書籍 GAFA next stage 四騎士+Xの次なる支配戦略/デヴィッド・S・エヴァンス(著)

書籍 GAFA next stage 四騎士+Xの次なる支配戦略/デヴィッド・S・エヴァンス(著)

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GAFA next stage 四騎士+Xの次なる支配戦略

スコット・ギャロウェイ (著), 渡会 圭子 (翻訳)
出版社:東洋経済新報社 (2021/12/3)
Amazon.co.jp:GAFA next stage

  • コロナで肥え太った巨大帝国が「再び」世界を変える!
    彼らは何を壊し、何を創るのか? 私たちは彼らの世界でどう生きるのか?

    GAFA+Xが狙う「次なる獲物」は、あなたの業界かもしれない

    トップエリートが最先端を解説。

本書は、ニューヨーク大学スターン経営大学院教授の著者が、前著『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』(東洋経済新報社、2018年7月)をパンデミックの時代に合わせてアップデートした一冊です。

四騎士(GAFA:Google、Apple、Facebook、Amazon)について再考察し、GAFAの支配を免れる可能性のある企業「+X」にも目を向け、さらには大学教育、文化や政治まで、幅広く社会と結びつけて、パンデミックスが大きな変化を加速している状況を紐解いています。

全てのビジネスリーダーの方々にとって、未曽有の事態に陥った現在の先を見通して、その解決策を見出すうえで大変参考になります。

本書は5章で構成されており、ビジネス、教育、国ではどのような変化が起ころうしているのかを紐解き、それらへの対応の方向性を示しています。

  • ・第1章では、新型コロナ危機による影響を俯瞰し、株式市場の回復は限定的であること、多くの分野で二極化が始まっていることを示しています。
    特に、新型コロナ危機に生き残れた企業の傾向を整理し、従来の「ブランド時代」が終わって「プロダクト時代」の始まる中で、「絶望の赤」と「希望の青」のビジネスモデルを詳細に分析しています。
  • ・第2章では、パンデミックにおいては主に大手企業に有利をもたらし、特にビッグテックの世界にあることを示しています。
    中でも、運送業やウェアラブル、ストリーミングなど、GAFAがあらゆる分野に触手を伸ばし、ますます支配力が強まっている状況を示したうえで、Amazon、Apple、GoogleとFacebookの各社の動向を詳細に分析しています。
  • ・第3章では、パンデミックが支配的な地位への進撃を加速している状況を、GAFA以外の企業「+X」に目を向けて、いくつかの業界でディスラプションをもたらす可能性のある企業の動向を紹介しています。
    また、前著で考え出した「Tアルゴリズム」をさらに発展させ、「最高のディスラプター」が持つ8つの特徴を解説しています。
  • ・第4章では、新興企業の成功のカギは大手企業の鈍さにあり、中でもどの業界より崩壊に近づいているのが高等教育産業であるとして、大学の改善に向けた提言を示しています。
  • ・第5章では、GAFA+Xの暴走への対抗策として、資本主義と社会主義に縁故主義、不公平の実態、能力主義に対する考察、搾取経済への変化など、アメリカの現状を考察しながら、政府のあり方を提言しています。
    そして、将来への展望は、巨大テック企業が持つ政府に対する権力の抑制と個人の権利拡大にあるとして、危機をチャンスに変えるにはアメリカの特性を呼び覚ますことが必要であり、それができるのは「若い世代」であると希望を示しています。

まず2つのことを主張しておく。

第一に、このパンデミックの最も持続的な効果は、ものごとを加速させる作用である。

今も、変化が起こったり流れが変わったりすることはあるだろう。

パンデミックス最大の影響は、社会にすでに存在する動きを加速させることだ。

第二に、どんな危機にあってもチャンスはある。

危機が大きく破壊的なほど、チャンスも大きくなる。

とはいえ、第二の主張における楽観主義は、第一の主張によってトーンダウンする。

パンデミックが加速させたトレンドは後ろ向きなものが多く、新型コロナ以降の世界を同調させる能力を弱めている。

プロダクト時代を支配する「赤」と「青」のビジネスモデル

「ブランド時代」の終焉、「プロダクト時代」の始まり

ブランド時代を彩った神話

  • ・市場平均を上回る利益を上げられるかどうかは、圧倒的なブランド・アイデンティティを確立できるかどうかにかかっている。
  • ・あらゆる行動や投資家において敬意を払ってもらうようにする。
    それを実現する方法が、テレビやラジオ広告のパワーであった。
  • ・ブランド時代には、マーケティング担当部署、最高マーケティング責任者(CMO)といった専門家が生まれた。
  • ・ブランドは平凡な製品に感情を吹き込み、株主価値を生み出した。

オールドメディアの広告が最も得意とする大衆向けブランド構築が、時代の要請に合わなくなっている。

デジタル・ツールは、広告業界のコア・ビジネスを破壊し、ブランド時代を終わらせ、今は「プロダクト時代」の始まりにいる。

「赤」のビジネスモデル

商品を無料で配り、他の企業に利用者の行動データを有料で提供する。

テクノロジー主導の経済に移行するにつれ、「赤」のビジネスモデルのほうが利益があがるようになった。

行動データを使って金儲けをしようとし、データを蓄積した企業は、その使い方に磨きをかけ、ますます多くのデータや時間を吸い取っていくようになる。

GAFAの中では、GoogleとFacebookが広告事業である。

従来の広告業は経済が低調なときには不況に陥るが、いずれ回復してくればGoogleとFacebookが恩恵を受けることになり、両社は停滞期を乗り越えることができる。

代表的な例

  • ・スマホ:GoogleのAndroid
    まずまずの品質で初期費用は安いが、ユーザーのデータとプライバシーを広告主に差し出さなければならない。
  • ・動画サイト:YouTube
    無料で動画を見られるが、コンテンツの寄せ集めにすぎず、アルゴリズムは興味を引かれたものを押し付けてくる。
  • ・ソーシャルメディア:現在は全てのサービス
    無料サービス、完全な搾取構造、時には当人にはわからないやり方である。
    GoogleとFacebookは関与のモデル、ネットフリックスとリンクトインはサブスクリプション・モデル
  • ・検索エンジン:今のところ赤一色
「青」のビジネスモデル

商品を製造コストでより高い値段で売る。

プライバシーを保護し、顧客データを利用しないという礼儀を尽くしながら、高い利益をあげる。

GAFAの中で、Appleだけが実際の製品をつくり、販売して利益を得ている。

収益を生むために、セット商品で消費者を魅了し、消費者に対してすばらしい価値提案を行っている。

代表的な例

  • ・スマホ:AppleのiOS
    高品質でブランド力があり高価格だが、裏でデータ利用されることが少ない。
  • ・動画サイト:ネットフリックス
    有料でコンテンツを見るが、コンテンツは申し分なソーシャルメディア:Twitter
    規模は小さくても価値ある顧客をつかむ最大のチャンスを持っている。

「最高のディスラプター」が持つ8つの特徴

Tアルゴリズム

『GAFA next stage 四騎士+Xの次なる支配戦略』を参考にしてATY-Japanで作成

最高の力を発揮すれば、アメリカは寛大さ、勇気、イノベーション、そして未来の世代のために互いに犠牲をいとわないことを実証することができる。

それらを見失えば、私たちは搾取と危機の世界へと迷い込んでしまう。

私たちの歴史はすべて、私たちの未来と同じく、私たちのものだ。

まとめ(私見)

本書は、前著『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』(東洋経済新報社、2018年7月)をパンデミックの時代に合わせてアップデートした一冊です。

前著は、GAFAという言葉を日本に定着させた15万部のベストセラーで、四騎士(GAFA:Google、Apple、Facebook、Amazon)の詳細を分析し、四騎士の成長要因と四騎士時代の世界について語っています。

前著『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』が出版されたのは2018年で、新型コロナ感染症が拡大する前でしたが、本書はコロナ禍でのGAFA+Xの動向、そして今後の方向性について考察を加えています。

新型コロナ危機で世界はどのように変わったか、その中でGAFA+Xはさらに強化してビジネスや日常の奥深くまで入り込んでいるのか、GAFA+Xはこれから何を壊し何を創ろうとしているのかを示し、GAFA+X暴走への対抗策を提言していますので、全てのビジネスリーダーの方々にとって、これからの取り組みの方向性を考えていくうえで大変参考になります。

新型コロナ危機においては主に大手企業に有利をもたらし、現在はビッグテックの世界にあることを示しています。

その中で、GAFAがあらゆる分野に触手を伸ばし、ますます支配力が強まっている状況を示したうえで、いくつかの業界においてディスラプションを起こす可能性のあるGAFA以外の企業「+X」の動向を紹介しています。

本書で紹介している「+X」は以下アメリカ企業ですが、日本の市場や業界へもいずれ影響があるでしょうし、そのビジネスモデルを実現できれば自分がディスラプターになれる可能性もあります。

テクノロジー:マイクロソフト、観光・ホテル:エアビーアンドビー、寝具:ブルックリネン、旅行:カーニバル、保険:レモネード、動画配信:ネットフリックス、医療:ワン・メディカル、フィットネス:ペロトン、金融:ロビンフッド、パブリック、小売:ショッピファイ、音楽:スポティファイ、自動車:テスラ、SNS:ツイッター、ティックトック、配車サービス:ウーバー、メガネ:ワービーパーカー、シェアオフィス:ウィワーク

現在は、インターネットの普及で「ブランド時代」が終わり「プロダクト時代」の始まりにあるとして、「赤」と「青」のビジネスモデルについて議論しているのも興味深いものがあります。

個人情報へのアプローチを「赤」のビジネスモデル、プライバシー確保を「青」のビジネスモデルとして、スマホや動画サイトにおける「赤」と「青」の比較、今のところほとんどが「赤」のソーシャルメディアや検索エンジンについて、詳細に考察しています。

「赤」側企業は低価格で商品を提供して顧客データを蓄積し、それを本当の顧客に販売するのに対し、「青」側企業はプライバシーという青い旗でくるみ、顧客データを利用しないという礼儀を尽くして利益をあげる。

二分化がますます多くの分野で見られるようになるとして、企業としての今後の取り組みの方向性を考えさせられます。

そして、前著で紹介した「Tアルゴリズム」をさらに発展させ、「最高のディスラプター」が持つ特徴を8つの要素に整理しているのも参考になります。

この8つの要素は、GAFA+Xだけではなく、自らのビジネスを考えるうえで役立ちます。

本書は、新型コロナ危機におけるGAFA+Xの動向に加え、大学教育の改革、GAFA+Xの暴走への対抗策としての資本主義や能力主義、さらに政府のあり方にまで切り込んでいます。

前著はGAFAの詳細な分析が中心でしたが、本書はGAFAと他企業「+X」の分析に加え、大学教育の改革とGAFA+Xの暴走への対抗策を、章を独立して詳細に考察しているのが特徴です。

取り上げている事例や分析は、著者がアメリカでの経験に基づくものではありますが、日本においても同様の可能性があり、今後のビジネスを考えるうえで多くの気づきを得ることができる一冊です。

目次

イントロダクション

 新型コロナは「時間の流れ」を変えた
 「GAFA+α」はパンデミックでより強大になった
 極小のウィルスが「特大の加速装置」になったわけ
 危機はチャンスをもたらすが、それが平等とはかぎらない
 痛みは「弱者にアウトソーシング」された

第1章 新型コロナとGAFA+X

 強者はもっと強くなり、弱者はもっと弱くなる。あるいは死ぬ
 危機を生き残れた企業がやったこと
 ポスト・コロナで勃興する新ビジネス
 「他人を搾取するビジネス」は危機にも最強
 パンデミックはすべてを「分散化」させる
 「ブランド時代」が終わり、「プロダクト時代」がやってくる
 プロダクト時代を支配する「赤」と「青」のビジネスモデル

 「赤」と「青」に分岐する世界

第2章 四騎士GAFA+X

 加速する「GAFA+X」の支配
 「GAFA+X」の3つの力の根源
 搾取:GAFA+Xだけが持つ最強の装置「フライホール」
 メディアはGAFA+Xの次なる主戦場
 テック企業が大きくなれば問題も大きくなる
 GAFA+Xに対抗する
 GAFAが自らにかけた「成長」という呪い
 最強の騎士アマゾン
 青の騎士アップル
 赤の2大巨頭、グーグルとフェイスブック

第3章 台頭するディスラプターズ

 ディスラプタビリティ・インデックス
 「加熱」の一途をたどるスタートアップ業界
 ユニコーンの誕生
 カリスマ創業者が語る「ヨガバブル」というたわごと
 カネ余りとGAFAがディスラプターに力を与える
 「最強のディスラプター」が持つ8つの特徴
 勃興するディスラプターズ

第4章 大学はディスラプターの餌食

 ディスラプションの機は熟している
 大学に大変革を起こす力
 パンデミックがディスラプションの引き金を引いた
 大学を襲うディスラプションの大波
 大学の改善に向けた提言

第5章 資本主義の暴走に対抗する

 あまりにも無力になった政府
 資本主義の功罪
 資本主義のブレーキを握る政府の役割
 資本主義(社会の階段を登る場合)+社会主義(社会の階段を降りる場合)=縁故主義
 縁故主義と不公平
 アメリカで生まれた「新たなカースト制」
 搾取経済
 政府のことを真剣に考えよ
 政府がパンデミックですべきだったこと
 ディスラプターズとの闘い
 いましなければならないこと

参考

GAFA next stage ガーファ ネクストステージ | 東洋経済STORE

Scott Galloway - Predictions for 2022 Post Pandemic
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