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ベンチャーの作法 「結果がすべて」の世界で速さと成果を両取りする仕事術
高野 秀敏(著)
出版社:ダイヤモンド社 (2024/11/27)
Amazon.co.jp:ベンチャーの作法
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ベンチャー、スタートアップを知り尽くしたヘッドハンターだからわかる。
なにがあっても結果を出す
圧倒的に活躍する人に共通する「行動原則」
「賢いだけの人」にならないために。
本書は、ベンチャー/スタートアップへの転職を支援する株式会社キープレイヤーの代表取締役かつヘッドハンターの著者が、なにがあっても結果を出す人に共通する「5つの行動原則」をまとめた一冊です。
著者は、これまでに1.1万人以上のキャリア相談、4,000社以上の採用支援をおこなってきたヘッドハンターかつ経営者で、特にベンチャーやスタートアップへの転職支援に特化し、エンジェル投資家、顧問、社外取締役として173社に関わっている方です。
その経験豊富な著者が、きれいごと抜きの仕事術を惜しみなく紹介していますので、ビジネスパーソンの方々がベンチャーやスタートアップで結果を出す方法を学ぶことができます。
本書は5章と終章で構成し、ベンチャーで結果を出すための「5つの作法」、圧倒的に活躍する人たちの共通点を解説しています。
- ・第1章は「目標設定」の作法で、ベンチャーで結果を出すための「目標」の考え方を解説し、結果がすべてをつれてくると信じて行動することの重要性を説いています。
- ・第2章は「任務遂行」の作法で、結果を出すために必要な「行動」について解説し、たとえ不安があっても思い切って行動することの重要性を説いています。
- ・第3章は「指示対応」の作法で、一歩を踏み出す勇気を得た後に迷わないために「指示」との向き合い方を解説し、経営者の指示には何が何でも食らいつくことの重要性を説いています。
- ・第4章は「連帯形成」の作法で、大きな成果を出すためには群れを動かし、協力を得るための「連帯感」のつくり方を解説し、率先して他者を救い、自分も他者から救われる人になることの重要性を説いています。
- ・第5章は「職務越境」の作法で、他者からの求めを待つだけでなく、時には自ら首を突っ込んでいくことも必要であるとして「越境」の考え方を解説し、役割や会社の枠を超えて自らの可能性を高めることの重要性を説いています。
- ・終章は、作法を身に着けてベンチャーで結果を出した後、次の世界に向かうための「旅立ち」について解説し、自らが活躍することが辞めた組織への最高の恩返しであることを説いています。
働き方の本は数多くあれども、「ベンチャーで結果を出す方法」に特化したものはこれまでありませんでした。
ベンチャーを目指す人、ましてやすでにベンチャーの世界に身を置く人にとっては、その実態をつかめていないことは将来のキャリアを大きく左右します。
そしてベンチャーにかぎらず、結果を出すスキルを磨くことは、すべてのビジネスパーソンの市場価値を高めてくれます。
そこで、ベンチャーで求められる働き方を言語化するために、本書を書きました。
ベンチャーの作法
『ベンチャーの作法』を参考にしてATY-Japanで作成
本書が指すベンチャー
熱い想いを持っている経営者や社員がいて、ひたむきに「成長を目指している」企業のことである。
前に進むための新たな挑戦に挑むすべての企業がベンチャーであり、会社の規模や創業年数ではなく「マインド」を指す言葉である。
ベンチャーと呼ばれることに明確な定義はなく、以下のすべてが広義におけるベンチャーである。
- ・創業から間もない会社
- ・経営者が若い会社
- ・自社のビジネスで世界を変えたい会社
その他、以下の企業も含めてベンチャーとして扱う。
- ・VC(ベンチャーキャピタル)から資金調達をして短期間で急成長し、上場や売却を目指す「スタートアップ」
- ・創業から20年以上経つ大企業も、チェレンジ精神や開拓精神のある「メガベンチャー」
- ・「地方ベンチャー」と呼ばれる新興企業
ベンチャー(成長途上の企業)で求められる働き方
大企業や中堅企業といった成熟企業と、ベンチャーやスタートアップと呼ばれる成長途上の企業では、求められる働き方が根本的に異なる。
成長途上の企業が求めているのは「結果」であり、求められる人材は「結果を出せる人」である。
結果を出すためにとるべき行動は、自ら動いて、手を動かすことである。
一般企業とベンチャーでは、置かれた状況や求められる働き方に大きな違いがある。
企業の成長段階によって求められる働き方は異なる。
会社の規模が大きくなるにつれて評価される人が変わっていくのは、組織の成長段階によって優先順位や使えるリソースなどが変わっていくからである。
- ・黎明期や主力事業が固まっていない時期は、担当業務の範囲を超えてでも結果を出せる人材が必要である。
- ・会社が大きくなっていくと仕事の型ができていき、その時期には素直で従順な人が求められる。
- ・規模を広げていく段階になると、丁寧な確認や根回しをしながら仕事を進められる人が必要とされる。
ベンチャーと大企業では、仕事における成長ステップが真逆である。
- ・大企業では、言われたことを着実にこなして信頼を得ることで、次第に結果を求められるような仕事を任される。
- ・ベンチャーでは、仕事で結果を出した人が評価され、昇進し、さらに大きな仕事を任される。
あなたの経験や思考は、もちろん大事です。
でも、結果を出すことで初めて開ける視野や世界があります。
「すべては、結果のあとについてくる」
あれこれ疑念や不満を抱きそうになったときは、この言葉を思い出して、いったん無心で取り組んでみてください。
まとめ(私見)
本書は、ベンチャーやスタートアップへの転職を支援する企業の代表取締役かつヘッドハンターの著者が、なにがあっても結果を出す人に共通する「5つの行動原則」をまとめた一冊です。
きれいごと抜きの仕事術を惜しみなく紹介していますので、ビジネスパーソンがベンチャーやスタートアップで結果を出すためにどんな作法をすれば解決するかが明らかになります。
ベンチャーやスタートアップへの転職を数多く支援している経験豊富な著者ならではの内容で、非常に重みがある記述ばかりだけでなく、中には厳しい指摘もあります。
結果を出すための「5つの作法」として、「目標設定」「任務遂行」「指示対応」「連帯形成」「職務越境」に分けて考え方の方向性を示していますが、どれも必ず遭遇する場面への的確なアドバイスであり、著者自身のエピソードを交えて内容を補完していますので、自分事として行動を変えるのに役立ちます。
本書は、成長途上の企業をベンチャーと総称して、結果を出すための作法を解説していますが、成熟企業にも適用できる部分がありそうです。
成熟企業は、その歴史の中で確立してきた組織風土や行動原則があり、それらを変革するには大きな力が必要かもしれません。
しかし、経営環境が目まぐるしく変化する現代においては、成熟企業も新たな取り組みをしていかないと生き残ってはいけません。
特に企業内で新たに事業を創造して成長していくためには、本書のベンチャーのような活動が必要となります。
そして、それらの事業においても結果を出していかなければいけませんので、本書で指摘している働き方や作法が参考になります。
著者は、ベンチャーには「向いている人」と「向いていない人」がいるとしています。
- ・行動力があり、柔軟に方向転換しながら、仲間を巻き込んで突き進める人などは、ベンチャーに向いている。
- ・一方、思慮深く、物事を慎重に考えて入念に準備し、ひとりで黙々と作業を進めるような人は、ベンチャーには向かないかもしれない。
これは相性の話で、たとえ本人が希望していたとしても勧めないと、著者は言っています。
また、転職は人生を左右する大きな転換期ですから嘘はつけないとも言っています。
これこそが相談者に対する本来の姿勢であり、著者の誠実な人柄がにじみ出ています。
ベンチャーにかぎらず、結果を出すスキルを磨くことは、すべてのビジネスパーソンの市場価値を高めてくれます。
本書は広義のベンチャーで結果を出すための「行動原則」を、著者自身の豊富な経験にもとづいて詳細に解説しています。
しかし、ベンチャーに限らずどんな企業で働いていても、本書の内容は役に立ちます。
どんな仕事をしていても、新しい機会をつかみ、一筋縄ではいかない仕事環境で難題に対処しようとすれば、「自分のキャリア」をベンチャーと同じように舵取りしているつもりで発想し、行動することができます。
本書の作法を身に着けておけば、組織内で結果を出し続けられますし、仮にベンチャーから巣立って行ってもその先で活躍し、やがては世界を変えることにつながるかもしれません。
本書は、ベンチャーで成長し、圧倒的な成果を出したい方々にとって、解決するための作法、きれいごと抜きの仕事術を惜しみなく明らかにしていますが、自分自身のキャリアを創っていくいえでのガイドとなる一冊です。
目次
はじめに
第1章 結果がすべてをつれてくる――「目標設定」の作法
「結果」より先に「裁量」を求めるな
「良い人間関係」に甘えてはいけない
「輝かしい過去」を過信してはいけない
「頭脳」になるな「手足」となれ
「キャリアアップ」の本当の意味
「結果」のことだけ考えていればいい
第2章 評論家は今すぐ退場せよ――「任務遂行」の作法
「セカンドペンギン」が群れを導く
組織に「評論家」は必要ない
「スピード感」のないベンチャーは死ぬ
「トレンド」を嘲笑してはいけない
自分で「自分」に厳しくできるか
「納得感」なんて求めてはいけない
「やる」だけでなく「やり抜く」が大事
第3章 誰の期待に応えるべきか――「指示対応」の作法
「顧客」より「経営者」を見ろ
「朝令暮改」を受け入れよう
経営者に「説明」を求めてはいけない
「無茶」に応えるのも立派なスキル
振り回されても、他者を振り回すな
期待に「応える」と「超える」の違い
結果を出すために「評価」を手にする
第4章 他者への期待を捨て去る――「連帯形成」の作法
「人を動かせる人」が本当に優秀な人
「助けてもらえる人」がやっていること
仕事を「任せる」ときにやってはいけないこと
「知りたい」と思われる人になれ
「上を動かす」という最強のマネジメント
「自分勝手な人」になってはいけない
第5章 落ちたボールを拾いにいけ――「職務越境」の作法
「関係のない仕事」は組織に存在しない
「採用」するのもあなたの仕事である
「社長のボール」も奪いにいけ
越境と似て非なる「越権」という行為
手を動かせない人がたどる末路
「会社の壁」を越えるということ
終章 あなたが群れを抜けるとき
「何人辞めた」ではなく「誰が辞めた」が重要
「120%成長」を喜んではいけない
中途半端な「黒字」にすがるな
自分の「市場価値」がわかる瞬間
会社を去ることは「恩返し」でもある
おわりに
参考
ベンチャーの作法 | ダイヤモンド社
ベンチャーの作法 | ダイヤモンド・オンライン
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