意味ズレ統合モデル(MGIM)から意味の再創出(統合された意味) | プロセス循環で組織を累積的に進化

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意味ズレ統合モデル(MGIM)の全体像

意味ズレ統合モデル(MGIM)の全体像

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 2026年04月27日

これまで、「意味ズレ統合モデル(MGIM)」の全体像と構成するプロセスを定義し、「意味ズレ統合モデル(MGIM)」の有効性を示しました。

ズレを生じさせる要因に加え、「意味ズレ統合モデル(MGIM)」を構成する4つのプロセスそれぞれについて、リーダーの役割と成果、主な行動を定義しました。

「意味ズレ統合モデル(MGIM)」は「統合 → 新たな検出 → 対話 → 翻訳 → 統合… 」と、一度で終わるものではなく循環させることにより、組織を累積的に進化させます。

そして、意味の進化を測定可能にする試みとして、「意味ズレ統合モデル(MGIM)」の成熟度を測定する方法を「MGIM成熟度尺度(MGIM-MS:MGIM Maturity Scale)」と定義し、構成する4つのプロセス単位に成熟度を測定するためのKPI例と質問例を示しました。

成熟度を測定することによって、見えない能力を可視化でき、改善を偶然ではなく設計可能にし、組織進化を「再現可能」にします。

そこで今回は、「意味ズレ統合モデル(MGIM)」で統合された意味は、次の「意味の再創出(統合された意味)」に連動することを定義します。

統合された意味は、「意味の再創出(統合された意味)」内で「協働行動」として表れ、協働行動は「組織学習」を生み出します。

そして、組織学習は「アイデンティティを更新」し、更新されたアイデンティティは次の意味づけを形成します。

「意味ズレ統合モデル(MGIM)」から「意味の再創出(統合された意味)」に至るプロセスは一度で終わるものではなく循環させることにより、組織を累積的に進化させます。

意味の再創出(統合された意味)

意味の再創出(統合された意味)

「意味の再創出(統合された意味)」とは、「意味ズレ統合モデル(MGIM)」で意味統合の結果として生じた行動・知識・自己理解が、新たな組織現実として再構成される過程を指します。

  • ・統合された意味は、協働行動として表れる。
  • ・協働行動は、組織学習を生み出す。
  • ・組織学習は、アイデンティティを更新する。
  • ・更新されたアイデンティティは、次の意味づけを形成する。

「意味ズレ統合モデル(MGIM)」の意味統合から、協働行動(行動が揃う)、組織学習(理解が変わる)、アイデンティティ更新(自己定義が変わる)という一連のプロセスを経て、新たな意味を創出します。

以下では、以前定義した意味ズレを生じさせる4つの要因(戦略協働・文化協働・危機協働・業務協働)に対して、3つのプロセスの具体的な取り組み例を示します。

協働行動

協働行動とは、統合された意味に基づいて、関係者が役割を理解しながら主体的に実行する行動です。

統合された意味は、行動として表れなければ存在しません。

戦略協働:戦略転換時

単に戦略を理解するだけではなく、戦略実現に向けて協働して行動する。

例えば、

  • ・全員が協働して、顧客の課題解決に向けて活動する。
  • ・新戦略に基づいた体制を確立する。
  • ・部門横断のプロジェクトチームを形成する。
文化協働:組織文化変革時

変革の意味を理解したうえで、文化醸成に向けて協働して行動する。

例えば、

  • ・定期的なナレッジ共有会を設置する。
  • ・部門横断プロジェクトに参加する。
  • ・変革後の成果に対する評価制度を導入する。
危機協働:危機対応時

トラブル解決に向けて、協働して行動する。

例えば、

  • ・トラブルに対して、全社的な原因分析チームを結成する。
  • ・トラブルや対応行動に関する情報共有を即時に実施する。
  • ・全社的に統一された顧客対応を実施する。
業務協働:日常業務改善時

業務改善に向けて、協働して行動する。

例えば、

  • ・新たな業務プロセスに基づいた標準手順を採用する。
  • ・全員が同一のツールを使用する。
  • ・業務改善に関する活動レビューを相互に実施する。
組織学習

組織学習とは、協働行動の経験を振り返り、意味と行動の関係を再解釈することで、次の行動能力を高めるプロセスです。

協働行動が実行されると、必ず成功・失敗・想定外が起きるため、これが「次の検出」の材料になります。

経験から学習が成立し、学習が「次の検出」を強化するという循環を構築します。

戦略協働:戦略転換時

戦略転換に関する意味統合を学習する。

例えば、

  • ・新戦略に関する組織内の対話会を正式制度として導入する。
  • ・対話の進め方のガイドラインを策定し、進捗を定期的に共有する。
  • ・推進リーダーやファシリテーターを育成する。
文化協働:組織文化変革時

変革の価値を組織の制度に組み込む。

例えば、

  • ・ナレッジ共有を評価制度に組み込む。
  • ・新たな文化の活動に関する成功(失敗)事例情報を共有する。
  • ・新たな文化を教育に組み込んで、理解を深める。
危機協働:危機対応時

対応の経験を制度へ転換する。

  • ・危機対応マニュアルを整備する。
  • ・初動対応や状況確認のフローを明確にする。
  • ・リスク管理部門を設置する。
業務協働:日常業務改善時

改善で組織が覚えた状態を継続する。

  • ・改善後の成功事例や課題対応をマニュアル化する。
  • ・新たな業務手順を標準化する。
  • ・新たな業務に関する教育プログラムを策定して定期的な教育に組み込む。
アイデンティティ更新

アイデンティティ更新とは、統合された意味と行動経験を通じて、「私たちは何者か」という自己理解を再構築することです。

意味が統合され続けると、最終的に変わるのは「私たちは何者か」であり、組織文化は組織の存在意義に直結します。

戦略協働:戦略転換時

「意味の更新」から「自己定義の更新」へ転換する。

例えば、「我々は、顧客の課題を解決する会社である。」と自己認識する。

文化協働:組織文化変革時

文化的アイデンティティを更新する。

例えば、「我々は、互いに協働して価値を創る組織である。」と自己認識する。

危機協働:危機対応時

危機対応に関する価値中心のアイデンティティに更新する。

例えば、「我々は、安全・安心を最優先し、不測事態にも迅速に対応する組織である。」と自己認識する。

業務協働:日常業務改善時

業務への取り組みに対するアイデンティティを更新する。

例えば、「我々は、継続的に業務改善して高度化する組織である。」と自己認識する。

意味の再創出(統合された意味)の展開

今回の「意味の再創出(統合された意味)」への連動は、「意味ズレ統合理論」を「組織進化理論」に展開し、主要理論の視点とも整合するものです。

協働行動は、共有された意味が集合的行動として具体化される過程であり、集団行動理論(Olson, 1965 など)の視点とも整合し、フリーライダー問題の克服として「意味の共有」が機能します。

また、組織学習は組織学習理論(Argyris & Schon, 1978 など)の視点とも整合し、既存の枠組みの中で改善を行う「シングルループ学習」ではなく、前提や価値観そのものを見直す「ダブルループ学習」に該当します。

そして、アイデンティティ更新は組織アイデンティティ理論(Albert & Whetten, 1985 など)、意味形成はセンスメイキング理論(Weick, 1995)の視点と整合します。

組織アイデンティティ理論(Albert & Whetten, 1985 など)では、組織アイデンティティを「中心的・独自的・継続的」という3要素で定義していますが、「意味の再創出(統合された意味)」におけるアイデンティティ更新は、意味の統合と協働行動・組織学習を経ることで、この3要素が動的に再構成されるプロセスに該当します。

「自分たちは何者か」という静的な自己定義の維持ではなく、意味統合の経験を通じて組織の中心的特性そのものを問い直し、更新するプロセスです。

協働行動を繰り返す過程においては、さまざまな成果が生まれ、それをさらに改善し、より強化することを繰り返す中で、多くの学習が得られます。

組織学習はアイデンティティを更新しますが、学習してもアイデンティティは変わらない場合もあります。

それを防ぐためには、学習の制度化、成功(失敗)体験の共有、価値の言語化などにより、継続的な取り組みが必要です。

そして、以下の代表的な指標を使用するなどして、各プロセスの進捗を定期的に管理し、必要があれば是正することが重要です。

  • ・協働行動    :部門横断の活動率
  • ・組織学習    :知識共有頻度
  • ・アイデンティティ:共有価値一致度
「意味の停滞」を招く原因と対応策

「意味の再創出(統合された意味)」の3つのプロセス(協働行動・組織学習・アイデンティティ更新)はそれぞれ独立しているのではなく、連動して成り立ちます。

そのため、協働行動が起きなければ学習が成立しないし、アイデンティティも変わりません。

それは、意味の進化が止まることであり、「意味の停滞」につながります。

そこで、「協働行動が起きない場合」「学習が制度化されない場合」「アイデンティティが固定化する場合」の3つの失敗パターンにおける対応策を示します。

協働行動が起きない場合

この原因は、「意味は共有されたが責任は共有されていない」ことにあり、多くの組織では「理解はあるが行動はない」という状態になります。

想定では以下のどれかが起きており、本質的な原因は「役割の未翻訳」で、意味が行動形式に変換されていません。

  • ・役割が曖昧である。
  • ・成果責任が個人単位となっている。
  • ・部門間の利害が衝突している。
  • ・心理的安全性が欠如している。

そのための対応策は、以下が考えられます。

  1. 意味から行動の「役割翻訳」を義務化する。
    例えば、「何をやめるか」「何を始めるか」などを明文化する。
  2. 個人評価ではなく協働単位で評価する。
    例えば、部門横断案件数や共同成果率などの協働KPIで管理する。
  3. 最初の成功体験を設計する。
    例えば、小さな協働成功でも公的に評価して、組織内で周知する。
学習が制度化されない場合

この原因は、「経験が記憶に変わらない」ことにあり、多くの組織では「行動したことが残らない」という状態になります。

想定では以下のどれかが起きており、本質的な原因は「振り返りの欠如」で、学習が制度化されていません。

  • ・振り返りがない。
  • ・記録がない。
  • ・標準化されていない。
  • ・教育が繰り返されていない。

そのための対応策は、以下が考えられます。

  1. 振り返り制度を義務化する。
    例えば、「成功や失敗したこと」「想定外だったこと」「次はどうするか」などを、関係者全員で共有する。
  2. 制度化する。
    例えば、「経験→文書化→教育」を制度化する。
  3. 成功だけでなく失敗も共有する。
    失敗こそが最大の学習となる。
アイデンティティが固定化する場合

この原因は、「成功体験が神格化してしまう」ことにあり、多くの組織では「過去の成功体験が自己を正当化し、変化することを拒否する」という状態になります。

想定では以下のどれかが起きており、本質的な原因は「組織の硬直化」で、変化に対する拒否反応が起きています。

  • ・「我々はこういう会社である」と固定化している。
  • ・異論を排除している。
  • ・新しい意味を拒否している。
  • ・外部情報を無視している。

そのための対応策は、以下が考えられます。

  1. アイデンティティを暫定化する。
    例えば、自己を固定化するのではなく、「現時点では」と仮説形にする。
  2. 外部の視点を取り入れる。
    例えば、顧客レビューや外部評価、第三者との対話などを制度化する。
  3. アイデンティティ再確認イベントを意図的に実施する。
    例えば、「我々は何者か」を定期的に再定義する場を設ける。
「失敗ループ」と「回復モデル」

「意味の再創出(統合された意味)」は、「行動 → 知識 → 自己理解」の「正の循環プロセス」で新たな組織現実として再構成しますが、一方では「失敗ループ」に陥らないよう注意しなければなりません。

失敗ループ

意味統合
 ↓
(失敗)
協働行動不成立
 ↓
(失敗)
学習非制度化
 ↓
(失敗)
アイデンティティ固定化
 ↓
意味停滞

意味の停滞とは、新たな意味形成が組織内で継続的に生成されない状態となることです。

協働行動・組織学習・アイデンティティ更新の連鎖が断絶し、新たな意味形成が継続して創出されない状態です。

この失敗ループに陥らないようにするためには、「意味ズレ統合モデル(MGIM)」の循環プロセスを活用した「回復モデル」が効果的です。

回復モデル

停滞検出
 ↓
意味の再対話
 ↓
役割の再翻訳
 ↓
再統合

参考

意味を共に創る「意味ズレ統合モデル(MGIM)」

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