ベンチャーキャピタルへの期待

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日本のベンチャーキャピタルの投資行動の要因や近年の動向から考慮すると、起業家やベンチャー企業の抱える課題を解決するためには、エンジェルの活性化に加えて、特にベンチャーキャピタルの機能強化が必要であると考えます。

そこで、以下にベンチャーキャピタルの強化すべき機能等について提案します。

 

1.企業行動の変革

(1)ベンチャーキャピタル企業経営の自立性確保

これまでの投資目的は、投資リターンの追求に加え親会社とベンチャー企業との関係強化であったと考える。

今後特に年金基金による投資を本格化させるためには、ベンチャーキャピタルは受託者責任や善管注意義務を十分に果たせる会社組織と活動スタイルを確立することが必要である。

 

(2)「企業価値を高める」ための経営に対するコミットメント強化

米国で発展してきた要因を考慮すると、その投資形態は経営支援による「企業価値を高める」ことにあると考える。

そのため今後は、積極的に経営にコミットメントし、必要に応じて役員を派遣する様な活動スタイルが必要である。

 

(3)ベンチャーキャピタリストの能力向上

アーリーステージ投資やバイアウトを成功させるためには、専門性を持ったベンチャーキャピタリストが必要である。

その能力は、技術評価・事業支援・経営再建・財務リストラクチャリング・人脈等であり、各専門性を持ったベンチャーキャピタリストがチームを作って支援することが必要である。

 

2.投資対象企業の拡大

(1)アーリーステージ企業への投資

これまでは成長後期や成熟期の未公開企業を中心に投資を行ってきた。

しかし近年の動向にもある様に、店頭公開基準の緩和や新たな株式公開市場も誕生しており、アーリーステージ企業の増加が期待できる。

そのため今後は、アーリーステージ投資を成功させるための能力蓄積と他社との差別化が必要である。

 

(2)大学等との連携

大学には優れた技術が多く存在する。

ベンチャーキャピタルが協力することにより、この技術をビジネス化することが可能であると考える。

このビジネス化を成功させるためには、ベンチャーキャピタルが経営面での支援に加え、マーケティング活動等広く支援していくことが必要である。

 

(3)バイアウトへの取組み拡大

成熟した中堅・中小企業や大企業の子会社等もバイアウトの有力な候補として考えることができる。

日本でもLBOやMBOが盛んに行われる様になれば、停滞した企業の活性化やリストラクチャリングを通して、日本経済の活性化に寄与することができると考える。

 

3.市場活性化に向けた貢献

(1)総合的支援の実施

ベンチャー企業には、資金以外にも多くの経営資源が不足している場合がある。

そこで、ベンチャーキャピタルが中心となって他のベンチャーキャピタルやエンジェル及び専門家とビジネス・ネットワークを構築して、人材の供給、経営・財務・労務等のコンサル、マーケティング支援等の総合的な支援を実施することが必要である。

 

(2)出資者に対するサービスの充実

積極的な投資を喚起するためには、出資者に対する情報提供が必要である。

そこで投資先企業の業績や時価評価額等に関する情報について、出資者に対して継続的に報告する体制を構築することが必要である。

 

(3)社会への啓蒙活動

学生や一般市民に対して、創業の意義やベンチャーの有効性の説明や起業家精神の喚起に努めることが必要である。

また起業家予備軍やベンチャー企業経営者に対して、外部投資家から出資を受けることの意味、事業や資金を管理することの重要性を教育する等の取組みが必要である。

さらにベンチャーキャピタルの企業理念として、自己の利益だけを追求するのではなく、市場全体の活性化に貢献することにより名声を得る等の高い志を追求することが必要である。

 

ベンチャー企業とベンチャーキャピタルのあるべき姿

1.ベンチャー企業の定義

2.ベンチャー企業の成功要因と確保策

3.日本のベンチャー企業の直面する問題点

4.ベンチャーキャピタルへの期待

5.ベンチャーファイナンスのあるべき姿

 

 

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