選択される可能性も高まるとしています。
参考書籍
-
ケラーの戦略的ブランディング
ケビン・レーン・ケラー(著)、恩蔵直人研究室(翻訳)
出版社:東急エージェンシー出版部 増補版版 (2003/11)Amazon.co.jp:ケラーの戦略的ブランディング
参考:当サイト記事
2005.5.5 顧客ベースのブランド・エクイティ・ピラミッド(CBBE)
緑茶ブランド「お~いお茶」「ヘルシア緑茶」「伊右衛門」のブランド・エクイティ
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