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ITベンダー依存症
自社には専任者がいないが、ITに関する社内外の窓口は決めている。
これまでの付き合いで、特定のITベンダーと信頼関係ができている。
だから、現在のITベンダーと一緒にシステムを累積的に進化させる。
ITベンダーと、この様な関係ができていれば、理想的です。
しかし、実態はいかがでしょうか?
先日ERPを比較確認した企業も、私がこれまでお会いしてきた他の企業も違った意見を持っていらっしゃいます。
- ・全社戦略を実現するために、業務分析をする専任がいなかった。
- ・そのため、中長期的なIT戦略の企画を策定できていなかった。
- ・結果的に、付き合いしているベンダーに頼らざるを得なかった。
そして、この企業もそうですが、
- ・当初、自社業務に合わせた業務システムを使用していた。
- ・2000年問題対策で、従来のオフコン個別開発システムからオープン系パッケージを導入したが、自社仕様にするために多くの改造と追加をした。
- ・パッケージを基本にしたシステムに対し、旧来の業務の流れを踏襲していたため、運用面で不都合があり都度システムを改善してきた。
- ・その結果、ますます自社独自仕様のシステムとなり、しかも全体システムを特定のITベンダーに管理してもらっている。
といった「ITベンダー依存症」になっており、これは日本企業のIT化の歴史からきていると考えることもできます。
そのため、企業はERPやパッケージ等を選択するのではなく、コンタクトしてきた数社の中からITベンダーを決め、そこが薦めるソリューションを採用する。
その結果、ITベンダーの選定要因も、先日の参考情報の様に、「企業の知名度」「国内での実績」「サポート対応力」等が選定基準として重要視されるのは当然です。
しかし、あるアンケート(※1)によると、
- ・内容によっては、新たなベンダーから提案を受け入れても良い。
- ・選定する際の重要度
高い要素:自社業務に合致、保守体制、トラブル対応
低い要素:以前からの取引、総合力、販売実績や評判
- ・新たな取引先の探し方(情報収集手段)
セミナーや展示会、業界紙やWebニュース、Web検索
といった、企業側の主体的な動きが見て取れます。
問われるITベンダーの企業姿勢
中小企業も、「内部統制」や「国内外の企業との連携」という外圧に対応しながら、企業独自の強みを発揮していかなくてはなりません。
「経営戦略との融合」や「導入効果」を厳しく求め、目的に応じてソリューションを選択しようとしているのに対して、これまでの「一般的なソリューションの品揃え」や「単なる長い付き合い」だけではITベンダーは存続できません。
ハードウェアやソフトウェアの時代は終わりサービスの時代に移っており、メーカーやITベンダー主導の時代も終わりです。
IT化にも購買パワーが企業側にシフトしてきている中、ITベンダーの企業姿勢が問われてくると思います。
ITベンダーは独自の専門分野を持ち、企業の全社最適に向けた高度な支援サービスを提供していくべきではないでしょうか。
※1:日経ソリューションビジネス編集部、ITpro Researchの共同調査による結果(2007年10月)
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