書籍 ブルー・オーシャン・シフト(Blue Ocean Shift)/W・チャン・キム(著)

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ブルー・オーシャン・シフト(Blue Ocean Shift)

W・チャン・キム(著)、レネ・モボルニュ(著)、有賀 裕子(翻訳)
出版社:ダイヤモンド社(2018/4/19)
Amazon.co.jp:ブルー・オーシャン・シフト

 

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激変するビジネス環境で生き抜くために
『ブルー・オーシャン戦略』は、新たなステージへ進化する

『ブルー・オーシャン戦略』後、10年に及ぶ研究成果を踏まえた市場創造の指南書!

 

 

本書は、10年前に『ブルー・オーシャン戦略』を刊行した著者が、世界中のブルー・オーシャン・プロジェクトの成功と失敗を比較・分析した結果を基に、最小限のリスクでブルー・オーシャンを創造、支配するための、具体的な手順と体系的なプロセスをまとめた一冊です。

『ブルー・オーシャン戦略』は、44ヶ国語、累計360万部超を売上げ、大きなうねりを生み出し、世界中のリーダーやマネジャーがこの理論を取り入れ、事業戦略を大胆に考え直そうと動き出すキッカケとなった書籍です。

あらゆる企業・組織がブルー・オーシャンへ移行<シフト>するための実践的なツールやプロセスが記述されていますので、ビジネスリーダーの方々がブルー・オーシャンへの移行策を考える上で大変参考になります。

 

本書は2部で構成されており、さらに「むすび」にはマレーシアの事例をあげて国家による取り組み実例、「付録」には4つの日本企業のケースが記述されています。

  • ・第2章では、市場創造に関して知っておくべき基本コンセプトとメカニズムが説明されています。
  • ・第3章では、ブルー・オーシャン戦略を担う人々の発想と独特な思考様式を詳述し、ブルー・オーシャン・シフトの実現に必要な心構えが解説されています。
  • ・第4章では、ブルー・オーシャン・シフトのプロセスを概観し、人間らしさという重要な概念、それによって人々が自信を抱き、プロセスと結果に責任を持って変革を推進する状況が説明されています。

第2部の第5章から13章では、ブルー・オーシャン・シフトの5つのステップを取り上げ、ブルー・オーシャンに近づくための枠組みや分析の指針となるツールが詳細に説明されています。

ブルー・オーシャンは破壊よりもむしろ非破壊的創造の産物であり、成功は他社の犠牲の上に成り立つのではない。

では、どうすれば大志を行動につなげ、目的を実現できるのだろう。

必要なのは、視点を変え想像を膨らませるための指針を得て、「限界がある」という今の思い込みを捨てると同時に、将来の可能性を切り開くことである。

そのためには、自分と他者の心に自信を芽生えさせなくてはならない。

 

ブルー・オーシャン・シフトのカギと戦略家の発想

ブルー・オーシャン・シフトを成功へ導く3つのカギ

第一のカギ:ブルー・オーシャンの視点
ブルー・オーシャンの視点を取り入れて視野を広げ、事業機会の所在についての考え方を改める。

第二のカギ:市場創造ツールと活用指針
ブルー・オーシャン流の視点をもとに、商業的に旨味のある新製品や新サービスを開発して新たな市場を開拓するための実用的なツールと適切な指針を持つ。

第三のカギ:人間らしいプロセス
人間中心のプロセスを持つこと、いわば「人間らしさ」をプロセスに組み込む。
これが、効果的なプロセスを尊重して遂行するうえでの自信を培う。

 

創造的破壊と攪乱的イノベーション

創造的破壊(creative destruction)

ヨーゼフ・シュンペーターによる造語で、既存市場での競争は悪いことではないが、買い手のニーズが満たされ、競争によって利益が削られると、やがて利益率の低減が始まる。

経済成長のエンジンは新規市場の創造であり、この創造は破壊によってもたらされる。

破壊が起きるのは、イノベーションが従来の技術や既存の製品・サービスに代替することによってであり、代替なしに破壊は起きないため、重要なのは代替という概念である。

攪乱的イノベーション(disruptive innovation)

創造的破壊が、優れた技術、製品、サービスが登場して、旧来のものに取って代わるのに対し、攪乱的イノベーションは、「劣った」技術が登場してやがて優れた技術になり、市場リーダーを駆逐することによって起こる。

攪乱的創造(disruptive creation)

成長は、常に攪乱的と非攪乱的、両方の市場創造によって生み出されてきている。

既存組織は、ブルー・オーシャン・シフトと同様に、攪乱的と非攪乱的、両方の創造を含む幅広い文脈で市場創造戦略を組み立てることにより、組織内のポリティクスや重要な人材の不安によりよく対処できる。

攪乱的創造が起きると、新たな雇用が創出される反面、古くからの仕事は失われる。

一方、非攪乱的創造は、必ずしも既存の事業や業界を駆逐することなく、成長と雇用の両方を創出する。

 

ブルー・オーシャン戦略家の発想

業界の置かれた状況を当然だと見なさず、むしろ自分達に有利に変えようとする。

競合他社を叩きのめそうとはしない。
狙いは、競争を無意味にすることである。

既存顧客の奪い合いではなく、新たな需要の創造と確保に注力する。

差別化と低コストを同時に追求する。
価値とコストのどちらかを選ぶのではなく、二兎を追う。

 

ブルー・オーシャン・シフトの主な分析ツール

PMSマップ(Pioneer Migrator Settler Map):STEP1

  • ブルー・オーシャンの創造に乗り出すに当り、どこに的を絞るのがよいか見極める。

戦略キャンパス(Strategy Canvas):STEP2

  • 業界の競争要因や重点対象、顧客にとっての価値、主力企業の戦略プロフィールを簡潔な図表で表す。

買い手の効用マップ(Buyer Utility Map):STEP3

  • 現在の業界や目標とする業界が、顧客体験全体を通して買い手に強いている苦痛や不安を具体的にあぶり出す。

非顧客層の3つのグループ(Three Tiers of Noncustomers):STEP3

  • 3つのグループそれぞれをどう自社に当てはめるか、結果をどう解釈するかを解き、この分析・枠組みを用いる際に生じそうな疑問と最善の対処法に焦点を当てる。

6つのパス(Six Paths Framework):STEP4

  • ブルー・オーシャンの創造を分かりやすくし、段取りを示すツールで、新鮮な視点で市場を眺め、他者から見落としているものを見る方法を示す。

4つのアクション(Four Actions Framework):STEP4

  • 何が「取り除く」「減らす」「創造する」「増やす」というアクションの対象になるかを重点的に考え、実行できそうなブルー・オーシャン施策を6つ考察する。

ERRCグリッド(ERRC Grid):STEP4

  • 4つのアクションを補完するツールで、取り除く(eliminate)、減らす(reduce)、増やす(raise)、創造する(create)の頭文字をつなげた呼称
  • 4つのアクションとERRCグリッドを使用すると、チームメンバーが現場で得た知見や監察結果をもとに、ブルー・オーシャン・シフトの実践に必要な、具体的な戦略アクションを生み出すことができる。

ビジネスモデル俯瞰図:STEP5

  • ブルー・オーシャン戦略の提供価値とコストが組み合わさって、戦略的価格のもとでいかに利益ある力強い成長を実現するかを示す。

 

『ブルー・オーシャン・シフト』では、人材と人間らしさ、実証済みのプロセスと市場創造ツールが、ともに重要な役割を担う。

そして、皆が成功を目指して主体的に変革プロセスを踏み、自身、チーム、組織を、レッド・オーシャンからブルー・オーシャンへと導いていく。

ステップごとに指針を示すため、誰でもその通りに実践できるはずだ。

効果を生む手法と生まない手法、途中にある落とし穴を避ける方法など、現場で収集され、実践に耐えてきた教訓も紹介する。

 

まとめ(私見)

本書は、あらゆる企業・組織が、ブルー・オーシャンへ移行<シフト>するための実践的な一冊です。

本書では、様々な業界や組織のリーダーが、本書で紹介しているプロセスやツールを用いて、ブルー・オーシャンへの移行を果たした事例を紹介しながら、それらの具体的な作成手順を解説しています。

『ブルー・オーシャン戦略』が刊行された約10年前、自分が担当する事業の他、顧客の事業の戦略キャンパスを作成して、皆で議論していたことを思い出しました。

戦略キャンパスでは、自分達の事業がレッド・オーシャンにいることは把握することはできたのですが、そこからブルー・オーシャンに移行するための戦略を立案することに苦労しました。

本書では、ブルー・オーシャンへ移行するための手順、枠組みや分析の指針となるツールを具体的に示しながら、ツールを個々の状況でどのように活かすか、結果をどのように解釈するか、成功を確実にするために落とし穴をどのようにして避けるかなど、詳細に解説されていますので、自らの事業を考えていく上で大変役立ちます。

但し、本書でも言及されているように、ブルー・オーシャン・シフトのプロセスにおいては、「人間らしさ」が入念に組み込まれていることが必要です。

「人間らしさ」が組み込まれていることにより、人々が自信を強め、責任を持ってプロセスを前に進めることができます。

「関与」「説明」「明快な期待内容」を示すことにより、知的、情緒的価値が引き出され、それらが公正なプロセスによって尊重されると、人は心の奥底にある何かが刺激されて、信頼、熱意、自発的な協力が生まれると思います。

そして、「求められている以上の働きをしたい」という気持ちになり、自分の知的、情緒的価値が認められると感じ、同じ認識を組織や同僚に対しても持つようになり、活動の効果はさらに高まると信じています。

 

なお、本書で解説している手順は、大まかには以下の通りで、各ステップには使用するツールや指針に加え、適用した事例などが詳細に解説されていますので、自身の事業に置き換えて具体的に考えていくことができます。

「STEP1.準備に取り掛かる」
ブルー・オーシャン施策の範囲を適切に定め、望ましいチームを築くといった、変革に取り掛かる方法を示す。

「STEP2.現状を知る」
現状の戦略キャンパスを活用することにより、業界の現状、競争要因、競合他社と自社との戦略プロフィールの類似度合いを明確にし、変革の必要性に関して全員の意識を揃える。

「STEP3.目的地を思い描く」
買い手の効用マップの活用により、業界が現在どの効用スペースで競争しているかを明らかにし、既存顧客の利用抑制や非顧客層の離反を招いていそうな問題点を明らかにする。

非顧客層の3つのグループを活用することにより、製品やサービスを改善した後に、どのくらいの規模の潜在需要を開拓できそうかの目安を得ることができ、見えていなかった非顧客層が見えるようになる。

その結果、明るい未来を拓くすために、現状から新たな可能性へと重点を移す。

「STEP4.目的地への道筋を見つける」
実行可能性のあるブルー・オーシャン戦略案を最大6つ構想し、それぞれの概要を1ページの構想キャンパスにまとめ、各案について本質を伝える訴求力のあるキャッチフレーズを考える。

1ページのERRCグリッドと各戦略案の経済的便益の概要を作成する。

これらの資料から、各戦略がどのように顧客にとっての価値を飛躍的に高め、組織の成功に寄与するかが見えてくる。

「STEP5.戦略を絞り込み、実行に移す」
価値提案とビジネスモデルによって差別化と低コストの両方を確実に実現するために、ブルー・オーシャン施策の選択、短期の市場テストの実施、製品やサービスの完成、市場投入、展開を行う。

 

目次

はじめに

第1部 ブルー・オーシャン・シフト

第1章 至高の先へ

第2章 市場創造戦略の基本

第3章 ブルー・オーシャン戦略家の発想

第4章 人間らしさ、自信、創造性

第2部 ブルー・オーシャン・シフトの5つのステップ

STEP1 準備に取り掛かる

第5章 出発点を決める

第6章 望ましいブルー・オーシャン・チームの構築

STEP2 現状を知る

第7章 現状を明確にする

STEP3 目的地を思い描く

第8章 業界の規模拡大を妨げる苦痛を探り当てる

第9章 非顧客層の海を見つけ出す

STEP4 目的地への道筋を見つける

第10章 市場の境界を体系的に引き直す

第11章 代替となるブルー・オーシャン戦略の立案

STEP5 戦略を絞り込み、実行に移す

第12章 ブルー・オーシャン戦略の選択と短期の市場テスト

第13章 ブルー・オーシャン戦略の完成と実行

むすび 国家によるブルー・オーシャン・シフトの実例

付録 日本企業ケース

 

参考

Blue Ocean Shift

Blue Ocean Shift Exercise Templates | Blue Ocean Shift

 

Renee Mauborgne on lessons from Facebook, Uber and Amazon

 

ニュースの価値を変える新時代のメディア
ダイヤモンド・オンライン

ブルー・オーシャン・シフト――日本企業事例集
ダイヤモンド・オンライン

WABOSI 早稲田ブルー・オーシャン戦略研究所

 

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