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企業の社会的責任
企業活動は資金を投下し、その資金を増加させ、回収することを目的とし、その結果としての利益を公正に配分する事が必要である。
その企業活動に必要な資金の調達、それがどの様に投下・使用されて、再び回収され資金が増加したかの流れを表すものとして会計がある。
企業活動は、株主・債権者・投資家・顧客・仕入先等の利害関係者と密接に関係し、その社会的責任は重大である。
そこで企業における資本の流れとその現状を明らかにする簡素で包括的な会計情報を企業外部に提供し、株主・債権者あるいは投資家等が企業に対する資本の提供を積極的に行うことのできる様な環境(財務環境)を整えることが必要である。
制度会計(財務会計)の役割
それらを考慮すると、制度会計(財務会計)の役割は、以下の通りであると考える。
1.経営の受託責任を明らかにする。(アカウンタビリティ)
2.利害関係者に対し、経営情報を提供する。(ディスクロージャー)
3.経営管理のための基礎情報を提供する。
制度会計(財務会計)情報と国際会計基準への準拠
この制度会計(財務会計)情報は、①企業外部の利害関係者を対象に、②利益の平等・公正配分、利害関係者間の利害を調整するために、③商法・税法・証券取引法、一般に認められた会計原則を判断基準として、④客観性・検証可能性を重視するものである。
特に近年国内経済が成熟化し、金融システムが間接金融から直接金融にシフトしていくにしたがって、投資家保護の必要性が重要になってきている。
また、企業がグローバルに事業を展開し、国際資本市場において株式・社債で資金調達する機会が増加する中で、諸外国の投資家は財務諸表の比較可能性を一層望む様になってきている。
この様な企業を取り巻く環境変化に対応していくためには、この制度会計(財務会計)の役割がより重要になってくると考えられ、現状の仕組みを抜本的に改革していく必要があると考える。
その基本となる企業会計原則や法制度を改革する際には、経済環境の変化に的確に対応するためにも官・民が協力した常設主体で対応していくべきであり、その実効範囲も上場・大企業だけではなく中小企業等へも広く適用できるようにすべきであると考える。
上場・店頭公開企業が今後使用を希望する会計基準を国際会計基準としている割合が多く、今後もこの傾向は増加すると考えられる。
そのため会計制度の改革の際には国際会計基準への準拠が基本となると考えられるが、それに加えて日本の商習慣や文化等を考慮した日本独自の制度を構築していくべきであると考える。
尚、会計制度の改革に際しては、上場・大企業とは性質の異なる中小企業への適用を慎重に時間をかけていくことも必要である。
また現在検討が進められている様に、必要に応じて中小企業独自の制度を整備することも必要であると考える。
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