リーダーシップとMGIMとの関係 | 意味ズレの状態や統合プロセスに応じて異なる役割を担う

リーダーシップとMGIMとの関係 | 意味ズレの状態や統合プロセスに応じて異なる役割を担う

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MGIMプロセスにおけるリーダーシップの役割

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 2026年11月01日

MGIMにおけるリーダーシップの特徴は、「リーダーが新しい意味を与えること」だけにあるのではなく、異なる意味が存在することを認識し、その差異を可視化し、対話と翻訳を通じて、複数主体が協働可能な新しい意味を形成することを支援する点にあります。

センスメイキング理論が示してきた「状況に対する意味形成」と、MGIMが着目する「主体間の意味ズレの統合」を接続することで、リーダーシップについても、単なる意味の提示や共有だけではなく、異なる意味を持つ主体間の協働を可能にする新しい意味形成への関与という観点から捉えることができます。

意味ズレ統合モデル(MGIM:Meaning Gap Integration Model)とは、複数の主体間に生じる意味の差異に着目し、組織変革を意味形成(Meaning Making)、意味統合(Meaning Integration)、意味再創出(Meaning Re-creation)の循環的過程として捉える統合的概念モデルです。

経営と現場、部門間、個人と組織のあいだに生じる意味の差異を、検出・対話・翻訳・統合の4つのプロセスで扱い、統合された意味が協働行動・組織学習・アイデンティティ更新を経て次の意味形成へ循環する構造として整理しています。

リーダーシップとMGIMとの関係

既存の組織論やセンスメイキング理論において、リーダーシップは不確実な環境下でメンバーが納得できるストーリーを提示し、個々の「もっともらしさ(Plausibility)」を形成するプロセスとして捉えられてきました。

Smircich & Morgan(1982)は、リーダーシップの本質を「意味のマネジメント(The Management of Meaning)」として定義し、リーダーが現実を枠づけ、フォロワーのために意味を形成する存在であると論じました。

MGIMは、この「意味のマネジメント」という視点を継承しながら、リーダー単独による意味の形成・提示にとどまらず、組織内に生じる「意味ズレを統合することで協働可能な新しい意味を形成するプロセス」として再定義し、発展させます。

MGIMが着目するのは、複数の主体が異なる意味を形成している状況において、その意味の差異(意味ズレ)がどのように検出され、対話・翻訳を通じて、協働可能な新しい意味へ統合されるのかというプロセスです。

したがって、センスメイキング理論とMGIMは競合する関係ではなく、異なる分析焦点を持つものとして位置づけられます。

センスメイキング理論が、主体が不確実な状況をどのように意味づけ、理解可能な状況として構成するのかを捉えるのに対し、MGIMは、異なる主体間に生じる意味の差異を分析単位として捉え、その差異を協働可能な新しい意味へ統合するプロセスに焦点を置きます。

既存研究にも複数主体間の意味形成や相互作用を扱う研究は存在しますが、MGIMは複数主体間に生じる意味の差異を「意味ズレ」として概念化し、その差異を分析単位として設定します。

そして、検出 → 対話 → 翻訳 → 統合 → 協働可能な意味の形成というプロセスを一連の分析枠組みとして提示します。

MGIMプロセスにおけるリーダーシップの役割

この観点から、MGIMにおけるリーダーシップは、単に「正しい意味」を提示してメンバーの意味を統一することではありません。

リーダーには、異なる主体が形成している意味を認識し、それらの差異を意味ズレとして捉え、対話と翻訳を通じて相互理解を促し、必要に応じて複数の意味を接続・統合する役割が求められます。

そのため、MGIMでは、リーダーシップを単一の行為としてではなく、意味ズレの状態や統合プロセスに応じて異なる役割を担うものとして捉えます。

そこで、MGIMの4つのプロセスに対応して、次の4つの役割を区別します。

この4つの役割は、既存のリーダーシップ理論における役割分類をそのまま再構成したものではなく、MGIMプロセスにおいてリーダーシップが担いうる機能を整理したものです。

  • 検出者
    自らの意味だけでなく、他者・部門・専門領域などの異なる意味形成を認識し、意味の差異や意味形成の変化を把握する。
  • 対話促進者
    異なる主体が持つ意味や背景を対話を通して浮き彫りにし、それぞれの解釈や前提を相互に理解できるよう促す。
  • 翻訳者
    異なる主体が持つ意味や背景を、それぞれの主体が理解し、協働に活用できる言葉や概念に変換する。
  • 統合者
    既存の意味のいずれかに一方的に合わせるのではなく、異なる意味を接続し、協働可能な新しい意味の形成を促す。

これらの役割は、MGIMの「検出 → 対話 → 翻訳 → 統合」という4つのプロセスに対応するものであり、リーダーが常に4つすべてを担うことを意味するものではありません。

組織の状況、意味ズレの程度、関係する主体、統合の段階などに応じて、必要な役割が異なります。

この点において、MGIMはリーダーシップそのものを一つの実践手法として定義するものではありません。

むしろ、複数主体間に生じる意味の差異を分析し、その差異がどのように協働可能な意味へと統合されるのかを説明する理論的枠組みとして位置づけられます。

リーダーシップは、その意味統合プロセスにおいて重要な主体・機能の一つとして位置づけられます。

センスメイキング理論とMGMとの違い:分析単位の視点

センスメイキング理論は、意味の形成と再解釈の過程を中心に据えることで、組織における認知的ダイナミクスを説明しています。

Weickらはセンスメイキングを、状況を理解可能なものにして行動につなげるプロセスとして捉え、さらに行動によって生成された手がかりが次の意味形成に影響する構造を示しています。

しかし、センスメイキングは解釈・意味・行動を循環的に扱うため、単純な「意味 → 解釈 → 行動」モデルでは十分ではありません。

組織において意味統合を実践的な成果につなげるためには、それらが共有可能な行動として具体化されることが重要です。

「意味ズレ統合モデル(MGIM)」は、意味の違いを認識・対話・翻訳し、協働可能な新しい意味へ統合するとともに、その意味が協働行動や学習を通じて再び更新される循環プロセスです。

目的 分析視点 前提 主プロセス 成果 構造
センスメイキング 意味の形成の説明 解釈 曖昧性の存在 感知 → 解釈・意味づけ → 行動・行為(行動が意味形成を促す側面もある) 状況についてのもっともらしい意味形成・更新 継続的解釈
意味ズレ統合モデル MGIM 異なる意味を協働可能な新しい意味へ接続・統合 複数主体間の意味ズレと統合 意味ズレの存在 検出 → 対話 → 翻訳 → 統合 → 協働行動(意味の再創出) 協働に向けた意味・行動条件の形成 循環的進化

参考

意味を共に創る「意味ズレ統合モデル(MGIM)」

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