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意味ズレ統合モデル(MGIM)の全体像

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これまで、「意味ズレ統合モデル(MGIM)」の全体像と構成するプロセスを定義し、「意味ズレ統合モデル(MGIM)」の有効性を示しました。
ズレを生じさせる要因に加え、「意味ズレ統合モデル(MGIM)」を構成する4つのプロセスそれぞれについて、リーダーの役割と成果、主な行動を定義しました。
「意味ズレ統合モデル(MGIM)」は「統合 → 新たな検出 → 対話 → 翻訳 → 統合… 」と、一度で終わるものではなく循環させることにより、組織を累積的に進化させます。
そして、意味の進化を測定可能にする試みとして、「意味ズレ統合モデル(MGIM)」の成熟度を測定する方法を「MGIM成熟度尺度(MGIM-MS:MGIM Maturity Scale)」と定義し、構成する4つのプロセス単位に成熟度を測定するためのKPI例と質問例を示しました。
成熟度を測定することによって、見えない能力を可視化でき、改善を偶然ではなく設計可能にし、組織進化を「再現可能」にします。
そこで今回は、「意味ズレ統合モデル(MGIM)」で統合された意味は、次の「意味の再創出(統合された意味)」に連動することを定義します。
統合された意味は、「意味の再創出(統合された意味)」内で「協働行動」として表れ、協働行動は「組織学習」を生み出します。
そして、組織学習は「アイデンティティを更新」し、更新されたアイデンティティは次の意味づけを形成します。
「意味ズレ統合モデル(MGIM)」から「意味の再創出(統合された意味)」に至るプロセスは一度で終わるものではなく循環させることにより、組織を累積的に進化させます。
意味の再創出(統合された意味)

「意味の再創出(統合された意味)」とは、「意味ズレ統合モデル(MGIM)」で意味統合の結果として生じた行動・知識・自己理解が、新たな組織現実として再構成される過程を指します。
- ・統合された意味は、協働行動として表れる。
- ・協働行動は、組織学習を生み出す。
- ・組織学習は、アイデンティティを更新する。
- ・更新されたアイデンティティは、次の意味づけを形成する。
「意味ズレ統合モデル(MGIM)」の意味統合から、協働行動(行動が揃う)、組織学習(理解が変わる)、アイデンティティ更新(自己定義が変わる)という一連のプロセスを経て、新たな意味を創出します。
以下では、以前定義した意味ズレを生じさせる4つの要因(戦略協働・文化協働・危機協働・業務協働)に対して、3つのプロセスの具体的な取り組み例を示します。
協働行動
協働行動とは、統合された意味に基づいて、関係者が役割を理解しながら主体的に実行する行動です。
統合された意味は、行動として表れなければ存在しません。
戦略協働:戦略転換時
単に戦略を理解するだけではなく、戦略実現に向けて協働して行動する。
例えば、
- ・全員が協働して、顧客の課題解決に向けて活動する。
- ・新戦略に基づいた体制を確立する。
- ・部門横断のプロジェクトチームを形成する。
文化協働:組織文化変革時
変革の意味を理解したうえで、文化醸成に向けて協働して行動する。
例えば、
- ・定期的なナレッジ共有会を設置する。
- ・部門横断プロジェクトに参加する。
- ・変革後の成果に対する評価制度を導入する。
危機協働:危機対応時
トラブル解決に向けて、協働して行動する。
例えば、
- ・トラブルに対して、全社的な原因分析チームを結成する。
- ・トラブルや対応行動に関する情報共有を即時に実施する。
- ・全社的に統一された顧客対応を実施する。
業務協働:日常業務改善時
業務改善に向けて、協働して行動する。
例えば、
- ・新たな業務プロセスに基づいた標準手順を採用する。
- ・全員が同一のツールを使用する。
- ・業務改善に関する活動レビューを相互に実施する。
組織学習
組織学習とは、協働行動の経験を振り返り、意味と行動の関係を再解釈することで、次の行動能力を高めるプロセスです。
協働行動が実行されると、必ず成功・失敗・想定外が起きるため、これが「次の検出」の材料になります。
経験から学習が成立し、学習が「次の検出」を強化するという循環を構築します。
戦略協働:戦略転換時
戦略転換に関する意味統合を学習する。
例えば、
- ・新戦略に関する組織内の対話会を正式制度として導入する。
- ・対話の進め方のガイドラインを策定し、進捗を定期的に共有する。
- ・推進リーダーやファシリテーターを育成する。
文化協働:組織文化変革時
変革の価値を組織の制度に組み込む。
例えば、
- ・ナレッジ共有を評価制度に組み込む。
- ・新たな文化の活動に関する成功(失敗)事例情報を共有する。
- ・新たな文化を教育に組み込んで、理解を深める。
危機協働:危機対応時
対応の経験を制度へ転換する。
- ・危機対応マニュアルを整備する。
- ・初動対応や状況確認のフローを明確にする。
- ・リスク管理部門を設置する。
業務協働:日常業務改善時
改善で組織が覚えた状態を継続する。
- ・改善後の成功事例や課題対応をマニュアル化する。
- ・新たな業務手順を標準化する。
- ・新たな業務に関する教育プログラムを策定して定期的な教育に組み込む。
アイデンティティ更新
アイデンティティ更新とは、統合された意味と行動経験を通じて、「私たちは何者か」という自己理解を再構築することです。
意味が統合され続けると、最終的に変わるのは「私たちは何者か」であり、組織文化は組織の存在意義に直結します。
戦略協働:戦略転換時
「意味の更新」から「自己定義の更新」へ転換する。
例えば、「我々は、顧客の課題を解決する会社である。」と自己認識する。
文化協働:組織文化変革時
文化的アイデンティティを更新する。
例えば、「我々は、互いに協働して価値を創る組織である。」と自己認識する。
危機協働:危機対応時
危機対応に関する価値中心のアイデンティティに更新する。
例えば、「我々は、安全・安心を最優先し、不測事態にも迅速に対応する組織である。」と自己認識する。
業務協働:日常業務改善時
業務への取り組みに対するアイデンティティを更新する。
例えば、「我々は、継続的に業務改善して高度化する組織である。」と自己認識する。
意味の再創出(統合された意味)の展開
今回の「意味の再創出(統合された意味)」への連動は、「意味ズレ統合理論」を「組織進化理論」に展開し、主要理論の視点とも整合するものです。
協働行動は、共有された意味が集合的行動として具体化される過程であり、集団行動理論(Olson, 1965 など)の視点とも整合し、フリーライダー問題の克服として「意味の共有」が機能します。
また、組織学習は組織学習理論(Argyris & Schon, 1978 など)の視点とも整合し、既存の枠組みの中で改善を行う「シングルループ学習」ではなく、前提や価値観そのものを見直す「ダブルループ学習」に該当します。
そして、アイデンティティ更新は組織アイデンティティ理論(Albert & Whetten, 1985 など)、意味形成はセンスメイキング理論(Weick, 1995)の視点と整合します。
組織アイデンティティ理論(Albert & Whetten, 1985 など)では、組織アイデンティティを「中心的・独自的・継続的」という3要素で定義していますが、「意味の再創出(統合された意味)」におけるアイデンティティ更新は、意味の統合と協働行動・組織学習を経ることで、この3要素が動的に再構成されるプロセスに該当します。
「自分たちは何者か」という静的な自己定義の維持ではなく、意味統合の経験を通じて組織の中心的特性そのものを問い直し、更新するプロセスです。
参考
意味を共に創る「意味ズレ統合モデル(MGIM)」
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