NEC「2020中期経営計画」達成には相当の努力が必要、過去の中期計画の目標値と未達成の歴史

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先日(2月1日)、当サイトでも掲載した通り、NECから「2020中期経営計画」が発表されました。

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「2018中期経営方針」で設定していた目標値を2020年に延期し、「成長軌道に回帰するために必要な投資を実現すべく、固定費の削減を含む抜本的な収益構造改革に踏み切る」として、方針を新たに策定しています。

そこで、過去の主な中期経営計画の達成度を確認してみると、毎回未達成に終わっています。

今回の「2020中期経営計画」達成には、相当の努力が必要と感じました。

直近の「2018中期経営方針」に対する評価は、改善目標は概ね順調としながら、既存事業が予想以上に落ち込んでいるとしています。

その要因として以下のコメントがありましたが、「市場の読みの甘さ」「スピード感の欠如」などが浮かび上がっているように感じます。

「これまでは成長領域へとリソースシフトすることを前提としていたが、それが結果として、最適な人材を確保できなかったり、成長領域のスピードを遅くしたりする原因となり、最適な投資ができない環境を作った」として、「スピード感を持って成長軌道に回帰するための必要な投資を実現すべく、今回の構造改革を行うことで、次の成長につなげたいと考えている。」としています。

「見誤ったのは、成長させようと思った事業がほとんど成長できていないことと、落ち込むと想定していた既存事業の落ち込むスピードか我々の想定以上であったこと。市場の読みが甘かったことに加えて、成長に向けて我々のビジネスをどう変革してくのかというスピードが遅く、結果として既存の事業に引きずられ、新たな領域で力が発揮できなかった。実行力が弱かったといえ、この点を反省したい」と振り返っています。

 

そこで、今回の中期経営計画では、グローバルと国内ともに「セーフティ事業」を重点領域として、以下の方針を打ち出しています。

グローバルでの成長エンジンとしてセーフティ事業に注力するとして、海外のセーフティ事業の売上高は、2017年度の500億円が2020年度には4倍の2,000億円に拡大させる。

一方、国内については、グローバルと同様の「安全・安心」領域に加え、「持続可能なスマートサプライチェーンの形成」と「安全・快適なコネクテッドカーの実現」を重点領域と位置付けています。

今回発表した「2020中期経営計画」では、既存事業の落ち込みへの対策、さらなる成長への対策など、明確な戦略は見えてきませんでしたが、今度こそ目標値を達成してもらいたいものです。

 

過去の主な中期経営計画と未達成の歴史

以下に、過去の主な中期経営計画の目標値と結果を整理しました。

各計画年度において、その都度対策を講じて努力してきたのでしょうが、毎回未達成に終わっています。

  発表時 中期経営計画
決算 発表時目標 結果 主な構造改革
中期成長戦略
2003年10月30日発表
2002年度
2003年3月期
2006年度
2007年3月期
売上高 4兆6,950億円 4兆6,526億円 【人員削減】
2001年 4,000人削減
2002年 2,000人削減
営業利益 1,208億円 700億円
 営業利益率 2.6% 7.0% 1.5%
純利益 △245億円 91億円
ROE 15.0% 0.9%
海外比率 22.4% 26.1%
経営戦略説明会
2006年5月29日発表
2005年度
2006年3月期
2006年度
2007年3月期
売上高 4兆9,300億円 4兆6,526億円  
営業利益 725億円 1,300億円 700億円
 営業利益率 1.5% 7.0% 1.5%
純利益 △101億円 91億円
ROE 15.0% 0.9%
海外比率 27.3% 26.1%
V2012
2010年2月25日発表
2009年度
2010年3月期
2012年度
2013年3月期
売上高 3兆5,831億円 4兆円 3兆716億円 【携帯事業】
2010年 合弁会社に移行
【PC事業】
2011年 レノボに売却
【人員削減】
2012年 10,000人削減
営業利益 509億円 2,000億円 1,146億円
 営業利益率 1.4% 5.0% 3.7%
純利益 114億円 1,000億円 304億円
ROE 1.0% 10.0% 4.5%
海外比率 19.9% 25.0% 15.7%
2015中期経営計画
2013年4月26日発表
2012年度
2013年3月期
2015年度
2016年3月期
売上高 3兆716億円 3兆2,000億円 2兆8,248億円 【半導体事業】
2013年 非持分化
【プロバイダ事業】
2014年 Biglobe売却
営業利益 1,146億円 1,500億円 914億円
 営業利益率 3.7% 4.7% 3.2%
純利益 304億円 600億円 759億円
ROE 4.5% 10.0% 8.5%
海外比率 15.7% 23.0% 21.4%
2018中期経営計画
2016年4月28日発表
2015年度
2016年3月期
2018年度
2019年3月期
売上高 2兆8,248億円 3兆円 2020年度達成
目標を延期

【携帯事業】
2016年 合弁会社解散
【半導体事業】
2017年 保有株売却
【電池事業】
2018年 持ち株を譲渡
営業利益 914億円 1,500億円
 営業利益率 3.2% 5.0%
純利益 759億円 850億円
ROE 8.5% 10.0%
海外比率 21.4% 26.7%
2020中期経営計画
2018年1月30日発表
2017年度予想
2018年3月期
2020年度
2021年3月期
売上高 2兆8,300億円 3兆円 【電池事業】
家庭用小型を終了予定
【人員削減】
3,000人削減予定
営業利益 600億円 1,500億円
 営業利益率 2.1% 5.0%
純利益 400億円 900億円
ROE 5.0% 10.0%
海外比率 25.8% 29.7%

※2015年度以降IFRS基準

 

NECの主な構造改革の歴史

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かつてはシェア世界一の半導体事業

  • ・2010年 旧ルネサンステクノロジと統合し持分化
  • ・2013年 非持分化
  • ・2017年 保有株を売却

2011年 かつてはPC98シリーズで国内首位を誇っていたパソコン事業をレノボに持分の大半を売却

2004年まで国内首位を走っていた携帯電話事業

  • ・2010年 カシオと日立の合弁会社NECカシオモバイルコミュニケーションズに移行
  • ・2016年 解散

2014年 黎明期からniftyとともに国内インターネットを牽引してきたプロバイダ事業「Biglobe」を売却

電池事業

  • ・2018年 日産自動車との合弁リチウム電池事業とその電極を製造する子会社の持ち株を中国系ファンド・GSRキャピタルに譲渡
  • ・今回の中期経営計画 家庭用小型蓄電池事業を終了予定

人員削減

  • ・2001年 4,000人の削減
  • ・2002年 2,000人の削減
  • ・2012年 10,000人の削減
    派遣社員:約5,000人、本体:約2,400人、子会社:250人、タイ工場閉鎖:2,700人
  • ・今回の中期経営計画 3,000人

 

過去の中期経営計画のポイント

中期成長戦略について(2003年10月30日)

中期成長戦略について
~IT・ネットワーク先進市場の日本を軸に新たな成長へ~
2003年10月30日

「日本市場を軸とした確実な収益確保に安定成長」を足がかりにした「新たな成長機会の創造と獲得」

NECが日本市場でトップシェアを確保しているジャンルをより確実安定な状況にしたうえで、ユビキタス社会の実現にむけて立ち上がるであろう「新しい市場」でも主導権を取りに行く

1.国内市場を中心とした確実な収益確保、安定成長

(1)SIサービスをベースとした安定的な収益基盤の確保

(2)ITとの融合によるNWソリューション事業の拡大

(3)プロダクト事業の再強化

2.新たな成長機会の獲得

(1)グローバルな事業拡大

(2)日本の本格的なユビキタス社会の到来に対応した取り組み強化

3.成長を支えるグループのコアコンピタンスの結集

参考:中期成長戦略について

 

経営戦略説明会(2006年5月29日)

経営戦略説明会
中期経営目標への再挑戦に向けて
2006年5月29日

1.成長に向けた施策の実行強化
 NGN(次世代ネットワーク) 戦略への集中

(1)キャリア向けIT・ネットワーク事業

  • ・NGNに向けたトランスポート製品の強化
  • ・サービスプラットフォーム事業の拡大
  • ・キャリア事業のグローバル展開強化

(2)企業IT/NWソリューション事業

  • ・SI/サービス事業の拡大
  • ・SI事業の収益強化
  • ・企業ネットワーク事業の成長加速
  • ・ソリューション事業のグローバル展開

(3)成長に向けた開発強化

  • ・NGN領域への集中
  • ・NGN関連領域の開発強化

2.懸念事業ターンアラウンドの着実な推進

3.業績予想値の確実な達成

参考:経営戦略説明会(PDF)

 

2012中期経営計画(2010年2月25日)

中期経営計画
V2012
- Beyond boundaries, Toward our Vision -

中期経営方針
“IT” と “ネットワーク” の融合を軸とした顧客志向のソリューションでNECグループビジョン2017を目指す
2017年度イメージ:当期利益 2,000億円、ROE 約15%、海外比率 約50%

  • ・クラウド・サービスの潮流に乗った事業拡大
    - IT・NWソリューションによる差異化
    - グローバル市場の着実な展開
    - One NECによる新規事業への挑戦
  • ・収益体質強化に向けた取り組み

1.市場に密着したIT・ネットワークソリューションによる事業拡大

①エンタープライズ領域:2009年度売上高 9,400億円 ⇒ 2012年度 1兆1,400億円
クラウドサービスの拡大と収益モデルの確立

②テレコムキャリア領域:同 7,300億円 ⇒ 同 9,700億円
キャリアにおける投資の主力であるソフト・サービス領域へのシフト

③ソーシャルインフラ領域:同 5,300億円 ⇒ 同 7,600億円
NECらしい特徴あるソリューションによるグローバル拡大

④ユビキタスデバイス領域:同 7,700億円 ⇒ 同 9,400億円
クラウドに接続するサービス連携端末へのリソース集中

2.クラウド・サービスの潮流に乗った事業拡大

①IT・NWソリューションによる差異化
“C&Cクラウド戦略” 関連事業で1兆円を目指す

②グローバル市場の着実な展開

  • ・アジア・新興国マーケットへの注力により、中期的に海外売上高で1兆円 (売上高比率25%)を目指す
  • ・“パブリックセーフティ事業” のグローバル展開

③One NECによる新規事業への挑戦

  • ・自動車電池事業を起点に環境・エネルギー領域へ展開
  • ・リチウム電池を軸とした本格事業展開
    エネルギー事業化を本格推進し、売上高1,000億円へ
  • ・ユーザとクラウドサービスをつなぐユビキタス端末を創造(海外携帯、サービス連携でそれぞれ+1,000億円を目指す)

3.収益体質強化に向けた取り組み

  • ・事業変革による競争力強化を加速
    各事業をクラウドを軸に括り直し
    NECの目指す姿に向けて事業変革を加速
  • ・事業変革を支える確実な収益基盤の確立
    海外リソースへのシフト:グローバル事業拡大によりオフショア開発・SI要員を10,000人体制
    サービスリソースへのシフト:サービス型人材を倍増し11,000人レベルへ

参考:2012中期経営計画(PDF)

 

2015中期経営計画(2013年4月26日)

V2012の振り返り

高い収益目標を目指すも、コアアセットを活かした拡大モデルを描けず

  • ・海外での高い成長目標に対し、経営資源の集中が進まず
  • ・東日本大震災、タイ洪水、欧州危機等の外部環境変化に適応できる財務体力が不足

グローバル化・構造変化・新市場を軸とした競争が激化
 →従来のビジネスの延長線から脱却することが不可欠

中期経営方針

(1)社会ソリューション事業への注力
社会価値創造型企業への変革

  • ・ICTによる社会インフラ高度化事業に経営資源を集中
  • ・社会課題の解決を成長機会と捉え、新たなビジネスモデルを確立
  • ・社会ソリューション事業遂行体制
  • ・事業構造の転換
    社会ソリューション事業で全体売上高の7割、営業利益率8% (全社5%) を早期実現
    売上高:2012年度 1兆8,100億円(全体3兆716億円の59%) ⇒ 2015年度 2兆2,100億円(全体 3兆2,000億円の69%)

(2)アジアへの注力、現地主導型ビジネスの推進
グローバルで戦える成長基盤を確立

  • ・アジアを中心とした新興国、発展途上国に注力
  • ・現地ニーズに対する感度を高め、事業スピードをアップ

(3)安定的な財務基盤の構築

  • ・コスト競争力の強化
  • ・営業利益 1,500億円、FCF 1,000億円を創出する収益構造の確立
  • ・ハイブリッド・ファイナンスによる財務余力の確保

参考:2015中期経営計画

 

2018中期経営計画(2016年4月28日)

「2015中期経営計画」の振返り

(1)利益体質・財務体質を強化するも、当期純利益を除き経営目標は未達

(2)市場への過度の期待と実行力不足により目標未達

(3)ポートフォリオ改革は進展する一方で、事業成長・収益構造改善は遅れ

  • ・社会ソリューション事業への注力
    ポートフォリオ改革、大型公共インフラ事業の獲得、コアアセットの強化
     ⇒ 新規事業の立上げ遅れ
  • ・アジアへの注力、現地主導型ビジネスの推進
    アジア、中南米においてセーフティを中心に事業拡大
     ⇒ 海外事業は拡大するも目標未達
  • ・安定的な財務基盤の構築
    バランスシート健全化、株主還元の強化(増配)
     ⇒ フリー・キャッシュ・フロー、ROE目標未達

中期経営方針
課題を踏まえた変革を実行し、社会ソリューション事業への注力を継続

売上高目標の考え方

  • ・海外(売上高:2015年度 6,032億円 ⇒ 2018年度 8,000億円)
    当社の強みが活かせる領域を「注力事業」に据えて事業拡大、“One to Many”の加速
  • ・国内(売上高:同 2兆2,217億円 ⇒ 同 2兆2,000億円)
    新たな事業機会をとらえることで、一部既存事業の縮小をカバーし事業規模を維持

(1)収益構造の立て直し(2015年度からの営業利益増 820億円)
~営業利益率 5%を実現する収益構造の確立~

  • ・課題事業・不採算案件への対応(同 370億円)
    ビジネスユニットからコーポレート直轄事業部へマネジメント変更し、構造改革を実行
  • ・業務改革推進プロジェクト(同 350億円)
    スタッフ業務の効率化(同 250億円)、経費・IT費用効率化(同 100億円)
  • ・開発・生産機能の最適化(同 100億円)
    グループ機能統合による最適化施策の拡大と成果刈り取り
  • ・事業ミックスの変化等(同 △240億円)

(2)成長軌道への回帰
~社会ソリューション事業のグローバル化~

2018中期経営計画における注力事業

  • ・セーフティ事業(海外の売上高:2015年度 420億円 ⇒ 2018年度 1,420億円)
    人が集う社会を支える安全・安心なインフラ作り
  • ・グローバルキャリア向けネットワーク事業(全体売上高:2015年度 1,200億円 ⇒ 2018年度 2,100億円)
    ハイパーコネクティッドの時代へ、IoTを活用した新ビジネスの拡大
  • ・リテール向けITサービス事業(全体売上高:2015年度 1,340億円 ⇒ 2018年度 1,600億円)
    安全性/効率性への要求の高まり、多様化する消費者ニーズ

参考:2018中期経営計画

 

2020中期経営計画(2016年4月28日)

詳細は当サイト
NECが「2020中期経営計画」発表
目標値達成に向けて固定費の削減を含む抜本的な収益構造改革

参考:2020中期経営計画

 

参考

2017年度第3四半期決算と通期予想
日本電気 株式会社(2018年1月30日発表)

経営方針・事業説明会
日本電気 株式会社

 

 

電機とITの決算

2018.2.18 2017年度第3四半期決算:ソニー、パナソニック、シャープ

2018.2.15 2017年度第3四半期決算:日立、東芝、三菱電機

2018.2.10 NEC「2020中期経営計画」達成には相当の努力が必要

2018.2.03 2017年度第3四半期決算:富士通

2018.2.01 NECが「2020中期経営計画」を発表

2018.1.30 2017年度第3四半期決算:NEC

 

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