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一歩先のクラウド戦略
大野 隆司(著)、遠藤 功(監修)
出版社:東洋経済新報社
「強い現場」を作る。「見える化」を定着させる。「プレミアム」を実現する。
効率化・コスト削減から次の段階へ。
ビジネスパーソンこそクラウドを語れ!
ITがビジネスの正否を分ける時代。
「クラウド」の本当の価値を伝える1冊!!
本著は、(株)ローランド・ベルガーのパートナーとして多くの企業の戦略策定と実行支援プロジェクトを手掛ける大野隆司氏が、「強い現場」を作り「見える化」を定着させ「プレミアム」を実現するためのクラウド活用について解説した1冊です。
第Ⅰ部の戦略編では、
日本企業が世界でどのように戦うか、そのためにはオペレーションをどのようにつくり、ITサービスを選定するかを解説し、
第Ⅱ部の実践編では、
富士通(株)、マイクロソフト(株)、(株)ドリームアーツ、(株)プラスアルファ・コンサルティングの4社が提供するクラウド・サービスを紹介し、(株)ローランド・ベルガーとして中立的立場から精査・選定をしたシステム・ベンダーを選ぶ実務的ポイントを示しています。
難しいIT用語が多く出てくる専門書ではなく、クラウドの特徴やIT利活用のポイントを解りやすく解説している書籍です。
プレミアム = 機能的価値 情緒的価値
余分な対価を支払ってでも手に入れたいと思わせる「特別な価値」
「プラスアルファの価値」
創出には、「ストーリー」「サプライコントロール」「サービス」が必要
戦略を実現する「オペレーション」を構築する。
構成要素:業務プロセス、組織やグループ企業、人的資源、情報システム、設備・物流・サービス、業務規定やガイドライン
オペレーションをつくる要諦
現場力の一段の磨き込み ―― 「見える化」最前線
現場力の移転 ―― 日本品質の担保
「オペレーション」の進化と退化防止のガバナンスの構築
価値共有のためのコミュニケーションの整備
「パブリック・クラウド」選定時の考慮ポイント
ポイント1:圧倒的に信頼性の高いクラウドのデータセンター
ポイント2:クラウドとオンプレミスの「ハイブリッド」なシステムづくり
ポイント3:汎用性と親和性の高いシステム基盤の整備
ポイント4:「手触り感のある情報」と「情報の治水」の実現
ポイント5:人知を超えた解析と感度の装備
最低条件1:格納されているデータセンターが明確に示されていること
最低条件2:データセンターはアメリカ以外であること
[参考]
- ・EU:域外へのデータ持ち出しは、基本的に法律で禁止
- ・カナダ:アメリカのクラウドベンダーの利用禁止、個人情報の持ち出し禁止
- ・アメリカ:パトリオット法(FBIは、「礼状不要」でデータセンター内のデータを利用可能)
情報システムにメリハリをつける
⇒ 「凝る」情報システムと「それなり」で構わない情報システム
情報システム維持コストが下げられない原因:ブラックボックス化、属人化、複雑化
戦略とオペレーションとITの「分断をなくす」
⇒ 業務側とIT部門が共同で戦略を読解し、オペレーションを設計する。
CIOの権限拡大より、役割と責任や権限をCOOにもたせる:COO直下にCIO配置
企業にとって、ITは重要な経営資源となっています。
しかし、「どこまでIT化をすればよいのか」「IT投資額はいくらが適正なのか」など
悩む方が多いのも事実です。
本著では、ベンダー4社のクラウドサービスと事例が紹介されていましたが、他にも様々なサービスもあり、今後も新たなサービスが出てきます。
「情報システムにメリハリ」と本著でも説いていますが、
IT全てを自社導入するのではなく、クラウドサービスを適切に活用して、自社の強みを発揮できる取り組みが必要です。
「経営戦略」「業務プロセス」「組織マネジメント」とITの融合
いつも私が目指している取り組みですが、本著に共通する部分もありそうです。
参考:クラウドのサービス分類について知りたい方(当グログ)
2010.5.9 IT業界にとってのクラウド事業
選択1:自らクラウド事業者(プロバイダー)になる。
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