保守主義の原則と継続性の原則

保守主義の原則と継続性の原則

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1.保守主義及び継続性の原則

(1)保守主義の原則

企業の財政に不利な影響を及ぼす可能性がある場合には、これに備えて適当に健全な会計処理をしなければならない。

①目的

事業活動をより長く存続させていくためには、将来の危険に備えて少し控えめに利益を計上し、企業体力を温存する様な会計処理の方法を採用することに妥当性をみいだす。

②保守的な会計処理(例)
  • ・棚卸資産における低価基準の採用
  • ・貨幣価値下落時の棚卸資産評価における後入後出法の採用
  • ・原価償却における定率法の採用
  • ・割賦販売収益における回収基準の採用
③課題

保守的な会計処理は企業の財務的健全性を高め、事業を存続させていくために必要とされ、社会的に認められている。

しかし、企業会計原則が認めている保守的な会計処理は、会計処理を選択適用する際の一つの判断基準としての保守主義であるため、利益を過少に表示するための利益の隠匿や、利益積立金の積み立て等の過度に保守的な会計処理を防ぐことが必要であると考える。

(2)継続性の原則

一旦採用した会計処理の原則及び手続きは、正当な理由により変更を行う場合を除き、財務諸表を作成する各期間毎期継続適用し、みだりに変更してはならない。

①目的

一つの会計事実について、二つ以上の会計処理の原則又は手続きの選択適用が認められている場合、企業が選択した会計処理の原則及び手続きを毎期継続して使用しない時は、同一の会計事実について異なる利益額が算出される可能性がある。

そこで財務諸表の期間比較を容易にし、利害関係者が企業の財務内容に関して正確に判断できる様にする。

②正当な理由(例):当該財務諸表に注記必要
  • ・取扱品目、経営組織、大規模な経営方針の変更
  • ・急激な貨幣価値の変動
  • ・関連法令等の改廃
③期間比較可能性の確保に重点をおくべき

利益操作の排除や相対的真実性を満たすためではなく、期間比較可能性の確保に重点をおくべきであり、会計情報の利用者の目的に適合し、信頼された有用な会計情報を生み出すために必要な概念の一つとして位置付けるべきであると考える。

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